VAMP SHOW


〔観劇日〕 2001/6/12(火)
〔作〕    三谷幸喜
〔演出〕    池田成志
〔出演〕    堺 雅人/佐々木蔵之介/橋本 潤/河原雅彦/伊藤俊人/手塚とおる/松尾れい子

【あらすじ】
  三谷幸喜と池田成志がルーマニアに旅行したときに、吸血鬼にまつわる話を書こうということになり、二人のアイディアがこの 「VAMP SHOW」の完成となったそうだ。三谷幸喜の作品にしては、希なストーリーだ。たくさんの殺人が起きてしまう話なのだから。

5人の男達が一台の車に乗ってドライブなのだろう。楽しそうにお喋りを始めるが途中で交通事故を起こしてしまう。が、何故か 全員怪我もなく人里離れたちいさな駅に到着しているのだ。駅にはすでに電車を待っている女性がひとり。駅では、電気故障で 電車が来ない状態だった。電車が通るまでの間に起きる彼らと謎の女性とのお話。そこで、観客は彼らが吸血鬼だと知っていくのだ。 そして、彼女の正体は?

【感 想】
  ステージは暗闇。コントで使うような車の正面の絵が描かれている平面の板切れ。フロンドガラスは、筒抜け状態でそこに5人の男 たちが姿を出している。ひとりひとり、恐い話をしていくのだ。それに対して聞いている5人が突っ込みをいれるのだ。これは、 プロローグと言ったところ。ここでは、毎回同じ話をしてるとは思えない、アドリブの世界でこれは実話だろう。と思う話がいくつか あった。恐い話と言ってもホラーとは限らない。いろんな意味での「恐い」を考えてみよう(笑)

観てから二週間以上が経ってしまったので、恐い話すべて思い出せないのだが・・・。と思い出して書こうと思ったのだが、思い出した 話の内容は、ちょっとヤバイのでここに載せられないや(笑)。と言うつまらない転回になってしまってごめんなさい。

舞台は変って、山奥のこんなところに電車が来るの? というような小さな駅があり、舞台と客席の間には線路が敷いてある。
今回は、三谷作品ということもあるが佐々木蔵之介さん、伊藤俊人さん、堺 雅人さんの名前を見て、これは見たい。と思ったのでした。 背が高くスタイルもよい佐々木さんは、黒の上下にロングコートがよく似合っていました。裾をひるがえして身体の向きを変えるところ など、「おお〜かっこいいぞ。」と単純なミーハー状態でした。
伊藤さんは、グループの中の会計係の役で経理担当の細かさをよく出していたし、つまらなそうで面白い人間が伊藤さんにぴったりだった。
堺 雅人さんは、汗びっしょりで中盤からエネルギー全開となりました。ヘアスタイルも短くなっていたせいもあるけれど、ウッチャンナンチャンの ウッチャンに似ていて、しゃべる声の質もそっくりなので、ウッチャンがしゃべっているようだ。と途中で感じました。堺さんの役は ギリギリのところまで追いつめられるので、自然と動きも大きくあせりまくる様子などがウッチャンのおおげさなコントとオーバーラップ していたのかも。堺ファンの人は、この感じ方にはご不満もあるかと思いますが、そう感じてしまったのでごめんなさいね。
河原雅彦さんは、猜疑心のある少し素直ではない性格の役でこれも河原さんにぴったり。顔、声がそういう役を連想させるので、観ていて 「おお〜、この役は河原さんだな」と役者選びに感心したのでした。

この小さな駅は無人ではなく、駅員さんがちゃんといるのだ。それが手塚とおるさん。「もう、なに?この人」と思うようなふにゃふにゃの 駅員。なんか表現が見つからないのだなぁ。格好は、アニメ・スリーナインに出て来る駅員さんを思い出していただけると良い。発声すると 、どこか栓がぬけてるの? と言うしゃべり方で笑いを誘っていた。電気故障がおきているので線路に出ないようにホームの橋に杭を打って いるのを見て5人の男たちは、目を背け少し遠ざかる。なぜならその杭は、十字の形をしていたのだ。ここで、この5人は吸血鬼なの?と 思うのだ。そして、喉が渇いたからと水筒から見ずを飲んだ男の口のまわりが真っ赤に染まっていたのを見て「やっぱり、吸血鬼だ」と確信 させると言うぐあいだ。

【なぜ、この5人が吸血鬼になったのか?】
大学生の頃、ルーマニアに旅行に行ったときに、野宿をして朝起きたら首筋に二箇所の歯形があって、なんだかすごく血がほしくなっていた という坂東(佐々木)。吸血鬼になったんだと気がついて、日本に帰って来てから大学の落研部の佐竹(河原)の血を吸う。そして佐竹が 次の者にそしてまた・・・と言う風に5人になったとき、日本でこれ以上吸血鬼を増やしてはいけないという結論になり、献血車を襲って 5年が過ぎたのだ。
【何故、殺人にまでなったのか?】
結局、新鮮な血が欲しいという欲求を持ち始めた仲間が出たことから、険悪な空気がながれる。自然と駅にいたひとりの女性が標的になる。 どういう訳か島(堺)は、血は吸われてないので吸血鬼ではないのだが、先輩の坂東と別れるのがつらいので、吸血鬼と思われていることを 幸いに5年間の血を求める旅行に付き合っていたのだった。島は、吸血鬼ではなくただの人間だから、女性を助けようとする。険悪なムード になったときに、このことが原因で殺人が次々に起きる。そして、助けた女性は、昔、自分を裏切った恋人を殺しその首を持ち歩いている 精神的に以上をきたしていた殺人犯だったのだ。。
吸血鬼をひとりづつ殺してしまうのだが、そのプロセスがドキドキ・ハラハラさせ、舞台セットからメイク・衣装までスリル効果を十分出して いたのではないかな。

三谷幸喜がスリルとサスペンス物を書いても、やはり面白いものになるのだ。と感心させられたのは、見ている者に働きかける計算された 動き・台詞・間だ。また、島が線路を歩いて感電してしまうときに出た「バチッ」という音と光と火花にびっくりして、声をあげそうになって しまったのだが。音と光りの効果も良かった。
わぁ〜前々感想がまとまらないぞ〜。二週間もたってから思い出すのはすごく大変で、大きい括りでしか書けませんでした。('01/07/01)



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