野獣郎見参


〔観劇日〕 2001/3/15(木)
〔作〕      中島かずき
〔演出〕    いのうえひでのり
〔出演〕    堤真一/高橋由美子/古田新太/手塚とおる/大沢さやか/橋本じゅん/粟根まこと/河野まさと/こぐれ修/逆木圭一郎/右近健一/村木よし子/山本カナコ/吉田メタル/前田美波里/松井誠、他

【あらすじ】
  舞台は、京の町。秘術を操り京の都を魔界の闇から救った陰陽師・安倍清明(あべのせいめい) の霊力を封じた五条河原の「清明塚」は、彼が亡くなっても、もののけの魔力から都を護り続けていたのだった。

清明が亡くなって250年、応仁・戦乱の時代です。清明塚は何者かによって壊され、焼け野原の京の都に魔物が 蘇えってしまったのです。その魔物の首に賞金がかけられていて、その賞金を稼くために、物怪野獣郎が現われたのです。

京の町を護るのは、安倍西門。清明の末裔にして、もののけ退治の総元締めで町の実権を握る男なのです。西門の屋敷で出会った 芥蛮獄(あくたばんがく)と野獣郎は、道満王という悪霊を退治するように命じられた。そのとき蛮獄と一緒にいた女・美泥は、 野獣郎と昔なにかあったようです。

その後、道満王を倒すべく野獣郎と蛮獄はどうしたか、美泥はどうなったのか?

【感 想】
  開演時間の10分前頃から。ヘビメタの曲がかかり、緞帳には、野獣郎の姿をした堤真一が描かれている。
一幕:6:30pm〜8:00pm、二幕:8:20pm〜9:45pmだったかな? 正直言って、一幕は間延びするところもあり、寝不足の私に とっては少し辛いものがあった。歌とダンスが合間に入るのだが、歌が長すぎると感じるものがあった。惹きつける メロディではなかったのと、歌い手がつまらなかったせいもあるかもしれない。
だが、二幕に入ってからは、一幕の辛さが嘘のように惹きつけられた。テンポが乗って来てこちらの満足する波長に なっていたように思う。

前田美波里と村木よし子は、歌唱力もあり聞いていて気持ち良かったが、右近さんの歌には、ちょっとねぇ〜という感じ。 高橋由美子も声量があり、きれいな歌声でした。小さい身体であのエネルギー溢れる動きには脱帽でした。このハードな 舞台を高橋由美子は、よく毎日出来ているなぁ。というのが見終わった後の感想。もう大拍手を送ってしまいました。

粟根まことさんの、穴掘り名人役を楽しく見ていた。粟根風の三枚目が良い味だしていましたね。

一番楽しませてもらったのが、松井誠さんだった。安倍西門と仏門に入った兄の風鏡(ふうきょう)という二役をやっていま したが、まるで別の役者さんが演じているようにガラッと変っていて感心してしまいました。私は、お公家さんの西門の役が 好きですねぇ。大衆演劇だけでなく、いろいろな劇団に客演として出演されており、自分の劇団ではできないこと、あるいは やらなかったことを経験しているらしい。ご本人にとっても演技の幅が広がって来て、うれしいのではないでしょうか?

古田新太のファンは多い。彼は観ることに集中させてくれる。ということは、惹きつける何かがあるのですね。ただし、 台詞のはっきりしないところがあるので(とくに勢いついて声を大きくしているとき)それだけ直してくれればOKです。

堤真一は、単純・短期・男は殺す・女は犯すと言うくらい野獣の部分をもっているのに、やはり品が良い野獣郎でございました(笑)。 声は、何種類かを使い分けてはいましたが、もう少し汚しても良かったのではないかな?と感じました。
('01/03/18)



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