第9回:どたばたの学校祭 9月中旬編 愛知県立千種高等学校へ偵察(?)に赴く!

 過去にちょっとだけ書いたと思うが、私は中学1年から某大手予備校(K合塾)に通って勉強していた。高校に入っても、学校側の「予備校に行かなくても、高校でまじめに勉強していりゃ国公立大くらいいける!」という風潮に反発して、親に負担をかけて通学していたのである。そこで、私の中学校の連れ(Y氏、としておきましょう)と、この塾での知人が数多く通学している「愛知県立千種高等学校」が、今度の土・日に学校祭を開催するらしいという情報を聞きつけ、私は物理班のシンパで、Y氏と共通の友人でもあるKを連れ、潜入することにしたのである。

 朝11時頃に向こうへ着けばいいと思って出発したものの、学校付近へ到着してみればなんとまぁ、人の多いこと!この学校では、中学3年に対しての高校説明会をこの学校祭にぶつけているため、中学校の名札をつけた制服姿も数多く見受けられた。とりあえずそのような状況をうらやましく思いつつ、学校の正門に到着。そこには「でっかい張りぼて」が堂々と鎮座していた!しかも6体。すでにこの時点でスケールの違いに驚いていた私とK。横目でしげしげと張りぼてを眺めつつ、受付で氏名・学校名を書かされる。高校名を見た受付嬢(もちろん学生さん)から、
「あのしごきで有名な高校?!」という質問が投げられた。・・・実際、中の展示教室で、案内役の方々と話をしてみると、我々の高校に関しての認知度は、

「どこそれ。知らない」   と、言うものか、はたまた

「あ、あのしごきで有名なところ?!0限目の授業とか、業後9時くらいまで補習やるんでしょう?」   という、ちょっと噂が一人歩きした内容であった。私はもちろん、この話に尾ひれをつけてやり、彼らの知り合いがドツボにはまらないよう、運動をしてきたのであった・・・。

 さて肝心の展示であるが、それはもうスケールの大きいこと!生徒全員で作り上げてきた、ということが、学校全体の雰囲気から感じ取れる。100円で購入した、それなりにしっかりした作りの学校祭(千種祭、と言う様だが)案内パンフレットを手に、各教室を巡回。教室を入るとそこは別世界であった・・・。各クラスがそれぞれのテーマに沿った内容で、思い思いにこった演出をこなしている。机を足場にして上段に上らせたり、(ちょっと暑かったけど)黒ゴミ袋で仕切った暗黒の世界に案内されたり。しかも、各コンテンツごとに解説員が必ず付いており、説明を加えてくれるのである。2,3度、私とKは意地悪なので、「自分は解答を知っているディープな質問」を投げたことがあったが、ちゃんと調べてあり、見事なまでに説明してくれた(何についてだったのかは忘れてしまったが・・・)。このように、実に詳細に、展示テーマについて調査し、それを文章や擬似的模型に表現し、本番を迎えている事がひしひしと伝わってきた。我々の高校だって、やれば出来るだろうになぁ・・・。と、苦虫を噛んだ思いがしたものであった。

 そのほか、物販(持ち寄りの古本販売会やバザー( 「収益金は全額寄付されます」)やPTA提供の軽食コーナーなど、実に充実したコンテンツで、「祭り」と呼ぶにすばらしい状況であった。
 後日、Y氏から聞いたところによると、夏休みも遥か前から「何をやるか」を決め、担当を決め・・・と、実に細かく綿密に製作していったそうである。うちの学校のように「夏休み半ば過ぎから内容を決め、だらだらと決めかねたまま9月に入り、なし崩し的に適当にコンテンツを決めて開催する」適当学校祭では到底及びもつかないプロセスを踏んでいるのだった。
ただひとつ救いだったのが、部活動の展示物が質素であったことである。化学部(私の高校では「化学班」)や物理部(私の学校では「物理班」)の展示内容なら、勝てる自信が出来たことであった。

 翌日、朝1番に部活に顔を出し、それはもう張り切って準備をしたことは言うまでもない。
ただこの日と翌日(振替休日のおかげで準備日程が1日増えているのだ)は、今までの準備不足が仇となり、部活では冊子を印刷・製本しながら、エアホッケーを設置しながら、ホバークラフトを試験運転しながら、シャボン玉の基を作りながら、写真を貼りながら、アルコール鉄砲を量産する・・・(以下2〜3あったが忘れてしまった)という、かなり切羽詰った状況になっていたのであった・・・。作業が完了したのは、準備最終日の下校完了時刻を1時間も過ぎた午後5時(この学校においては「も」過ぎていることになる)であった・・・。