学校祭シーズンが終われば、もう秋たけなわ。読書の秋、食欲の秋、課題の秋、考査の秋、である。部活もやることがなくなり、ただただ放課後にお茶を飲んでいる場所と化してしまった。そんな時、私に大きな仕事がやってきたのである。
近所(海部郡・中島郡・津島市・名古屋市中川区)の中学3年生が「学校説明会」に参加するためやってくる。で、そのときついでに部活動見学を行うから、その時、活動の様子をうまいこと見せてやってほしい、と言うのである。先生いわく、ただ廊下を通り過ぎるだけだから、何か活動をしているように見せかけてくれればいい、とおっしゃるのだが、そんな簡単に事を終わらせるつもりは、はたはた無い。自分が初め、この学校にやってきたときに感じたイメージ「勉強ばっかの暗い学校」、こんな感想を持ったまま高校受験の時期に突入してほしくなかった。たとえ入学してこなくても(いや、個人的には間違いを犯して入学してこない事を願ったんだけど)、イメージだけは変えていただきたかった。そんな思いが頭の中でせめぎあいつつ、当日を迎えるに至ったのである。
当日の午前中は、既に頭の中は昼からの計画でいっぱい。あれをあーして・・・・。幸いに当日、担当教員の機嫌がすこぶる悪かった英語Rも当てられずに済み、無事放課後を迎えることが出来た。とりあえず今日の説明会の流れを聞きに職員室の顧問のところに赴く。よれば、午後1時30分頃に学校にやってきて受付。その後午後2時から説明会。部活動見学は3時半頃になるとの事。昼食を摂りに物理準備室に行き、今となってはただ一人の「真面目な」部員(木工課長)と素案から更に緻密な計画を練る。
さて、午後1時15分、写真課長(私)と木工課長は、それぞれの「道具」を持って校門に集合。時が来るのを待つ。脇には総務課の教員が一人。話を聞くと「何せ初の試みだけに緊張する」との事。・・・教員が緊張してどうするの?
さて1時30分。ぞろぞろとヘルメットを被った自転車の集団がやってきた。明らかに中学生である。そこで計画その1・2を発動。
1・学校祭で作った「アルコール鉄砲」の「騒音実験」と称して、クラッカーがわりに発砲する。
2・緊張している中学生の顔が引きつったらその瞬間を撮影する。別に引きつっていなくてもよいけど。
結果は。「2年生が模擬試験やっているから静かにするように」とたしなめられて、計画1は中止に。でも実際、さほど騒音は出ず、模擬試験を受けている教室棟にはこだましていなかった(私がちゃんと音を聞くために校舎内にいたのだ)。ただ単に、邪魔者を追っ払っただけのようである。
しぶしぶ部室に戻り、時間の経つのを待つ。が、さすがに1時間半も2人でいるのは我慢できず、下の階のコンピュータ部に顔を出し、雑談をして過ごす。物理班はMS−DOS3.0、コンピュータ部はMs−Windows3.1のパソコンをそれぞれ使っているので互換性があり、ゲームなども融通しあっていたため、このときも楽しく過ごすことが出来た。何をやって見せるのか?と問えば、別にこのままありのままを見せつけるだけ、との事。もう待たされ続けて、やることも無く、かなりしんどそうであった。
さて、だいたい時間になり、部室へ戻る。とりあえずメインイベント(となりうる)「エアホッケー」を教室の真ん中に据え、先ほど外でお叱りを受けたアルコール鉄砲を準備・装填。私は写真を飾り、首からカメラをぶら下げ、なぜか部屋に置いてあった白衣を着込む。気分はマッド・サイエンティスト(笑)!
廊下をぺたぺたと歩く音が聞こえる。ようやくやってきたのだ。この待ち焦がれたときが。向こう側の美術部を覗き第1班がやってきた。・・・・・廊下側の窓から覗いただけで通過。「ここが、科学部の物理班です。本校の科学部はあと、化学班と生物班があります・・・(ビブラート)。」・・その間、私たちがとった行動。エアホッケーで遊ぶ。
気を取り直して2回戦。今度は先ほどと逆からやってきた。科学班を覗き、物理室の方へやって来る!さぁ、入ってこい!説明してやる、触らせてやる(エアホッケーやアルコール鉄砲を、ですよ。勘違いなさらぬように)!!やった。止まった!・・・しかし廊下から覗くだけ。教員がなにやら説明をしだす。「・・・色いろ作ったりしています。」をい、それだけじゃねぇ!思うや否や、私は廊下に飛び出していた。
「・・・それだけではなく、コンピュータもかなり古いですがありますし、プログラミングも簡単なものならできます。あと、私の首から下げているものから、推測できますように、どういうわけか、物理班には暗室が付属しておりますので、白黒写真で遊べます。手っ取り早く言えば、写真部をかねているわけですね。その他にも、やりたいと言われればなんでもやる、がモットーの部活ですので、入学した際にはぜひ、入部の有無に関わらず遊びにきてくださいね。待ってますよ(にこっ←笑顔)。」
教員・生徒、あっけにとられる。私、自己満足。しばしの沈黙の後、我を取り戻した教員が生徒を引率して隣の美術部へと去っていった。
最後、第3班(最後だと判明した理由:引率教諭のプラカードにそれぞれの引率している地域が書いてあり、それとあらかじめ訪問すると言われていた地方とを、頭の中で照合したため)がやってきた。引率教諭は、我が班の顧問。さぁ、どういった説明をしてくれるのかな・・・?と思ってエアホッケー前で待ち構えていたら、なんと教室内に入れてくれるではないか!ちょっとまともな説明を期待。しかし、教諭は「じゃぁ、説明を聞いてください」と、私に振ってくれたのだ!願ったりかなったりのチャンス!!
かくして私は、頭の中で考えていた野望(どうやって面白おかしく説明してやろう?)を、予定を大幅に超過した5分にわたりぶちまけたのであった。
さすがに私のテンションに、中学生はついてこれなかったみたいだけどね。いや、ついてこれても緊張のあまりネコ被っていたのかも。
今回の学習。学校訪問のときのお相手、は緊張しているので、手ごたえを期待しちゃいけない。