修学旅行も終わり、2年生のメイン・イベントは残すところ「文化祭・体育祭」である。もっとも、そのまえに定期考査があったりして、案の定散々な成績だったりもしたんだけど。
さて、2期考査も終わり、夏休みへ向けて、一路驀進!(・・・でもその前に補習があるんだよな)と言う時に、担任からお呼び出しがかかった。大概の事は想像がつく。9月の文化祭の案件を、どうせ俺らに考えてこい、とか言うんだろう、と腹を括って、室長と共に「社会科標本室(=うちの担任の個人的住処)」の戸を引く。そこには、すでに、副室長とLT委員(女性)の姿があり、何やら熱心にテープレコーダーから流れてくる音楽を聞き入っていた。これで勢揃いとでもいいたげに、奥で寝ていた?担任が上座につき、謎の会議が始まった。
要約すれば、俺(=担任)は文化祭だとか、体育祭だとかと言うイベントでいい成績を残したい特に合唱コンクールは俺が担任したクラスで1位をとらなかった試しはない。そこで今年も、合唱と展示を、お前ら(今回は「おまえ」と普通にお読みください)に仕切ってやってもらいたい。女子には合唱、男子は展示。合唱曲は、もう決めてある。展示も、俺が今までやりたかった「和紙」をやりたい。紙の伝統民芸品に「桑名の千羽鶴」というのがあり、これは俺が女子に作らせるから(※この女子とは、彼のお気に入りの女の子でした。どうやって丸め込んだんだか)、紙漉きだとか、紙の歴史、文化とか、何とか調べてモノにしてくれ。俺も協力はするからと、ここまで勝手に決めてあったのだ。今時、中学校の文化祭でも、クラスの会議で合議的に話し合いで決定すると言うのに、この担任は何様なのだろう・・・などと、頭の中で反骨精神がぐらぐらと沸いてきたが、そこはあえて押さえて、「はぁ、分かりました。展示のほうは、私の方で準備はしておきますが、私も部活があります故、きっちりとは面倒は見れませんので、承知しておいてください。」と言って、その場を草々に立ち去った。
その後、教室に戻り、室長と相談。どうやって展示の計画を進めるか。夏休みは補習で忙しい高校と言う事情もあり、1から10まで、アンタ等で調べて、かってに書いて、勝手に飾ってください。では通用しないので、結局私が、いろいろネタになりそうなものを調べてきて、それをレポートにして、それを書き写させることにして、「これで(クラスメイトも)文句はないだろう!」ということで(勝手に納得をして)、その日は解散としたのであった。
さて、次の日。早くも合唱コンクールで歌う曲「水たまり」とかいう、偉く難しい楽譜が配られ、早くも練習を開始。しかも半ば、担任主導で。それに対し、展示は私1人で全てを抱え込んだまま、何1つ進展する事無く、1学期の終業式を迎えたのであった・・・。
時を同じくして、科学部部長であった私のもとに、化学班から、とある冊子制作の話が舞い込んできた。その名を「万(よろづ)」と言い、真面目一辺倒の化学班の先輩が、おちゃらけで作ったものらしい。今年も作るように、と、上からなぞの厳命を承って困惑していた所を、「どうせうちの冊子も今年は真面目路線に切り替えよう」と考えていた私の思惑と一致し、二つ返事でその制作を請け負う事になる。しかし、ここで普通の「万」にしてしまうのは勿体無い。せっかくある(名ばかりの)科学部部長の名前を有効に利用し、ここは、科学部史上初の「3班合同冊子」を目指し、各班に原稿(何でもいいから好きな事を書いてちょうだい、といって)を依頼したのだ。
かくして、山のように仕事を抱えて、高校生活2年目の夏休みは、始まったのであった・・・。