まず、終礼時のいつものご挨拶。「今日は1日、ご苦労様でした。」
「合唱の方は、今までの中では最高の出来だった。これは結果が出ないと分からない。」
と、
自らが力を入れてきた方は「失敗」なのにも関わらず、妙にかばった発言をしやがったうえ、何とも簡単におしまい。その後は
「展示の方だが、今日やってきて、あまりにも手が足らない(だから昨日レジュメには5人割り振ってあっただろ?勝手に3人にしたのは誰だ?!)。」
「そこで明日は、今日より人を倍増したいと思う。出掛けたいだろうが、学級のコトだから、全員協力するように。(あーあ、また始まったよ強硬政治。オレじゃそんな芸当出来ないって)」
ということになり、見事自分も「最後くらいはてめぇで始末しろ!」と言われてしまう。もとよりヤバくならないように下準備してるじゃないか、っていうの。だからパルプ切れをおこさないでしょ?
更にこう続く。「今日、千羽鶴係のハズの女子に手伝って貰って、何とか体験コーナーの方も廻っていたのだが、そこで問題がいくらか出たので、お前等に協力を仰ぎたい。」
とのたまい出し、私がいくら呼びかけても集まってこなかった、ハンドミキサー2つとヘアドライヤー3つをあっという間に供出することに成功しやがる。けっ、どーせ「あなたの展示」なんだからオレには関係ないし、そもそもオレが担当では集まらなかったブツがあんただと集まるってんだから、オレも一応「責任者」なのになめられたもんだよなぁ・・・。などと拗ねてしまう。
勿論、この嫌味にヘコむ私ではなく、終礼後はそそくさと部室に繰り出した。
さて、自宅に帰ってからも翌日のためにチョコチョコと準備を開始。何せ学級展示でも諸問題があったので、そこの修正に原稿を打ち、印刷。対処法の原稿を手書きで仕上げ、部の方の説明書きも仕上げて、就寝したのは午前1時。
翌日も、朝7時30分に登校。我ながら早い登校だこと。毎日がこんなお祭り騒ぎなら、喜んで早起きもするのだが・・・と思いつつ、一番の足は部室に向かう。部室で、昨晩速攻で作った説明書きを机に貼り付け、昨日手間取った「モノの説明」を補うことにし、続いて教室へ。教室でも、昨日途中で終わっていた「紙漉の枠の「目詰まり」」を清掃し、展示のゆがみを直し、紙漉き用の「水」を入れ替えて・・・。誰にも見られないように作業をする。ここまで「無関与だ」と言われている以上、最後まで無関与決め込もうじゃねえか、と思ったのだが、「無責任だ」と思われるのも腹立たしいので、少しは影でやることに方針転換したのだ。
簡単な朝礼の後、今日も午前中は教室展示の見学に充てられて居るため分散行動。私は1にも2にも部活へダッシュ。ヨソの学校でもないので、2日目にもなると、めぼしき展示は見たとばかりに学生の方も「楽しめそう」な所で溜まる傾向が出るので、そういう輩にとってうちの会場は格好の溜まり場。何せ遊んでいても咎められないんだから(遊び自体が展示だし)。と言うわけで、ある意味昨日より盛況となった物理室は、1年間の8割以上の来客数を誇り、廊下の「感想ボード」も、部の感想から日頃の鬱憤・エロネタ(教員に見つかったら説教30分で済まないようなモノ)まで思うがままに書かれていた。私の目標「文化祭は日頃のストレス発散の場」は無事達成できたのである(何せ、学内唯一の「落書きボード」ですから・・・これ用に藁半紙を4枚も使ったんだから、そりゃあ当たり前だわ)。
担任に言われたように、午前中の最終回、10時半から11時半の回の「見張り番」を私が担当し、イロイロとクラスメイトと話をしてやろうと思ったのだが、教室をナゼか担任が仕切ってやがる。文化祭って「生徒のための祭り」のハズで、事実私が遊びに行ってきたヨソの高校の文化祭は、全て生徒主導で教員はほぼノータッチだったが・・・。そう思うと無性に腹立たしくなり、そそくさと、空きだした「紙漉きパレット」の片付けを指示し出す。すると遠巻きに担任の不機嫌そうな視線が飛んでくる。当たりめーだ、片付けに費やせる時間が今日の夕方だけなんだから、出来るところから片づけていかないと間に合わないんだっつーの。
まあ、私の指示で片付けがスタートする一方で、紙漉きの方も大盛況。結局「乗り気」でなかった男連中や、人の話をまるで聞きもせず、担任にベッタリしていた奴らまで、「向こうの」指示で動いている始末。要するに私は、担任のヤローの点数稼ぎに利用されただけなんだ。事実、教室にいるあいだにやってきた他の先生方から「校長が『よくここまでやった』って褒めてたよ」なんて、担任に耳打ちしてるんだもん。
・・・あのー。原案・企画はオレ、実行はクラスみんななんですが、どーして担任の実績になるの?
文化祭実行委員(←これ、教員です)の放送が入り、午前の部、すなわち展示縦覧の部が終わったことを告げる。ところがコレで終わらないのがうちの教室。私はこの放送を入れた教員と仲良しなので、とっとと教室を切り上げ、部室の方に溜まっている人間を追い立てないと、名指しで放送入れられ、「部の方を何とかしなさい!」と言われかねない旨、事前に通告されていたから慌てて教室の方を閉めようとするのだが、それを「もう独りの権力者」クソ担任が許さない。「並んでいる人間位やらせてやれよ!」とかかみついてくる始末。だから怒られるのは俺等、書面上の責任者なんだってば。勘弁してくれよ。
業を煮やしたか、見回りから連絡が入ったか、結局この年で「一番最後まで展示にウヨウヨ人間がいた」不名誉な展示グループは、我がクラスとなってしまった。だからオレの所為じゃないっつーの。
昼食後は演劇鑑賞「サウンド・オブ・ミュージック」のため、昼食はまったり。私も、昼食の時間を惜しんで教室展示に「無償提供(またの名を「パクって来た」)」した生物用水槽、占めて6つを洗って返却しに生物室まで顔を出し、そこで結局昼食。基本的に私は「敵」な教職員はいないので、まあ、コーヒーを呼ばれながらまったり会話。ここでも「キミのクラスは担任が頑張って展示やってたなあ」などと言われるので、私の身の上をきっちり証明しておきました。一応向こうを立ててはおいたけど(ホントは「無干渉」がよかったんですけどね、とはトゲ発言しておいたけど)。
午後の演劇は全くもって印象にない。何せ爆睡。気が付いたら緞帳が下りていたからなあ。
で、コレが終わると、文化祭の締めくくり、表彰のお時間である。今年は部活はともかく、展示は優秀賞くらい取れるだろうと思っていた。何せ昨年の展示の欠点である「問題定義がない」を、展示前日の晩に、私が一人でこなしておいたんだから(一応「書いてね」とはレジュメに書いておいたのだが、そこはカットされたらしい)。
特活科職員のエラそうな総評が始まった。「近年の展示は質の低下が見られるが、今年は、展示において文句の付け所のないところがあった。テーマを明確にし、歴史・現在の模様・実演/体験コーナーに最後は問題定義と、見る者への訴え方をきっちり突いてきた展示があった。」・・・これ、うちの学級のことじゃん。ということで、我がクラスで最優秀賞を受賞してしまったのである。これは毎年常連の「科学部化学班」(くどいようだが、私が「部長」を務める科学部)から、学級参加で最優秀賞を奪取したのが数年ぶりという快挙だそうな。当然責任者が2名、表彰状とトロフィーを取りに行くのだが、私は決して前に自ら行こうとしなかった。不干渉なんだから、最後も関わらないのである。室長は困った様子をして耳打ちに来たが「桑名の千羽鶴を折った女の子を連れて行きなよ」の一言で意味が分かったのか、誰かを連れて前に行き、見事デカデカとしたトロフィーをかっぱらってきた。
ちなみに合唱は、あれだけ練習したのにもかかわらず第2位。
「無理して難易度の高い曲に挑戦しても、難易度が低くても完成度の高い曲には叶わない」
「時間をかけなくても完成度が高ければ優秀」、と言うことを結果が証明してくれたのである。
控え室に帰ってから、合唱と展示のトロフィー・賞状が計4つも並び、担任の自慢話が始まったが、「けっ、何を今更!」と私は頬杖つきながら聞いた。
「2日間、ご苦労様でした。合唱の方は、オレが手を入れたのに、2位という結果に終わり、合唱と言えば毎年1位のオレから言わせて貰えれば、残念だ。途中、クラスの協力が得られなかった面があったのが残念である。これさえなければ、合唱は優勝できたと思う。」などとおっしゃる。そりゃ無理だって。あの出来では2位が奇跡に近いんだもん。
次が問題の展示の感想。
「展示の方だが、まあ、紙漉きがやりたいというオレの意見の元、よくまあ最優秀賞まで持っていってくれた。特に桑名の千羽鶴が、この結果に結びつく主因になったと(オレは)見ている。」ちょっと待て。それは違うだろ?!
「千羽鶴のメンバーは、それこそ業後遅くまで、1000羽もの鶴を、説明書も不完全なまま、試行錯誤してひたすら折ってくれた。ここに感謝の意を込めて、全員で拍手をしよう。」オイオイ、オレは良いとして、展示って、クラス全員でやり遂げたものじゃないの?!
「紙漉きも、みんなヨソを見学もせずよく手伝ってくれた。校長もいたく気に入って、千羽鶴は校長室に永久保存されることになった。その他の紙漉きの物品も、全部社会科標本室で預かるコトになった。最後にみんな、本当にお疲れ様でした。くれぐれも打ち上げと称して、どっかで飯喰ったりすることのないように。」
・・・・・結局この展示は、アンタの点数稼ぎの題材ですか?!
クラス「みんなの苦労」を「千羽鶴チームだけの功績」に置き換えたことが腹立たしくて仕方ない私は、勿論あとから化学班の打ち上げにこっそり潜入し、しっかりストレス発散をしたのであった。
それにしても、途中まで真面目に下調べをしていた私がピエロで、ものすごく滑稽に見えるんですが・・・。