第30回 俺の進路だろうが!好きに決めさせろ!!

 秋のお楽しみイベントも終わると、私の高校では早くも受験ムードが漂い出す。というのも、知育大会が終わるとあっという間に第3期考査(およそ3週間)であり、それが終わるとすぐに『業後補習』が始まるのだ。週5日制の今となっては、別に珍しいものではないかも知れないが、授業数もそれなりにある中で、補習などと言って、業後18時まで残らされるのは正直「窮屈」以外の何者でもなかった。

 具体的に言えば、第3期考査から第4期考査までは、英語と国語(理系は更に数学がプラス)のみ、その後、年が明け、3年生がセンター試験を受けた後には、「さあ、来年はお前等の番だ!今からやらなきゃ間に合わないゾ!」とばかりに、主要科目は全て補習させられるのである。正直、大半の人間にとっては、「もう受験に備えなければいけないの?」である。もちろん、田圃の中の一軒家、田舎の高校なので、サボろうとしてもすぐに見つかってしまう故、ほとんどの生徒はそのまま大人しく補習を受けていくのである(もっともこの高校の場合、形式上は「申込書」を書かせるのだが、実際には「強制」であった。地歴科の『地理』同様、非道いもんだ)。

 補習自体も、担当になる教諭によって内容は様々で、講義形式・プリント形式とあり、熱心なヒトは最初から最後までまともにやるのだが、横着い教員など、プリントを5〜6枚渡しておいて、1時間ちょっと経つとふらっと帰ってきて、答え合わせだけして帰るヤツなど、ピンからキリであった。私のクラスにあたった人は、どちらかといえば「まだ2年生だし、そんなに目くじら立ててやる必要もないだろう」というタイプだったので、配られたプリントをさっさと片づけて、眠ってやったもんだった。

 そんな補習と並行して、志望コース分けが始まった。文系だけがあるこの時期のコース分け。要するに、私立大の入試で「日本史」「世界史」のどちらを取るか、また、数学を選択するのか否かを決定する必要があるのだ。例によって、1年生時の「2次関数の最大・最小値の場合分け」でコケて以来、数学という科目は赤点スレスレの超低空飛行(タマに地面に擦ってしまい、補充指導を受けさせられることもあったが)をしてきた私にとってみれば、当然のごとく「私立文系」へ行くものだと、担任は予想していたようだ。が、ここでもヤツの思い通りには動いてやらないのが、私(と、両親)の恐ろしい所である・・・。

 文系の人間だけを対象に、この時期は「2者面談」をやることになっている。昼などの空き時間や業後、順番に呼び出され面接を受け、これまでの模擬試験や学内の実力考査(実は過年度の模試のコピーだったりする)のデータを元に、本人の意思を尊重しつつ決定するのが原則と、パンフレットや大手塾のデータ帳には書いてある・・・。が、私の場合は、ものの見事に担任からの押しつけで強引に決められそうになった。

担任:「お前(「おめぇ」、ですよ)、どうするんだ。数学悪いから私文にするか?!」
  :「一応、自分としても、親としても、国文の可能性を残したいので数学は取る方向で・・・」
 担任:「はぁ?!お前(「おめぇ」です)の成績でセンターなんか通る訳ねーだろ?!やめとけ」
  :「そうは言いましても、親の方から私文にする位なら、高校に払う授業料勿体ないから退学しろ(ウソ)
     とまで言われてますし・・・」
 担任:「・・・そこまで言うなら、まあ、学年会で図ってやらんでもないが・・・。どうなってもしらんぞ」

 ・・・何だって、自分の進路を決めるのに、こんな事までしなきゃいかんのだ?!と、面接後、担任とのやりとりの後で、家族一同激怒したのは言うまでもない。もちろん、生徒の適正を見て指導をしていると言われればそれまでだろう。しかし、本人の意志を無視した進路指導とはいったい何の為なのだろう?これは余談だが、文系に進みたい1年生の子が、数学が学年トップクラスであるという理由だけのために、担任からの進路指導で理系へ進むことを勧められて困っていた。私として、もちろん「自分の将来は自分のモノなんだから、担任の言うことなんか聞かず、無視し続ければいい」と言ったのだが、果たしてそこまでする「お節介」に、いったい何の意味があるというのだ?

 私には、学校としての進学率(有名大学への)稼ぎにしか見えないのだが、いかがなものだろう?


・・・この後、この「数学を履修する・しない」騒動は、年明けまで尾を引くことになるので、それはまた、次回の話にします。


さて次回は、第31回 新年あけても進路を巡り確執は続く。 をお送りいたしいたします。