第4話 「カスミ、保母さんになる」
「ベチャポンテン、学校が休みならつきあいなさいよ。
合コンやるの、いいヘナモン紹介するわよ」
「…してくれなくていいです」
「何が合コンだ!そんな場所には行くな!」「お父さんに言われる筋合ないわ!」と相変わらず、朝食の席でいきなり喧嘩を始める仙左右衛門と蘭子。雲と薔薇の花びらが飛び交う食卓に、突然電話のベルが鳴り響く。
「保母のあけみさん、風邪で休みですって」
「そうか」
「保母のさおりさん、風邪でお休みですって」
「判った…な、何だと?あけみもさおりも休みということは…
皆休みじゃないか!どうするんだヘナモン保育園は!?」
「…ということで、今日は特別に園長のわしがお前達の世話をする」
が、全く仙左右衛門の言う事を聞かないヘナモン保育園の園児達。挙句の果てに龍之介の龍ちゃんキックが仙左右衛門の顔面に直撃してしまい…「しばらくそこで反省しておれ」と、霞家のベランダに干されてしまう龍之介。仙左右衛門はカスミの「洗濯物が干せないんですけど」という声を無視し、桜女を呼び付ける。
「わしゃあこれから出掛ける、龍王様に呼ばれておったのを忘れておった。
ま、龍王様のお呼びとあらば、何をおいても駆け付けねばなるまい。
保育園の方はおまえに任せた、それでは行ってくる!」
雲に変化しあっという間にいなくなってしまう仙左右衛門。カスミは物干しに干された龍之介を降ろしてあげ、仙左右衛門が言っていた龍王について質問する。
「龍王ってあんたのお父さんよね?」
「パパはヘナモン達と自然界の全てを司ってるんだ」
「その龍王様からこの霞家は、ヘナモンの世話役を言い付かっているのだわ」
とりあえず聞いてはみたものの、おハニさんの言葉にも「だって凄いとも何とも思わないもん」と、カスミはさして興味を示さない。その態度に少々ムカッとする龍之介とおハニさんだが、それどころじゃない桜女は「でも困りましたね…どうしましょ保育園」と思案に暮れる。
「なーんであたしが子供の相手なんか…」
風邪で休んでいる保母さんの代わりとして、そして雲隠れした園長の仙左右衛門の代わりとして、桜女は仙太郎と蘭子にヘナモン保育園の園児達の世話を頼むのだが…「仙太郎、綿菓子出して!」と、仙太郎はワガママ龍之介にいいように遊ばれてしまい、
「ねぇねぇねぇ、リコンしたんだって?なんでなんで?
…やっぱ性格がキツイからっしょ?」
蘭子は蘭子で園児の言葉に逆上する始末。結局「カスミンさんしかいないの、お願いしますわ」という桜女のお願いに答え、カスミが園児達の面倒を見る事に。
「やったぁ、カスミンが保母さんだ!」
保母さんを引き受けてみたカスミだが、園児達は「人間って何にも変化できないんだって」とカスミを馬鹿にする。雷に打たれて髪が焦げるわ、分身する園児がいるわ、龍之介の水でびしょびしょになるわ…ポトポット達が手伝いに来てくれたが、それでも全く手に負えない園児達。
「いい加減にしなさい!そんなにイタズラばっかりしてると、あたしの友達連れて来るわよ!
みんな人間よ!来るぞ来るぞ〜人間が沢山来るぞ〜!」
ようやく園児達が大人しくなったので、カスミは給食を作るため台所へと向かうが…面白くないのは龍之介。「人間なんて平気だよ」と他の園児達の前で言い放つ龍之介は、さっきまで遊んでいたおもちゃのバスを園児に無理矢理大きくさせる。
「チキンライスにハムのお鼻とグリンピースの目をくっつけてぶたさんおむすび、
海苔を張り付けてパンダおむすび、
ゆでたまごの黄身とニンジンの口でひよこおむすび、それから…」
カスミが園児達の給食を作っている最中響いた、とてつもなく大きな音。わけがわからぬまま駆けつけたカスミが見たものは…保育園の壁に開けられた大きな穴、忽然と消え失せた園児達、そして走り去って行くバスだった。龍之介はおもちゃのバスをプロポで運転しながら楽しそうに声をあげる。
「さぁ、肝試しに出発だ!」
「あら、園児達が町へ?それは困りましたわねぇ」
「早く連れ戻さないと、あの子達何するか…!」
「ほんとにねぇ…」
「少しは焦って下さい!」
この後に及んでもマイペースな桜女に焦るカスミだが、そこに丁度風神雷神が蘭子を迎えにきていた。「どうしてあたしまで」と渋る蘭子の声を聞きながらも、カスミは彼らのバイクに載せてもらい園児達を追いかける。
「ホントに行くの…?」
町に辿り着いた龍之介率いる園児達。だが園児達はやはり人間を恐れており、「まず龍ちゃんが」という声が龍之介に浴びせられる。何とかごまかそうとする龍之介だが「…龍ちゃんも怖い?」という声に反発、あるだけの勇気を振り絞りたったひとりで肝試しへと向かう。
「絶対捕まえてやる!こんじょだ、こんじょ!」
ようやく町に辿り付き園児達を発見、カスミは逃げ回る園児達を必死に追いかけ回す。幾度か通りかかる近所の人を「選挙運動やってるみたい」な自己紹介でやりすごし…風神雷神の協力もあり、何とか園児達を捕まえることに成功する。ただ一人、龍之介を除いて。
「怖いよ…ここ何処だろう…?バスがある空き地って何処だったっけ…?」
道に迷い、知らない人間に恐怖し、泣きながら逃げまわる龍之介。カスミは龍之介の泣き声を聞きつけ、ようやく捕まえるが…龍之介はあまりの怖さに力を発動させてしまい、助けにきたカスミを水の龍で空中に持ち上げてしまう。
「…もうやだ!龍ちゃんなんか勝手にしなさい!もう知らないから!」
幸い大きな怪我は無かったものの、カスミにとってはもう我慢の限界だった。泣きついてきた龍之介にそう言い、カスミは背を向けて帰ってしまう。
「おやおや小さなレディー、どうしたんだい?」
落ちこむカスミに声をかけてきたのはバー“ストレンジャー”のマスターだった。マスターはカスミを気遣いバーに招き入れ、濡れた身体を拭くためにタオルを渡す。促されるまま髪を拭いていたカスミだが、手を止めタオルを頭にかけたまま…力なく呟く。
「わたし…なんだかもう嫌になっちゃったんです。
この町に来て、振り回されてばかり…」
マスターはカウンター奥にあったグラスを持ち出してカスミの前にそっと置き、優しい声でカスミに語りかける。
「…このグラス達は磨かれたり、酒を注がれたり、洗われたりするのを待っている。
でも、グラス達は私を振り回すつもりなんてない。ただ、ここにいるだけ…」
「………」
「さあ、君の為にホットココアを入れてあげよう」
「マスター、………ありがとう」
「カスミン、ごめんね…僕怖かったの。
皆に『肝試ししよう』って言ったけど、ホントはとっても怖かったの」
バーの外では龍之介がカスミを待っていた。最初はひとりで帰ろうとしたカスミだが、泣きながら素直に謝る龍之介の方に向き直り、両手を広げ笑顔で答える。
「…おいで」
「…カスミーン!」
「さあ、帰ったらたっぷりお手伝いしてもらうわよ。
保育園の修理もしないといけないし、家事もたまってるし」
「ちょっと、日曜なのに何で来るのよ!」
「遊びに来たんだもーん」
「来なくていい!」
昨夜「はあ…明日はやっと休める」と一息ついたはずが、朝になってみるとカスミの部屋には園児達。カスミは園児を部屋から追い出そうとするが、園児の素直な一言がカスミの心にスッと入り込む。
「人間は怖いけどカスミンは平気」
「…遊ぼっか」
カスミの言葉に喜ぶ園児達。浮かれた園児がイタズラ半分で起こしたカミナリが、再びカスミを直撃してしまい…
「やっぱりこんなとこ、出てくー!」
カスミンハイライト
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「龍ちゃん小っちゃいから ぶたさんやパンダさんおにぎりを作るカスミンも凄く良かったんですけど、絵としては今ひとつ…今回は「濡れるとこんな髪形になるのか!」ってことでこんなシーンから。 後で結んでいる髪の毛はいつも逆立ってますが、水に濡れると落ちてくる…ってことはいつもは重力に逆らっている?“いないないばあっ”に代表されるNHKお得意の手法ですか?ってどうでもいいですね。 ワガママ龍之介を相手にすると、カスミンは基本的にいい感じです…大概怒ってますけど(笑) |
第4話感想 |
予告を見た時点ではわがまま園児VS保母カスミンかと思ってたんですけど、わがまま龍之介VS保母カスミンでしたね。ホントにわがままというか何というか…今の時点ではどうしようもなく腐った龍之介の性根、カスミンはしっかり叩きなおす事が出来るのか?ある意味番組最大の目的ですね(笑) すでに炊事洗濯掃除と家事をこなす事に慣れた感のあるカスミン。前回仲良くなったぬれぞうきんと一緒に掃除をしている所はかなりポイント高し。それでいて保母さんを頼まれて嫌な顔ひとつしない、いやはや出来た娘さんです…が、さすがに水の龍に乗せられて空中に上げられれば怒るも当然です。 何気に再登場キャラがいい感じ。相変わらずかっこいいマスター、1人前のヘナモンとしての力を見せた風神雷神…までは良かったんですけど、まさか第1話のおばさんがまた出てくるとは!しかも「小堺さん」だなんて!名前があったのか!ってことはこれからも出てくるの!?…少々ヒートアップしましたけど(笑)、それぐらい衝撃的だったという事で。 冒頭で蘭子がヘナモン同士の合コンにカスミを誘ってましたけど、小学生しかも人間を合コンに連れていくとはさすが蘭子。また昼間っから風神雷神呼んで遊びにいってるし…そりゃあ「本当に人目を忍んで生きてんの?」と思いますって。しかし合コンにどんなメンツが集まるのか少々気にはなりますね、おハニさんみたいなヘナモンが来るのかなーと。 ヘナモン達と自然界の全てを司る龍王様…はいつか出てくるんでしょうか?僕としては「あなたがちゃんとしつけないから龍ちゃんがワガママになっちゃうのよ!」と、龍王様を怒鳴りつけるカスミンを見てみたいです(笑)頑固親父こと仙左右衛門にも臆せず反論するカスミですから、それなりの理由さえあれば間違い無く言ってくれると思うんですけど。っていうか龍之介の父親は龍王ですけど、母親は…? 来週は霞家と学校に接点が生まれる話。霞家の評判を知っているであろう先生が、どのような態度を見せるか非常に楽しみです。 |