第6話 「ポトポット、悩む」

「あ〜あ〜あ〜♪」

もうすぐ学校の合唱大会なんです、
私クラスでその責任者に選ばれたんです。

「これから忙しくなるぞー!」
「カスミン色々大変…僕、出来るだけカスミンのお手伝いする!」

 

「合唱大会なんて、楽しそう」
「いいないいな、僕も歌いたい!保育園でもやろうよおじじ様!」
「近頃のヘナモンは何でも人間の真似をしたがる。
ヘナモンにはヘナモンの行事がある、ヘナヘナ祭やモンモン詣でといった…」

「僕が沸かした、あっつあつのお湯で入れたお茶だよ」

「熱すぎる!」
「ちょっと濃いかしら」
「薄すぎる!」
「冷ました方が…猫舌なので」

 

「皆の力で素晴らしい合唱にしましょう。
ではまず、曲目を決めたいと思います。
何か意見のある人!」

「元気のいい曲が」
「わたしバラードが好きなんだけど」
「演歌はどうだ?」
「ヘナモン数え歌!」

「はぁ…曲決めるだけでも大変そう…で、でも頑張らなきゃ!」

 

「熱くないのに、薄いのに、濃いのに、冷ましたの…」
「楽しい曲、バラード、演歌、ヘナモン数え歌…」
「はぁ…」
「カスミンどうしたの?」
「ポトポットこそ…」
「難しいな、と思って。皆、好みって違うでしょ?
人によってまるでバラバラでしょ?それって大変だよね…」
「うんうん、そうだよねぇ…でも、ここであたしが頑張らないと!こんじょだ、こんじょ!」
「こんじょー!」

 

「蘭子さーん、玉露です」
「わたしは抹茶たてて」

「仙太郎さん、どうぞ薄いやつ」
「猫舌…」

「仙左右衛門様…あっ!」
「気を付けんか!」

「あらポトポット、悪いけどわたくしにお茶いただける?」
「あ、お湯無くなっちゃったんで今沸かします!」

 

「ちょ、ちょっと…何でみんな帰っちゃうの?
まだ曲目も決まってないんだよ、みんなで話し合おうよ」
「だって…今日はバレエがあるの」
「ごめんねカスミン、あたし塾」
「部活の練習、あるんだよな」

「はぁ…何でみんなこんなに忙しいんだろう」

 

「忙しい忙しい!忙しい忙しい!忙しい忙しい!」
「…ポトポットも」
「だって、本当に忙しいんだよ」
「それは、わたしだって判るけど…」

転ぶ

「忙しいのなんて、理由にならないよ…」
「うん…忙しいせいにしちゃいけないんだよね。
やることはきちんとやらなきゃ」
「そうそう」
「そう…だよね」

 

「ねえみんな、今日こそ曲決めようよ、それに練習の日程も…
他のクラスはもう練習始めてるんだってよ?
皆の力で合唱大会成功させようよ!全員で盛り上ろう!」
「うざったいなぁ…」
「春野さん一人で出れば?」

 

「はいどうぞ、あんまり熱すぎない御煎茶です」
「ん?熱すぎないというよりこれは…ぬるい」
「じゃあ、入れ直します」
「やはり…ぬるい」
「今沸かしたばっかりなのに!?」

 

「何だか疲れちゃった…ひどいよ、あんなこと言わなくったって…
わたしだって一生懸命やってるのに」

落ちこんでいるカスミ、涙を流すポトポット、2人はベランダ?に

「ティッシュは箱の中から出して、2:1くらいに切ってから、もう一度戻しておくといいのよ。
ちょっとしか使わない時は、小さく切った方を使えば節約にもなるし」
「節約のコツより僕のこと心配して、カスミン」
「ごめんごめん、それにしても…なんでぬるくなっちゃったんだろう?」
「いつでもアツアツのお湯が沸かせるのが自慢だったのに…!」

 

「この家の人はみんなお茶好きだから、お湯が沸かせないと困るのだわ」
「買って下さい、僕じゃお役に立てないから、新しいポットを買って下さい!」

 

「こっちのポットはお湯が沸くと喋って知らせるのだわ」
「僕だって喋れるもん」
「わー凄い、これは連続沸騰してカルキ抜きが出来るんだって」
「そんなの僕だって、頑張れば出来るもん」

 

「…で、結局買ってきませんでした」
「じゃあどうすんのよ?」
「ポトポットが気合で何とかする、って言ってます」

 

「湯気が出ない、僕お湯も沸かせなくなっちゃった…」
「お湯なんて沸かせなくたって、ぬるくたっていいじゃない、ね?
ポトポットはポトポットなんだから」
「だって、そんなのポットじゃない…」

 

「やっぱり、疲れてるんでありますかね。
こういう時はヘナモンカウンセラーに診察してもらうと良いであります」
「ヘナモンのカウンセラー?そんなヘナモンがいるんだ」
「イェーイ!」

と現われたのは白衣をまとったタワシことあらいさん。

「あらいさんがカウンセラー?」
「ヘナモン大学のドクターコースを出て資格を取ったんよね」
「…何処にあるのよそんな大学」
「疲れたらヒーリングヒーリング!イェーイ!」

台所の一角から滑り降りた所に診療所。

「はーいどうしましたか?」
「何だか体に力が入らなくて、お湯が沸かせないんです」

ヒーリングミュージックを使った音楽療法、心洗われる映像による映像療法。効果

「さあ、最後はドクターあらいのスペシャルヒーリング!
踊って踊って心も軽い!さあみんなも踊って踊って、イェーイ!
それがポトポットの為になるんだYO!」

「さあカスミン、イェーイ!」
「何であたしがそんな格好しなきゃならないのよ!?」

嬉しそうなポトポット

「えーい、もうヤケだ!」

 

「熱い!良かった…元に戻ったねポトポット」
「皆のおかげだよ」
「あらいさんのヒーリングってそんなに効果あるんだ、
でもあたしは何だか踊り疲れちゃったよ…」

 

「駄目だ…まだ疲れが取れない。今日は帰って休もう」

学校

「御免ねカスミン」
「合唱大会のこと、みんなカスミンにまかせっきりで」
「…え?」
「そんなに落ちこんだカスミン見たの始めて」
「きっと凄く悩んでたんだね…」
「これからは私達カスミンに協力する!」
「一緒に合唱大会成功させよう!」
「みんな…」

(良かった…みんなすっごい誤解してるけど、これで合唱大会も上手くいきそう)

 

「かぁーっ、素晴らしい合唱だったねぇ」

 

「…いいお茶、入れ方も最高ね」
「やったー!」
「人のために張り切って何かをやろうという、その心掛けはいい。
だがあまりがむしゃら過ぎると、返って迷惑になることもある。
お茶の温度と同じ、物の加減というのは大事な事なのだ」

居間から聞こえてくる仙左右衛門の言葉に

「物の加減か…あたしも合唱大会終わったら、何だか一気に疲れちゃった。
そうだ、あらいさんのヒーリング受けてみようかな」
「受けてみたら、僕だってこんなに元気になったんだよ」
「ではドクターあらいの診察室へ!」

マッサージ機から逃げ惑う。効果が薄いとみたドクターあらいはスペシャルコースを開始…すると空から無数の手が現われる。あまりの怖さから必死に逃げ惑うが、つかまってしまいマッサージされてしまう。

「やめて〜!どこがヒーリングなのよ!」
「え?凄く気持ち良くない?」
「良くなーい!やっぱりこんな家、出てってやる!」


カスミンハイライト

カスミン以外適当(笑) 皆で楽しく踊り、貯まったストレスを発散させるというあらいさんのヒーリング。楽しく踊るヘナモン達を遠めに見ているカスミンに、あらいさんが促す。

「さあカスミン、イェーイ!」
「何であたしがそんな格好しなきゃならないのよ!?」

…とは言ったものの楽しそうなポトポットの姿を見て、ポトポットの為に結局“そんな格好”をするカスミン。

「えーい、もうヤケだ!」

今回はとにかくこれで決まりです。ヤケだといっている割に、ちょっと恥ずかしがっている辺りがなんとも言えません(笑)

 


第6話感想
炊事洗濯掃除をこなし、龍之介のしつけを行い、転校先でも気丈にふるまい、園児達の面倒までもみる…完全無欠かと思われたカスミンにもそれゆえの欠点が。途中までは少々「皆ワガママ過ぎるんじゃ…」と思ってたんですけど、確かに一人やる気満々だと逆効果になることが多いんですよね。「物事には加減がある」、ラストの仙左右衛門のセリフが印象的な第6話でした。

やっぱり今回はヘナモンポーズをするカスミンで決まりですったら決まりです。最初は嫌がっていたものの、ポトポットの為に恥じらいながらもポーズを取ってあげ、一緒に踊ってあげるという…人の為にヤケになれるというのは嗚呼、実に素晴らしき事かな。カスミン素敵です。かなり。

学校のシーンになる度、第3話で登場した廊下の女の子を探してしまうのは駄目な人間の証拠ですね(笑)あの子は結局出ていなかったんですけど、合唱会でピアノを演奏していた女の子もなかなかで…こういう凝り方をされると学校のシーンも楽しみになりますね。見事というかツボを心得ているというか…

アライさんが大卒でカウンセラーというのはかなり驚きでしたが、あのカウンセリングルームはやっぱり秘密の部屋なんでしょうか?見た感じミニサイズヘナモン用のカウンセリングっぽかったので…あんな隠し通路を付けられるとますます霞家の間取りが知りたくなってきます(笑)多分絶対有り得ない作りになっていると思うんですけど…もしそうじゃなかったら凄いなぁ。

しかしあのヒーリングは少々怖すぎるような気が。手が1本や2本ならまだしも、あれだけの手が襲いかかって来るというのは中々トラウマメイキング。あれで癒されるポトポットというかヘナモンって…やっぱり人間から見るとオバケってことなんでしょうか。ということは、あの無数の手にはそういう意図があった…のかな?

最後に龍之介が出てきて去っていくシーン、何か新鮮な感じでかなり良かったです。

 

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