第1部 MMRR始動!

 

 

第1話 MMR解散という余韻

第2話 解散という始まり

第3話 始動!MMR−Real!

 

 

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第1話 MMR解散という余韻

 

「もうあれからしばらく経つな…MMRか。」

背後の喧騒をよそに、男は窓から眼下に広がる眺めをぼんやり見下ろした。

「ナワヤさん、仕事サボらないで下さいよ!」

ナワヤは、その言葉にも動じず話しかけてきた男に背を向けたまま聞き返す。

「トマルか…MMRが解散してからお前はどうだ?」

「え…?」

それまで忙しそうにしていたトマルはふと立ち止まり、ナワヤと同じく外を見つめながら、

「どうしたんですか…ナワヤさんらしくないですよ。」

そう言った。

「俺は何か大切なものをなくした感じだな、色々大変な事もあったがMMRとして活動していた頃は楽しかった…」

「ナワヤさん…」

「トマル!お前は違うのか?MMR解散…はいそうですかって言えるのか!?」

ナワヤは振り向き、トマルの目を直視してそう言った。その迫力にトマルは一瞬たじろぎ、ナワヤから顔をそらしてつぶやいた。

「僕だって…寂しいですよ、寂しくないわけないじゃないですか。」

「トマル…これを見ろよ!」

窓際から駆け出したナワヤは、近くの机にあった段ボールをトマルの前に持ってきてひっくり返した。段ボールの中からはたくさんの手紙が流れ出し、机の上を瞬く間に埋め尽くした。

「こんなに応援のハガキが来てるんだぜ?これだけ読者達から応援を受けているのに、ちょっと脅迫を受けたからといって俺達は簡単に引き下がれるのか?お前はそれで納得できるのか?」

「でも…僕達MMRが真実に近づけば近づくほど、僕達の周りの人に迷惑がかかるんですよ?これ以上講談社や読者の人達に迷惑をかけるような真似はできません!」

「そうですよナワヤさん。これ以上の深入りはボク達以外の人達に危害が加わります。いちジャーナリストとして、他人に迷惑をかけることだけは許されません…分かってください!」

遠くでナワヤとトマルのやり取りに気付いてやってきたイケダがナワヤにさとす。

「イケダ…」

「僕だって悔しいんです。もちろんトマルもタナカさんも…でもこればっかりはどうしようもないんです!」

三人の間に重い空気が立ち込める。主張する事は食い違っていても彼らが考えている事はただ一つ…MMRの事だった。

(キバヤシ…お前はいいのか?このまま引き下がれるのか?…俺には絶対納得できない!)

「ナワヤ!イケダ!トマル!会議室にこい!今すぐだ!」

その重い空気を切り裂いたのは一人の男の一喝だった。

「キバヤシ!お前、一体今までどこにいたんだ…?」

「キバヤシさん、会議って一体なんの会議ですか?」

「重要な作戦会議だよ!人類の未来を守るためのな!」

 


第2話 解散という始まり

 

「…みんなには黙っていて悪かったと反省している。」

「ちょっと待ってくれ、何を言っているんだキバヤシ?始めから説明してくれないか?」

会議室。キバヤシに連れられるままここに入って来たナワヤ、イケダ、トマルは状況をうまく理解できていない様子だった。

「我々MMRは解散した。しかしその解散には皆納得していないな?」

「当たり前ですよキバヤシさん、だってもう少しで真実にたどり着こうとしていたんですから。」

「いくら推理が大ハズレだとしても、そこで引き下がるのは編集者として納得がいきませんよ!」

トマルの言葉に全員無言でうなずき、キバヤシの方を見つめる。キバヤシも解散の時の事を思い出したらしく、うつむくが…

「しかしこれ以上読者や講談社、見ず知らずの人々に迷惑をかけるわけにはいかない…だったな。」

「だから…MMRは解散した、そうだなキバヤシ?」

「確かにそうだ、しかし解散した本当の理由は別にある。」

今まで半信半疑だった三人の顔色が変わる。ナワヤは状況を理解するなり椅子から立ちあがり、

「別の理由?それは一体どういうことだ?まさか…」

「そう、解散はあくまで一時的なものだ。ひとまずMMRを解散することで背後に控える強大な組織の目をそらし、週刊漫画雑誌ではできなかった緻密な取材と推理を可能にすることができるんだ!」

「…!?」

その言葉を十分頭に染み渡らせて、トマル、イケダも椅子から立ちあがる。

「じゃあ…また戦えるんですね!運命と、予言と、この世界の不思議に!」

「ああ!まだ諦めるわけにはいかないんだ!人類の未来のためにもな!」

「やりましょうキバヤシさん!今度こそ真実を、人類の希望を見つけ出しましょう!」

いまだ潰えていない彼らの情熱にキバヤシも心が熱くなり、再び闘志が湧き出してくる…!

「真の戦いを…真実を求め…真のMMRとして戦う。俺達はMMR-Real、MMRRだ!」

「MMR-Real…真のMMR…!」

イケダもトマルもこの言葉、MMRRを噛み締め両手こぶしを握り締めて、

「キバヤシさん!ちょっと待っていて下さい!」

「僕も準備してきます!」

勢い良く会議室を飛び出して行った。生き生きした二人を見てキバヤシの顔にもほほえみが浮かぶ。

「ナワヤ…お前は準備しに行かなくていいのか?」

一人残っているナワヤにキバヤシが問いかける。ナワヤはキバヤシに背を向け、

「全く…かったるい事ばっかりやらせるんだよな、人使いも荒いし…」

ゆっくりと出口のドアに向かって歩き出した。そして部屋の出口で歩みを止め、

「俺に少しくらい言ってくれてもいいだろうよ…今度隠し事したら許さないからな。」

「すまない、ナワヤ…」

「というわけで、俺は適当にやるからせいぜいお前ががんばれよ。」

「…ああ!どんどんこき使ってやるぞ!」

「へいへい、お手柔らかに頼みますぜ。」

ナワヤも外へ出ていった。会議室にはキバヤシ一人。

「今度こそ…真実をつきとめてやる…」

 


第3話 始動!MMR−Real!

 

廊下を走るトマルとイケダ。その足取りは軽やかで、すれ違う人達が振りかえるほどエネルギーに満ちあふれていた。

「…トマル。」

「…わかってますよ、イケダさん。」

「よかったよ…ナワヤさんじゃないけどやっぱり俺もこうでなくちゃ!」

「キバヤシさん、やっぱりあきらめてなかったんですね!」

「ああ!…俺達も負けないぞ!」

1歩1歩の感触を確かめながら…そのうしろをゆっくりと歩くナワヤ。

「…全く、粋なことしてくれるじゃないか、キバヤシよ…」

 

「ヘックシュン!」

会議室でクシャミをするキバヤシ。別の入り口から入ってきたタナカがキバヤシに話しかける。

「どうしたんです、これから忙しくなるっていうのに風邪ですか?」

「いや、そんな訳ではないのだが…タナカ、それでチケットは取れたのか?」

「はい、もう用意は出来てます。いつでも出発できますよ。」

「そうか…準備ができしだい出発しよう。行動は1秒でも早いほうがいいからな。」

「キバヤシさん!準備できました!」

声の聞こえてきた方角、会議室の入り口にはすでにイケダとトマルが息を切らせながら駆け付けていた。

「速いな、イケダ!トマル!」

「はい!もう居ても立ってもいられないんです!」

「2人とも、あんまり飛ばしすぎるとこれから持たないぞ?」

「いいえタナカさん、大丈夫です!」

「まあ元気なのはいいことだ、それでこれからの予定だが…」

 

「わかりました、頑張りましょうキバヤシさん!」

「…さてと。MMRR、出動するぞ!」

「あれ…でもナワヤさんは…?」

「ふふ、ちゃんと聞いているさ、なぁナワヤ!」

キバヤシの声と共に会議室のドアの後ろからナワヤが姿をあらわす。

「わかってたのか…準備OKだ、さっさと行こうぜキバヤシよ!」

「よし、MMR‐Real、MMRR出動だ!」

 

第2部 「ラ・フランスの謎を追え!」に続く

 


次回予告

「ラ・フランスの謎を追え!」

長き沈黙を破り、ついにMMRRが動き出す。

缶詰さんの書き込みにあった「ラ・フランスは何故ラ・フランスなのか」の意味は?

そして舞台はフランスへ…!

そこで彼らMMRRを待ち受けるものは…?


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