理論編


ゲーム機No後悔 12/1追加!

「Xboxを実際に触れてみる、っていう仕事があったんだけど…正直に言うわ、行く前はちょっと荷が重かった。俺の印象ではXboxってデカイでしょ、偉くアメリカな感じがするじゃんか。でいておそらく洋ゲーが一杯出るじゃん、この洋ゲーと洋ピンって凄い似てるんですよ、なんつったら良いのかな…大雑把なんだよね。」

「そこは微妙にハンドル切ればいいんじゃないの、って所を何か物凄い所が来るじゃないですか。あとトータルバランスで日本人だったらここはハードな音楽なのに、『パララパンパラパンパラパパンパン♪デュビィッテュデュビィッテュ〜♪』みたいな所で『UAHHH!』みたいな。嫌いじゃないよ、嫌いじゃないけども…そのイメージが強くて。滅茶苦茶ヤバイアイデアが面白かったり日本に無いゲームが出来るんだけど、僕の中では2割の感動と8割の後悔なんですよ。」

「そのイメージと、ハード自体で判る…何かこう、あのー、チンチンのデカイ奴が作った感っていうのが僕の中で凄いあったんですよ。行く前の正直な話は『発売前のハードだし、この番組の取材で御世話になったし、悪くは言えないなぁ…』で、俺にはムード〇とピンチ×が付いてるんで、ムードを盛り上げながらも結局は芸者記事になるんじゃないか、と思ってたんですけど…触ってみたら以外にいいでやんの。」

「わかんないよ、俺なんかは一般的感覚からゲーム機買いか否か良く判らない理由として、いまだに僕はゲーム機を買って1回も後悔したことが無いんですよ。3DOをNo後悔、バーチャルボーイなんか万万歳の位置にあるんですよ僕の中で。まあPC-FXもしくはコアグラフィックスを掴んでいないっていうのが、No後悔記録を伸ばしている可能性はあるんですけども。ドリームキャスト・セガサターンは全然元取ってるし、ゲームギアなんて良い方に入ってましたから。」

「あとは外車に乗りたいわけでも豪邸が欲しいわけでもキャバクラに行くわけでも無いから、ゲームにかける金が凄く大きいんですよ。だから僕の考えがフラットな意見だとは思わないんですけど、…メカ的にはXbox相当良かった。ふたつ約束します。一つは正月行くアメリカでXboxを買います、もう一つはビルゲイツに名誉仮性包茎の称号を与えます!

「やっぱりあれはデカチン主義のゲーム、俺みたいな奴の気持ちは判らないと思ってたんだけど…今までズルムケデカチン主義には一切与えてなかったあの名誉仮性包茎を。ゲイツは多分照れて『いらない』、『何なら見せようか』って言うでしょうが、お前は仮性包茎ですよ!ゲイツを見たら『嗚呼あいつは心の仮性包茎なんだ』っていうのが判ってもらえますから。仮性包茎ってのはね…デリケートな部分があるんですよ。

「だって最初の内はマイクロソフトの広報さんも喜んでたんだけど、俺が延々とゲームやってるから『いつ帰るのこの子は』みたいな。あったぞ変で面白いやつ、車に乗って斧で相手の車を切り合う…何の為に車に乗ったんだろうっていう4人対戦のゲーム。最終的には雑誌社の人も広報さんもいなくなって、デパートのオモチャ売場の迷惑なガキみたいな状況になって。『いい加減にしろ』って叩き出される形で取材が終わりましたよ。」

アタリジャガーもNo後悔。


ふしぎ一点突破 8/18追加!

「俺が子供の頃は子供向けのオモチャの頭が凄く悪かったんですよ、何て言ったらいいか判らないんですけど…ふしぎ一点突破っていうジャンルがあって。よく甲子園とかで野球チームの分析をする際に、走力・打力・投手力とかを五角形で表すじゃないですか。今のオモチャはキャラクター性・ゲーム性とかで考えると割とスマートな五角形になってるから、大人がやっても遊べる所とか凄く良く出来てるんですよ。」

「だけどスーパーボールって…跳ねる…は凄いよ、今のどのオモチャよりも跳ねてるよ。しかもPL法とかずさんだから、もうちょっとした怪我を与えられるくらい跳ねてるでしょ。アイツはそういうのだけ特化していてキャラクターとか全然付いてないから、5段階評価で言えば“跳ねる”が23で“綺麗”が4、“ふしぎ”が2…かな。何かね…『ああいうの今あるのかな?』ってのと『あれにのめり込めた俺はすげえ』みたいなことが少し面白いんですよ。」

「スーパーボールを物凄い勢いで地面に叩き付けてスパッと取る、ってのが『出た!今俺6位6位!』みたいになったでしょ?今だったら説明書に遊び方が書いてあって、俺達も絶対ハマってるはずなんですよ、でも当時はおそらくタイム計測すらしてないでしょ。」

「スーパーボールを地面にぶつけて遊んでて、ちょっと頭の上あたりまで来始めた後にくる、何かあのタマキンがモゾモゾする『思い切りぶつけたらどうなんだろ…』っていうあの。『でも無くなっちゃうぞ待てよ建ちゃん絶対無くなっちゃうぞ』『馬鹿大丈夫だって取れるって垂直にぶつければ』ボーン!さよならーみたいな。あのほとばしる頭の悪さみたいなやつが、今あんのかと…で昔は随分あったなっていうのを思いだしまして。」

スライム…あれもかなりふしぎ一点突破だったでしょ?ああいう水飴状のものがくっつかずに剥がせる、っていうのがふしぎだったんですけど、それ以外にセールスポイントはひとつも無いんですよ。まず『うわっ!ヒンヤリする…』って言いながら手の平に出すでしょ、それを左手にどろーっと垂らして今度は右手にどろーってやって…おそらく一週間いけたね。人間は色んな感情が頭に渦巻く筈なのに、その時俺の頭は『ふっしぎだなぁ…』ってことだけでしょ?」

「アメリカ雑貨のお洒落なお店に行けば、きっとまだふしぎはあると思うんですけど、買ってる奴らは既に一回りしてて『今のオモチャよりもシンプルなこっちの方が、逆にデザイン的にもいい』っていう思考がちょっと入ってるじゃないですか。じゃなくて俺が取り戻したいのは、あのスライムを右から左に右から左にやりながら、他に何の思考も無い一点突破なふしぎさなんですよ。九九前ですよ、平仮名の“す”の丸を逆側につけている頃ですよ。」

「あのね…スタッフは大体20代後半から30代で、ミキサーの岡部さんは30代だから頷いてくれるんですよ。20代後半の構成渡辺はまあまあで、プロデューサーの茅野は僕と同い歳だからかなり頷くんですよ。そんな中で田村ディレクターが判ってないのは、世代差じゃなくて貧乏でしょ。それか、もの凄い岡山の田舎だったか…あ、田村さんあれだ、棒が面白かった方でしょ?『棒面白れぇ…』みたいな。ヒュン、ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン…『これ明日も振るんで隠しとこう』みたいな。」

「モーラはモールで出来た毛虫で、要するに手品なんですよ。でも『この時代やっぱり一点突破だな』ってのがモーラのCMの最後のキャッチコピー、『変なの、でも面白い』だって…遊び方を教えてくれるわけでもなくキャンペーンやってるわけでもなく…それだけなんだよ?もう俺達は『変なの、でも面白い』に惑わされて生きてたでしょ、多分脳から出てる汁は恐ろしい事になってたと思いますよ。」

「だってこんなのまだ商品になってるからいいじゃんか、磁石とか痺れたね。磁石…こんなね、宇宙から来たものがですよ。今でこそ知識が入ってるからなんだけれども、当時はダイレクトにドーンと磁石でしょう?それでまたこれが赤い方と赤く無い方はくっつくにも関わらずですよ、これ赤い方と赤い方にした日にはもう…!最初ギュッとくっつけても離れますよ。で机の上にまず一本置いて、そーっと近付けてみると…ズルズルッ、ズルズルッと向こうに行きますよ。『これ如何に』と、『お前はいつ油断してるんだ?』と。

あの『ふしぎ…!』、あれは人間の本能的にいけるの?多分俺にいつかガキとか出来たりして、もうふしぎを一緒に楽しみたいわけよ。DNA的に半分は俺脳で3歳ぐらいなら誤差が少ないから、この反応を見たいってのが子供欲しいってことだと思うんですけど…ふしぎがらせてみようと思って磁石を渡しても、既に幼稚園で知ってたらもう『面白い』は通用しないんでしょ?今知識もっちゃってるから、磁石面白くないんだろうな。」

「近所に捨ててある壊れたテレビの裏に物凄く強力な磁石が入っててさ、『悪いけどこの上尾久公園の砂場の砂鉄の採掘権は俺にあるから』と。親父にそんなに感謝することは無いけどさ…親父が紙にオジサンの絵を書いてくれて、鼻の下の所に一杯砂鉄を付けて、下から磁石でヒゲを動かすと『うわっ!おとうさん!ヒゲが今!うわぁーっこれ、なーんだこりゃ!?』をやってくれた事とかはもう大感謝ですよ。」

「あの脳俺にくれないかな…『伊集院さん死ぬ前に何かやりたい事は?』って言われたら『あの脳に出来ます?』って話をして。もう1日中ふしぎふしぎ…鉛筆の真ん中を摘まんでブルブル揺らしたら『おう曲がってるよ?木なのにお前!』みたいな脳に戻して、これ遺言。」

当時のバカさ加減の再現ぶり、テンションが高まってもうとんでもないことになってます。出来れば全部収録するか放送の音声ままで聞かせたいくらい。


漫画で今更 8/18追加!

「あのさ、お盆進行とかで合併号やたら出るじゃんか。例えば火曜発売の本で次の火曜日に『何か漫画無いかな』と思って行くとさ、売れ残ってるのはしょうがないけど、火曜発売の所にまた合併号が増えてるでしょ、でああいうのって絶対また買うよな?これね、『歳取ったな…』と思うのが、高校生ぐらいの頃は表紙を憶えているから引っ掛らないんですけど、30くらいになるとディジャヴみたいな感じでちょっと読んじゃうんだよね。」

「でもいいのよ。自分が買う漫画が無い、で増刊が出てるってのが判って、俺は漫画が無くては生きてはいけない、それに増刊は当たりもある、そういう流れは正々堂々としてるじゃないですか。でもあの合併号の入れ直しに騙されそうになって…ある本の合併号を手にしてから『これ読んだ』って気付いて、増刊読もうかなと思ってもお気に入りっぽいのが無くてさ、だけど何が何でも漫画読みたい日ってあるでしょ?

っていうか毎日漫画無いと駄目でしょ?え?…33歳ですって。漫画無いと全然駄目ですよ、週刊新潮とかはあんまり無くても大丈夫ですよ。同じ年代の33歳は割とあれなきゃ駄目だったりするわけでしょ?だけど、どっちかというと俺は実話ドンドンとかはあってもいいかなって感じですけど。」

「で迷った結果『最近ジャンプ読んでねえなぁ』ってことで、“ろくでなしBLUES”描いてた人の“ROOKIES”っていうジャンプの野球漫画の増刊を買ったんですよ。でもあれもどうなのかな、俺がもうジャンプをあんまり読んでいないので…もう33歳ですから、って矛盾してんじゃんか。俺が“ROOKIES”を全然読んでなかったから増刊は嬉しかったんだけど、既に読んでいる人にとっては別の意味があるのかな、ドカベン殿馬特集の『水増すなよ!』みたいな意識あるもんね…勿論殿馬が大好きな人は楽しんで買ってますよ。」

「今回の増刊号は単行本1〜3巻ぐらいのお試し版なのよ。で夜の11時くらいに1回家に帰ってさ、最初は『俺はもうジャンプとか熱くならないんだろうけど、漫画中毒だからな…』って増刊読んでたんだけど、意外にハマってもう夜の12時くらいに『漫画読みてえ…この続きが読みてぇ…!』になってるわけですよ。しかも俺には“コミックリーディング”っていうスタンドがいて、出てない時は普通に暮らせるんですけど、それがドッギャァァァァァンって出て漫画漫画漫画漫画漫画漫画漫画漫画漫画漫画!って漫画読んでますから。」

「何度か迷った挙句、夜中やってる本屋に行って15巻全部買って見たら…もう16巻が見たいんですよ。あのね、歳を取ると漫画が駄目になる理由がわかりましたね、一週待ててないんですよ。一週前の記憶が残せないのと一週ワクワクを持続することが出来ないんですよ。15巻まで買ったならこれからは週刊ペースで読めばいいのに、もう判らなくなってるんですよ。だから…まとめ買いになっていくんでしょうね。」

「でも今更15巻も出ている天下の少年ジャンプの漫画を、『面白い』って言ってるのってどうなんだろう?同じ30代には理解されず、逆に10代20代には『当たり前じゃん』っていう…俺が突然『新しい歌を歌うよ!』って言って『カニ 食べいこう〜♪』って歌ってる感じでしょ、どうせ!どうせそうなんでしょ!?絶対にもう、どうせPUFFYなんでしょ今俺が言ってることは!でも、嬉しかったって話さ…今俺が言いたいのは。」

ちなみに伊集院のスタンド“コミックリーディング”は、かなり昔に漫画の話をした時にも登場しています。そう考えると伊集院はジョジョの奇妙な冒険第三部の知識をある程度持っているようです。


凄い人達 8/8追加!

「…テレビ出てるとね、『侮れないな』っていう人が一杯いるね。最近若手芸人とかに『テレビ出てる人で誰が凄いと思います?』って聞かれるんですけど…あのね、みんなどう思うか知らないけど…俺の中では峰竜太…っていう人がいて。いや、峰竜太さんに成りたいとか成りたくないじゃなくて、あの人の一人ディフェンスっていうやり方があってね。」

「皆あんまり“アッコにおまかせ”とか見ないでしょ?でも、最近俺は割と『あ、サッカーだな』と思って見てるんですよ、サッカー知りもしないくせに。要するにアッコさんが凄いFWで周りに松村君や若手芸人がいるんですけど、他の番組と1番違うなと思うのが…『全員攻めな』っていう峰竜太的やり方なんですよ。『お前らがボールを取り損なっても俺が全部綺麗にクリアするから』っていう。」

「例えば、松村君が喋り過ぎて時間が足りなくなった時にも、全く焦らず『そんなに興奮しても時間無いからね』って言ってCMに入るんですよ。アッコさんがエキサイトしすぎた時も、上手く引いて合わせてるし…今度のその視点で見てみると、『実は“峰におまかせ”てるんじゃないか?』っていう感じになるんですよ。勿論アッコさんの得点力も大切ですよ、あんな長身のFWは木琢也しかいませんでしたから…もうサッカー知識終了。

「例えば松村君なんか、とにかく当たれば飛ぶけど空振りしたら…でもそんな時に『こんな前まで出てきてたのか、峰竜太』みたいなね。シュートはそんなにしてないんだけど、あの技術が無いと昼のテレビは成り立たないな、と。だからドラフト1位で和田アキコを指名した場合、皆は元気な松村君や勝俣さんを2位指名するんだろうけど、おそらく2位は少なくとも峰竜太だし…下手したら1位指名でもあるだろうし。」

「これで別格になると…明石屋さんまという化け物はもうまったく別格で。『明石屋さんまがいれば成り立つんだけど、ルール上11人以内といけない』みたいな所があるんですよ。峰さんはこぼれ玉を全部拾うんだけど、明石屋さんまは拾った上に前の方でボーっとしている俺にパスを出すと見せかけて、『あのデブにこの角度でボールを当てると、こう跳ね帰ってゴールする』って感覚なんですよ、それが明石屋さんまの凄いところで。」

「だから俺は“踊る!さんま御殿”とか出てても8割方は相当一所懸命なんですけど、2割ぐらいは『さんま凄え…』っていう感じに入ってるのよ。これはね…もう明石屋さんまさんを前にしても言ったんだけど、あの番組出た後の何分かは『さんま凄えわ』っていう。」

「確かに連携がとれる芸人さんも何人か置いてはいるんだけど、例えばハマコーさんなんか幾ら得点力はあっても味方にスライディングタックルしますからね。だけどさんまさんは『ハマコーさんにこの強さのボールを出せばこれくらいで返ってくる』っていうのがキチンとしてて。そのキチンとした形式美があった上で行ける実力は凄いな、と。」

「何かね…わかんない。あの…『別段ゴールデンのテレビなんか面白くないよ』っていう人も、そういう見方をすると“面白い”っていうよりは“凄えな”っていう感じ?…出てくるよ。生で言えば“アッコにおまかせ”の峰竜太の一人ディフェンス、あとは明石屋さんまの個人技とゲームメイク。ああいうのはね、テレビやるようになってきて凄いな…と。」

トーク中で敬称が略されている箇所がありますが、これは伊集院光本人が当人の凄さを実感しているからだと思われます。例えば聖徳太子を太子さんとは呼ばない、と同じ感覚といえば言いのでしょうか…そんなわけでお許しを。


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