[Moon Alien DAI-OH-JO]  
- 2005 dead end edition -     
月営利庵大往生、それは誰かが望んだ天然色の廃墟。
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2005.04.02/ Simply Mad
SFC:「激突弾丸自動車決戦 バトルモービル」(システムサコム)攻略完了。

時は西暦2029年早春、主人公とその恋仲にあった女性はささやかながらも華燭の典を挙げた。二人きりのパレードとして郊外の荒地をドライヴィングする時間の過ごし方に聊かも吝かでなかったその時、後背よりけたたましい爆音を立てて迫り来る厳めしい武装バイク集団。彼らこそこの一帯を支配する凶悪な一団であった。執拗な追跡と攻撃の果てに自動車は大破、彼女は命を落としてしまう。

…季節は移り変わり、この悲惨な事故(最早無力化した自警組織にかけられていた圧力のせいか、事件とは言い切れなかったのだろう)の跡形もなく、誰もがそのような些細な事件を忘れかけていた頃…一台の車がその場を走り去った。

「…あれからもう、一年になるのか」

肌身離さぬ写真…当時の幸福をそのまま切り抜いた具象としての…を眺め、主人公は改めて思った。彼をこの日まで生かしていたのは決して失われることのない彼女への愛、そして決して忘れることの出来ない復讐心に他ならなかった。この日のために用意した新たなる真紅の愛車と共に、彼はひた走る。彼女を…自分の全てを奪った悪党どもを片っ端から地獄の底へと叩き落すために…。

…とまあ箱及び説明書の存在しない状態にての購入のため、電源投入と共に流れるオープニングデモンストレイションからその梗概を察するばかりですが、強ち間違っていなさそうな気もしますヨ。まあ概容をカタカナ七文字で解答する筆記問題があったならば当然の如くに「マッドマックス」と答える所存でありますが。

それはさておき、本作は縦方向にスクロールするレース形式を取ったアクションゲームですが、基本的に自分でスピードを調節したりすることはありません。時間と共に減少してゆくエネルギー(敵からの弾や画面上の障害物に衝突した時にも減ります。一部の地形にスクロールで挟まれた場合はエネルギーと無関係にミスになることがあります)がゼロになった時点でミス、残機が減ります。

返り討ちにせんと次々と攻撃を仕掛けてくる悪辣なる敵集団に対しての我が愛車の報復手段は二つ、まずは地上を走行するありとあらゆる車に対して仕掛けることの出来るショートダッシュ(ボタンと方向キーで任意の八方向に発動)で御座います。これを用いて激突した敵車はダメージを受けて弾き飛ばされ、敵車が各々有するダメージ量を上回った時点、若しくは弾き飛ばされた方向に障害物があって激突した場合に破壊されます。もう一つは空中を飛来してくるヘリコプターに対して投ずるミサイルで御座います。こちらは連射が効かないので敵の位置を把握して狙いをつける必要があります。ただ全面通じてヘリの登場数は車に比べて少ない上に攻撃自体もそれほど厳しくないので、それほど気にしすぎなくてもいいかもしれません(大型ヘリたる2面ボスを除く)。また、回数制限のあるバリア(アイテム取得により回数増)を張ることで、一定時間エネルギーの減少や敵からの攻撃、地形衝突によるダメージを無効化することもできます。

…まあ、これより後の説明を簡略化するべく極めて具体的な名詞を挙げんとするならばAC:「バーニンラバー」(データイースト)のアクション部分全般(ただしジャンプのシステムを除く)とAC:「ゼロイゼ」(データイースト/テクノスジャパン)のボタンとレバーによる激突攻撃を思い出して頂ければ幸いなのですが(思い出して頂けない方には申し訳ありませんと共に是非両作品とも一度は遊んで頂きたく思う所存です)、本作もこれらの作品の影響下にあることは疑うべからざるところであるかもしれません。既に「ユーゲー」(マイクロマガジン)にも取り上げられている作品らしく、タイトルを検索してみれば割とプレイした感想を述べているサイトも見つかるのですが、誰一人としてこのあたりに触れていないのは一体何事でありましょうか!…前者は兎も角後者は誰も知らないだけですかそうですか。

様々なパターンで弾を発射する車、踏むとスリップするオイルを垂れ流すタンクローリー、果ては車体前方に刺々しい突起を従えた大型車や破壊不可能の爆撃機までも駆り出して総攻撃を仕掛けてくる憎き敵集団で御座いますが、単身戦いを挑むこちらに時々飛来してくるエネルギー回復アイテムなどは基本的にパターン化されているようなので、無駄なダメージは可能な限り避けたいものです。地形や敵の配置を覚え、ショートダッシュで次々と弾き出す(ただし敵は「破壊」しないと得点は入りません)だけでも随分と楽になることでしょう。耐久力のある敵車及びボスには隙を見て密着し、厳しい攻撃を仕掛けられる前にショートダッシュを連続して仕掛けると効果的です。その際は反動に注意して下さい。また、どうしてもミス寸前になるほどのダメージを受けてしまった場合には、バリアを使用している間はエネルギーが全く減少しないことを覚えておくと、次のエネルギー回復アイテムまで生き延びられる可能性が高まるかもしれません。

…さて、一昔前のファミコン名人よろしく老婆心からとしか言いようのない助言を繰り出してみたこの私でありますが、本作はそのタイトルに感じ取れるような一見した荒々しいまでのシステムとプレイ感覚でありながら、その実それなりに慎重さと繊細さをも必要とされるゲーム内容となっており、なかなかに愉しめる内容に仕上がっていると断言できます。まあバリアを無駄遣いしていなければ最終ボスをごり押しできるとか若干の不満点もありますが、些細なことです。

…しかしこれ、平和に堕した日本でどれだけ売れたのやら(根本的疑問)。