ゴモラスピード(UPL)


「籠目籠目、籠の中の鳥は…」と囃し立てる娘っこさんたちを遠くからギラギラした目つきで眺め立てるそは何者ぞ?と無数の小坊主にダンスフロアたる境内の裏手にあたる雑木林群の中に一際目立って聳え立つ古木に括り付けられて責め立てられる私ではありますが、仮令焼き鏝やら鉄鞭やら石座布団やらを持ち出されましても素性だけは、素性だけは明かさずに虚言を押し通す所存で御座います。私が本当のコトを語る相手は心を許せる娘っこさんたちオンリーユー!でありますゆえ貴様ら如きに教えるわけにはゆかぬッ、と意気込んでみれば早速彼奴らは激しく熱された五寸釘を身体の彼方此方に差し込む究極拷問を為さんとするものであり既にして取り囲まれている我はもはやバタンキュー寸前なのか〜ッ?そしてそんなことが裏手で行われているとは露知らずに今度は手毬に勤しむカノジョたちの内の一人がバウンドの誤りでかの方向にボールを走らしめてしまい拾い上げるための早歩きを為してかの一部始終を御覧になってしまった時のカノジョの驚きは如何ばかりであったでありましょうか〜ッ?待て次号〜ッ!(当然の如くにソレが存在すれば、の前置文が必要ではありますが〜ッ!)

…との前置きを要さねばならぬほどの緊迫と弛緩を伴うそは何物ぞ?と申せば答えは一つ、本日ピックアップされますところのアクション性豊かなパズルゲーム、「ゴモラスピード」の名が真っ先に挙げられるのであります。箱面を見れば奇っ怪な蟲が都市群を蠢く阿鼻叫喚の有様を想起しかねないので御座いますが、電源を注いでみれば円形を基調としたオブジェクトが角形を基調としたマップをてくてく歩き回り何か仕出かすのであろうという内容みたいなので一安心です。取り敢えず同じ色の胴体っぽいアレを繋げてみたり餌っぽいモノを囲んでみたり如何にも敵っぽいデザインの彼奴らを爆弾っぽいソレで打ちのめしたりしてみれば割とすんなり進行してゆきますので、単純ながらも奥深く、体を伸ばさねば餌も囲めずクリアできぬが、さて伸ばしてみれば敵に当たりやすく爆弾も当て難い、というディレンマによって成り立つゲーム性にすぐにお気付きになられることで御座いましょう。説明書の頭部に「学習=観察、推測、実験、実証」というフレーズを掲げるある意味にて挑戦的なまでの姿勢も十分に頷けようというものです。ソレほどまでに基礎のルールは簡単であり、其処からの展開と学習が重要視されるゲームなのです。「迫り来る敵を避けつつキューを囲み、うまく敵をやり過ごし、長い胴体をキープしてクリアする」という基本の攻略は実に見た目には判りやすくソレでいて完璧に実践するのは意外と難しく、攻略しようという気概を奮い立たせる。そしてゲームに慣れてきた上級者には点数稼ぎのポイント(ステージ中の敵を全滅させると特別ボーナスが入ったり、胴体が短い状態でキューを囲むと一個あたりの点数が高くなったり、キューを複数個まとめて囲うと倍率が上がったりする、など)を抜かりなく用意してあります。勿論ソレらの特殊ボーナスを得ることは難しいので、これまた挑戦意欲を掻き立てるものなのであります。

胴体部分と動き回る餌によりて織り成される蜜月は何時までも続く…ものであるはずなのでありますが、誠に残念ながら、本ゲームは世間的にはあまり好評価されているとは限りません。どちらかと申しますとその外観などから奇妙奇天烈摩訶不思議、とのレッテルを貼られている事例の方が多かりしものであると言えましょうか。勿体無い、勿体無いのでありますッ!確かにこういったアクションパズルゲームは一見地味めであることが多く、古のゲーマーの大半を占めると思しきところの、直接反射的快楽の供給源としての純然たるアクションゲームやらシューティングゲームなどと比べればイマイチ人気がないのも仕方がないことかもしれません。しかし、地味ながらもアタリメ(忌み言葉を用いていることにこれといって深い意味など御座いませぬが!)の如くに味・歯ごたえのあるゲームもまた大勢の人に楽しまれて然るべきなのではないでしょうか。味の薄いゲームもどきのムービー群などよりも、醤油やら鰹節やら豚骨やらを大量に投入して出汁を取ったようなこってりゲームの方がよっぽど美味しいのでありますッ!貴様らは何を求めてゲームを嗜んでいるのかッ?美麗なる画像かッ?オーケストレーションによって編み出された楽曲かッ?お涙頂戴のストーリィかッ?そんなものは「結果としてそうなっていればいいかもしれないなぁ☆」程度の後回しされて然るべきの諸相ッ!「徹底攻略による征服感」「攻略までの努力」こそが優先されるべきなのですッ。例え如何なるジャンルでありましてもこの要素は欠かされるべきでは御座いません。享受者たる我々にとっても、開発者たるメーカー側にとっても。このような意見が商業主義の現代にとっては既に時代遅れのものであるのは最早言うまでもありませんし、私自身も既にして熟知しております。しかし、それでもいいのです。信じる人、信じさせてくれるもの、この両者がなかったら、なかったら、あまりに、あまりに、寂しいじゃあありませんか…!蜜月を信じるだけの余裕がないなんで、悲しいじゃあありませんか…!ですから私は信じる。「攻略するためのゲーム」の存在を、何時までも。だから私は愛する。この「ゴモラスピード」を、何処までも。…ああ、あと娘っこさんのことも愛しておりますゆえ、何卒ご返事を一つッ☆(先の甚振りの限りを尽くした懲罰など気にしておらぬのかッ!)

こうして本日も一人の男が、屈強なるポリスに囲われ独房へ連行されるのでしたとさ。嗚呼無情。ゴームキュー。語呂合わせ。


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