不思議の夢のアリス(フェイス)


「ここではみんな気が狂っている」

夢に遊ぶカノジョを誰が責められましょうか。それは誰もが夢見ていたことじゃないですか。食事と運動が身体を育てるのと同じように、空想と童話は心を育て、素敵なレディへの第一歩を刻むための道筋を示しているのです。だから子供のうちはいっぱい食べて、いっぱい運動して、いっぱい夢見るのが大切なんです。でも、其処にもし、何かしらの悪い存在が入りこんできたとしたら…さあ大変!忽ち夢は悪夢と化してカノジョを苦しめようとするのです。そのように殺伐となってしまった世界の良心・魔物の番人であったところのウサギさんからのSOS信号を聞き及んで一人親玉をとっちめに行く我らがアリス嬢、その武器はおっきな声と懸命のジャンプ。そのアクションは夢の中だからこそできるのかもしれませんし、現実でも常日頃有り余るほどの元気を培っているのかもしれませんが、何はともあれ頑張ろうとしていることに変わりはありません。ただ余りに溌剌でありすぎるゆえにジャンプする際にスカアトが翻って…その…スカアトの下及び中の…あられもないトコロが…拝見されてしまいますのもまた微笑ましくもあり気恥ずかしくもあるところではありますが、それもまたカノジョの、夢にかける情熱の為せる業として理解することにしましょう。

山を飛び谷を越え、隠されたお助けアイテムを備わった魔法のチカラで探し出し、時には絵画世界みたいに静まり返った湖畔の森で一休みし、待ち受ける大きな魔物には流石にちょっとだけ恐いとは思うものの、自分の夢を取り戻すために、勇気を振り絞って、立ち向かうカノジョ。もしかすると、例え悪夢になってしまったこの世界においても…魔物であっても…誰も傷付けたくはないのかもしれないけど、今は、悪くなってしまったこの世界を救わなきゃならないってことをわかってる。大好きな童話の主人公たちを救い出さなければならないってことをわかってる。わかってるから、どんなに辛くても、どんなに寂しくても、立ち上がって頑張れるんだと思います。急がなきゃ、急がなきゃ!…ってね。

そしてついに、夢は本来の如くに取り戻されます。親玉は言いました。悪いことがあるからこそ、良いことがあるんだ、って。確かにそうかもしれないけど、それは今現在のカノジョの望んでいたことじゃない。もっと夢見たいお年頃のカノジョには難しいかもしれないけど、それはオトナになればきっとわかること。だから、今は…今はいいんです。他の誰にも誉められることなく、カノジョにしかわからない、この危機。それを回避したカノジョには、夢の世界からの賛辞が降り注ぐのでしょう。時にはこんな物語があったっていいじゃないですか。或いはこの物語自体がカノジョの夢の中の物語かもしれないし、また別の誰かも同じような物語を見ているのかもしれないけど、つまりは、そういう可能性を思索するだけの心の広さ、キモチの純粋さがあるのなら、どこの誰だって、不思議な夢を見て、素敵な冒険をすることができるんじゃないかな…っていうことです。簡単なことでしょう?

「…さもなくば、こんなところに来はしないさ」


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