ダライアスツイン(タイトー)


思えばこの作品の元祖たる「ダライアス」というゲームは自ら好んで作り出した境遇とはいえ誠に不遇なもので、良くも悪くも強烈なインパクトを与える業務用モニター3個という大画面及び筐体で世に送り出されて以来、ある意味ではヒット作品の最低条件とも言える「家庭用機移植」(勿論出来が悪くても売れることは売れますしね…そのあとカートリッジを叩き割る人もいるでしょうが)も長い間果たすことができずにいたわけです。んで移植されてみれば画面が小さくて云々だのオリジナルボスキャラはいらねえ云々だのと忠実に業務用版を愛するファンから散々に文句をつけられ泣き寝入り、と。そんなに欲しければ基板とモニターを買ってちょちょいと工事するか筐体ごと買ってください。あなたがたの狭くて汚いお部屋に搬入可能かどうかは当方関知致しませんがね。つべこべ言わず遊べや。それがイヤならどこか置いてある店に遠征でもしてなさい。

さてこの「ダライアスツイン」はまだSFCも初期時代、FCすら現役時代(といってもさすがにもう後期〜末期ですけど…)の91年にリリースされた一品であります。基本的には「ダライアスII」をモチーフにしておりますが(ボスキャラに「キラーヒジア」とか「デュアルシェアーズ」とか「アロイランタン」とかいますしね)、ステージ進行とか面の構成とかボスの配置とかも全く異なりますので、設定を利用した別ゲームと考えていいでしょう。電源を入れてみれば重々しい(当時の他の作品のSFC音源丸出しの作品に比べると頑張っている方だと思います)音楽とともにストーリーが日本語で説明され、タイトル文字が回転及び拡大しながら迫ってくるというわりとSFCの性能を使ってみたかったという実に当時の作品らしい意図が見て取れるわけですがまあそれはいいでしょう。さて家庭用機と言うことは当然ながらテレビジョン1台であの巨大な重圧感を与えなければならないわけですが、ダラIIは2画面だったこともあり画面の縮尺的には悪くないのかな?と妙に大きめなシルバーホークや敵キャラとそれにつりあっていると思われるサイズのボスキャラが印象付けているような気がします。ここまではまあ問題はありません、などと書くと今後に問題が山積みのように思われがちなのですがまさしくその通りで、まずゲームをスタートしてみればこれは吃驚、てっきりコナァミィの矩形波倶楽部が演奏しているのかッ?などと勘繰りかつ勘違いの推測をしたくなるほどの曲及び背景の爽やかさが進行を開始してくるベルサー軍の意気揚揚とした精神状況を表しているのかなッ?などと疑りかつ裏切りの観測をしたくなるほどです。スタッフロールを見るかぎりでは作曲担当はZUNTATAのWIZ.MASTER氏(「アラビアンマジック」「グリッドシーカー」等でおなじみの中山上等兵氏の昔の名義ですね)とPOCHI氏(主にプロデュース等で登場する方だと思いましたが…具体的にどのゲームを担当していたかは失念)。曲としては確かに良いのですが、ダライアスシリーズらしいか?と聞かれますと…。やはり歴代シリーズの作曲者たるOGR氏の曲のイメージが強すぎることもあるのでしょうか。そしてこの発言は何故疑問形ですか。そういえば何故ツインなんだろう?二人同時プレイできるから…なんて安直な理由では御座いませんよねえ?まさかダラIIの双生児という意味なのでしょうか。二卵生なら似てなくても許されますね!と周りにエクスキューズを求めさせてみるこの私の論調。それもどうか。

音楽には消極的に目をつぶる(もしくは耳にイヤフォンをはめて他のシリーズの音楽を積極的にリスニングしてみても可)として、では内容はどうなのか?と。ピラミッド型に進行できる1作目及び2作目とは異なってわりと不自由気味なひょうたん型ゾーンセレクトなども印象的ではあるのですが何と言っても1つの面が超長え。このシリーズは基本的にボス戦が主体のシューティングゲームであると思われますし、3画面及び2画面ならばスクロールも早い(ような気がする)のでそこまでは気にはならないというものですが改めて1画面になってみると長い長い。メリハリもない空中物が前後左右からやってきてシルバーホークのショットで破壊される日常があなたのテレビジョン内で繰り広げられます。ということはわりとその雑魚敵破壊行程を楽しみにしている人ならばよろしげであるのか〜ッ?などとまた的外れな一言をば。そしてその敵を薙ぎ倒す我等が銀の鷹のショットはダラIIに準拠しております。つまりあの地形を貫通しない上に破壊力もない饅頭ショット(私命名)がポポゥポゥポゥと連続発射されるからベルサー軍の海産物も食い過ぎでおなかから大破されるという食物連鎖破壊とでも表現すべきエコロジカルショットなのでわりと破壊活動に五月蝿い教育ママも安心です。ところがこのショットがまた弱い弱い。流石にボス敵はいい体をしているので饅頭を食っても食っても一向に満腹になる気配がありません。ではどうすればいいのか?実は全面を通じて2個、ショットをチェンジするアイテムが登場します。それを取ってみたところあら驚き!貧弱だった私の饅頭ショット(正確にはナパームショット、といっても爆裂するわけではない)がみるみるうちにウェーブショットにタツノオトシゴ死地変化!地形を貫通して超連射できて超強えこのショットがあればグレートシング(注:ラスボスではない)など瞬殺…は言い過ぎなので分殺、ですよ。というかこれを一度取らねばクリアなど不可能なのでは?と思わせるゲーム展開であります。特にダライアス星即ち最終面つまりLゾーンではそれまでの面に登場した中ボスが大量かつ集団で襲いかかってきてその上パワーアップアイテムは1つも出ない(アームも出ない!)というスパルタっぷりです。確かに敵の本拠地である惑星にこちらの利を為すアイテムを所持している敵キャラなどいるとは思えぬ、というリアル志向なのかもしれませんがなめてんのかコラ!死んでもショットパワーが下がらないのを利用して死に抜けしろとでも言うのかッ!10機くらいあれば何とかいけるような気がしますが(ラスボスは激弱なので)普通ではそんなに残機は増えません。ということで裏技の残機50機化を利用すると吉。あとナパームショットで来た場合は50機あっても足りなさそうです。ショットチェンジアイテムを2回取ってしまうとまたナパーム即ち饅頭に戻ってしまうのでとにかく気を付けて!そして2回取った場合は大凶にしてリセット推奨。というか普通のショットで来た場合にクリアが難しいゲームも珍しいよな。そしてエンディングは当然ながら1つだけ、目出度し目出度しというわけなのですがそれはまあ仕方ない…のかッ?まあ他のエンディングがある場合作品の解釈を行いにくいから一本化しちまえば若年層もわかりやすくてグッド、という判断なのかもしれませんよ(超好意的解釈)。しかし…このゲームは「TWIN」じゃなくてダラIIに対する「TWINE」(ねじれる・もつれる)じゃないのかッ?という憶測が。よじれた内容っぷりですしね。

あとむしろ娘っこさんの髪の毛をよじっておさげにするのは好ましいです。魚介類の触覚は勘弁ですが。


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