超時空要塞マクロス スクランブルバルキリー(ザムス/ウィンキーソフト)


真っ黒の空を貫いて彼此長いこと隠匿されておりましたところのお日様の輝きを今再びこの地に取り戻し得るのは果たして荒ぶるおのこの携えるぱっと見雷撃の如きソォドの類でありましょうか、それとも涙ながらに自由平等博愛平和を訴えんとする娘っこさんの祈りの詠唱でありましょうか。今この場たる祭壇にて雌雄を決して(まさに雌雄と形容されるべき姿態にてあらせられます御両人!)ミッションインポッシブルだった方を江戸四方処払いに処するという誠に無体な仕打ちも既に事後承諾にも似た稟議で長老たちのお達しとして広く公布されておりますゆえ両者何があっても負けられぬ世紀の大一番時間いっぱいとなりまして、仮令国民の国民による国民の為の放映を心がけるかのブロォドキャスティングスタヂオで御座いましても平時は歪めること能わざるはずの時間枠を延長してお送り致すのもやむを得ないところです。そして所変わって殴打の痕が年月の経過を物語るが如きロッカー、の無造作に立ち並ぶ控え室、にて不安げに俯いて涙を落とす娘っこさん。「…ほんとうに…わたしに…そんなコト…できるのかなぁ…ううん…できない…ぜったいにできないよ…」病に伏せりし祖母より聞かされた己が血脈、同時に両肩に背負う責務と翻弄されるばかりの運命の激流。逃げ出したい、でも逃げられない、ならば戦わなければならない、けど戦えない。年頃のオンナノコのココロは揺れるばかり。生まれ育ったこの町を出るのもイヤだし、相手のひとを追い出すのもイヤ。どうすればいいのか、ただ、揺れて、揺れて。そんな時に付きっきりのセコンドたる私は下がり具合が複雑極まりないその胸中を如実に示している肩、に優しく…そう、私の為し得る限りの優しさで手を置いて、こう諭すのです。「…今は、目の前のことを成し遂げるしかないんだ。頑張るしかないんだ。そして、頑張った後に、また考えるんだ。結果はどうであれ、何かを為そうとした、成し遂げた、その思いに意味があるんだから。きっとみんなもわかってくれる。二人は手段は違えど一つの目標に向けて頑張っている。それなのに、長老たちは白黒つけようとする。絶対におかしい。だから、こうしよう。もし勝ったなら、彼の健闘を称えて、処払いを取り止めるよう長老たちに頼む。それがダメなら私たちもこの町を出る、ってね。…そして、もし負けたら…その…言いにくいことだけど…別の町で…一緒に…暮らそう…!」…この諭しにカノジョははんぶん驚き、はんぶん不思議に思いながらも、度々の擦りによってすっかり赤くなってしまった目元と、何故か赤く染まるばかりの頬と、いつもの元気を携えて、答えるのです。「…うん!わたし、がんばるっ…!」…私たちは歩き出す、戻ることのないこの道を。祭壇までの僅かな距離などそのごく一部に過ぎないほどの、一般には人生と呼び習わされる道程を。

…前置詞が斯くも長文になるのも私にありがちの所業では御座いますが、この度紹介致しますところのスゥパァファミコム用ソフト「超時空要塞マクロス スクランブルバルキリー」と先程のソレに何かしらの介在関係があるなどとまだその口は強弁するのか〜ッ?と躍起になって問い詰めんとして逸るばかりのお心をどうか抑え給え皆々様方!此処に於いて所謂共通項若しくは公約数たる一の事象が見出せるのでは御座いませぬかッ?其れ即ち「心清らなる娘っこさんのお声には何かしらのチカラが内在しているんだよっ☆」という古今東西の哲学者も決して気が付くことのなかった新たなる地平とも言うべき新見解を。…はわわ〜ッ!そんなことは既にしてレジェンドライクな時代やシャーマンチックな世代に明らかになっている事実かもしれず私の編み出したソレはあまりに純粋なまでの踏襲っぽくなってしまい計らずとも剽窃じみた行動を為してしまっており忽ち評議会(とは申せども一体どちらの組織で御座いますでしょうカ?)において盗作捏造自作自演の詮議にかけられて嗚呼不運なるは我が身、多数決によりクロ若干優勢となりまして資格(これまた果たして如何なるライセンスで以下略?)を剥奪されて万人に平等に降り注いでいるはずの夕日にも嘲われているかの如き被害妄想甚だしく項垂れて帰途につく羽目になってしまうのも十分にあり得る話です。しかしおんぼろアパートの扉を開ければ其処には継ぎ接ぎの目立つエプロンを羽織りて馬鈴薯の皮むきに悪戦苦闘なさっておられますかのカノジョが、目一杯の笑顔を玄関側に向けて「おかえりなさいっ!」と迎えてくださいますので、こちらも精一杯のお返しをしなければなりません。溜息ばかり生み出されるほどの滅入った胸奥から一片の立ち直りの為のスパイスを引き摺り出して微笑み返し。食卓に並ぶごつごつとした各種根菜類の舌触りを確かめた後に切り出す先程の一幕。カノジョは驚き、一瞬唖然とし、不安げに辺りを見回し、そして、改めて私を見据えて、一言。「…だいじょうぶだよ…ぜったいにだいじょうぶだよっ…!きっと、きっと、だいじょうぶ…なんだからっ…!」…抑えようとすればするほど潤む瞳、途切れさせないようにすればするほど詰まる声。でも、カノジョは、言った。言ったのだ。言い切ったのだ。嗚呼、有難う。今回は私が励まされている。まるであの時のカノジョのように。嗚呼、頑張らなければ。新発見を為さなければ。後世にまで伝えなければ。社会のために、世界のために、そして…カノジョのために。根菜類の冷め遣りも、衣服の綻びも、薬缶の沸き具合も気にならない。二人の時間は、まさに今、一つの結実を迎えようとしているのでした…。

…スミマセン私「マクロス」ってあまり詳しくないンですヨ。であるからして斯様に如何ともし難い文章を並べ立てて着陸の衝撃を和らげんとしていたわけで御座います。とはいえ本作品の設定を利用したシューティングと聞かれてバンダイから編み出されたファミコン用のアレやNCSから編み出されたPCエンジン用のソレなどは即座に思い出すことが可能な程度では御座います。業務用の縦スクロールのブツや続編っつーか横スクロールになられましてあざといボーナス目白押しになられまして流石はアーケードゲームを実践株式10バイバイゲームほど面白くしようとして忽ち頓挫されましたところのかの雑誌媒体が関わっていただけのことはあるのだなあ(長嘆とも言うべき詠嘆!若しくは嘆息!或いは喘息!)、と世間の皆々様に印象付けたブツなども御座いますがそれはまた別の話で。あと後者の作品に関しては楽曲は非常に宜しいものであったと記憶しております。つーか其処が唯一褒められる点だと申せましょうか。イヤ別に嫌いな作品ではないんですけどね。で、それは捨て置き本作「スクランブルバルキリー」で御座いますが、何か性能の違う自機3種類の中からチョイスして戦いを挑み武器を使い分けつつパワーアップしたりパワーダウンしたりする点だけを抽出してみれば「トリオ・ザ・パンチ」っぽくもあるのですが其処は其処、そもそもゲーム分類からして全く異なるので毒どくな貴方も忽ちしょんぼりとなるのが必定です。まあ件のトリオでも忍者(カマクラ)を選べば気分は常にシューティングですけど。だから関係ない話でお茶を濁すのはどうかと思います。…さて、マクロスと言えば変形。本作においてもファイター、ガ・ウォーク、バトロイドの三形態にボタン一つであっという間にチェンジ。連打すると気持ちが悪いほどガチャガチャ動きます。だからそんな話で!(以下中略)…移動スピード的にはファイターが最も速く、バトロイドが最も遅いというようになっています。当たり判定も若干異なるので、弾避けを心がけたい時にはファイター形態で戦うのが無難です。それぞれの形態が所有する武器にもよりますが。これだけでは不安であると遂に取り出したるニューウェポン、その名はミンメイ・キャノン!その実体は如何なるものでありますのかッ?説明書を参照してみましょう。

「…バルキリーが攻撃待機の状態である限りこのミンメイ・キャノンが作り出す特殊なフィールドが、そこに触れた敵を文化の力で味方に寝返らせるという全く新しい兵器である。」

…普通これは洗脳と言います。感化するというどころの騒ぎではありません。俺色に染まってしまっています。そして限りなくポップに。…また脱線しそうなので元に戻しておきますが、いくら相手が文化を持たないゼントラーディ軍であるとは言え文化の粋を尽くしてマインドコントロールしてしまうとは文化人たる人類のやることなのでしょうか!と中立主義者気取りでぶち上げてみれば忽ち監獄行き決定なのがこの御時世。寂しいものですネ。まあソレはソレとしてこのミンメイ・キャノンこそが敵を捕獲して半永久的(詳しく言えば他の敵キャラクターにミンメイ・キャノンが触れるまで)に仲間割れさせることのできるトラクタービームみたいなものでありますゆえ無防備で接近接近そして捕獲捕獲また捕獲!と洒落込みたいものですがそうは問屋が卸さぬ、効かない敵もいるのです。…っつーか効かない敵ばかりです。嗚呼!なかなかのアイディアではありますのに何故このようにご無体な仕打ちをなさるのかッ!まあコレを使わなくてもクリアできるんですけどね。このあたりは逆に潔いとも言えます。カ?…あ、本編の方は至極無難な出来です。開発はウィンキーソフト。とはいえ音楽はソレほど無茶してません。原作を余り知らなくてもゲームとして普通に楽しめるので実は結構お勧めだったりします。難易度も低めなので暇つぶしにどうぞ。

…こんな、私とカノジョたる娘っこさんの、ココロからの、声を、どうか、聞いて下さい、世界中のひとたち。


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