ガルケーブ（セガ/コンパイル）
三万点ほど稼ぎ入れてみれば忽ちに鳴り響くお馴染みのジングルにて脳漿をこねくり回すことにかけては中国地方でも七つの子と五本の指と三本の矢に入らんばかりのコンパイル製のそれであらせられるところが間違いなく思われるコレこと「ガルケーブ」で御座いますが、まあ勿論の如くにタイトルとかにはその点については何一つの記述もないのでクリアしてスタッフロールでも見て確認して下さいとしか言い様がありません。比類なきMSXにおいても発売されておりまして非常に物理的に薄まっている媒体であるところのセガマイカードにて発売されし本ゲーム、実は後々に到るまでコンパイルにしては珍しい横スクロールのシューティングゲームで御座います。1986年という発売時期からして既に件の一片遊戯装置的には末期の酒と最後の晩餐をくどくどしい説明と静寂なる夜に迫り来る不穏なる足音をよそに酌み交わしているところではありましょうが其処は其処、開発のノウハウを完全に掴み切って捻り出したと解釈しておくんなさいまし。
で、カクカクながらも進み行く我らがZAIIGARでありますが、その前に立ち塞がるGULVASの彼奴らを完膚なきまでに蹴散らす為には20匹ばかり倒す毎に飛び来たる1だの3だの5だのと書き殴られたプレートを次々とゲットせよッ！との指令が上層部より下っている可能性がなきにしもあらずで御座いましょう。さすればコックピットに刻まれていると思われるところの画面下部の角張ったソレらが横隊に並ぶメーターがピコピコと進み止まったところでハンターチャンスやらアタックチャンスやら人生最大の選択やらを行わされることもなく突如としてマスター（「ごしゅじんさまぁ〜☆」といった感じのルビが振られたならばソレはソレでマキシマにてスペシャルにてエクセレントと申せましょうかッ！）のウェポンがチェンジエアブレードとなりましてそれまでは防戦一方であったところの我らがZAIIGARと悪辣にて卑怯なるGULVAS軍の位置関係は大逆転し大打撃となり大勝利していきたいッ！との青写真も即刻プリントアウトされてきてBMP形式の壁紙やペンダント及びロケットの中の実像となり得るので幸せ一杯と申せましょうか。などと書き連ねてみてもちいともわからねえンだよッ！と怒号を私に投げかけるのも無理はないところです。公園でおゆうぎなさっておられるところのはなまる娘っこさんにもおわかりになっていただけるが如くに単純に申すならばパワーメーターの何処かにソレらの武器が隠されておりまして、ソレはかの古のコナァミィの編み出ししところの「グラディウス」などとは異なり件のチップの数字の分だけメーターが進み行くため意図的に装備を選ぶならばまったり待ったり取り進めて過ぎ越したりを繰り返さねばならないのであります。更にこのチップには隠された効能が御座いまして、敵弾などに衝突した際に何時の間にやら減少しているバリアエネルギーを少しながらも取り戻すことのできる愛のアイテムといった面が嚢中の錐の如くに自ずから現れてくるので御座います。ならば堕落っつーか墜落寸前の緊急自体に際しましては形振り構わず取って取って取り捲れば忽ちリペアとなりましてふっかぁ〜つ、と件の食欲魔人の如くにレジェンドが甦る可能性もあるのです。ただココに重大なる問題が発生致しまして、即ち件のチップを取ったならば現在所有しているところの最終平和兵器が即座に失われて見ず知らずのアイテムが強制装着されるという悲喜こもごものソレが起こるのです。即ちコナァミィの「パロディウス」で申せばルーレットで身包み剥がれを為されるが如きアレなので御座います。其処までの悲劇になるとは限りませぬが、敵軍の攻撃構成が割と陰湿である本ゲームにおいては、頻繁なる装備変更はあまりオススメできぬものであります。しかしチップを取らねば次に被弾せし時に撃墜されるは必至、となりましてこのアタリにナイスなるゲーム群に顕著なるグッドなディレンマが発生し得るのではと思い至るのも必然で御座いましょうが、ココにおいて若干というかかなり残念でありますのはそのチップ取得時のバリアエネルギー回復量のあまりの少なさでありまして、基本的かつ結果的には無茶苦茶なまでの見辛い弾幕（時々処理落ちが起きたりスプライトの制限で消えたりするソレ）をどうにかして潜り抜けてダメージを受けずに敵を殲滅するストイックなまでの攻撃は最大の防御なるスタイルを取らねばならないのです。
で、我らがZAIIGARが懸命なまでに進み行く全30面はあまりに長く、険しく、弾数の多い悪路なので御座います。っつーか最初のソレがヤバイぐらいに重大問題でして、件の開発会社にありがちな所謂ロングロングウェイが時々設置されていたり敵が出てきたり出てこなかったりする間隔が微妙に存在していたりと緩急がありすぎて何だか残念なのですヨ。まあ新しい刺激を求めたいほどのキュリオシティを抱くお年頃娘っこさん向けのソレといえばソレなのかもしれませんがソレにしてはあまりの難易度にて難儀なのです。ならば私が解き解して件の娘っこさんの敬意を得るために作られしソレであるのかッ？と問われればこれまた返答に困窮するので御座います。まあ頑張れば何とかごり押しでも越せる難易度でもありますので頑張ってみて下さいナ。そして娘っこさんの敬意を軽易に得る経緯を何とかして構築してみてくださいナ。…娘っこさんを我が部屋に誘い入れられるほど兄事されること自体が軽易ならざることで御座いますがッ！（大人しく一人で遊ぶが良いッ！）
まあ、マイカードの作品としては素晴らしい出来であると思います。偽造YENチップでゲットせよッ！（ソレは悪だッ！）
＜TIPS＞
- 基本的にはワイド系の武器…「WIDE BLASTER」か「SCREEN ERASER BLASTER」で進みます。連射はそれほど効かないのですが、後方から迫ってくる敵や画面外から弾を乱射する敵を楽に倒せるからです。ただ、ショットを当てると突進してきてバリアエネルギーを吸い取ろうとする敵、「SEDE」やショットを遮る炎を放つ「ALUP」などには要注意しましょう。
- バリアエネルギーの回復をするか否かは、時と場合によりけりです。敵の攻撃が甘いからといってチップを取ろうとしていたりすると、突如として敵が大量に出てくる構成になっている面などもあったりします。時にはわざとミスすることも考えておいて下さい。例えば恐らく最も難しいであろう後半ステージ群、24面〜29面（26面にはエネミーフォートレスあり）を例に挙げれば、可能な限りワイド系の装備を手放さないようにしなければなりません。特に24面・27面は先に述べた画面外から攻撃する敵・後方から迫る敵が面の最初から終わりまで登場するという極悪さですので、チップを取って少しずつエネルギーを回復しようとするよりも、装備を手放さずにダメージをこれ以上受けないように進む方が賢明だったりします。これらの面においては一度ミスしたらそのまま数機は失うことになるでしょうが、それでも少しずつ先に進んでごり押しできるほどの残機を用意しておくことが大切です。ミスを減らし、敵を可能な限り倒し、それまでの道中のボーナスボックス（上下どちらかが破壊でき、50000点入るキャラクター）を逃さずに破壊していれば、10機前後は確保できているはずです。
- チップ取得時、及び被弾時は一定時間無敵になります。その時に体当たりで周囲の敵を蹴散らすのも作戦の一つです。
- 最終面の30面は、道中でミスするとZAPされて必ず面の最初からのスタートになります。長い面でもない上、ラスボスであるところのエネミーフォートレスはそれほど強くないので、ダメージにだけは注意して進みましょう。ただ、ボスとの戦闘が長引いた際に登場する敵には注意しましょう。体当たりを一度受けただけで瀕死状態になります。
- タイトル画面で「上・上・下・下・上・右・下・左・下・下」の順に方向キーを入力するとテストモードに入り、サウンドテストと難易度の調節ができます。…難易度の調節は「NORMAL」と「HARD」しかありませんが。ちなみに、「HARD」では敵弾がかなり早くなります。