マットデイモン扮するウィルは両親のいない孤児で、施設で育ち貧しい境遇の もとで、似たような境遇の一見ろくでなしのように見える町のごろつき青年達 と毎日を共に過ごしていました。ある日、ハーバードの学生の集まる カフェーバーで、ハーバードの女子学生をナンパしようということになって、 出向きます。そこで仲間の一人が、ある女子学生に目をつけ、ハーバードの 学生に扮して話しかけます。でも本物の男子学生がそれを見抜き、いろんな 難しいことを聞いてきます。それをウィルは横やりを入れて友達を助けます。 その時のウィルとハーバードの男子学生の会話が好きです。
ウィルの友達は男子学生に「ぼくの何々に関する見解はこうだが、きみの 見解はどうなんだ」ときかれて口ごもってしまします。そこでウィルが 友達を助けて、そのハーバードの男子学生に「きみのいっていることは すべて、00の本の何ページに書いてある。きみは暗記したその本を ぜんぶここで読んでくれるのか?。そうやって女の前で丸暗記を披露して 俺の友達を馬鹿にするのか」といいます。そしてウィルは、「ただの丸暗記、 受け売りなら何も高いお金を払ってハーバードに行かなくても図書館に いって盗めばいい。俺は自分でものを考える!」というようなことをいいます。 するとそのハーバードの男子学生は「それでも僕は出世する。そしておまえは ウェイトターだ!」と応戦します。でも、ウィルは引き下がることなくこう 云います。「きみは50年後に気づくだろう。”人の物を盗むな!” ってことを」
もちろん、ウィルの「自分でものを考える」という主張は素晴らしいけど、 そうかといってハーバードの学生の主張も一つの生き方としては存在する と思う。だから二人の会話は面白い気がしました。ちょっと余談になりますが ブラッドレーの言葉にこんなのがありまあす。"Research, though toilsome, is easy; imaginative vision, though delightful, is difficult"
言い遅れましたが、この映画の冒頭のシーンは数学のノーベル賞といわれる 賞をとった教授の講義場面から始まります。教授がこの問題が解けたら ノーベル賞クラスだという難しい問題を宿題に出します。たぶん解けないと 思うけど、もし解けたらここのボードに書いておくように、と。ところが ちゃんとした正解が書き込まれているのをみて驚きます。でも正解をした 者は学生の中にいません。教授は必死に探します。なんと驚いたことに 正解をした者は、ちゃんとした教育も受けてない、掃除のアルバイトで ハーバードに出入りをしている貧しい青年ウィルだったのです。でも 彼は恵まれた天才的才能を持っていても心は閉ざされていました。それで その教授は、いろんな名のあるセラピストに彼の心を開くようにお願いする のだけれど、ことごとく失敗します。最後に辿り着いたのが学生時代の友達で 場末の教室で教鞭をとる変わり者の教授だったのです。この映画はその教授と ウィルのやりとりがメインなのですが、それについては皆さんが実際に この映画を見て感じて下さい。味わい深いものがありますから。
それよりもう一つ、メインから外れたところで、じーんと心に浸みた場面が あります。自分の将来に迷いを生じて苦悩しているウィルに、友達がこう 言います「お前は俺達とは違う!。お前は宝くじの当たり券をもっている。 でもそれを交換するのを恐れている。俺はお前といろんなスリルを味わってきた。 でも、一番のスリルは俺がお前を迎えに行くときの数分間。もしかしたら お前が俺達に何も言わずにどこかへ行ってしまっているんじゃないか。それが 一番のスリルだ。でも、そろそろそれを実現してもいいんじゃないか。」 相手を心から思いやる言葉って、たとえそれがどんな言葉であっても美しいと 思う。身よりのない者同士がずっと友達として仲良くやってきたのに、それを 自らの意志で断ち切るというのはとっても辛いこと。でも、ウィルの将来を 思って、それをやりとげた彼は人間的に素晴らしいなって感動しました。
「ガタカ」や「レインメーカー」なんかもそうですが、この「グッド・ウィル ・ハンティング」もヒューマンドラマ描いた映画です。刺激的なシーンや 激しいアクションや特撮なんてないけど、心に何かを残してくれるいい映画 です。