追憶




「あれは いつの日・・・。私は真紅に咲く けしの夢をみた。けしは いつか胸から 
ほとばしる血潮となって、私の恋のなきがらを埋めた 墓標を染めていた。
 あれは いつの日・・・。私は真紅に咲く けしの夢を見た。真赤に燃ゆるけし!。
それは 落日の時の太陽のようだった。乙女の胸のときめきのようだった。
だが、今は 色あせて 秋風になくけし。
 あの いつ暮れるともわからない 夕焼けの空に 私の愛した人はいるのだろうか。
紫の夜のむこうに 私の愛した人はいるのだろうか・・・。」

人生は片道切符。一度失ったものを取り戻すことってとても難しい。まして、それが恋
なら至難の技ですね・・・。人は誰でも、自分が満ち足りていない、何か欠落した部分
があると感じています。それが何によって充たされるかはわりませんが、少なくとも
一人では決して完結できないのだと思います。向かいあって、相手を見て、一体になって
はじめて一つの宇宙になる。その相手が誰なのか、それが愛のテーマです。でも愛は
とても精神的なものであると同時にエロティックなものだから感情が成熟していないと
難しいかもしれませんね。頭脳でもなく、物質では無論なく、生きようとすること、
感じること、念じること、信じること・・・は愛。

夢かもしれないと思うことがあります。もしそうなら、夢は現実より感動的です。
そして、夜が白む頃、夢は夢にかえります・・・・・。





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