CHAPTER 1
 
 
ギルド        

 「しのぶ」という日本人としばしお話。その人はギルドに入っていた。街で誘われて入ったらしい。        

 そのギルドの名は「最弱TEAM」。な、なんて名だ…。もっとかっこいい名前はないのかいな…。        
 しかし、仲間がいるのとといないのでは、心強さが全然違う。        
 冒険にも彩りが出るだろう。なんてったてネットゲームなんだから、コミュニケーション命。        

 とりあえず、中心メンバーの名を聞いたので今度声をかけてみることにした。        


オーク キャンプ(2)        

 オークキャンプから脱出できん。ゲート開かない。        
 しょうがないので、外人に「Can you help me? I need gate to vesper.」などと声をかけまくってみる。        
 英語はかたことなんで、堅苦しい表現とか、誤解を招く表現とかを言いそうで恐い。「Hello」という挨拶は堅苦しい表現だそうで、普段の生活では「Hi」だそうだ。あと、表現のヴァリエーションも知らんから、同じ言葉の連続。        

 「I can.」。おお、助けてくれるか、ありがとう、御仁!        
 「I can gate to britin bank or cemetary.」。どちらか?じゃあbankの方をお願いします。        

 キュオーン!待望のゲート!「I wish good luck.」と打ち込もうとしたが、早く入れ、消えるぞ」とのことで結局「Thanks」しかいえんかった。ヴァリエーション覚えたのになあ。        

 そうして、ブリテンのバンクの上。やっと戻ったああああ!        

 と思ったら!バンクの上から脱出できん!そういや、ここはリコールかテレポートでしか入れないところなんだ。失敗!        
       

 途方に暮れていると、やたら「fuck」だの「suck」だのを連発する外人が。ついでにもめごとが始まりやがった。銀行の上で生死を賭けた戦いをすな!        
 そいつらは途中で和解談笑なぞを始めた。        

 バンクの上は上級者のたむろするところなんで、強くてガラの悪いやつも多いのだ。あいつらにヘルプしたら、変なところに連れて行かれて身ぐるみはがされそうだな。        
 しばし待つと薬売りの人がリコールしてきたので、その人にオークキャンプのときと全く同じことを言って脱出を頼む。OKらしい。        

 脱出!今度は「I wish good luck.」なんて平和な英語なんだ。さらばブリテン銀行!あの上で死んだら悲惨の一言だな。        

 ベスパーに戻ると、ゲートを出してくれたおばさんがいる。        
 あいかわらずゲートを出している。あそこをくぐった冒険者は、僕のようにいろんな体験をしているに違いない。あのおばさんは冒険提供者なんだ。        


オーク キャンプ        

 ベスパー銀行の前をうろついていると、どっかのおばさんが「どこにいきたいの?」などと聞いてくる。適当に「Anything」などと答えると「オークキャンプなんかはどう?」と言うから、それでいいっす、と答えるとゲートを出してくれた。        

 入ると、そこはオークキャンプ。        
 この雰囲気…。絶対PKが出るぞ。        
 やばげにモンスターを叩いていたら、いきなり5人組のPKが怒涛のように走ってくる!うあああああ!囲まれて袋!        

 反撃する間もなく死亡。        

 みんな、ユーレイになったらいけふくろうで待ち合わせだぞ!        

 
 PK曰く、「piss off ghost!」しょーべんたれ幽霊が!)。死んだ人にムチうつような言葉を吐くか、キサマは!        

 なーんか、もう死ぬのも慣れたな。        
 この場所は船でくるところだから、魔法を使えないと帰れない。しかもヒーラーなぞはいるわけもない。        
 はち合わせになったPKvsPKK(PKキラー)の戦いが始まった。       
       

 
 激しい戦いだったが、PKKの方は役割が決まっているらしくて優勢!PKどもは3人ほど殺されたあげく、残りは逃げてしまった。        
 おいらに「しょーべんたれ」と言ったPKは死んでいたしょーべんたれて死んだのはテメーでしたね!        

 くそったれPKが取ったおいらの荷物はPKKの手に。ぬーん、これが経済の循環か!?っていうか、それオレの!返して!        

 ショボショボうろついていると、新たな冒険者が。僕に気づいた人が「Ghost still」(幽霊さん、そこにいてね)。ホワーン!生き返らせてくれた。おお、PCに生き返らせてもらったのははじめてだ!        

 おかげでアーマー類は取り戻したが、リージェント(魔法の触媒)とハルバード(斧槍)はPKにぶんどられたあとだった。だめだ、ゲートを待つしかない。        

 誰かのゲートが何回か開いたが、見たこともないようなところに出る。        
 贅沢言わないでそこから歩いて帰ればいいものを、街の近くに出るゲートを待っていたらサーバーダウンの時間が。        
 オークキャンプにおきざり…しかも街に戻ったらまたリージェントでお金が吹っ飛ぶ。        
 魔法だ、強い魔法を使えるようになろう。そうすりゃPKどもに抵抗できるようになる。        


CONNECT OUT DEAD.        

 ヴェスパーの街の墓場にモンスターがわんさか湧いていた。        
       

  
 しばしそれを見物しつつ、単体でうろついているやつを倒す。しかし今日はラグがひどいぜ。画面がずーっと止まって、動いたと思ったらモンスターに囲まれてて半殺し状態!走って逃げてなんとか生き延びる。画面が止まってる間は無抵抗。        
 「オイオイオイオイオイ!死んじまうよ!」と画面の前で焦っちまったじゃねーか!        

 金も貯まり、STRは70になった。そろそろ冒険の旅にいくぜ!        
 身支度を済ませて、ユーの通称「ネズミ男のキャンプ」にリコールジャンプ!        
 スタコラ(いつの言葉だ)歩いていたら、オークが3匹出現!よし、1匹ずつ片づけてやるぜ!と思ったら!        
 画面がフリーズ動きゃしねぇぇ!オイオイオイオイ、いくらSTR70つっても、3匹に囲まれたら少ししかもたねーぞ!早く復帰せいやぁぁ!        
 だめだ、マシンが止まっちょる!リセット!バカタレが!おいらの顔はいかりや長助状態「だめだこりゃ!」。ブチャチャブチャチャブチャチャー!        

 コネクトしなおすと、「YOU ARE DEAD」。        

 ハナクソオリジン!思った通りの展開になってやがるじゃねえか!        
 野良ヒーラーを探すが、こんなときにいやしねぇ。もうだめだ、整えたばかりの身支度はLOOTERどものいい餌食だ。最近やけに死ぬよなぁ。無謀な旅をしすぎてるのか?これでまた貯金がなくなる…。        
 さっそく馬に乗った誰かがおいらの死体に。幽霊になりながら「oOoOoO」なんてわめいても、伝わりゃしねえ。ああいいさ、どんどん取りやがれケツの穴まで探しやがれハナクソが!        
 と思ったら、「I won’t your stuff.」(あんたの持ち物取ってないよ)だって。        
 ああ、そうか、あんたはいい人だ…。世の中鬼ばかりじゃねえな…。オレは少し改心したよ…。これを機にオレも坊主を目指すか…。でも戻ってきたらどうせなくなってんだろうな…、あーあ、あーあ。        
       

 
 死んだ人を見たらアイテムを回収して待ったこと数回、その人たちは感謝の言葉を残して去っていった。「Thanks my friend!I remember for you!」。たいしていいことしたわけでもないのに、妙に感謝される。        
 でもオイラが死んだときは死体はいつもからっぽ。これも因果か…。        

 戻ってきてみると、案の定なんもない。まわりではモンスターの怒号が。殺伐とした風景の中思った。「こんなもんだ」。        

 誰かが話しかけてきた。外人だった。        

 「ninnin.」        
 「hi」        
 「your stuff.」        
 「…!!!!!」        
 「waiting for you.」        

 渡されたバッグの中には、持ち物が残さず入っていた。        
 大きく感謝の意を表したかったのだけど、つたない英語しか言えない。伝わっているんだろうか?        
 おじぎを何回もすると、彼は「np(No probrem)」と言う。        
 その外人は僕が装備を整えるのを見ると、「good day.」と言い、去っていった。        

 僕は持ち物がLOOTされなかったことよりも、その人の行為に嬉しさを感じた。        


ヒスロスで死す        

 あいかわらずお友達がいないので、お友達探しの冒険!        
 やっとSTRが60になり、ブリテンにある「パワートダイショップ」に行ってみる。パワートダイは「ゲーム業界残酷物語」で有名なHPだ。        
 お!なんか安いな!リコールを使えるようになったので、リコールルーンでも買ってダイブしてみるか!行き先はヒスロス。前にちらっとなんかで見たが、ここは離れ小島らしい。戻りはまたルーンで戻ればいいや。        

 ということでダーイブ!うっ、いきなりダンジョンだ。なんかネズミがいっぱいいるなあ。箱を開けるとお金が入ってたが、18gp。シケシケ。そういえば、パッケージの裏に載ってるようなお宝の山はどこにあるんだろうか?だ。        
 適当に探索してると犬がいる。「ヘルハウンド」だ。よし、ここは一戦交えてみるか!        

 ファイヤーボールをときおり放ってくる。減り具合から見て相手の方が強いようだ。しかしこっちは「greater heal posion」をいくつか持ってる。これで回復しながら戦えば勝てるはず。        

 しかし、やばい回復の仕方が遅かったみたいだ。逃げるか。        
 ああッ!スタミナが0で動けん!早いとこ回復…「You are dead」。ガーン、死んじまった!!!さっき買ったルーンと、たくさんのリージェント(魔法を使うのに必要な触媒)は僕の死体のところだ。だけどここですぐ生き返ってもまたヤツに殺されるのは目に見えている…。        

 しょうがなくゴースト。だけど出口が見つからない。ここが地下なのかもどうかも知らないのだ。走り回ったあげく、上り階段を見つけ、やっと出られる。        
 だが、生き返る場所がわからない。ここの地形なぞいっさい把握していないのだ。野良ヒーラーを探して生き返らせてもらうしかない。        
 こうしてるうちにも、死んだペナルティとしてゴーストの間はスキルが少しずつ下がっていくのだ。焦りと緊張。やばすぎる状況だ。早く生き返らないと!        

 かなりの時間がたった。この島は邪魔な木がたくさん立っていて、走りづらいことこのうえない。途中、どこかの日本人ギルドの連中が集まって、デュエル大会を開いている。しかしゴーストだから言葉は通じない。だめだ。        

 またかなりの時間が経った。森を抜けつつ、ヒーラーを探しまくるが全然いない。「おいらはこの島で永遠に幽霊としてさまようのか?幽霊になった感想を言うとしたら、クソッタレだ!ちくしょう!」        

 そして!いたヒーラーだ!なんつーところにいるんだ!もう島のはじまで来たぞ!ピローン!生き返った…。これでスキルの減少は止まったが、持ち物は全部死体のところ。        
 装備を取りにいくことにした。このままじゃ自力で帰れない。また延々走る。        
 ダンジョンに潜る。しかし!入り口にオークの群が!逃げるしかねー!        
 はさまれて動けなくなる。哀れなり、オレまた死亡。        

 今度は近くにヒーラーがいた。生き返る。もう装備は諦めよう。死ぬだけだ。        
 デュエル大会のところへ行く。人が大勢集まっている。強い人同士のデュエルのようだ。見ててなかなか白熱するなあ。そうしてるうちに、誰かが寄ってきた。        
       

  
 「あなたは誰ですか?LOOTしちゃだめですよ」        

 「はい。ところで、帰りたいの。VESPERに」        

 そしたら別の人が寄ってきて、TRINSICならルーンがあるという。        
 なんという感激。やっぱコミュニケーションや!僕は「THANKS!」という言葉を残して、ヒスロスを脱出した。        

 今回はひどい目にあったなあ。だめだ!オレ!もっと鍛えなきゃ!        
 STR60になっただけじゃダメだ!        


しばしUO        

 PKに襲われた教訓から、木こりの与作状態。すでにSTRは59。もう一つ上がればプレート防具をフルセットで着れるぞ。        
 金も5000gp貯まる。家は40000gpちょっと。まだしばらくかかりそうだな。        
 しかし、木こりはステータスは上がるんだけど、単調な作業なんだよね。切れる木を探して丸太が取れるまでブッ叩いて、いっぱい貯まるまでやって、シールドをこしらえて売りに言って…。        
 金&強くなるって目的がなければ非常につらい作業だな、これは。