平成17年10月25日 福祉やまぞえ 第81号

「秋の空」 bW0

 「女心と秋の空」と言われるように、秋の天気は変わりやすいものです。広辞苑によると、元来は、「女心と秋の空」は「男心と秋の空」だったらしいのですが、その意味は、「飽きやすく変わりやすいことのたとえ」とありました。元々変わりやすいのは「男心」だったとは、興味深いです。「秋の空」だけでなく、人々の関心や興味、流行の音楽やファッションもすぐに変わってしまいます。

 デイサービスの「敬老会」で、踊ってくださったマツケンサンバUも、早いもので、今やマツケンサンバVに代わりました。プロ野球では阪神が早々とリーグ優勝を決めて、盛り上がりましたが、昨年の、プロ野球再編問題はどうなったのでしょう。それに、巨人の人気は相変わらず低迷したままです。

 人の関心や興味が変わるスピードも昔より早くなりました。そのため肝心のことが、忘れられては困ります。たとえば、先の総選挙で小泉首相が国民と約束したことなどは、いつまでも関心を持っていたいものです。衆議院総選挙での自民党の圧勝で、先の通常国会の審議中に衆議院が解散されたことにより、一度は審議未了のまま廃案となった、障害者の福祉サービスに原則一割の利用者負担を求めることなどを柱とした「障害者自立支援法案」が、同じ内容(施行日が来年1月から4月に変更されました)で、今国会に提出されて成立の見通しになりました。衆議院の解散のために、なんとなく中途半端な議論に終わったような気がして残念でしたが、もう一度、慎重な論議をしていただきたいものです。

 「秋の空」のように目まぐるしく変化する現代ですが、私の生活は一向に変化は無いように思われます。毎日、同じことの繰り返しのような気がしますが、毎日、同じなのは大きなトラブルが無いことなので、それはそれで、いいことかもしれません。それでも少しずつでも、新しいこと、興味や関心のあることにトライしていこうと思います。

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平成18年1月25日 福祉やまぞえ 第82号

「2006年冬」 bW1

 昨年の12月、日本列島は記録的な大雪に見舞われました。北陸地方や東北地方では、雪の重みで家が倒壊したり、雪降ろしをしていた老人が亡くなったり、交通機関が麻痺したりと、大きな被害がでました。地方だけではなく、京都や名古屋などの大都市でも大雪のため、列車の遅れ、高速道路の通行止めや、交通事故が多発しました。気象庁も当初の暖冬予測を大幅修正して、今冬の見通しについて「寒冬の可能性が最も高い」と発表しました。関東以西では10年ぶり、全国的には20年ぶりに寒い冬となりそうです。

 今冬は寒い冬ですが、ここ何年かは、暑い夏、暖かい冬と続いている気がします。私の子供のころ冬はもっと寒く、この地方でも、今よりも雪が積もったように思います。よくいわれる「地球温暖化」の影響でしょうか、一年を通して全体的に暖かくなってきているようです。そのためか、世界中で「異常気象」
による被害が多くなってきています。

 大気中の二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素などの「温室効果ガス」は、太陽光により温まった地表から放出される赤外線を吸収し、再び放射することにより、地表と大気を温めて熱を宇宙空間に逃がしにくくしています。このようにして地球は、生物の生存に適した微妙な気温に保たれているのだそうです。
しかし、近年の人間活動で、石油や石炭などの化石燃料の燃焼により発生する二酸化炭素が大量に大気中に排出されるようになって、大気中の「温室効果ガス」の濃度が高まり、地表面付近の気温が徐々に上昇してきています。この現象を「地球温暖化」といいます。つまり、現在の「異常気象」の原因の一端は人間にも有るとゆうことです。

 温暖化を防止するためには、私たちの生活スタイルを変えることが必要です。できるだけ不要なものを買わず、大事に物を使い、再利用やリサイクルを心がけたり、また、節電をしたり、外出時の車利用を自転車や公共機関に切り替えたりする努力も必要です。
豊かな地球環境を良好な状態で次世代に残していくためには、私たちの生活の中でできるかぎり資源・エネルギーの無駄使いを無くし、再利用やリサイクルを進めて、「地球温暖化」を防止することが大切です。

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平成18年4月25日 福祉やまぞえ 第83号

「平成の大合併」 bW2

 今月、いわゆる「平成の大合併」が一段落しました。国は、人口の減少・少子高齢化・厳しい財政状況・地方分権の進展などへ対応するために、平成7年に「合併特例法」を改正し、市町村合併を推進してきました。合併する自治体に対しては、市になるための人口要件の緩和や、様々な財政的支援を行うこととし、目標の一つとして、人口1万人以下の小規模市町村の削減が掲げられました。奈良県でも、今年の1月に、宇陀郡の各町村が合併して宇陀市が誕生しました。これで山添村は奈良市・宇陀市・伊賀市・名張市に囲まれる「村」となりました。もちろん「村」が悪いわけではありません。福祉の分野などでは、地域内の強い絆が成果を生む場合があります。合併を促すだけでなく、厳しい財政状況を克服して自立しようという気概を持ち続ける「村」を、幅広く支援していく姿勢も必要ではないでしょうか。要は「村」として、自立できるかどうかの問題となります。

 平成16年には全国で500以上あった村の数は、4月1日時点で197に、3000以上あった市町村の数は1820となりました。関西の2府4県では合併が比較的進まなかったのが奈良県だそうです。3月末時点の市町村総数は39(12市、15町、12村)となり、人口の多い大阪府(43)、兵庫県(41)に近く、さらに「村」の数は奈良県を除けば関西圏に残るのは大阪府、京都府、和歌山県に1つずつと、奈良県の12村は突出して多く見えます。

 「平成の大合併」は、昨年4月から施行された合併新法に基づいて次の局面に向かいます。奈良県市町村合併推進審議会は、新法に基づいた県内市町村の合併推進構想の素案を柿本知事に報告しました。人口10万人程度の生駒・大和郡山、両市を除く他の自治体を九つの自治体に再編する案を示しており現在の39市町村が11市となる内容となっています。

 山添村でもまた、奈良市との合併問題が再燃すると思われます。私は緑が多く自然豊かで、人情の厚い山添村が好きです。何十年後かに、後悔しないように、今後「合併」するにしても、しないにしても、現在の合併のメリット・デメリットだけにこだわるだけでなく、将来を見据えた議論をしていただきたいものです。

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平成18年7月25日 福祉やまぞえ 第84号

「春の遠足」 bW3

 山添村社協のデイサービス「春の遠足」は、奈良の「霊山寺」(りょうせんじ)の「バラ庭園」に行きました。私の参加した5月26日は、朝からどんより曇っていて、今にも雨が降りそうな肌寒い日でした。

 「霊山寺」は奈良市中町にある霊山寺真言宗大本山の寺院です。天保8年(736年)聖武天皇の勅命で、行基が建立したと伝えられています。この寺には人生の輪廻をテーマにした、「バラ庭園」があり、1200坪の庭園には200種2000株の世界のバラが集められていることで有名です。

 福祉センターを出発、「霊山寺」に着いたのはお昼前でした。さっそく「バラ庭園」に向いました。ちょうどバラは満開の時期で、広い庭園にはさまざまな色と形のバラが咲き、いい香りが漂っていました。お寺にバラとはミスマッチな気がしましたが、訪れる人たちの目を楽しませてくれるので、それもいいかなと思います。この園には珍しいバラも咲いていて、今注目されている、ブルーヘブン(青いバラ)も見ることができました。このブルーヘヴンは河本純子さんという方が作られたそうで、最も青い色に近いバラだといわれています。青の要素の無いバラから、青いバラを作るのには、赤色のバラを数十年かけて、少しずつ交配しながら青色に近づけてゆく、根気と忍耐が必要になるそうです。新種のバラを作るのは大変な作業なんですね。

 時間が無く「バラ園」しか見学できませんでしたが、綺麗な寺院でしたので、また、訪れる機会があればいいなと思います。

 昼食を食べて、帰りの車に乗ると待っていたかのように雨が降り出しました。運良く濡れずにすみました。デイ職員の方やボランティアの方々には、車椅子での移動、付き添いなどお世話になり、ありがとうございました。おかげで楽しい遠足となりました。

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平成18年10月25日 福祉やまぞえ 第85号

「安倍新総理に望む」 bW4

 9月26日、5年5ヶ月に及ぶ戦後第3位の長期となった小泉政権が終わり、52歳の戦後最年少となる、第90代(57人目)安倍晋三総理大臣が誕生しました。

 その夜、安倍総理大臣は、首相官邸で初の記者会見に臨み、本日より、新しい国づくりに向けてしっかりとスタートしてまいります。毎日、額に汗して働き、家族を愛し、地域をよくしたいと願っている、そして日本の未来を信じたいと考えている、普通の人たち、すべての国民の皆様のための政治をしっかりと行ってまいります。そのために、本日、「美しい国創り内閣」を組織いたしました。と宣言しました。この新内閣には地元奈良2区の代議士、高市早苗氏も入閣しました。

 教育・年金・外交・消費税と難問山積の中、障害者の福祉制度もこの5年間で大きく変わりました。4年前から始まった「支援費制度」は「障害者自立支援制度」へと変わり10月から本格的にスタートします。
小泉内閣メールマガジン(らいおんはーと)も、第250号で最後になりました。小泉さんは、現在の私の心境を短歌に託して、

 「ありがとう 支えてくれて ありがとう 激励 協力 只々感謝」

 メルマガ愛読者、そして国民のみなさん、5年間ありがとうございました。と記されていました。小泉政権の功罪は、歴史の審判を待つとして、一人の「変人」の出現で、日本の政治が劇的に変わりました。国民は一つ一つの政策の是非よりも、「言ったことは実行する」「金では動かない」といった小泉首相の政治姿勢に拍手を送ってきたように思います。

 安倍新総理にも、わかりやすい政治、弱者にやさしい政治、なりよりどんな抵抗勢力にも屈しない強い信念を持って、政治を行って欲しいものです。期待しています。

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平成19年1月25日 福祉やまぞえ 第86号

「亥年」 bW5

 今年は「亥年」、十二支最後の年です。

 十二支とは、方位・時刻・年月日を表すのに使った十二種の動物の名です。子=鼠、丑=牛、寅=虎、卯=兎、辰=竜、巳=蛇、午=馬、未=羊、申=猿、酉=鶏、戌=犬、亥=猪、の順番です。では、どうして最初がネズミで、イノシシが最後なのか?日本では、十二支の並べ方については、十二種類の動物に当てはめた様々な民話が語り継がれています。

 有名なお話は、昔々ある年の暮れのこと、神様が動物たちにお触れを出しました。「元日の朝、新年の挨拶に出かけて来なさい、一番早く来た者から十二番目の者までは、順にそれぞれ一年の間、動物の大将にしてやろう」、動物たちは、我こそ一番だと、元日が来るのを待っていました。このお話では、ネコはネズミに騙されて十二支に入れず、それでネズミを恨んで、今でもネズミを追い回すそうです。ネズミは前の晩から出発したウシの背中に乗り、御殿の門の前で飛び降り一番乗りしました。ウシは二番になり、続いて、トラ、ウサギ、タツ、ヘビ、ウマ、ヒツジ、サル、トリ、イヌ、最後にイノシシが入ってきたところで門は閉められ、これが、十二支の始まりというお話です。イノシシはネズミと調子を合わせて騒ぎ立てたので、イノシシは最後となりました。「猪突猛進」という言葉があるように、イノシシは昔からお調子者のようでした。これらの動物の特徴を踏まえた話の中には、トリがサルとイヌの間になったのは仲の悪い両者を仲裁していたためだというのもあり、本当の所、十二支の順番には深い意味は無いのかもしれません。

 「亥年」には事件・事故が多いとか、(どの年も当てはまりそうな気もしますが)阪神大震災も亥年でした。今年は、大きな事件・事故が無いといいですね。猪突猛進とは行かなくても、一歩一歩前に進みたいものです。

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平成19年4月25日 福祉やまぞえ 第87号

「ケ-ブルテレビ」 bW6

 昨年末に我が家では、ようやく、こまどりケーブルのケーブルテレビとケーブルインターネットの配線工事が行われました。「こまどりケーブル株式会社」は、奈良県や各市町村および、県内平野部でサービス展開を行う近鉄ケーブルネットワーク(株)等が共同出資して、設立された、第3セクター方式のCATV会社です。

 奈良県は、中心部である奈良盆地を取り巻くように広大な山間地域に囲まれています。県内の人口や産業の多くは、平野部に集中していて、山添村など、山間地域の過疎化は深刻な問題です。その上この地域は、地形上テレビ電波が届きにくいために、今後の地上波デジタル放送(地上デジタル放送は、電波の有効利用が可能となり、高画質・高音質で多くのジャンルの番組やデータ放送を楽しめる他、今までにない地域情報番組を見ることができるようになります。)への対応には、莫大な施設改修のための投資が必要となります。

 また、この地域ではブロードバンド対応の通信事業者がサービスエリアとして展開できるだけの世帯分布にはほど遠いため、都市部との情報通信格差も大きな問題です。

 つまり、これからケーブルテレビは過疎山間地域に住む者にとっては生活必需品になります。工事後、我が家のテレビは以前よりチャンネル数も増えて、映像も綺麗に映るようになりました。インターネットもNTTのISDNに比べて格段に早くなりました。ただダウンロードを待つだけのイライラ感も無く、いままで利用できなかったサービスも受けられるようになりました。私にとってはIT(情報技術)革命です。便利になって、いろいろな可能性が広がり、重度障害者にとっても重要なツールになると期待しています。

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平成19年7月25日 福祉やまぞえ 第88号

「ケ-ブルテレビA」 bW7

 前回の「福祉やまぞえ」では、山添村でもやっと、ケーブルテレビが見られるようになったと書きました。そのことを、インターネットが高速化されたこともあって,私にとっては「IT(情報技術)革命)だと、表現しました。

 4月からは本格的に、「こまどりケーブル(ケーブルテレビ・ケーブルインターネット・IP電話)」の事業が開始されました。テレビが今までより綺麗に映るようになっただけでなく、村の情報もテレビで知ることができるようになりました。(11チャンネル)

 私は、この夏で車椅子の生活になって丸30年になります。30年間に社会は大きく変化して来ました。政治や経済、医療や福祉だけでなく、この間の情報技術は著しく進歩してきました。以前は、実現するには大変コストがかかったことも、今は安価に行えるようになりました。

 たとえば、30年前の電話は重く、ダイヤル式で、私にはとても使用できるような物ではありませんでした。それが、プッシュホンになり、コードレスになり、やがて携帯電話が登場して、ますます小型化しました。価格も手ごろになり、一人に一台携帯電話を持つ時代になりました。我が家の電話もハンズフリーで話ができます。パソコンを使って、世界中の人とテレビ電話で、無料で話ができます。外国のホームページを無料で翻訳してもらえます。地球上のすべての場所を、衛星写真や航空写真で、無料で見ることができます。これらは障害者のために開発された技術ではなく、生活の豊かさ、便利さを追求した結果、開発されました。
 

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平成19年10月25日 福祉やまぞえ 第89号

「秋本番」 bW8

 猛暑の夏も終わり、朝晩はけっこう冷え込むようになりました。いよいよ秋本番です。日本には「食欲の秋」「スポーツの秋」「芸術の秋」など、秋を表現する言葉が沢山あります。そう言えば「○○の春」とか、「○○の冬」とあまり言いませんね。「天高く馬肥ゆる秋」という言葉は、秋の空は青く澄み渡っていて良く晴れ、馬は肥えてたくましくなるという意味で、秋を語る時に好んで使われます。

この季節、「青い空」以上に綺麗なのが、紅葉です。「紅葉前線」は、10月初旬に北海道の大雪山から始まり、12月初旬まで2カ月かけて日本列島を南下します。カエデやイチョウなどの落葉樹は種類により、葉が赤くなるもの黄色くなるものなど様々です。さらにそれが自然の力により絶妙のバランスで混ざり合い、見事な紅葉の景色ができあがります。

日本人は古くから、紅葉見物のことを「紅葉狩り(モミジ狩り)」(学術的にはモミジという植物はありません。ヤマモミジなどモミジと名のついた植物はすべてカエデ科の植物です。モミジはもともと紅葉することを指した言葉です。)と言って楽しんできました。「万葉集」「源氏物語」や「百人一首」などにも「紅葉狩り」のことが登場します。平安時代のころは貴族たちの遊びとして行われていましたが、江戸時代にはいろいろな人が楽しむようになりました。

実は紅葉の仕組みは、かなり分かっているそうです。ところが、紅葉の仕組みが分かったとしても、「一体、落葉樹にとって紅葉は何の意味があるのか?」ということは謎のままなのだそうです。どうせ落としてしまう葉っぱなら、さっさと落としてしまえばいいのではないか、という気もします。しかし、それでは、紅葉を楽しむことができず、有名な古典文学も生まれなかったかもしれませんね。
 

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