気まぐれに、とある俳句の賞に応募してみた。こういうこともやった、という記録として残しておく。

「逸」遊行賞応募作品

  褻

岩塩という名の古代肉に振る     馬乳酒の空の彼方に去勢あり

春の雪濡れつつ蕾深部へと     いつどこで狂牛病か春の雷

七三に小銭を分けぬ春の星     松の花アイドリングのふるるるる

落椿蘂居住まいを正し居り     行く春や鳥の影さすねずみ捕り

自由意思は無意識の奴隷柏餅     薫風やお金を捨てに行く途中

新緑や毒を肥料とせし年月     金蝿が龍に留まり木下闇

南風歯茎の海に歯は浮いて     昼顔や美人の多きこの世なり

虹消えると言い切ってと思われる     眼球と鰭擦り交わし金魚かな

和太鼓の撃は連打へ花柘榴     近道の迷い所や凌霄花

木も砂も腐るを待ちて西日かな     記憶なお滅ぶにまかせ夾竹桃

値札なる紙の関所や掻き氷     鰯雲人格神の貌となる

歩みとは足蹴にあらず蝗跳ぶ     雑踏の携帯電話台風来

台風過年譜の死後を読むごとし     液晶画面の大菩薩峠虫と酒

風邪心地飛行機雲が枝拡げ     路地裏の目の高さなる木守柿

竜の玉蛇の髭広がり難くあり     袋はみ出し葱は後方を指す

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