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猟人日記−狼−
ВИРЮК

[かいせつ]
 イワン・ツルゲーネフの短篇集「猟人日記」(1852)の一篇「狼」の映画化。「猟人日記」は農奴制下のロシアの農民の生活が、中央ロシアの美しい自然を背景に写実的に描かれた短編集である。ツルゲーネフは、それまでの文学が描かなかった農民の内面的な生活を描いて、農奴を人間として復権させ、農奴制へ批判的な眼差を貫いた。この書が農奴解放に果たした役割は大きいと言われている。
 「狼」は森番フォーマにまつわる物語で、彼は領主の森を守るためならば、どんな事もいとわない。森に忍びこんで木を伐り倒そうとする者には、たとえそれが自分と同様に貧しい農奴であっても容放しなかったのである。彼は“ビリューク(一匹狼)”と呼ばれていた。映画は原作にはない、フォーマの死で終る。
 「山河はるか」で知られるヴィレン・カリュータのカメラは、はてしなく深く、豊かなロシアの森を生命あるが如く見事に捉え、また、ミハイル・ゴルヴォブィチが寡黙な、孤高の森番を好演している。現代ウクライナ映画の新鋭ロマン・バラヤンの声価を高めた注目すべき作品である。


[あらすじ]
 地主のベルセネフは猟の帰途、雷雨にあい、森番の番小屋で雨宿りをする。それは幼い娘ウリタと乳呑児がポツンと留守居をする侘しい小屋だった。“狼”という仇名の森番は、些細な物音も聞きもらさず、森に忍ぴこんで盗伐する者を見つけ出すので、事あるたびに農民に嫌われ、袋だたきにされていた。この時も急にたれこめた雨雲で薄暗い森に、人の気配を目ざとく察して、犯人を捕まえてきた。彼が捕まえた農民は痩せた馬に荷馬車を引かせ、自分もいかにも弱々しく身なりも貧しい男で、見かねた地主は何とかその農奴を放免しようとするが、森番は許そうとしない。初めは見逃してもらおうと従順にしていた農民も、こうなったからには殺されようとかまわぬとすっかり開き直って、森番と取っ組み合いとなる……。それもこれも素朴で純粋な森番が森の木々をこよなく愛していたためだった。
 そんなある日、森番は猟をしていた貴族の流れ弾にあたってあえなく死んでしまう……。倒れた森番に貴族は目もくれようともしない。

[スタジオ/製作年] ドヴジェンコ記念キエフスタジオ・1977年製作


[スタッフ]
原作:イワン・ツルゲーネフ
脚本:R・バラヤン
   I・ミコライチューク
監督:ロマン・バラヤン
撮影:ヴィレン・カリュータ
美術:ヴィタリー・ヴォルィンスキー
音楽:ヴィタリー・グープ

[キャスト]
森番フォーマ:ミハイル・ゴルボヴィチ
地主ベルセネフ:オレーグ・タバコフ
百姓:アレクセイ・ザイツェフ

[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ] 35mm / カラー / スタンダード
[上映時間]
1時間15分
[日本公開年・配給] 
1981/11/28・ソ連映画祭実行委員会

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パンフレットソヴェート映画史−七つの時代

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