スタッフ キャスト スタジオ 解説 ストーリー 諸元 スチール ポスター/チラシ

シベリアの理髪師
The Barber of Siberia
配給:日本ヘラルド映画

[かいせつ]
第52回カンヌ映画祭オープニング招待作品

 カンヌ映画祭審査員大賞、アカデミー賞外国語賞を獲得した「太陽に灼かれて」から5年、ニキータ・ミハルコフ監督が初めて英語で撮った作品で、19世紀帝政ロシアを舞台に描かれる壮大なラブ・ロマンスである。
 タイトルに込められた謎、モチーフであるモーツァルトの音楽の演出の巧みさ、オペレッタのような軽快さと、文学的な深遠さ、芸術的な膨らみを兼ね合わせてしなやかに語られるこの作品は、自ら名門の出身であり、歴史と伝統を重んじ「帝政ロシア」を愛してやまないニキータ・ミハルコフ監督の集大成ともいえよう。
 「歴史の宿命や、芸術性を通じてロシアの人々に誇りや尊厳を取り戻して欲しかった」とミハルコフは語っている。
 ヒロインを演じるのは「サブリナ」などで知られる、イギリス人女優ジュリア・オーモンド。快活さと猥雑さで周囲を惑わせながら、その暗い過去が明らかになるにつれて露見する悲劇を見事に演じきり、女優としての新境地を切り拓いた。対する恋人には「太陽に灼かれて」に続いての主演となるオレグ・メンシコフ。実年齢より遥かに若い役というリスクを監督の信頼に答えて好演している。頑迷で魅力たっぷりな発明家マクラケンには「許されざる者」などの演技派リチャード・ハリス。物語の鍵を握るラドロフ将軍にはロシアで国民的人気を誇る舞台の名優アレクセイ・ペトレンコ。そしてアンジェイ・ワイダ監督作品で有名なダニエル・オルブリスキがコプノフスキーを演じている。ミハルコフ監督も、ロシア皇帝アレクサンドル三世役で出演している。
 ソ連崩壊後のロシア映画としては最大規模、ヨーロッパ映画としてもかつてない製作費を投入して完成した本作は、カンヌ映画祭のオープニングを飾り、本国ロシアでは、モスクワのクレムリン宮で行われたプレミアに前ソ連国家主席ゴルバチョフなどの要員を始め華麗なゲストを招くなど、ミハルコフ監督の政界入りの噂と相俟って「ミハルコフ現象」を巻き起こした。

[あらすじ]
 1905年、アメリカ。一人の女性が陸軍士官学校に入った息子に宛てて手紙を書いている。彼の出生の秘密を明かすために。物語は20年前のロシアにさかのぼる…
 1885年。アメリカ人女性ジェーン・キャラハンは、モスクワと向かう列車で仕官候補生アンドレイ・トルストイと出遭った。彼は仕官学校で上演されるモーツァルトのオペラ『フィガロの結婚』でセヴィリアの理髪師フィガロを演じることになっていると言う。モスクワ駅ではダグラス・マクラケンが、ジェーンを出迎えていた。彼はシベリアの森林開墾用の巨大な機械の開発に熱中していたが、それには大公の資金援助が必要だった。そのために彼はジェーンを呼び寄せたのだ。ジェーンは大公に近い実力者ラドロフ将軍を士官学校に訪ね、マクラケンの娘と名乗り、言葉巧みに彼の歓心を買う。そこで、彼女は、酔って騒いだ罪に仲間たちと床磨きをさせられていたトルストイに再会する。
 トルストイの心の中に火がつき、ジェーンへの思いは次第に昂まっていく。士官学校の退学まで決意するが、思い止まらせるよう友人に依頼されたジェーンは、初めて彼にキスをする…。
 やがて候補生たちが士官に昇進する日が来る。だがその日、厄介な出来事が彼を待っていた。将軍が、英語の苦手な自分の代わりにプロポーズの手紙を読み上げてほしいと命じたのだ。
 ジェーンの前で手紙を読み上げるうち、とうとう自分の想いを告白してしまうトルストイ。将軍は激怒する。その夜ジェーンはトルストイを自宅に訪ね、将軍の気を引いたのはマクラケンのためだったことを明かす。トルストイの純粋な思いに深く心を動かされた彼女は、その夜、彼と愛を交わす。
 翌日、トルストイはフィガロを熱演する。一方、ジェーンは、昨日の件で怒っている将軍に何とか大公への口ききを頼もうと必死だった。幕間、トルストイのことは何とも思っていないと将軍を説得するジェーン。だがそれを偶然耳にしたトルストイは、彼女に騙されていたと誤解し、絶望の底に叩き落とされ、嫉妬と怒りにかられ、将軍に襲いかかってしまう。トルストイは大公を殺そうとした罪人としてシベリアでの重労働の厳罰に処せられる…。
 時は流れ、1895年。ジェーンはマクラケンと結婚し、アメリカへ帰国して母親となっていた。大公の援助でマクラケンの機械が完成し、シベリアでテストを行うことになった。ジェーンは密かに突き止めていたシベリアのトルストイの家に向かうのだが…。

[スタジオ/製作年] フランス・ロシア・イタリア・チェコ合作
              カメラ・ワン+スリーTプロダクションズ1999年製作           

[スタッフ]
監督:ニキータ・ミハルコフ
原案:ニキータ・ミハルコフ
脚本:ルスタム・イブラギムベコフ
    ニキータ・ミハルコフ
協力:ロスポ・パレンベルグ
撮影監督:パーヴェル・レベシェフ
プロダクション・デザイン:ウラジーミル・アロニン
衣装デザイン:ナターシャ・イワノワ
編集:エンゾ・メニコーニ
音楽:エドワルド・ニコライ・アルテミエフ
プロデューサー:ミシェル・セイドゥー
共同プロデューサー:ニキータ・ミハルコフ

[キャスト]
ジェーン・キャラハン:ジュリア・オーモンド
アンドレイ・トルストイ:オレグ・メンシコフ
ダグラス・マクラケン:リチャード・ハリス
ラドロフ将軍:アレクセイ・ペトレンコ
ポリエフスキー候補生:マラット・バシャロフ
皇帝アレクサンドル三世:ニキータ・ミハルコフ

[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ] 35mm / シネマスコープ / カラー / ドルビーSRD
      字幕:戸田奈津子 / 題字:黒柳徹子
[上映時間]
 2時間42分
[日本公開年・配給] 2000/9/30・日本ヘラルド映画
オリジナル・サウンドトラック=ソニー・クラシカル

索引ページに戻る
Homeページに戻る
ソヴェート映画史ロシア映画社アーカイブス
このウィンドウを閉じる