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別れの時に
ЗОСЯ
Zosya

戦場での恋。恥ずかしがりな、あまりに恥ずかしがりな青年を主人公にした叙情篇。ソビエト映画の愛すべき―側面。(佐藤忠男氏)

[かいせつ]

 国立映画大学の卒業制作の短縮「ふたり」(1965)で第4回モスクワ国際映画祭短編部門の金メダルを獲得した新鋭ミハイル・ボーギン監督の長編処女作であり、の第5回モスクワ国際映画祭にrジャーナリスト」とともに正式出品され、絶賛を博した.
 原作・脚色のウラジミール・ポゴモーロフは、アンドレイ・タルコフスキー監督の「ぼくの村は戦場だった」の原作者として知られており、ここでもはげしい戦争の合間にふき出た美しい青春の詩をうたいあげている。舞台が第2次大戦末期のポーランド農村なので、アンジェイ・ワイダなどの数かずの名作を生んだポーランド映画の名門―「カメラ」創作集団が全面的に協力しており、撮影のエジー・リップマンはロマン・ポランスキーの「水の中のナイフ」で流麗なカメラ・ワークを見せた名手であり、主役のゾーシャを演じるポーラ・ラクサはワイダの「灰」その他に出演している新星である。ゾーシャの母を演じるウェスラワ・マズルキェビッチ、美術担当のロマン・ウォリネッツ、レオニード・モキッチらも、ポーランド側スタッフである。
 これらポーランド映画人の協力とボーギンのすぐれた映像感覚が結びついて、ゆたかな叙情をたたえた力作が誕生した。

[あらすじ]
 1944年、第2次世界大戦も終わりに近いころ、ソビエ卜軍はポーランドでドイツ軍とはげしい戦闘をつづけていた。ビクトル・バイコフ大尉の部隊は、激戦のあと、ポーランドの小さい村で休息と再編成のひと時をもった。
 まだ19才の若い士官のミハイル・クジミンは村につくと、疲労のあまりそのまま眠りこんでしまう。目をさましたとき、かれは自分がどこにいるか理解できず、本能的に自動小銃をにぎった。あたりにはふしぎなほどの静けさが支配し、木々はみどりに朝の太陽はやわらかな光をそそいでいた。ミハイルはとびおきると斜面を河に向って走った。戦闘の汚れを洗い流すと岸辺に横たわり、果てしない空を夢のように見つめていた。そのとき、美しい金髪の娘が通りすぎた。彼女の素足がしずかに草をふんでいった。この若い参謀将校の胸は高鳴った。それはまるで夢のようだった……。
 指揮官のどなり声がかれを現実に引き戻した。かれは同じ19オのビクトル・バイコフ大尉が歩哨を立てていないことを叱っていたのだ。
 ビクトルは晩餐会を開くことにした。頭のいいかれは、まじめでおっかないポーランドの未亡人ユーリヤの信用をとりつけると、彼女の助けでペリメニの山をつくり上げた。ユーリヤの家には、ミハイルやビクトルらと村の人たちがあつまった。ミハイルは自分の真向かいにあの娘がいたので、あわててしまった。彼女はユーリヤの娘でゾーシャといった。
 ミハイルはだまって、ほとんどなにも食べず、ときどきそっと娘の顔を見た。彼女は少しもかれに気づいてないようでもあるし、ときに彼女の眼にやさしいなにかがうかんだようにも思った。そんなとき、ミハイルは機智に富み、弁が立ち、決断力のあるビクトルがうらやましかった。
 翌朝、ミハイルは庭で戦死者たちの報告書を書いた。かれの眼前には倒れていった戦友の顔が1人また1人とうかんでは消えた。そのとき突然、ゾーシャのうたうような声が耳に入った。ミハイルは前夜、勇気をふるってウォカをのんだあとのふるまいを思い出し、恥ずかしかった。ゾーシャはそれからも、なん度もミハイルの近くに姿をあらわし、なぞのような微笑を投げかけた。
 夜、ビクトルはファシストの残党がいる森ヘ、村人のためにトラックで薪をとりにいった。そのあと、ユーリヤの家の庭でダンス・パーティが開かれた。ミハイルはゾーシャに会いたかった。着飾った彼女はいっそう美しく見えたが、ビクトルと踊っているのを見ると、気遅れがしてその場を立ち去ってしまった。
 その夜、戦車が一晩中村を通貨した。攻撃開始は近かった。ミハイルの部隊にも出撃命令がくだった。整列した自動車の列にそって、ミハイルはなん度も往復しながら、「間隔をたもて、たばこを吸うな!……」とくりかえし指示をあたえた。しかしかれの眼は見送る村人たちのなかにゾーシャの姿をさがし求めた。時間がきた。
 その瞬間、「まって、まって!」というゾーシャの声がきこえた。彼女はミハイルのところにかけより、はずかしげにかれを抱き、接吻し、封筒をにぎらせた。彼女のアドレスが書いてあった。新しい戦闘に向かうミハイルの眼は、遠ざかるゾーシャの姿をいつまでも見つめていた………

[スタジオ/製作年] ゴーリキー・スタジオ/"カメラ"スタジオ1967年製作
              ソビエト・ポーランド合作

[スタッフ]
原作・脚色:ウラジミール・ボゴモーロフ
撮影:エジー・リップマン
美術:ロマン・ウォリネッツ
    レオニード・モキッチ

[キャスト]
出演:ポーラ・ラクサ
    ユーリイ・カモールヌイ
    ニコライ・メルズリキン
    ウェスラワ・マズルキェビッチ

[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ] 35mm / 白黒 / シネマスコープ
[日本公開年・配給]
 1967年第5回ソビエト映画祭
              1976/6/29・日本海

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パンフレットソヴェート映画史−七つの時代
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