デンマークが生んだ世界的な童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの生誕150年を記念して製作されたソビエト・ブルガリア合作映画。
 アンデルセンの「人魚姫」をもとに中世の封建社会にあってもたくましく生きる放浪詩人や民衆の姿をも描いて、原作の持つ詩的な世界と愛のためには犠牲もいとわない高潔な精神を謳いあげた子供から大人まで楽しめる作品となっている。
 アンデルセン童話の世界を求めて、古城の多いウクライナのクリミア地方やブルガリアにロケしたほか、水中撮影もふんだんに使われ、物語としての中世が見事に表現されている。
 監督は、ゴーリキー・スタジオのウラジーミル・ブィチコフ、撮影は、ブルガリアのエミリ・ワッゲンシタイン。主役の人魚姫には、当時14才のモスクワの小学生だったヴィクトリア・ノヴィコワ。また、お姫様役には、当時レングラード演劇芸術大学のガリーナ・アルテモワ、王子役には当時シチェプキン名称モスクワ演劇学校のユーリー・センケヴィチが出演。いずれもこれがデビュー作となった。
 吟遊詩人で哲学者のスリピチウスは、この映画で創作された登場人物で、アンデルセンの化身として物語のテーマを体現する重要な役であるが、ベテランのユーリー・ニクーリンが見事に演じていることも話題となった。