A群溶血性レンサ球菌による食中毒

 しょう紅熱を含む溶連菌感染症と呼ばれていた感染症、食品を介した感染あり

食べもの文化 連載食中毒の事例から連載17  04年9月号


 事例1 通夜・告別式に出された仕出し弁当の件

2003年9月14日、葬儀出席者の中に、発熱、倦怠感、咽頭痛、関節痛などの症状を訴えている者がいるとの通報が保健所にありました。調査の結果、9月9日及び10日に行われた通夜と告別式に提供された仕出し弁当を食べた22名のうち12名が、同月10日から12日にかけて発症し、医療機関で受診していることがわかりました。さらに、同店で当日提供された弁当を食べた7グループ120名のうち67名が発症し、うち2グループ8名から、そして、当該飲食店の従事者17名のうち11名からA群溶血性レンサ球菌(T-B3264型)を検出しました。残品がなく食品の検査は出来ませんでしたが、保健所では検出された菌株のパルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)パターンが一致したため、従業員からの二次汚染による、仕出し弁当を原因とする食中毒と断定しました。

 事例2 ソフトボール大会で提供された仕出し弁当の件

 1998年8月19日、病院から保健所に、16日に開催されたソフトボール大会参加者よりA群溶血性レンサ球菌感染が集団で発生したとの連絡がありました。調査の結果、8都県423名の参加者のうち342名が咽頭痛、発熱、倦怠感の症状を呈し、昼食に全員が同じ仕出し弁当を食べていたことが判明しました。患者及び弁当製造従事者の咽頭ぬぐい液、及び大会当日の保存検食(野菜の煮物、牛肉信田巻き、シュウマイ、厚焼き卵、カットメロン)よりA群溶血性レンサ球菌(T-22型)を検出しました。PFGEもほぼ一致したため、保健所では、昼食の弁当を原因とした食中毒事件と断定しました。

 A群溶血性レンサ球菌とは

 この菌は、飛沫感染により感染症の咽頭炎を起こします。初夏と9月以降に発生の山があります。感染者は15歳未満が大半で、5歳から9歳が5割ほどを占めますが、食品を介しての感染(食中毒)の場合は年齢に関係ありません。食中毒となるのは調理従事者が食品を汚染した場合と考えられます。

 潜伏時間は5時間から72時間、平均32時間といわれ、主な症状は、咽頭痛、発熱、関節痛、倦怠感などで、風邪に似た症状を起こします。

わが国での主な食中毒事例は表のとおりとなっています。

 A群溶血性レンサ球菌の食中毒を予防するには

@飛沫感染するので、調理の際には必ずマスクを着用し、むだなお喋りはつつしむ。
A卵加工品や焼きそばなどが原因食品になることが多く、だし巻き卵、タマゴサンド、卵サラダ、焼きそば等は調理後速やかに提供するか、やむなく保管する場合は必ず冷蔵する。
B咽頭痛や咳などがあるときは、調理作業に従事しない。どうしても従事する場合は、マスクを着用し、直接食品に触れる作業はしない。
C調理場に入る際及び作業中の手洗いを徹底する。

表  A群溶血性レンサ球菌による主な食中毒事例

 

発生年月日

患者

患者数

喫食者

原因食品

原因施設

主な症状

1969年7月

小中学生

69

204

学校給食(焼きそば)

学校給食施設

発熱(94.2%)、頭痛(91.3%)、咽頭痛(66.7%)

1997年5月

警察官

943

2676

仕出し弁当(出し巻き卵、サケ、牛肉)

飲食店

咽頭痛、頭痛、倦怠感

1998年8月

医療機関従事者

342

423

仕出し弁当(野菜の煮物、牛肉信田巻き、シュウマイ、厚焼き卵、カットメロン)

飲食店

咽頭痛、発熱、倦怠感

1998年8月

組合大会参加者

254

287

サンドイッチ(タマゴ、ポテト、ハム、ツナ)

飲食店

咽頭痛(91%)、

発熱(79%)

2003年9月

葬儀参加者

67

120

仕出し弁当

飲食店

(すし)

咽頭痛(84%)、発熱(81%)、倦怠感(55%)、頭痛(27%)

 














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