まずは考え方から。次に解答を掲載します。
まず、問題の対称性について考えます。
この問題には2種類の対称性があります。ひとつは、父&息子と母&娘の対象性です。この問題では、父と母、息子と娘を同時に交換しても、問題文に変化はなく、与えられた3つの条件も変化がありません。つまり、解答が与えられた場合、その解答手順にでてくる父と母、息子と娘を全部逆にしても、正しい解答になります。まずはこのことを頭に入れておきます。(もうひとつの対称性については後述します。)
では、まず1往復目を考えましょう。
ボートには2人乗れますが、少なくとも一方は、ボートを運転できる父、母、メイドさんでなければなりません。ここで、先ほどの対称性を考慮すると、1往復目は、メイドさん+誰か、父+誰かのどちらかになります。(母については考えなくて大丈夫。仮に母を選んで解答が出来上がるなら、父を選んでも対称性により解答が出来上がるはずだからです。)
メイドさんと誰かの組み合わせの場合、仮に犬を乗せなかったとすると、ボートが岸を離れた瞬間に悲劇が起きます。ですので、この場合はメイドさんと犬の組み合わせになります。一方で、父と誰かの場合は、母を連れて行かないと息子が襲われます。息子は二人なので、父と息子の組み合わせでも残った息子が
さて、仮に父と母の組み合わせで川を渡ったとすると、帰りが問題になります。仮に父だけを帰すと、娘が2人まとめて餌食になります。母を帰したところで、やはり息子2人が食べられてしまいますので(これが対称性ですね)、この家族が無事でいるためには、父母両方が戻ってこないといけません。しかしそれでは振り出しに戻るだけです。従って、最短手順を求める以上、この父母の移動は無意味。1往復目は、メイドさんと犬の組み合わせになります。帰りはもちろん、メイドさん一人です。(犬も戻ってきたら、その移動は無意味ですから。以降、無意味な移動に関しては省略します。)
父母息息娘娘 犬メ → 父母息息娘娘 ← メ 犬
次は2往復目です。
向こう岸には犬がいるので、ボートに乗る二人のうち片方はメイドさんに決まります。メイドさんは運転できるので、もう片方は誰でも構いませんが、誰かがついていく必要があります(でないと無意味な移動になります)。ここで、父を乗せると、残った母が息子に襲い掛かります。従って、もう片方は娘になります。(対称性により、母を乗せたら悲劇が起きるのはもうお分かりですね? ボートに乗るのは娘ではなく息子でも大丈夫です。この時点ではまだ対称性が保たれているので、どちらを乗せても同じことです。ここでは娘にしました。ここから先は、この対称性は使えません。娘を先に移動させたことにより、対称性が崩れたからです。注意してください。)
帰りは、ボートを運転できるのはメイドさんだけなので、メイドさんが乗ることになります。しかしこのままでは、娘が犬に喰われますので、一緒に犬を連れて帰らないといけません。
父母息息娘 娘メ → 犬 父母息息娘 ← 犬メ 娘
次は3往復目。向こう岸には娘がいます。
ボートを運転できるのは父、母、メイドさんですが、メイドさんを移動させようとすると犬が家族に噛み付きます。(いっしょに連れて行くのは、前の手順の逆になり無意味ですので省略。)従って、ボートの片方には、父か母が乗らなければなりません。ここで、ボートの上で悲劇が起きないようにするには、父だけ、母だけ、父と母、父と息子、母と娘の5通りの組み合わせが考えられます。ですがここで、手前の岸には息子が2人いるので、父だけ、あるいは父と息子の組み合わせでは手前の岸で惨劇が起きます。母だけの場合、娘が一人残っているので父に襲われてしまいます。父と母の組み合わせの場合、戻ってくるのは父一人、あるいは母と娘の組み合わせですが、前者の場合は手前の岸で娘が、後者では手前の岸で息子がアウトです。従って3往復目の往きは、母と娘の組み合わせでなくてはなりません。
向こう岸には母娘娘がいます。戻ってくるのは当然、母一人です。
父息息犬メ 母娘 → 娘 父息息犬メ ← 母 娘娘
4往復目。向こう岸には娘2人がいます。
移動できる組み合わせは父だけ、メイドさんだけ、父と母、父と息子、メイドさんと犬の5通り。しかし、手前の岸のことを考えると、父だけ、および父と息子の場合は息子が、メイドさんだけの場合は残った家族全員が襲われます。従って、候補は父と母、メイドさんと犬の2通りです。が、向こう岸にはボートを運転できる人がいませんので、メイドさんと犬の組み合わせの場合、戻ってくる方法がなくなります。従って、ここは父と母を移動させるしかありません。
復路は、娘の貞操を守るためにも父一人となります。
息息犬メ 父母 → 娘娘 息息犬メ ← 父 母娘娘
5往復目。
考えられる組み合わせは、父と息子、メイドさんと犬の2通りです(メイドさん一人のときは犬が/以下略)。父と息子を移動させた場合、6往復目で破綻します。(帰りは父と母の組み合わせになり、向こう岸には娘2人と息子が残ります。6往復目、移動できるのはメイドさんと犬の組み合わせのみ。するとその帰りの組み合わせがなくなり、破綻します。)従って、5往復目の往きは、メイドさんと犬です。
父息息 犬メ → 母娘娘
さてここで、後述するといったもうひとつの対称性について述べます。父&息子と母&娘の対称性については前述の通り。これは、登場人物の対称性です。ここにもうひとつ、舞台の対称性が挙げられます。すなわち、手前の岸(出発点)と向こう岸(到着点)との対称性です。移動に関して、一方通行のようなルールがないため、この対称性も成り立ちます。簡単に言えば、「手前の岸」と「向こう岸」とを交換してしまっても、今までの手順は成り立つわけです。そして、手前の岸に全員いる状態(スタートの状態です)から、向こう岸に母娘2人手前の岸に父息子2人という状況になったということは、その手順を逆に適用すれば、向こう岸に全員いる状態(これはゴールの状態です)から、手前の岸に母娘2人向こう岸に父息子2人という状況にできることを意味しています。
父母息息娘娘犬メ(手前の岸) (ボート) (向こう岸) ==> 父息息 (手前の岸) 犬メ(ボート) 母娘娘(向こう岸)
これができるということは・・・
(手前の岸) (ボート) 父母息息娘娘犬メ(向こう岸) ==> 母娘娘(手前の岸) 犬メ(ボート) 父息息 (向こう岸)
これもできるということです。
父&息子と母&娘は逆にしても問題ないので、向こう岸に全員いる状態から、手前の岸に父息子2人向こう岸に母娘2人という状況にもできます。(これは、今までの手順の父&息子と母&娘を全て交換した上で、順序を逆にすれば可能です。)
(手前の岸) (ボート) 父母息息娘娘犬メ(向こう岸) ==> 父息息(手前の岸) 犬メ(ボート) 母娘娘 (向こう岸)
つまり、これも可能です。
以上より、解答は次のようになります。
では、答えです。
最短手順は以下の通り、8往復半(17手)です。もちろん、父&息子と母&娘は、逆でも構いません。
0往: 父母息息娘娘 犬メ → 復: 父母息息娘娘 ← メ 犬 1往: 父母息息娘 娘メ → 犬 復: 父母息息娘 ← 犬メ 娘 2往: 父息息犬メ 母娘 → 娘 復: 父息息犬メ ← 母 娘娘 3往: 息息犬メ 父母 → 娘娘 復: 息息犬メ ← 父 母娘娘 4往: 父息息 犬メ → 母娘娘 復: 父息息 ← 母 娘娘犬メ 5往: 息息 父母 → 娘娘犬メ 復: 息息 ← 父 母娘娘犬メ 6往: 息 父息 → 母娘娘犬メ 復: 息 ← 犬メ 父母息娘娘 7往: 犬 息メ → 父母息娘娘 復: 犬 ← メ 父母息息娘娘 8往: 犬メ → 父母息息娘娘
略号は次の通り。
父: ロ○コンお父さん
母: ○ョタコンお母さん
息: 息子
娘: 娘(そのまんまですね/汗)
犬: ポチ
メ: 可愛いねこミミメイドさん
ある一家が、川を渡ろうとしています。その一家は、お父さん、お母さん、息子が2人、娘が2人の6人に加え、ペットのポチ(犬)と、可愛いねこミミメイドさんの、計8人(7人と1匹)です。
川には1
この一家が、ボートを使って無事に川を渡るためには、最低何往復かかるでしょうか。その手順も示してください。
気を付けなければならないことは、次の通りです。