【がぎべら】
「子供たち」。
こういう言い方は、卑語というのかしら。
「あのがぎべら、まだ、ふとねのえ(他所の家庭)のりんご畑さもぐり込んでなに悪いことするもんだが」
というように使う。
『がぎだ』とも言う。語源は「餓鬼」。
「餓鬼メ等」。「餓鬼たち」。
【かぎのはな】
「自在鉤」。こっちも分からないか。そうだろうな。もう囲炉裏を見ることもなくなったし。
国語の辞書でも開いてご覧。それでも分からないか。そんな時代だよなあ。
【ガッキつぐ】
丸くしようと思ったのに、角っぽくなったり、凸凹やギザギザが出来ること。
「さえ(あらまあ)、ガッキついでしまったじゃ」
【ガフガフでえ】
アンチャの長けり(長靴)履いで
雪の中さ出てえぐ
中さシベ(蘂)へだ(入れた)ども
アンチャの長けり大きいがら
ガフガフで
けりの中でオラの足、遊んでるじゃ
【からぴっぴ】
ゴム風船。
でも、なんでゴム風船が『からぴっぴ』なのかしら。膨らますと中が空っぽになって、その空気が外に出る時に、笛の音のようなピーという音を出すからかなあ。
そういえば、笛のことを『ピッピ』というなあ。
【からぽねやみ】
秋田の風土病の一つ。
漢字で書くと「空骨病」。
体の節々か、背中か腰辺り、あるいは腕か膝の骨が痛いと訴えて仕事をしない怠け者。
これを秋田では、別の言い方で、『せやみこぎ』とも言う。背中が痛いと言って仕事をしないこと。
秋田には、もう一つ、日本を代表する風土病があって、『足ふっぱり病』。
秋田大学医学部でも、全国にその名の知れた脳血管研究センターでも、、成人医療センターでも治療法が発見できない厄介者。
最近、県が、なんとか治す手立てを探ろうと、「秋田の将来研究会」なるものを立ち上げたが、結論が、「変身大賞を設けよう」とか、「男性が買い物に行ったらポイントカードにハンコを押し、溜まったら賞品を上げよう」という制度を作るとか、「秋田発展戦略会議」を設立し、県内外の著名人に委員になってもらって知恵を借りたら、県の対応の杜撰さに委員の一人の内館牧子さんに怒鳴られて、知事を先頭に県庁が震え上がった。
マア、その程度のモンじゃ。
これらの風土病、秋田県が亡くなるまで治らないね。
【がんじぇねえ】
マア、がんじぇねえといえば、がんじぇねえ話。
「子供っぽい」「幼稚」という意味だけど。
最近試みて楽しんでいることがあって、漢字で書ける秋田弁。
これも、「頑是無い」。
ちょっと古語っぽい日本語が、そのままか、少し崩れて、秋田弁の中に残っている証明だ。
【ぎごちねえ】
融通が利かない。窮屈。無愛想。滑らかでない。
「緊張している」もかなあ。それとも、緊張してぎごちねぐなったのかなあ。
よく、挨拶や祝辞で、「ぎごちねえなあ」と思うことがあるじゃない。あれだよ。
【ぎごわ】
強情。頑固。ぎごちねえ。融通が利かない。
「オメまだ、ぎごわだふと(人)だごど」。
【きさじこぎ】
ええふりこぎ。見栄っ張り。オシャレ。オメカシ。キザ。気取り屋。
『秋田の3こぎ』の一つの別の言い方。
《復習》以下を3こぎという。
『せやみこぎ』『ええふりこぎ』『かだっぱりこぎ』。
『きさじこぎ』は、『ええふりこぎ』とほぼ同じ。
【きだふり】
知ったかぶり。でしゃばり。
「聞いた振り」。
「おしゃれ」「見栄っ張り」もそういうらしい
そういえば、秋田が産んだ天才シンガーソングライター友川カズキの唄の一節に、「きだふりアネチャもー」というのがある。
この場合は、「オシャレなねえちゃん」だ。
唄は何だっけ。『乱調秋田音頭』かな?
【くぢばしなげぇ】
こんな場面に出くわした事ないかい。
週末の午後、フラリと近所に住む幼馴染を訪ねると、先客がいて一杯やっている。知らない仲でない。
幼馴染にすすめられ、奥さんに、
「上がって一杯やってたんせ」
と言われて思いがけない酒肴にありつく。
こういう奴を言う。
【くじばしみじけえ】
それと全く逆の奴。
用事を済まして帰ったすぐ後に、男鹿の海で釣り上げた鯛をぶら下げた友人がやってきて、捌いて刺身と吸い物にして、一杯やった話を翌日聞くような奴。
【げぁろぐど ぎゃろぐど】
おたまじゃくし。
「お玉」は、杓子。「しゃくし」も杓子。
そういえば、そっくりだね。
『蛙の子』が訛った言葉だよ、きっと。
だとすれば、おかしいじゃないか。
蛙は、秋田弁では『びっき』だよ。
『びっきど』とでも言えばいいじゃないか。
ま、いッか。
【げんげ】
かなり。酷く。とても。あんまり。
「オメ、それだばげんげだじゃ」
(アンタ、それじゃああんまりですよ」
(あんまり)のところにそれぞれの言葉を入れて言ってご覧。少しニュアンスの違った味わいの言葉になるぞ。
それでね。全国共通らしいけど、中心市街地の寂れ具合と、行政や商工業界の対応。
秋田市を例に見れば、10数年前、秋田駅から歩いて10分くらいのところに赤十字病院があったが、車社会対応で郊外へ。職員、患者、見舞い客、業者など1日3000人から4000人の人々の往来があった。街も商店街も賑やかで潤った。それがごそっといなくなり、閑古鳥も怖くて寄り付かなくなった。
県も市も、商工業界も、、隣にあった県婦人会館跡地と一緒に何かを作って賑わいを取り戻そうとするが、コンセプト無しの浅知恵ではいかんともしがたく、右往左往立ち往生の繰り返し。
そのうち、人々は、そこを見限り、郊外に出来た大型SCに大移動。
民の心がすっかり離れた今も、アーデモナイ、コーデモナイと、小田原評定もあくびするような状態。
こういうときに、民草は言う。
「オメまだ、げんげでねな」。
【けなり】
羨ましい。
どこが、って?
何が、って?
マアなあ。
【ごぐら】
公民館。
最近の呼び方で言えば、地域センター。
語源は、「郷蔵」。
秋田駅東口のアルヴェ2Fに、同名の居酒屋がある。
2度ほど行ったけど、上品でカッコいい。肴も酒も美味い。
【こごまる】
かがむ。
それにしても、日本語表記に絶対鼻濁音が必要。ネ、かっぺいサン。
こごまるの「ご」も、「かがむの「が」も鼻濁音。しかし、字面だけでは、伝わらないモン。
国語学者はなにをしてるんだ。TVのバラエティー番組でバカやってハシャイデいてどうするの、三代目!
【ごさらし】
醜態を晒すこと。
別に、三代目をそう言っている訳ではない。
厄介者。
「業晒し」がもとの言葉だろう。
【ごしょえも】
ジャガイモ。「5升芋」。
【ごどえも】
とも言う。こちらは、「5斗芋」。
いっぱい採れる、ということかしら。
『にどえも』とも言う。
こちらは、年に2度収穫できるから。でも、東北では無理だ。
『あんぷら』とも言って、これは、オランダ語だ。舶来方言だぞ。
【こっでらえねえ】
「堪らない」。非常によい。
「堪えられない」。
「こっでらえねえほど美味い!」。
【このじょ】
近頃。最近。
『このじょこのごろ』とも言う。
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あゆかわのぼる の 秋田弁豊穣記