【げァに】

 とても 酷く
 「今日の仕事ァまだ、げァにはがえがね(捗らない)ごど

【げァんげァ】

 酷く とてもく
 「お前ァ、今日ァまだげァんげァちから出ねえごど
 「げァんげァだ」といえば、「あんまりじゃないか」。

【げァ】

 とても 酷く
この崖崩れ、げァにひでええもんだなあ 
 この「げァ」、語源は 何だろうね。「意外」かしら。あるいは古語に「ガイ」という言葉があって自分勝手な考えや行動を指したという。それかしら。
 それにしても、人間、下り坂に対応するのはとてもたやすい。今から10年位前までは、徹夜をすることは無かったが、睡眠時間は6時間ほど。午後9時に寝て翌朝3時過ぎに起きて机に向かう。大きな仕事は民間調査会社の週間情報誌に4枚ほどのエッセイの連載を持っており、地元の週刊紙に4週1回、全国紙のブロック面6週1回、テレビやラジオのレギュラー、2本。取材や講演も入る。時々詩も書くし本も読む。県内外を車で走り回り、見て訊いて、語り合って飲んで、食って。そんな日々を10年位続けた。
 もちろん、酒はしこたま飲んだ。「トリスを飲んで半世紀」などと自らを洒落のめし、焼酎は胡麻翔酎の「紅乙女」。まったくの自転車操業風。ところが、調査会社の連載が終わり、なんか、ぽっかりと心と時間に穴が開き、それが埋められない。特に朝。4時ころ起きるのだがやることが無い。
 そして2018年春、地元の週刊紙が廃刊。青森発の隔月刊のタウン情報誌にも毎号短い文章を書いていたが、これも休刊。ほかから別の連載の注文が来る訳でもなくたまに単発が来るのみ。講演の数も減った。初めのうちは少し焦った。このまま筆の仕事は無くなるのではないか。しかし、しだいに慣れていった。だまって緩やかな坂道を転がっていけばいいことが分かった。10年前までの睡眠時間6時間が、今では9時間を越える時もある。原稿用紙も4Bのえんぴつもあまり減らない。講演のために調べることもあまりない。ほんのこの間までは、地域の寂れが気になったり、人口減少や限界集落を嘆いたり、地域興しのアイデアが次々浮かんだりしていたのに、そんなこともあまりなくなった。そうだよナァ、考えてみれば齢80。この先それほどあるわけでもない。昨年春、わが庵に住み着いたオス猫の快汰が寝そべる机の上の原稿用紙を横目で睨みながらミステリーを読んでいると、「アア極楽、ごくらく」と思う。今、お昼前の11時。昼飯には小さめのグラスで、焼酎のロックでも1杯飲もう。
 人間、特に下り坂への順応性、意外に、げァにうまくできているナァ。

【けっち豆】

 ソラマメ。
 そういわれてみれば、あの豆、形がお尻の割れ目にそっくりだよナァ。

2019/1/27
続く

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