【〜さげ】

 全く気づかなかったが、秋田弁の中に関西弁が紛れ込んでいる。これだ。
 方言のほとんどそうだが、秋田県全域で使われているわけではない。
 この言葉は、日本海側南部、所謂由利地方。
 私も生まれは一応由利だが、秋田市より。使われているのは本荘以南。だから、気が付かなかった。庄内あたりで使われていて入ってきたのかしら。関西弁に直せば、【〜さかい】。
オレ、これがらそっちさいぐさげ、待ってろ
〜はげ】とも言う。
 持って来たのは、北前船かなあ。商人かしら。
 運んできたのは、物資ばかりじゃない。文化もだし、人もそのまま残ったかもしれない。
 見方を変えれば、こっちの人や文化も行ってて不思議でないよね。そういうのの交流が出来ると面白いね。秋田県は今、落ち込んでいるから、な。

【さどめんこ】

 秋田県でも、数年前、続けて2件あったけど、子殺し。変な言い方だけど、全国的に悪しき日常茶飯事。簡単にやっちゃうもんね。
 なぜなんだろうね。
 人間以外の動物は、子孫を残すため意外の目的でSEXをしないらしい。SEXを快楽と擦るのは人間だけということだが、最近の若い世代は、それ以外のSEXはしなくなったということか。
 SEXをすれば子供が出来ることなど知らない動物以下の人種が出来て、出来てしまったら手に負えなくなって、毛虫でも踏み潰すように処分する。
 教育制度のせいかしら。
 医学部卒業の小中高の先生が欲しいね。生物や保健や養護教師のレベルをはるかに超えた教育が必要なんだよ。
 法学部を出た人が全員裁判官や検事、弁護士になってるわけじゃない。というより、なるのは一握り。それ以外は、一般社会で何でもやっている。医学部だって、全国にもっと一杯あって、卒業生の会社員や一般公務員、学校の先生になって不思議でない社会にすればいい。多くの大学に学部が一杯あって、卒業生がたくさん出れば、医者になるものももっと増えて、医師不足解消の手立てにもなる。
 文部科学省や厚生労働省はそんなことを思いつかないのかネエ。
 あ、【さどめんこ】ね。これ、赤ちゃんを可愛がる時の表現。抱っこしたり高い高いしたりしながら、
お−,さどめんこ!
さど』は、「砂糖」、『めんこ』ほぼ共通語の「めんこい」の「めんこ」。
 昔は、そうやって、子供を育てたものだ。

【さらぐ】

 ほったらかしにしておく。ほっておく。
そんたね勉強んたば(嫌なら)、学校だの(など)やめさらげ(やめてしまえ)。このバガもの
 子供のころ、おふくろによく、こう怒鳴られたなあ。

【さら かもな】

「一切かまわずほっておけ」。

【さるかやぎ】

「バカモノメ!」。
 ちょっと漢字にしてみる。
「猿貝焼き」。
 貝焼きは、大きな貝を器にした鍋料理。
 ハタハタのショッツル貝焼きは、秋田の特に冬の鍋料理の代表。
 しかし、猿の肉を食うとは余り聞かないし、猿肉の鍋など、考えただけでも、ゾッとする。
「食えない奴」という言葉があるが、「煮ても焼いても食えないバカモノ」ということか。

【さんと】

 妊産婦。
 語源は、「産人」だろうなあ。

【さんとみめ】

 従い、産人見舞い。
 今はほとんどご祝儀袋にお金を入れて持ってゆくが、かつては、鯉やカナガシラという魚を持っ ていった。乳が出るように、と。

【さんびゃぐ】

 ペテン師。口達者。
 三百代言。「報酬が三百文のモグリ代言」。
 弁舌爽やかに詭弁を弄ぶ人。三百ともいう」と『新明解国語辞典』(三省堂)に書いてある。
 秋田市土崎あたりでは、『ぴゃぐ』とも言うらしい。
 何かの大会で話をした時、懇親会で、同席していた弁護士があんまりペラペラとよく喋るので、
まるでさんびゃぐみだいだ
 と言ったら、ギョロリと睨まれた。
 それが弁護士の蔑称だということを失念していた。

【したども】

「だけれど」。「でも」。
したども、オラそうは思わねえ」。
んだども』とも言う。

【しなじれ しなりじえ】

 しなり強い。粘り強い。
 子供のころ、草相撲に熱中したが、負けても負けても食いついてくる奴がいた。三番稽古かぶっつかり稽古をしているようだった。あるいは、寄っても投げても、さば折で攻めても土俵際で踏ん張る奴もいた。
 木の枝で刀を作り、チャンバラもやった。
 柳の枝でつくる刀はしなりじえくて折れない。しかも、余計な小枝や葉っぱがついていなくて細工が簡単なのだが、何しろしなりじえがら、幹から折るのが大変だった。
 でも、こんな遊び、今の子供はしない。というより親がさせない。
 戦わず、体の表面に傷がなく、しかし、心に重石を抱え、傷を作り、鬱々と心の中で戦い、敗れて、親を殺し、親に殺され、あるいは自死。自滅してゆく。
 子供たちよ。もっと体を使って、外で遊べよ。ケンカするように遊べよ。
 それを、親が、ハラハラしながら見てろよ。
2008/10/12
続く

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あゆかわのぼる の 秋田弁豊穣記