【ながまる ながめる】

 横になる。体を横たえる。
 足を延ばす。
 東京の大学にいっている孫が冬休み、友人を連れて帰って来た。ババが孫の友人に、
足ながめれ」。
 孫の友人、ビックリしたが、オズオズとバアサンの足を眺めた。
 夜。孫の友人が風呂に入っている間にババが、
あのワラシ、はんかくせェんでね。オラの足ばりみで
 夜更け、孫と友人の会話。
「オマエの村では、老人の足を眺めるのが初対面の挨拶か」
「バカか、オマエは。足を延ばして寛げ、といったのだ」
 こういうカルチャーギャップ、大好き。

【ながら】

 丈の短い筒袖。袖の長さが中途半端だからか。

【ながらはんぱ】

 中途半端。

【なして?】

「どうして?」

【なす】

 1、(借りたお金などを)返す。語源は、「済(な)す」。
 2、(子どもを)産む。語源、「生(な)す」。

【なもみ】

 秋田の「なまはげ」は全国的に有名。
 県外に行ってそういうと、結構、
「それって何?」
 と返される事が多い。知っている人でも、それが男鹿半島に伝わる正月の奇習だとは知らない人がいる。男鹿を知らない人が多いよ。秋田の観光の目玉なのに寂しいねェ。
 でも、仕方がないか。男鹿といえばハタハタ。ショッツルかやぎ、焼いて食べる、味噌でんがくも絶品。岩を噛む荒波、荒々しい日本海、温泉。それになまはげだ。
 冬こそ男鹿。しかし、数年前まで、男鹿観光は冬はシーズンオフだった。
 私は度々、
「冬こそ男鹿の売り時」
 と言ってきたが。
 まだ、100パーセント覚醒していない。
 間もなくハタハタがやってきて、それで客を呼ばなきゃならないのに、それをほったらかして、俄か仕立ての、流行りの半纏、素人でも作れる焼きそばとかでB級グルメ狂い。
 コンクールに出て、ベストテンにも入れず。
 ベストワンよりオンリーワンと言われている時、自慢のハタハタ、かやぎをほったらかして。しかも、一緒に出た「かやぎ」も圏外。ハタハタのみならず、かど(鰊)かやぎなんこ(馬肉)かやぎ、鯨のナスかやぎ。きりたんぽ、だまこ鍋、山の芋鍋などもかやぎのカッコで括るとすれば、秋田はかやぎの宝庫。それが、創作と称して、しかも、B級とランクダウンさせてコンクールに出して、圏外。イメージダウン大成功。
 こういうのを、秋田弁で、『さるかやぎ』という。
 あ、復習、『かやぎ』は「貝焼き」。大きな貝を器にしてメーンのハタハタなどに野菜などをドッサリ入れてグツグツ煮て食べる。冬は体が暖まって最高。
 こういうオンリーワンをB−1グランプリとかに浮かれて影を薄くしてゆく。
 あ、『なもみ』。これ、「火形」。せやみこいで囲炉裏の前から離れないと脛に出来る。これを剥ぎに来るのが『なもみはぎ』。さらに訛って『なまはげ

【なんてもねェ なってもねェ】

 腹の中ではどう思っているか分からないが、それを表に出さず、一見さりげなく、
なんてもねェ
 と言われるとホッとするが、一方でさらに不安が増す。
 腹の中がわからないということは、結構辛いね。
 田舎で暮らしていると、よくあること。
 だからといって、歯に衣着せずにモノをいうと、特に私のようなヨソモノは以後、針のムシロ。

【なんでかんで】

 何が何でも  是が非でも。

【なにへんに】

「なんとなく」。語源、「何偏に」。

【なんこ】

 馬肉  第一線をリタイヤした馬。
 北秋田地方では好んで食べる。
 阿仁鉱山の抗夫たちが体内に入った塵を出し、珪肺を予防する効果と、肉体労働者として馬力をつけるため、よく食べたという。
 私も大好物で、仕事などで県北部や津軽に行くときは自動車道を使わず国道 285 号を走り、道の駅上小阿仁、あるいは 105 号を南下して内陸線阿仁合駅で馬肉定食を食べる。阿仁合駅前の肉屋さんで買ってきて、冷凍保存し、酒の肴として楽しむ。
 北秋田市長からプレゼントされたのも美味しかったなあ。何にもお返ししてないけど、本や雑誌、講演などで、瀕死の内陸縦貫鉄道、あきた北空港対策、その他もろもろ、本にすれば 1 冊になるくらい県北に提案しているから、いいか。
 こういう隠れた食はまだあって、能代市の豚軟骨。
 焼いて食べると絶品。最近は、市場でも売られるようになったが、3 年位前までは、本当に、知る人ぞ知る。
 一昨年、地元の友人に連れられていった居酒屋で出され、その香ばしい味に感動し、「これは、地元の人たちだけが食べていてはいけない。全国から客が呼べる」
 と思わず叫んだ。
 今年は、大きな広がりを見せ、全国展開している居酒屋チェーンから引き合いがあったそうだが、「白神と五能線と豚軟骨を食べに、能代にいらっしゃい」で行こう、と地元の逸る心を抑えている。
 もう一つ。由利本荘市の「おやどり」。別名「しないどり」。別名が曲者。
 今、由利本荘市は、ハムフライが全国話題だが、実は。
 何軒かの居酒屋で酒のつまみに出しているようだが、私は、そこでは食べていない。
 昼でも食べられるところを、オメだけにこっそり教えよう。
 ラーメンの清吉。ラーメンにも入っているが、別口、即ちトッピングで頼む。これ、通。

【なんこ】

 酌婦 娼婦。(特に県南部で使う。)
 馬肉でいっぱい飲ませる店で働く女性、から来たんだね。

【なんも なんも】

「どういたしまして」
「お気になさらずに」

【なんとも】

「どうも」。
2010/12/30
2011/11/27 改訂

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あゆかわのぼる の 秋田弁豊穣記