国民皆保険制度を崩壊させる医療「改革」法案の強行採決に抗議します

患者負担増の医療「改革」法案を審議中の衆議院厚生労働委員会は、5月17日、午後12時30分、首相質疑を終了した段階で動議が出され、怒号が上がる中、自民・公明の与党の賛成多数で同法案を強行採決しました。我々は国民無視のこうしたやり方に強く抗議します。また、強行採決に至る動議を出したのが、県選出の寺田稔衆議院議員(広島5区)であり、同議員および動議を認め採決をはかった衆院厚労委員長の岸田文雄衆議院議員(広島1区)に対し、特別に抗議の意を表明します。

医療「改革」法案の内容は、高齢者の負担を2〜3割負担に引き上げる、75歳以上の高齢者全員から新たな保険料を徴収して新高齢者医療制度を作る、高額療養費の月額上限を引き上げる、長期入院高齢者の食費・居住費を全額自己負担化するなどの患者負担増だけでなく、「医療・介護難民」を生む療養病床の廃止・削減、国の責任を放棄し都道府県に医療費「適正」化計画の押しつけ、自費診療を増やす混合診療の拡大など、日本の国民皆保険制度を根底から破壊する改悪法案です。

しかし、これまでの委員会審議では、こうした負担増や制度改悪についてほとんど審議されておらず、地方公聴会では与党推薦人にもかかわらず実質反対を訴えた人が多数でした。本来であれば数回の国会で審議すべきにもかかわらず、与党は、法案審議を実質9日(44時間余り)しか行わず採決を強行したもので断じて容認できません。

政府は今、「歳出と歳入の一体改革」と称し、歳出面では社会保障予算の削減、歳入 面では消費税の増税を画策しており、医療「改革」法案もそうした路線上に位置づけられています。当会は医療従事者だけでなく、広範な患者さん・国民とともに、与党のこうした暴挙に抗議するとともに、法案の徹底審議・廃案に向けて全力を挙げる決意です。

2006年5月18日

広島県保険医協会 理事長 長谷 憲

広島市南区金屋町2-15 マニュライフプレイス広島4F

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