[乳癌に関すること]

[早期乳癌で手術を受けたが放射線治療を受けるべきかどうか?副作用も心配]
[乳癌の手術後5年目に再発したが治癒率は?]
[乳頭から血性分泌物があり乳管造影検査をすると言われた]
[乳房にしこりがあるが、どこでどんな検査を受ければよいか?]
[集団検診でみつかり乳房温存手術を受けたが心配]
[乳房温存手術を受けたがリンパや転移とは?]

→ガンに関する一般的な相談 →見出しページへ


[早期乳癌で手術を受けたが放射線治療を受けるべきかどうか?副作用も心配]

(相談)2000.8.3
「放射線治療について」妻の乳癌治療について、摘出手術は終了したのですが、放射線治療を受けるべきか否か選ぶ様に、担当医から言われ、迷っています。出来る事なら放射線治療まで受けたくは無いのですが、独自に調べてみると、受けたほうが良さそうです。しかし、妻は皮膚が弱いので、皮膚のただれが残る事とリンパ浮腫になる事を最も恐れています。良いアドバイスを頂けたら幸いです。・・・以下は病理の概要と疑問点です。

概要:早期の乳癌で、2cm以下(7×7×5mm)の腫瘍でした。患部の周囲5cmを円形に摘出し、リンパ節の切除はしておりません。いわゆる浸潤癌1期かと思われます。(JR東京HP乳癌の病期より)病理検査の結果を見たのですが、浸潤の度合いは「周囲への浸潤は見られるが、脈管への浸襲はない。切除端部にも腫瘍細胞は無い。」と言うものでした。端部1cm内まで及んでいるかどうか等、細かいところは、不明です。以上の状態で、放射線治療を受けるべきかどうか明確な指針が得られません。

1、放射線治療について、今解っているのは以下の通り
(1)放射線治療を施しても、再発率が0%に成るわけでは無いという事。
(2)乳腺を破壊するため、母乳は出なくなると言う事。
(3)週5日5週間続けて放射線を浴びなければならないと言う事。
(4)恐らくは、軽い放射線障害によって、疲れてしまう事。
(5)放射線を受けた部位が、皮膚に異常を来たすらしい事。
(6)皮膚のただれは、じきに治るが、治りきらない場合も有ると言う事。
※(1)(4)(5)(6)は独自に調べた内容。

2、疑問点は以下の通り
(1)放射線障害により、疲れやすく成ると聞きますが、其れは、治療開始後、何時頃から発症し、立てない程までの状態になる事は無いですか。(人によって違う物ですか?)
(2)放射線治療の影響範囲:放射線照射により、乳腺及び、リンパ節の破壊まで行われるのでしょうか?
(3)リンパ浮腫:放射線により、リンパ節を破壊した場合、リンパ浮腫を引き起こす確率のデータはありますか?
(4)リンパ節切除を伴わない浸潤癌1期の場合:放射線治療に依る、リンパ浮腫の発症例はあるのですか?また、その他の後遺症の報告はありますか?
(5)リンパ浮腫にならない為の予防法は明確なものが有りますか?
(6)放射線治療後、しばらくはだるい感じが残リますか。(其れはどのくらいの期間でしょうか)(人によって違いますか)
(7)ホルモン感受性が、陰性だった場合でも放射線治療は行われますか。(一般には行われている様ですね)
(8)放射線治療後、直ぐに妊娠する事は問題無いですか。

以上です。また、独自に調べた範囲でご質問してますので、失礼な点、不勉強な点、等あるかと思いますが8月7日頃までにご返事頂けると、幸いです。放射線治療の進退は、8月8日に取り決める予定なのです。

以下は、「7月25日病理検査の内容(転写)」です。ご参照下さい。
病理診断
1〈右乳腺〉Scirrhous carinoma  /  Mastopathy   
病理学的所見
提出された検体は、50×50×15mm大の右乳腺組織塊である。組織学的には間質結合組織の増生を伴った異型乳管上皮細胞の増殖を認める。異型細胞は索状、小集塊状、小腺管状をなして周囲へ浸潤している。硬癌の所見である。腫瘍の大きさは約7ミリ×7ミリ×5ミリ大である。脈管侵襲はなく、切除断端に腫瘍細胞は無い。乳管上皮にアポクリン化生や嚢胞が見られる。(No.5)。乳腺症の所見である。また、核の腫大を伴う乳管過形成(No.11)や、小葉過形成(No.10.11)も認められる。
※病理検査後、現在ホルモン感受性を検査中・・その結果は8月末頃の予定。

(答え)2000.8.4
お答えします。大変ご心配のことと思います。病気について大変良く調べられて、良く理解されていることに敬服しました。まず一般的なことをお話しします。最終的には自分で決めることになりますが、担当医と良く相談して、その病院での治療成績や副作用などについても聴いてみてください。手術も放射線療法も、医師の技術や装置の性能などによってかなり差があります。日本の医療は医師や病院によって違うことが多く、一定の方法や一定の結果が期待しにくいという特長があります。また、個人差もありますので、癌の治療でこうすれば必ずこうなるとか、こうしなければいけないということは言えません。

私の個人的な意見を述べますので参考にしてください。癌の治療は病院での治療が成功して、元気で退院する日がスタートラインです。手術だけで治る人もいれば治らない人もいます。病院での治療は癌を治りやすくするための助けです。治るかどうかは、これからの養生次第で、癌も風邪と同じように最終的には自分で治す病気です。癌を治すためには、自然治癒力(自己治癒力)を最大限に発揮するような生活をすることです。身体に良くないことはやめて、身体に良いことをなるべくすることです。心の持ち方と生活習慣の改善が大切です。もし放射線療法がどうしても必要であれば「するかどうか、決めてほしい」とは言わないと思いますが、リンパ節切除をしなかったのは、手術後に放射線治療をすることを前提にしていた可能性もありますので、よく聴いてみてください。そして自分の命ですので最終的には、ご本人の意志で決めてもらってください。自分で治す、必ず治るという気持ちが大切です。明るく、前向きに生きてもらってください。

>(1)放射線障害により、疲れやすく成ると聞きますが、其れは、治療開始後、何時頃から発症し、立てない程までの状態になる事は無いですか。(人によって違う物ですか?)

個人差はありますが、上手に放射線治療をしてもらえば、あまり感じないですむと思います。外来通院ですると思いますので、充分に休養をとるようにすることが大切です。

>(2)放射線治療の影響範囲:放射線照射により、乳腺及び、リンパ節の破壊まで行われるのでしょうか?

放射線治療の目的は、乳房や周辺のリンパ節領域に残っっている可能性のある癌細胞を破壊することです。リンパ節までは破壊されないと思います。

>(3)リンパ浮腫:放射線により、リンパ節を破壊した場合、リンパ浮腫を引き起こす確率のデータはありますか?

放射線治療で腕にリンパ浮腫を起こすことはないと思います。放射線があたる皮膚に同様の変化が起きることはあります。

>(4)リンパ節切除を伴わない浸潤癌1期の場合:放射線治療に依る、リンパ浮腫の発症例はあるのですか?また、その他の後遺症の報告はありますか?

脇の下のリンパ節切除をしなければ、リンパ浮腫は起きないと思います。皮膚に障害が残る場合があると思います。

>(5)リンパ浮腫にならない為の予防法は明確なものが有りますか?

脇の下のリンパ節とそれを連絡するリンパ管の切除の程度によります。つまり手術次第ということです。

>(6)放射線治療後、しばらくはだるい感じが残リますか。(其れはどのくらいの期間でしょうか)(人によって違いますか)

かなり個人差がありますが、治療期間中は、ある程度の倦怠感はあると思います。

>(7)ホルモン感受性が、陰性だった場合でも放射線治療は行われますか。(一般には行われている様ですね)

ホルモン受容体の陽性・陰性と、放射線治療は関係しないと思います。

>(8)放射線治療後、直ぐに妊娠する事は問題無いですか。

できれば避けるほうが良いと思います。

ではまたいつでもメイルをください。

(相談)2000.8.4
数野様、素早いご返事に大変感激しております。数々の貴重なご意見を頂き、有難うございます。大変参考になっております。

> 、これからの養生次第で、癌も風邪と同じように最終的には自分で治す病気です。癌を治すためには、自然治癒力(自己治癒力)を最大限に発揮するような生活をすることです。身体に良くないことはやめて、身体に良いことをなるべくすることです。

全く関係無い事かも知れませんが「アガリスク」という薬(抗生物質ではないようです)が癌に効くという話を聞いたのですがご存知ですか?

>個人差はありますが、上手に放射線治療をしてもらえば、あまり感じないですむと思います。

上手にと言うのは、放射線の角度や、範囲のことでしょうか?

>放射線治療で腕にリンパ浮腫を起こすことはないと思います。
>脇の下のリンパ節切除をしなければ、リンパ浮腫は起きないと思います。

リンパ浮腫にならない可能性のほうが高いという事ですね。この事を一番心配していましたので、安心しました。

>>放射線治療後、直ぐに妊娠する事は問題無いですか。
> できれば避けるほうが良いと思います。

女性ホルモンの増加が残存腫瘍の栄養になるという見解からでしょうか?それとも、放射線自体の影響が考えられるのでしょうか?

※放射線の影響について:副作用として、考えられるものに以下のようなものがあるようですが

(1)心臓被爆・・特に左乳房の治療において顕著なようですが、妻は右乳房なので可能性としては低いでしょうか?

(2)肺被爆・・肺の中に影響が出るようで、酷い時には2次腫瘍の因子ともなりかねないとの例もあるようですが、これは個人差のあることなのでしょうか?

以上、お言葉に甘えてメールさせていただきます。

(答え)2000.8.5
お答えします。アガリクスという茸の一種が癌に効くということで流行しているようです。健康食品の一種だと思います。健康食品は「食べ物」ですから、何を食べようと本人の自由だと思います。

>上手にと言うのは、放射線の角度や、範囲のことでしょうか?

医師や技師や看護婦の能力と経験と人間性、器械の性能、線量や回数なども含めて、すべてです。

>女性ホルモンの増加が残存腫瘍の栄養になるという見解からでしょうか?
>それとも、放射線自体の影響が考えられるのでしょうか?

これもそのようなことを含めての総合的な判断です。色々なリスクを侵してでも子供が欲しいということになれば、話は別です。

>※放射線の影響について

体型などにもよると思いますが、上手に治療すれば防げる場合が多いと思います。ご指摘の副作用はごく稀なものだと思います。ではまたいつでもメイルをください。

→ガンに関する一般的な相談 →見出しページへ


[乳癌の手術後5年目に再発したが治癒率は?]

(相談)松戸市1999.1.19
45才の親戚の女性が5年前に乳癌で摘出手術を受けました。リンパ腺を2つ採りました。5年再発しなければ心配ありませんと医者から言われましたが、今年5年目で胸骨にしこりが見つかり再発と言われ本人はもう駄目だと落ち込んでいます。どんな励ましも本人にとっては逆効果のようです。実際、転移の場合、よく治癒率がかなり低いというイメージがありますが本当にそうなのでしょうか。本人はどのような心づもりで居るのが良いのでしょうか。

(答え)1999.1.20
お答えします。普通、癌は5年間、再発や転移がなければ治ったと言いますが、乳癌の場合は特別で、10年です。「5年再発しなければ心配ありません」と言った?医者は、知らなかったのかも知れません。

再発・転移した癌でも、最初の時と同じように、再発巣や転移巣を手術で取ることができるなどして、治る可能性のある治療ができれば、治癒率も同じように考えられます。しかし、残念ながら多くの場合、再発・転移した癌の治療は困難です。効果的な治療ができない場合には、治るという希望はなくなりますが、残された時間をどのように使うかということを考えて、新しい希望を探さなければいけません。人は死ぬまで希望を持つことができます。周囲の人はそれを支えてあげてください。ではまたいつでもメイルをください。

→ガンに関する一般的な相談 →見出しページへ


[乳頭から血性分泌物があり乳管造影検査をすると言われた]

(相談)1998.12.2
乳癌のことでお伺い致したく、初めてメールいたします。37才の主婦です。3年前から右の乳頭付近にしこりがあると集団検診で言われており、年に一度レントゲンと超音波を受けておりました(乳腺線維腺種とのことで、しこりは小さく自分ではわかりません)。今年の検診の直前に分泌物に気づき(最初は透明でしたが、次第に褐色が濃くなってきました)、分泌物の細胞検査をしたところ、5段階の「3」といわれました。1、2が良性、4、5が癌なので、五分五分だという説明でした。次に乳管造影の検査をすると言われましたが、この検査によってどんなことがわかるのでしょうか?また、疑いのあるものは切除することになるのでしょうか?しこりは自分でもわからないくらい小さいようですが、切除となると、かなりの量を切り取ることになるのでしょうか?乳頭も切り取る可能性があるのでしょうか?総合病院の外科にかかっていますが、専門の診療科にも診て頂いた方がいいでしょうか?

父が直腸癌でしたので(完治しました)、癌になりやすい体質なのかも知れないと思っていましたが、やはりとてもショックでした。不安でたまりません。出産経験は一回(6年前)、授乳は混合で3ヶ月ほどでした。4年前に自然流産を経験しています。月経は順調です。突然のメールで失礼いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

(答え)1998.12.2
お答えします。乳腺線維腺種は良性の腫瘍で、癌になることはほとんどありません。今回の乳頭からの褐色の分泌物は、血液の混じったもので、最も考えられる病気は「管内乳頭腫」という病気です。乳管造影検査で、腫瘍の存在がはっきりするか、悪性の細胞が出た場合には非浸潤性乳管癌と考えられ、やはり手術が必要です。

現在、乳癌の手術は、必要最小限の「縮小手術」が主流です。癌を完全に切除できる範囲で、できれば乳頭も残すようにします。総合病院の外科でも乳癌を専門に治療していれば、大丈夫でしょう。疑問な事があれば、主治医によく聴いて、納得できればそのようにするし、納得できなければ断ることです。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1998.12.10
こんにちは。先日乳癌についてのお答えを頂いた者ですが、またお聞きしたいことがあり、メールいたします。今までの経緯は、分泌物の検査で5段階のレベル3と言われ、乳管造影を致しました。その結果、腫瘍は2ミリ程度で、乳管内乳頭腫の可能性が高いということで、乳管と腫瘍を切除する手術をすると言われました。乳管摘出術(マイクロドヘクトミー)という手術でしょうか?切除後の検査で悪性だったとしても、切り取ってしまえばそれ以上の治療は必要ないだろうとのことでした。手術は全身麻酔で5〜6日の入院が必要だと言われましたが、集めた情報によると、局部麻酔でもできるそうです。できれば最短の入院期間で、局部麻酔での手術を希望したいのですがその日の診察では、一月に全身麻酔で手術と言うことになってしまいました。もう一度主治医にお願いして見るつもりですが、局部麻酔による手術では、全身麻酔にくらべてどんなデメリットがあるのでしょうか?生検手術と似ているような気がしましたが、その違いも教えていただけませんでしょうか?お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

(答え)1998.12.10
お答えします。手術は腫瘍部分を含めた乳管摘出術と思われます。局所麻酔でもできる手術です。局所麻酔による手術は、身体への負担が少なく、入院の必要がないというメリットがあります。デメリットは、手術中の痛みが完全には取れないことがあるということと、手術中意識があるので手術の状況が分かるということ(これはメリットかも知れませんが)でしょうか。注意深く行われる生検手術と同じと考えてもよいでしょう。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1998.12.11
迅速なお返事をありがとうございました。とてもよくわかりました。主治医とよく相談してみます。寒さ厳しい折、医者の不養生とならないよう、くれぐれもご自愛ください。(失礼しました)

→ガンに関する一般的な相談 →見出しページへ


[乳房にしこりがあるが、どこでどんな検査を受ければよいか?]

(相談)1998.10.19
はじめまして。33歳の主婦です。実は昨日お風呂に入っていて、左右の乳房に大きさの違うグリッとしたしこりのような物を見つけました(大きさは大きい方で2センチくらいでした)。気のせいかもしれませんが、右の方は触ると痛いような感じです。昨年父を癌でなくしましたので、私は癌にかかりやすい因子を持つ家系でしょうから、「これは癌かも」と心配で昨夜はよく眠れませんでした。でもただ心配していても始まりませんから今日にでも病院へと思ったのですが、一体どんな病院へ行けばよいのでしょうか?いきなり大学病院の外科へ紹介状もなく行くのははばかられ、かといって物の本によると触診はかなり熟練した医師から受けるべきと書いてあり、女性特有の疾患だから婦人科のお医者さまの所かしら?と考えてるうち、どこに相談したら良いのかわからなくなってしまいました。そこで何かの手掛かりにとインターネットに接続したところ、たまたまこちらのホームページを拝見させていただき、親身になってお答え下さるお医者さまのいらっしゃることに感銘を受けました。そこで早速ですが、このような愚かな質問を恥を忍んでさせて頂きます。

初歩的な質問でお忙しいところお手を煩わせて申し訳ございません。「どんな病院の何科を受診すればよいのか」「触診以外どんな検査を受けるのか」「どんなことに注意して検査を受けたらよいのか」そして癌だと判ったら「手術を受けるかなど治療法を、どのお医者さまとどう決めたらよいのか」などアドバイス頂ければ幸いです。本当に図々しいお願いで恐縮です。でも他に相談できるところがないのです。心配で少し精神的に不安定で、文章がおかしいかもしれません。すみません。どうぞ宜しくお願いいたします。

(答え)1998.10.19
お答えします。最近は、少し大きい病院へ行くと「乳腺外来」(病院によっては「乳腺甲状腺外来」「内分泌外科」となっていますが、「外科」というだけのところもあります)という専門の外来を開設しています。乳腺を専門に治療している外科の医師が診察します。昔は触診をして、怪しければすぐに生検(組織を切除して調べる)をしていました。最近は、超音波検査とレントゲン検査(マンモグラフィー)、病院によってはCTやMRIで検査をして診断します。癌が疑われる場合には、診断を確定するために、針を刺して細胞を取って調べることもあります。これらの検査で、癌であるということになれば、やはり手術を受けなければいけません。ではまたいつでもメイルをください。

→ガンに関する一般的な相談 →見出しページへ


[集団検診でみつかり乳房温存手術を受けたが心配]

(相談)愛媛1998.2.6
はじめまして。愛媛県に住んでいます。先週、私の母が乳ガンという宣告を受けました。年齢は54歳です。愛媛県の国立ガンセンターでみてもらったのです。家族にとってもはじめてのことで、落ち込んでしまって、どうすればいいか分からないし、悲しいしで精神的にちょっとまいってしまっています。何か特別相談があるとかいうわけじゃないのですが、ホームページをみて、メールをしてしまいました。

母のガンは、私が聞いたところによると初期のもので、もうすでにガンかどうかを調べるために、しこりを取り出す手術をしました。5ミリ程だったということです。そして、30分くらいで、すぐ悪性と分かりました。良性か悪性かというのは、すぐ分かるものなのですね。それからすぐ手術しましようと言われて、今度の月曜日に全身麻酔をして、乳房のまわりと(でも、乳房は残せるそうです)わきのリンパをとると言っていました。その後、1ヵ月ほどコバルトで治療するそうです。なんでも、このコバルトの治療がとてもつらいと乳ガンを患った知人に聞きました。それと、母のガンは右側にあるのですが、手術後もあまり右手を使ったり動かしたりしてはダメだと同じくその知人に聞きました。これらは、本当なのでしょうか。初期で小さいとは言われましたが、すぐ手術をしましょうと言われたり、コバルト治療もしなくてはいけないしで、とても不安です。毎日落ち込んだり、何をしたらいいか分からなくてオロオロするばかりです。すみません、突然に私事ばかりダラダラと失礼しました。でも、聞いてもらいたくて思わず書いてしまいました。

(答え)1998.2.7
こんにちは。メールありがとうございました。母上は、幸運だったと思います。理由は、まず、ごく早期だったということ、そして、癌専門の病院で治療を受けることができたということです。乳癌の診断は、経験を積んだ医師の診察(触診)と、超音波検査、レントゲン検査(マンモグラフィー)、細胞診(しこりに針をさして細胞を取り顕徴鏡で調べる)などで行います。最近は、MRIなども使うようです。

しかし、早期の乳がんの診断は、しこりが小さいために、これらの検査で分からない場合があり、最終的にしこりを取って、診断をすることになります。診断は、すぐにつく場合が多く、治療は、「縮小手術」と放射線療法というのが、いまの一般的な治療方法だと思います。病気の性格上、早期でも絶対とは言えませんが、まず大丈夫です。前向きに、主治医を信頼して、自分で良くすることに專念することです。手術後は、手術を受けた側の腕を早くから、なるべくしっかり動かすことです。主治医や看護婦さんからも指導があると思いますが、これをサボルと話しを聞かれた患者さんのようになります。こわがらずに、專門家にきいて、治療を受けることです。ところで、国立病院四国がんセンターの外科の医師は、岡山大学第二外科の私の後輩ばかりですので(院長だけは少し先輩)、またなにかあれば、ご連絡ください。いらない心配はせずに、前向きに生きることです。では、これで失礼します。

(返礼)1998.2.8
お返事、どうもありがとうございました。とても、うれしかった。母にも、さっそくコピーして見せたら、あれこれいろいろ悩んでたりしたのですが、落ちついてきたみたいです。とても感謝しています。母と同室の入院患者さんは、みんな遠いところから来ていました。今までは、がんにかかったらガンセンターへというのは当たり前のように思っていたのですが、あらためて、近くに病院があるということが、ありがたく思えました。母の場合は触診では全く分からない状態だったのですが、集団検診のレントゲンでひっかかったのです。やっぱり定期的な健康診断って大切なのですね。「病気の性格上、早期でも絶対とは言えませんが、まず大丈夫です」こう言ってもらって、母もとても落ちついていました。最初、ガンと宣告されたときは、死の宣告を受けたようだと言っていました。

手術は乳房温存手術と、全部摘出するものと選べるようで、またこれでもいろいろ悩みました。看護婦さんは、「自分だったら全部摘出してしまう」と言うのです。いろんな情報が交錯して、本当に迷ってしまいました。でも結局、主治医も温存をすすめるので、温存手術にすることに決めました。主治医は院長の高嶋先生です。同室の患者さんが、センターの医者は、みなさん優秀なお医者さんばかりだと言っていました。岡山大学の医学部といえば、弟の友達が通っています。愛媛大学の医学部に通っていたのですが、なんでも何だかイヤになったとかで、岡山大学を受けなおしたそうです。では、失礼します。いろいろと本当にありがとうございました。

→ガンに関する一般的な相談 →見出しページへ


[乳房温存手術を受けたがリンパや転移とは?]

(相談)1998.1.9
乳ガンとリンパについて、お教えてください。70歳ですが、乳頭近くに、シコリを発見し、乳腺外科で昨年8月乳房温存法により入院手術を致しました。病期は1期でリンパにはきていないとのことでした。術後京大付属病院に入院し2グレイ/1回の放射線照射を25回受けて退院いたしました。下記の点についてお教示くだされば幸甚かと存じます。手術後先生から、わき下のリンパにはきていなかったと告げられました。人によっては3本きていたとか、4本きていたかとか言われたと聞いています。リンパとは如何なる機能を身体でしているものでしょうか?またリンパ管を切るとはどういうことでしようか、ガン細胞との関係をお教えてください。リンパ管は切ったら、つながないのですか。以上

(答え)1998.1.10
お答えします。「わき下のリンパにはきていなかった」というのは、リンパ節(昔はリンパ腺といった)に転移していなかったということです。リンパ系は、身体中にあって、リンパ管とリンパ節からできていて、中をリンパ液か流れています。リンパ管は、細くて網の目のようになっていて、切っても障害はなく、つないだりする必要はありません。リンパ液は、血管や細胞からしみでた透明な液で、リンパ管を流れて首の付け根で静脈に流れ込んで、血液と一緒になります。リンパ管の所々に「リンハ節」があって、関所のような役目をします。普通は身体に入った菌などがひっかかって、腫れて痛みます。癌細胞は、リンパ節にひっかかると、そこで増えてしこりを作ります。これが「リンパ節転移」です。奥様の場合は、早期に発見されて、適切な治療が行われていますので、心配はないでしよう、ただし、「癌」という病気は「絶対」ということが言えません。手遅れの人でも、治る人がいれば、早期の人でもごくわずかの確率で、再発転移する人がいます。安心されて結構ですが、くれぐれもご用心を。病院での定期的な診察を忘れないようにしてください。では。今回はこれくらいで失礼します。

(相談)1998.1.11
メールご確認いたしました。ご多忙中のところを早速ご返信いただき、恐縮に存じます。案件についてのご説明よく分かりました。家内にも見せ喜んでいます。あつかましいと思いながら、いま一つ、お教え願いたくよろしくお願いいたします。よく言われる再発転移の意味でありますが、再発と転移は別々の病気進行状態を言うものでしようか、医学上区分されているものなのでしようか?

(答え)1998.1.12
お答えします。「再発」とは、癌が再び目に見えるかたちででてきたものをいいます。「転移」とは、癌が最初にできた場所(原発巣)から離れた場所に癌細胞が飛んで、そこで大きくなったものをいいます。「再発」のしかたは、癌が最初にできた場所に残っていて、同じ場所にでてくる場合(局所再発)と、離れた別の陽所に癌がでてくる場合(転移)とがあります。どちらか区別がつかない場合もあります。最初の手術の時点で、リンパ節転移があっても、手術で取ってしまえば治る場合もあります。しかし、「癌」にたいしては今のところ決め手はありません。病気はすべて結局、人間の「自然(自已)治癒力」で治るわけですから、「風邪」と同じです。今のところ、「早期発見、早期治療(手術)」が癌を治すために最も有力な方法というわけです。では、これで失礼します。

(返礼)1998.1.13
早々のご回報を感謝いたしております。向寒のおりから何卒健康専一にお祈りいたしております。

→ガンに関する一般的な相談 →見出しページへ