[大腸癌1]

[大腸癌手術1年後に再発して手術したが半年後に又再発した]
[横行結腸癌手術から3年目に再発して再手術を受けた]
[大腸癌手術2年後の局所再発に対して骨盤内蔵全摘術をすべきか?]
[大腸癌の肺転移を切除後、肝転移が発見されたが治療方法は?]
[大腸癌の肝転移を切除したが、今後どのような治療が?]

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[大腸癌手術1年後に再発して手術したが半年後に又再発した]

(相談)熊本1999.2.10
いきなりのメールで失礼します私は鹿児島に住む、34才の会社員です、インターネットで先生の存在を知りました。母(66才)の事で相談させてください。私の実家は熊本市にあり父親と母親の二人暮らしをしています。2年前(97年)の6月に下痢(血便)と腹痛が良くならないと言う事で熊本中央病院というところに入院し精密検査を行っていましたが、大腸、胃、小腸、等の異常無しと言う結果でした。退院する間際、再び異常を訴え、再検査したところ盲腸のところに癌が見つかり、7月に手術を行い、小腸の一部と共に切除しました。 術後、担当医から説明があり、かなり大きく(30mmから40mm)なっていて、リンパまで行っていたため、その付近を大きくとりました、と言われました。(CT,MRI,内視鏡等いろいろ検査してましたが、盲腸付近に出来る癌は珍しい為簡単に見つける事が出来なかったと言う話でした)・・・本当なのですか?再発も考えられると言う事は聞いてましたが、術後は順調に回復し、2週間ほどで退院しました。

退院後、2〜3カ月に一回くらいで、検査を行ってましたが異常はなく順調に回復していると思っていましたが、一年後(98年)の7月くらいに、右下腹部に異常が有ると言う事で検査した結果じん臓から膀胱に行く途中の尿管ところ(外側)に再発していた為、また手術を行い切除しました。(この間、抗がん剤治療はありませんでした)・・・医師からの説明なし。じん臓をとらずに尿官をつなぐ事が出来た、と言う話と、再発した為、5年生存率は20%くらいと言う話を術後に聞きました。(腹膜にも一つ小さな物があった為、取りましたとも言われました)(検査の段階で早めに見つける事が出来ないのかを、聞いてみましたが、難しいと言う返答に頭を抱えてしまいました)1ヶ月後、退院しましたが、1回目のような早い回復がみられず、胃腸が少し弱くなったようですが少しずつ良くはなっているようでした、(退院後体重は落ちたようです)(退院後マーロックスという白い液状の薬を毎日飲んでいました)

検査も半月に1回行うようになり、安心していましたが、99年1月18日の検査時に、去年手術したところが腫れて?おしっこの通りが悪いといわれたようです(本人も少し自覚症状は有ったらしいです) 2月2日の日に病院で病状説明が有り、父親、姉が同行して行きました結果は昨年手術したところ(尿管横の部分)(1)と別のリンパ腺(臓器ではなく)(2)のところに腫れ(転移)が有る事が先日のCTの結果、分かったそうです。 自覚症状の右腹部の痛みは、(1)で尿管が圧迫されスイジン症になっている為だという事です。(2)についてはCTで発見された為、詳しい部位はわかりませんが、腹の中心あたりにあり、MRIで確認してみていないので、CTにかからなかった他の転移も考えられるといわれたそうです。これからの事について、担当医と相談した内容は、手術で(1)の部分(尿管、じん臓、リンパ)を切除する事は可能だが、(2)をとる事は出来ない(神経などたくさん有る為)、(1)をとった後、(2)の部分が勢いづき状況が悪くなる可能性がある、 手術をするかしないか、抗がん剤治療をするかしないかについては家族で相談してください、といわれたそうです。母の今の状況は、昼間は痛みなど無く、普通にご飯を食べ、生活してますが、夜寝ていると、右腹部が痛む事があると言う事です。これからの事で、姉(熊本在住)と私で話し、確認および質問したいことが数点出てきました。答えて頂ける範囲でお願いします。

1、母の場合、転移がリンパ線であり、抗がん剤で治療する場合、リンパに効く抗がん剤はありますか?(担当医よりは腹部のがんに効く物はなく、15から20%の効果といわれました)

2、(1)の部分を手術した場合・手術後、抗がん剤で、(2)の部分のがんに効き目はあるでしょうか?またある場合は何%くらいあるのでしょうか?・3回目の開腹手術になる為、内臓の癒着、体力の消耗でどれほどのダメージが考えられるでしょうか?・(2)の部分が手術後、本当に勢いづくことがあるのでしょうか?(素人考えではそのような事はないと思いますが)

3、手術しないで抗がん剤治療をした場合・通院の抗がん剤の副作用と効果について・入院点滴の抗がん剤の副作用と効果について

4、何もしない場合・前回手術後、約半年で再発したリンパのがんなので、転移が早いと考えられますが、何もしなかった場合、どのようになっていく事が考えられるでしょうか?他の臓器への転移?リンパ線は体中にあるので、どんどん広がっていくのでしょうか?・また、このような場合、今後どれくらいのクオリティオブライフが送れる見込みが有りますか?(どれくらい元気に生きられるのでしょうか?)

5、本人および父の精神的な疲労を和らげられるような所(相談できるような機関)があれば教えてください。(メンタルケア)二人ともかなりショックを受けており、せめて病魔の恐怖から守ってあげたいと思っております。

6、現在右腹部の痛みとは別に、左肩、背中(心臓の後ろ)が、たまに痛む事があると聞いてます、医者に相談したところ問題ないと言われたそうですが(検査しないで…)、本当に検査の必要はないのでしょうか?

7、水溶性キトサンという物が入っている健康食品を、飲みはじめた様ですが、問題はないでしょうか?(姉が、あやしい事は承知で購入し、とりあえず、元気が出るようにと渡したようです)また、たんぽぽの根、さるのこしかけを叔父、叔母が持ってきてくれていると言う事も聞き、母も半信半疑ですが、効くのかなと思っているようです、そのようなものを信じさせて心理的にリラックスしてもらうことも、治療になるのかなと思いますが、先生の意見を聞かせてください?

8、現在、家族だけで、病状の予測も出来ず、今後の判断に苦しんでおります、また2月16日に再度病院へ出向き今後の手術、治療の方向付けを担当医と話す予定になっておりますので、どのようにすることが最良の方法になるかのアドバイスをお願いいたします。願うは普通の暮らしを長く続けていく事、痛み苦しみを如何に少なくする事、病気の進行を出来るだけ遅らせたい、という事です。情報が少ない中、難しいとは思いますが、よろしくお願いいたします。

(答え)1999.2.11
お答えします。大変ご心配のことと思います。これからの残された時間の過ごし方について、一番大切なことはご本人の意志です。本人の意志を尊重して、家族と医師・医療チームが最期まで支えてあげることです。残念ながら進行癌や末期癌に対する決めてはありませんので、「普通の暮らしを長く続けていく事、痛み苦しみを如何に少なくする事、病気の進行を出来るだけ遅らせたい」ということを目標にして、本人と家族を中心に、色々な人たちで支えていくことになります。それをホスピスケアといいます。ホスピスは決して死ぬための場所ではありません。痛みや色々な苦痛事をうまく取って、最期までその人らしい(人間らしい)生き方ができるように、支え、寄り添い、共に歩むための医療システムです。家族への支援と遺族へのケアも含みます。熊本では「イエズスの聖心病院」にあります。母上は皆さんに生と死について考える機会を与えてくださったのだと思います。

さて病気についての相談に移りましょう。母上の病気は進行大腸癌(盲腸癌)ですね。おそらく病期はデュークス分類Cで、5年生存率が60%だったと思います。大腸癌は比較的進行が遅く、転移に対しても治療ができれば、それなりの効果が期待できます。肝臓に転移することが多く、定期的に検査をします。診断や治療については、医師の知識と経験と技術と熱意と患者さんを思いやる心によります。病院の医師は多くの場合、すでに診断がついた紹介患者の治療を担当する場合が多く、母上の場合も症状と経過からは大腸癌が最も疑われたと思いますし、開業医であれば触診と簡単な検査で診断がついたかも知れません。進行癌の治療については決め手がなく、最初の治療(手術)のときにできるだけのことをしておいて、後は経過によって必要な治療をしていくことになります。

1、母の場合、転移がリンパ線であり、抗がん剤で治療する場合、リンパに効く抗がん剤はありますか?
化学療法(抗癌剤治療)も進歩していますので(やはり可能性は低いとは思いますが)効く人もいます。

2、(1)の部分を手術した場合 、手術後、抗がん剤で、(2)の部分のがんに効き目はあるでしょうか?またある場合は何%くらいあるのでしょうか? 3回目の開腹手術になる為、内臓の癒着、体力の消耗でどれほどのダメージが考えられるでしょうか?(2)の部分が手術後、本当に勢いづくことがあるのでしょうか?

この場合の手術の目的は、治る可能性の追及でなくて、尿路系(腎臓、尿管など)への影響による症状を取ることと、手術して取っただけ癌細胞の量を減らすことができるということです。抗癌剤の効果にしても、ご本人の癌と闘う気持の問題が大きいと思います。徹底的に闘かおうという意志であれば、ある程度それなりの効果が期待できるかもしれません。抗癌剤も手術も、体力の消耗と副作用によって、回復には時間がかかりますので、そのような状態の時、残った癌が急速に増殖することもあります。

3、手術しないで抗がん剤治療をした場合、通院の抗がん剤の副作用と効果について、入院点滴の抗がん剤の副作用と効果について
徹底的に闘うかどうかという本人の意志次第だと思います。効果を期待するのであれば、入院して徹底的に化学療法を受けるし、気休め程度でよければ通院で治療を受けることになると思います。結果については、差がないかも知れません。あくまでも本人の意志によります。残された時間を、本人がどのように使いたいかと言うことではないでしょうか。正解やマニュアルなどはありません。

4、何もしない場合、前回手術後、約半年で再発したリンパのがんなので、転移が早いと考えられますが、何もしなかった場合、どのように なっていく事が考えられるでしょうか?
どこの癌が大きくなり、どこへ転移するかということで、色々な場合が考えられますが、起きてくる症状に対してその都度治療をしていく以外に方法はありません。直接命を脅かすようなことが起きなければ1年くらいは大丈夫かもしれません。QOLについては、今後起きてくる症状によります。痛みなのか、腸閉塞などで食べられなくなるのか、腹水なのか、肝臓に転移して黄疸が出るのか、脊椎に転移して動けなくなるのか、脳に転移して意識がなくなるのか、肺に転移して呼吸が苦しくなるのか、何も起きずに次第に衰弱していくのか、進行が遅くて数年生きられるのか、奇跡が起きて治るのか、先のことは分かりません。今を大切に生きることを考えることです。

5、本人および父の精神的な疲労を和らげられるような所(相談できるような機関)があれば教えてください。
「イエズスの聖心病院」だろうと思います。現在の担当医、医療スタッフ、家族、周囲の人たちなど多くの人たちによって支えてあげなければいけません。

6、現在右腹部の痛みとは別に、左肩、背中(心臓の後ろ)が、たまに痛む事があると聞いてます、医者に相談したところ 問題ないと言われたそうですが、本当に検査の必要はないのでしょうか?
まず問題は無いと思います。もしそれが転移であるということが分かったとしても、できることがないのではないでしょうか。どうしても知りたければ検査を依頼することです。

7、水溶性キトサンという物が入っている健康食品を、飲みはじめた様ですが、問題はないでしょうか。

気持の問題です。本人が信じて飲むのであれば、ある程度の効果は期待できます。他に心のよりどころとなるものが無ければ、それでも良いのではないでしょうか。健康食品はあくまでも「食品」ですので間違わないようにしてください。何を食べようとその人の自由です。

8、現在、家族だけで、病状の予測も出来ず、今後の判断に苦しんでおります、また2月16日に再度病院へ出向き今後の手術、治療の方向付けを担当医と話す予定になっておりますので、どのようにすることが最良の方法になるかのアドバイスをお願いいたします。

今までの経過と現在の状態から、何をすべきかということ(複数の選択肢があると思います)を担当医と良く相談して、本人が決めることです。先のことは誰にも予測できません。徹底的に闘う方法から、何もしない方法まで色々な方法が考えられます。どれがよいとか、悪いとかということはできません。本人の意志次第で、できることはしてくれるでしょうし、できないこともあると思います。もし自分だったらということを考えればよいのではないでしょうか。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.2.12
鹿児島の○○です。早々の御返信どうもありがとうございました、大変参考になりました。母も2日の説明の後は、こちらから電話しても分かるほど落ち込んでいましたが今週になって、大分、精神的にも落ち着いてきたようです(声が大きくました)(元気づけようかと思い、先週の土日に私一人で熊本に行き、話し相手になってきました)これからの事については、明日明後日にも熊本に行き、家族で話してみようかと思います。(今週は娘(5才)と二人で行き、すこし笑わせようかと考えています)先生が言われた「先の事は分かりません、今を大切に生きる事を考える事です。」は私も常に考えている事で、先週も熊本に帰った時、同じような事を母に話した気がします。「俺だって、誰だっていつ交通事故に遭って、亡くなるかも知れんし、やっぱり今が一番大事と思っておかなんいけん、かあさんも自分が病気なんだ〜とばかり考えないで明日は何をしよう、何処に行こうとか楽しい事を考えてみたほうがいいよ。だれでも、いつかは亡くなるし、太く短くの人も細く長くの人もみんな一緒でしょ!」と言ったような・・・・・(私は比較的楽観的でくよくよするのがいやな性格です)性格的に母と私(血液型A型)はすこし似ているようで、そうよね!と共感してくれたようではありました。対照的に姉はとことん追求するがごとく、図書館に行きがん関係の医学書を読み漁っているようです話もちょっと暗い方の話題になる傾向があり(事実そうなるかもしれないので、考える事も必要とも思いますが・・・)私にはちょっと聞く事がつらくなるような話もしたりします。(父と姉はO型です)父は毎日、母と生活している為、大変辛そうです、笑顔も少ない為、もうちょっと元気をだすよう、話をしましたが、だめです。(元々物静かな性格なので、それでもいいかと思います)これからどのようになるのかは、誰にも分からない為、母の意見を第一に聞き入れ、これからの治療方法を家族で決めようと思います。また先生にメールで相談事をお願いするかもしれませんので、そのときもよろしくお願いします。

(相談)1999.3.27
お久しぶりです、99年2月10日にご相談させて頂きました、鹿児島の○○です。母の近況の報告と、質問が何点かありますので、よろしくお願い致します。 あの後、母が出した結論は、手術を行いじん臓を含む尿官部分の切除でした。しかし、泌尿器の先生と相談てみたところ手術をするほどでもないと言われ、とりあえず、手術はやめる事にして、治療していく事になりました(その時の母はちょっとホッ!とした表情でした)。 その後、2月23日くらいよりNR422(ドキシフルリジン、5DFUR)という抗がん剤を服用し始めました、3月から病院から出してもらっていた漢方薬(補中益気湯)とは別に他の漢方の先生に見てもらい、白花蛇・・、人参?などを配合された漢方薬も服用してます(キトサンも2月から続けてます)。母の病状は、やはり夜になると痛むらしく、病院よりもらっている痛み止め(座薬)でとりあえず安眠はできているようです、食欲もあり、ご飯がおいしいといってます。ただ、多く食べると胃腸の調子が悪くなるみたいです。 3月23日に検査を行いCTも採るということでした、私も運良く熊本に行っていた為、主治医の検査結果の説明を、一緒に聞く事が出来ました。 1月19日のCTとくらべて、大きさは変わっていないと言う話でした、またCTをみたところ、尿官部分ともう一つは背骨のそばにありました。 腫瘍マーカーの数字について質問してみましたが、・・19というところが 9.3と言う値で異常値ではないといわれました。

質問1、今回の検査にて、がんの大きさに変化がないと言われましたが(2ヶ月後)薬が効き、いい傾向に進んでいるかもしれないと考えてもいいのでしようか?

質問2、この抗がん剤(NR422)はどのようなもので、副作用はどのような事が考えられる物でしょうか?(けっこう高価なようです)

質問3、3日くらい前より、胃がむかつき出したといってます、薬の量もあわせるとかなりの量なのでそのせいかとも思いますが、抗がん剤をやめようかともいってます、どうすべきでしょうか?以上です

私も、この何週間かでいろいろな本を図書館で借り、読みました、またBS放送でやっていた、がんの番組も録画し、熊本に送りました。気分的にも一時期の不安を乗り越え、妻とも真剣に死について話しをしたりすることで、精神的にもすこしだけ強くなれたような気がします。先生から言われた「母が死について考える機会を与えてくれた」という言葉がすごく現実的でした。 長くなりましたがよろしくお願いいたします。

(答え)1999.3.29
お答えします。母上は「手術を行いじん臓を含む尿官部分の切除でした」を望まれたにもかかわらず、泌尿器の先生は手術をするほどでもないと言われたとのこと、「癌で手術をするほどでもない」というのは「手術ができない」と言う意味だろうかと思います。真実はどうなのでしょうか。

質問1、今回の検査にて、がんの大きさに変化がないと言われましたが(2ヶ月後)薬が効き、いい傾向に進んでいるかもしれないと考えてもいいのでしようか?
癌の大きさが小さくなった場合を「効果あり」と判断します。

質問2、この抗がん剤(NR422)はどのようなもので、副作用はどのような事が考えられる物でしょうか?(けっこう高価なようです)
現在、よく使われる抗癌剤の一つで、有効率は乳癌36%、胃癌14%、大腸癌9%となっています。主な副作用は下痢、悪心・嘔吐、食欲不振、腹痛、口内炎、胃痛などですが、その他、あらゆる副作用が書いてあります。

質問3、3日くらい前より、胃がむかつき出したといってます、薬の量もあわせるとかなりの量なのでそのせいかとも思いますが、抗がん剤をやめようかともいってます、どうすべきでしょうか?
ご本人が決めることです。担当医とよく相談して、残された時間を本人の意志を尊重して使ってあげてください。できれば楽しい想い出をできるだけ沢山つくってあげることが良いのではないかと思います。ではまたいつでもメイルをください。

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[横行結腸癌手術から3年目に再発して再手術を受けた]

(相談)1999.1.21
始めてお便りいたします。私(44歳女性)自身の癌についてお伺いします。よろしくお願いいたします。

「経過」1996年3月、横行結腸にできたポリープによる腸閉塞で手術を受けました。進行性の癌であったということで大腸の右半分とリンパ組織を切除しました。目に見える範囲のものは全部取れたが完治の可能性は50%、転移が起こるとすると肝臓が心配され半年、1年、2年と時が経過するほど治癒の可能性が高くなると聞きました。大腸癌には抗がん剤は余り効果がないと言う説明でしたが副作用のない範囲でフルツロンを経口服用し定期的に診察を受けていました。 昨年10月生理時に腹痛と下腹部に強い圧迫感を感じました。これまでに経験したことのない感覚で生理が終わっても圧迫感が残ったので子宮体癌・頚癌・卵巣癌・乳がんの検診を受けました。前回の検診から1年半ほど経っていましたが子宮筋腫はあるものの手術の必要があるほどではなく生理痛のコントロールができ貧血の問題がなければ閉経まで様子を見ようとのことでした。それまで自覚症状はなく、生理も定期的にありました。

婦人科で問題がなければこれは腸からくる異常だと思い、4週間ごとの定期診察の予約を早めて受診しました。直腸部の触診の後、主治医は直腸に向けて外部から強い圧迫があり何かが急に起こっていると言う診断で即日CT、翌日レントゲンなどの検査を受けました。カメラの検査は半年前に受けており、その時点では異常無しでした。最初の手術のときから私は告知を希望しましたし、先生も3年近いやりとりの中で、自分の体についてはまず自分がきちんと知りたいと想っている私の気性をわかってくださって、非常に重い話になると言う前置きの後で、転移により腹腔内に複数のガンがある可能性があると話されました。しかし、腫瘍マーカーの値は手術時8であったが、その後2.5前後で、いまも3と問題ないこと、私が一見元気そうで腹水がたまっていないことなど開腹しなければ断言できないとのことでした。開腹して少なくとも直腸部で起こっている狭窄を解決するために人工肛門をつけ、後は状況に応じて処置するという話でした。万が一すべての癌がとりきれないような事態が起こっていても、現在自分たちがかかわっている免疫療法や民間療法など情報を集めて最後まで付き合うから、とサポートしてくれました。最悪のことが起こっていた場合、これはあなたがそういう星の元に生まれた運命だとしか、いまの医学の力では言いようがない。しかし最善を尽くします。患者の立場で本当に信頼できる先生だという確信があったのですが、命にかかわるレベルの問題ゆえに、私はセカンドオピニオンを得たいと言う気持ちを先生に伝えました。入院までの日を利用して、私にもいろいろ情報を集めてくださいというアドバイスと共に、他の医師に判断を得るための検査結果など快く準備してくださいました。阪大病院で得た診断も、主治医のものと同じでした。私はさらにアメリカに住み、自分たちもそこで癌と戦った経験を持つ弟夫婦と連絡をとりました。義妹がかなり進んだ卵巣癌を手術し、すでに7年経過していること、弟が臨床医ではないけれど医学部で研究生活をしていることもあり、よい情報が得られるかもしれないと思ったからです。向こうでは医者は、患者本人以外には病気についての相談には応じない、と言うことだったのでアポイントを取ってもらった中で、日系人の女医さんと電話で話をしました。詳しく症状や2つの病院での診断の結果を伝えると、臓器移植と血液疾患意外については日米での技術的な差はないから問題はターミナルケアについてのことだろうと言う内容でした。

昨年11月12日覚悟を決めて前回と同じ先生の手術を受けました。結果は予想とは違ったものでした。直腸の外壁と子宮の外壁が癒着しその両側に癌がありました。また、右卵巣に1.5センチの癌が見つかったと言うことでした。左右の卵巣と子宮、直腸の一部を切除する6時間あまりの手術になりました。医師によると、ぎりぎりの判断で人工肛門をつけない処置をした、ということでした。手術直後は、肛門の括約筋も切除してあるということで、排便のコントロールが非常に難しく、大変でした。手術後2ヶ月を過ぎた先週ぐらいから排便のコントロールが少し楽になりトイレの回数が減ってきたように思います。手術前には人工肛門の場所も決めて望んだのですが、医者の判断に感謝しています。今回は抗がん剤の投与はは手術時と、入院中食事が普通に戻ってから1度受けました。その後、インフォームドコンセントを受けた上で、横浜の生体調節研究所の佐藤一英先生の免疫療法を4週間に1度の割合で、主治医の観察の元で受け始めました。臨床試験中の治療法であり、効果があると言う実証はされていないが効果が見られた例はある。また、抗がん剤のような副作用はないというように認識しています。

さて、質問に入ります。
*主治医(外科医)は今回の私の状況について、予想外で経験のないケースだと言われます。果たして今回の発病は、前回の横行結腸からの転移だと考えるべきなのでしょうか。それとも、新しい癌が発生したものなのでしょうか。
*2週間前からエストロゲン(エストリール1mg×2)を毎日服用しています。7年前に両卵巣、子宮の切除手術を受けた義妹は6クールの放射線治療を受けた後、乳がんの危険性を避けるためと言う医師(インディアナ大学医学部)の判断で1年間男性ホルモンを服用し、その後引っ越した先の病院(ワシントン大学医学部)で女性ホルモンを取り始めたといいます。私が主治医から紹介されて相談した婦人科医は、エストロゲンによる乳がんの心配はないといわれますが、これほど複数の癌の経験をした私にはやはり心配です。これは危惧にすぎないのでしょうか。
*現在受けている治療は経過の最後の部分で述べました免疫療法(生物組織再生化タンパク療法)です。その他自分では睡眠、栄養、適度に体を動かすことや、ストレスをためないようにとかいうような常識の範囲内の心がけをしているのみです。最近複数の人からプロポリスがいいと言うような話を聞きました。私自身も以前から少し興味があったのですが、それを含めて日常生活の中でプラスになるようなアドバイスがおありでしたらお教えください。何気なく開いたインターネットのページで、このコーナーを知りました。アドバイスなどいただければ幸せです。

(答え)1999.1.22
お答えします。

1)果たして今回の発病は、前回の横行結腸からの転移だと考えるべきなのでしょうか。それとも、新しい癌が発生したものなのでしょうか。

経過から考えれば、やはり前回の癌の転移が考えられます。今回の手術で切除した癌の組織検査の結果と前回の癌の組織検査の結果を比較すれば、分かりますので担当医に聴いてみてください。

2)エストロゲンを服用していますが、乳がんの危険性が心配です。
エストロゲンを服用する目的が、更年期障害と同じ症状が出るのを防ぐためだと思いますので、定期的な検診を受けていればもしできたとしても早期発見できますが、無理に飲まなくてもよいかも知れません。担当医とよく相談してみてください。卵巣癌の手術後に、乳がんの危険性を避けるために男性ホルモンを服用するという治療方法は始めて聴きました。調べてみます。
3)日常生活の中でプラスになるようなアドバイスを!
ホームページに一応書いてありますので読んでみてください。

大変前向きの闘病をしておられますので、担当医を信頼して治療を続けて下さい。しかし人は誰もいつかは命が尽きますので、残された時間をどのように使うかということも考えておかなければいけません。病院でできる治療を受けたうえで、あとはあなたの治癒力で治す以外に方法はないと思います。プロポリスはオーストラリアへ行くと安い値段でいくらでも売っています。オーストラリアの人に聴くと「風邪薬」だそうです。彼らは、うがい薬としてプロポリスを使っています。自分の命ですから、自分で納得して自分で決めて、それを信じる以外にないと思います。あまり人の言うことにまどわされないようにしてください。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.1.22
お返事ありがとうございました。 私の舌足らずのところがありましたが、エストロゲンは骨量の減少を防ぐために服用を勧められました。様子を見てホルモン欠落の症状が強く出れば服用の量を増やすと言う説明を受けています。プロポリスについては興味がなくなりました。また、癌の組織のことは次回の診察時に、主治医の先生にお伺いしようと思います。先生のおっしゃるとうり、人間誰もが与えられた時間には限りがありますが、病気をきっかけとして、残された時間をどう生きるかと言うことは私にとっては、本当に大きなテーマになりました。また40代半ばの身にしては、残して行く家族のことが気にかかるのも事実です。またお便りすると思います。よろしくお願いいたします。

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[大腸癌手術2年後の局所再発に対して骨盤内蔵全摘術をすべきか?]

(相談)奈良県1998.12.25
62歳の義父のことでご相談させていただきたく、突然メールさせて頂きます。
[相談までの状況]
約2年前、結腸癌(上行結腸:進行癌)と診断され、結腸及び盲腸の切除手術を受けました。担当の先生のお話では、入院中と退院後通院中に各1回(計2回)抗癌剤の投与を行ったが、副作用が出て本人が嫌がった為、以降抗癌剤の投与は行っていなかったようです。ところが、今年の11月に入った頃から度重なる腹痛に悩まされ、11月末に検査入院しました。先日(12/19)担当医師の方から家族への呼び出しがあり、「癌再発による腸閉塞、腹膜播種の疑いあり、第5期と見込まれる」とのお話しがありました。とりあえず、開腹しないと詳しいことはわからないし、腸閉塞の方は急ぎ手術が必要ということで、12/22に腸閉塞の手術を受けたところ、直腸と膀胱の間に「くるみ大」の癌(今のところ1つだけ)が確認されました。この時はバイパス手術だけを行い、一旦終えています。術後、担当医師の方から「癌を取り除く為には、骨盤内全摘が必要になる」と言われており、今後の対応について、「手術の実施」「抗癌剤による薬物療法」「何もしない」の中から選択の上、年内中に回答するよう求められています。

[ご相談したい(教えて頂きたい)こと]
・骨盤内全摘というこの手術の危険度は、いかがなものなのでしょう?また、術後の生活はどのようなものになるのでしょうか?
・本人への告知については、家族の中でも意見が分かれています。どのように考えることが父にとってよりベターなのでしょうか?(父はどちらかと言うと短気・神経質な方で、何事も自分が納得できないと嫌な質です。先日の手術後もちょっとしたことで、看護婦さんにあたることがあったようです。)
・選択に当たって考慮すべきことは、どのようなことがあるのでしょうか?
・上記の選択に関し、先生のご判断(ご意見)を参考までに教えていただけませんか?お忙しい中でしょうが、よろしくお願いします。 

(答え)1998.12.25
お答えします。大変ご心配のことと思います。まず、担当医が「骨盤内臓器全摘術」を行えば、癌を取り除くことができると言っていますので、癌の再発は「局所再発」であって、「腹膜播種」も肝臓などへの転移も無かったということだと思います。担当医が、三つの選択肢を示したのは、癌(特に再発癌)の場合、手術で癌を取り除いても、治るという保障はないことと、その手術によってQOLが著しく低下するためです。癌の治療では、こうしなければならないとか、こうしたら必ずこうなるというようなことは言えません。本人が選択すべきです。そのためには当然本人に真実を話してあげなければいけません。もし自分だったらどうするかということを考えてみてください。

「骨盤内臓器全摘術」という手術は、直腸と膀胱と前立腺を摘出し、人工肛門造設術と尿路変更術を行うものです。つまり、便も尿もお腹の皮膚にあけた穴から出すようになります。本人が納得しないかぎり、できない手術です。手術そのものは経験の豊富な外科医が行えば、特に危険な手術ではありません。術後の生活を想像してみてください。できれば、同じ手術を受けた人を紹介してもらって、話しを聴いたり、身体の状態を見せてもらったほうが良いでしょう。もちろん、本人が。どんなことをしてでも、治る可能性にかけるか、あきらめて静かに死を待つかということだと思います。自分の命のことは、自分で決めたいとは思いませんか。家族は、そばにいて、支えてあげることです。家族の支えがあれば、どんなにつらい治療でも耐えられると思います。ドイツの諺に「分かち合う喜びは二倍の喜び、分かち合う苦しみは半分の苦しみ」という言葉があります。本人への告知をしないということは、一人でかってに苦しみなさいということではないでしょうか。共に歩んであげてください。先のことは分かりません。何が一番良いかということも分かりません。それでも決めて前に進まなければいけないのです。時は人を待ちません。生と死を考える機会を与えられたと思って考えてみてください。いずれは誰にでも起きる「人生の危機」です。次はあなたの番かも知れません。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1998.12.28
先日メールさせていただいた、○○です。突然のメールにも関わらず、さっそくご返信いただき、本当にありがとうございました。患者を抱える私達にとって、このように相談(悩み)に応じていただける方がいることそのものが、大変心強く、ありがたいことです。心から感謝申し上げます。さて、先のメールから先生のアドバイスも参考にさせて頂き、家族の間では今回の件について、父にも正直に状況を告知した上で手術を勧め、これを家族皆で支えていこうという方向で意見がまとまりつつあります。少し気弱なところがある父で、告知の際の精神的なショックにうまく対応してくれるか、うまく気持ちを前向きに切り替えてくれるか心配な部分もあるのですが、やはり先生のおしゃるとおり、本人の納得が何よりも大切なものだと思いますし、家族もその上でこそ、本当の意味で支えていくことができるのではないかと思っています。ところで、今後のことで更にご相談したいことがあり、重ねてメールさせていただいています。

最近雑誌・本などで、「(水溶性)キトサン」に関する記事・紹介を読みました。他にもたくさんある「癌に効果あり」と言われる健康食品類の1つに過ぎないものかもしれませんが、「信ずれば、救われる」で、本人にとっても周りの家族にとっても、今後の闘病生活の中での1つの希望・心の支えになるのであれば、その効果に賭けてみても良いのではないかと思っています。ただ続けるとなれば、なにぶん経済的な負担もあることですし、とかく健康食品には後ろ向きな印象があることも確かです。そこで、「(水溶性)キトサン」について、先生のご存知の範囲で結構ですので教えて頂けませんか?(特に以下の点について)

・もし、手術後抗癌剤等の投与を行う場合の併用の可否・留意点
・キトサンに関する(学術的?)評価、研究の状況
・これを製造・取扱っている業者等、ある程度信頼のおける入手方法
なんだか、無理な相談をしているようで心苦しい限りなのですが、よろしくお願いします。

(答え)1998.12.28
メイルありがとうございました。

「告知」は、ただ真実を伝えるだけのものではなく、希望を失わないように伝えることと、いつでも皆で支えてあげるということを伝える必要があります。本人と家族が同席して、医師から話してもらうのが良いでしょう。たとえ治すことが難しい場合でも色々な治療方法があるとか、人工肛門などで身体に大きな変化を来たすような場合でも、充分うまくやっていけるとか、本人が納得できるように話しもらいます。告知を受けた人は、やはり精神的なショックにうまく対応して、うまく気持ちを前向きに切り替えるまでには、ある程度の時間がかかります。良くない真実を知ったときの心理的変化は、だいたい共通しています。「初期反応期」(1週間以内):否認、信じられない、頭の中が真白、他人ごとのよう、絶望感、「苦悩・不安の時期」(1ー2週間):苦悩、不安、抑鬱、不眠、食欲低下、集中力低下の症状が何度も起きる、同じことを繰り返し尋ねる、「適応の時期」(2週間から1か月ー時には3か月):現実の問題に直面し、新しい事態に順応するようになるという過程をとりますが、すべてを数時間から数日ですませる人もいます。家族の援助が大切です。

「健康食品」のたぐいは、「闘病生活の中での1つの希望・心の支え」です。どれも同じと考えてよいと思います。「食品」と「薬品」は、法的にも扱い方が全く違います。品質管理も雲泥の差があります。たとえば私が草かなにかを取ってきて、少し加工して内容と量を表示して届ければ、害がなく、製造したときに表示通りの内容であれば、健康食品として販売を許可されます。私たちの会の会員が、実際に野草で作ってたしかめました。はっきり言って気休めです。インチキも多いと思います。人の弱みに付け込むような商売です。医師が加担している場合も多いようですが、そのようなことを承知の上で、使用している人が多いのも事実です。その効果に賭けてみるのは、個人の自由です。何でも治るとか、あまりにも高価なものは避けたほうが良いと思います。「(水溶性)キトサン」についても、「癌が治る」とか「薬」という表示はしていないと思います。もしそのようなことをすれば、薬事法違反となります。あくまでも「食品」です。私は一貫して、特定の健康食品をおすすめするようなことはしていません。あくまでも本人の自由だと思います。本人と家族の心の支えになるのであれば、無理のない範囲で試みられたら良いと思います。

(返礼)1998.12.30
奈良県の○○です。年も押し詰まったご多忙な時期に、いろいろと相談に乗って頂きありがとうございました。先生にいただいたアドバイスを参考に、患者本人ひいては家族にとって一番良い選択ができるよう、これからも皆で考えていきます。明日(31日)病院の方に担当の先生を訪ねることになっています。(先日メイルさせて頂いた方向で家族の気持ちは固まっています。)今後、また私達に迷い・不安が生じた時は、先生に甘えさせていただきたいと思っています。遠慮のない言い方で申し訳ありませんが、その時はどうかよろしくお願いいたします。私も、明日からお正月休みに入ります。会社の設備をこっそり使ってメイルしているものですから、正月明けの出勤まで何のご挨拶もできませんが、先生とご家族、また「びんご・生と死を考える会」の皆さんのご健康とご多幸をお祈りしています。ありがとうございました。どうか良いお正月をお迎え下さい。

(相談)1999.1.22
昨年末にお世話になった奈良県の○○です。年明けのご挨拶もせず、失礼を致しました。義父の件でその後状況に大きな変化(残念な結果です)があり、メイルさせて頂く次第です。昨年末、先生にご相談させて頂いた時は「骨盤内臓器全摘術」で少なくとも癌の摘出が可能だろう、その後は本人の頑張りを家族で支えよう。という結論になり、担当の先生から告知して頂き、本人もその気で先日(1/20)手術を受けました。ところが、開けて見ると癌が他にも見つかり、結局「人工肛門造設術」は行いましたが、膀胱の摘出(尿路変更術)はせずに終わっています。手術立ち会った家内からの話で、かつ詳しいことは、日を改めてということになっているのですが、術後の簡単な説明では「腹膜播種」もあったようで、予定の手術(膀胱もとる)を行っても無駄ということだそうです。おそらく、前回の腸閉塞の手術の際には解らないくらいだったものが、この少しの間(約1ヶ月)に大きくなったということなのでしょうか。今後のことは、あらためて担当の先生に詳しいお話を伺い、相談しないと何とも言えないし、それから考えようと思っているのですが、以下非常に気になっていることがあり、先生のご意見を伺わせて下さい。

(ご相談1)先の告知の時も本人はやはりショック受けていました。(先生に教えていただいた反応が見られました。)それを何とか乗り越え今回の手術を受けています。でも、今度告知しなければならない内容はそれより悪いものです。周りの家族(義姉と私の家内)は告知に反対しています。前回の告知の時の父親の反応を目の当たりにしていますし、やはり父親の性格を理解しているからだと思うのです。しかし一方で今回の手術前の告知で病状と共に、予定されていた手術の内容を本人は知っています。ところが、実際の病状・手術は異なるものになっています。おそらく本人は不審に思っているはずです。本人も納得する形で隠すことはできないような気がします。このような状況をどう考えたら良いのでしょうか、以前から先生にアドバイスいただいたことを考えあわせれば、やはり本人には本当のことを知らせた方が良いとは思っているのですが、2重にしかも悪い方向への告知をされる側の義父の反応が心配です。一度は手術に賭ける気持ちになっていただけに、その分反動が大きいような気がするのです。どのようなことに気を付ける必要があるのでしょうか?

(ご相談2)今回のことで、義母のショックも相当のようです。前回の告知の際も母は動揺していましたし、告知後ショックを受けて、ちょっとのことで荒れることもある父との間で、心労も重なっていると思います。先に書いたのと同様、義母にしてみても、一度は気持ちを前向きに切り替えて父の看病をしてきただけに、今回の結果はとても反動が大きいと思うのです。義母に対して、私達周りの家族はどのように接していってあげることが良いのでしょうか?どのようなケアが必要なのでしょうか?

以上2点とり急ぎご相談申し上げます。いつもいつも急な相談で申し訳ありません。よろしくご教授願います。

(答え)1999.1.23
お答えします。「腹膜播種」もあったということ、大変残念としか言いようがありません。残された時間をどのように過ごすかということを考えなければいけません。楽しい想い出を沢山作って上げて下さい。

(ご相談1)やはり本人には本当のことを知らせた方が良いとは思っているのですが、2重にしかも悪い方向への告知をされる側の義父の反応が心配です。どのようなことに気を付ける必要があるのでしょうか?

(ご相談2)義母のショックも相当のようです。私達周りの家族はどのように接していってあげることが良いのでしょうか?どのようなケアが必要なのでしょうか?

お二人に対しては、同じような対応が必要だと思います。たとえ「治る」という「希望」がなくなったとしても、家族や医師や周囲の人で二人を支えてあげて、また新たな希望がもてるように援助してあげてください。そのためには、やはり「死」というものを受け入れなければいけないと思います。少しずつ「死」と「死後の世界」について話し合うことが必要だと思います。「死」にたいする不安や恐怖は、人間の正常な反応で誰にでもあるものです。しかし、不安や恐怖の理由は人によって違いますので、話しを聴いてあげて少しでもやわらげるようにしてあげることです。むやみに否定したり、激励したりせずに、受け入れて共感し、不安や恐怖について共に悩んで、新たな希望を一緒に探してあげてください。おたがいに「ありがとう」といえる最期を迎えられるように、家族の人の最大の援助が必要です。母上が一人残された場合にも、引き続き同様のことを繰り返すことが必要だと思います。いずれは、誰にでも訪れる人生の危機です。みなさんが多くのことを学ばれて、人間的に成長されることを期待致します。ではまたいつでもメイルをください。

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[大腸癌の肺転移を切除後、肝転移が発見されたが治療方法は?]

(相談)1998.11.23
57歳の父についてお願いします。昨年4月にS状結腸にステージ3aの癌が見つかり、切除手術を受けました。その後、今年6月に右肺に1cmの転移が見つかり切除手術を受けました。そして、また、先月肝臓の胆嚢に接しているところに2cmの転移巣が見つかり、手術を受けることになりました。その手術方法ですが、内科で検査を受け、以下3つの方法があげられました。
 1 転移巣を含んだ肝臓右葉切除
 2 体外からのマイクロ波焼灼凝固療法
 3 開腹下胆嚢切除および術中マイクロ波焼灼凝固療法
が検討されております。そこで、それぞれの長所、短所、合併症、後遺症、再発の確立、輸血の有無など、が知りたいと思います。また、本人は3を希望しておりますが、先日外科の先生と話をしたところ、少し肝臓を切ったほうがよいのでは、という意見があったようです。肝臓を切除するということはリスクが大きいと聞いておりますが、どのようなことがおこりうるのでしょうか。先生ならどんな手術方法をすすめられますでしょうか。どうかお返事をお願いいたします。患者の娘より。

(答え)1998.11.24
お答えします。転移性の癌は、最初の手術の時点ですでに転移していた癌細胞が、目に見えるまでに増殖・成長して来たものと考えます。初発の癌病巣であれば、なるべく大きく取って癌細胞をそこに残さないようにしますが、転移性の場合には、一つ取ってもまた次に出てくる可能性が否定できませんので、なるべく小さく取って、また出てくればまた取るということを繰り返します。したがって、転移巣を含んだ肝臓右葉切除などという大きな手術(侵襲が大きい・身体の負担が大きい)をした場合、もし残された肝臓にまた出てきた場合には、もう取れません。体外から(侵襲が小さい)のマイクロ波焼灼凝固療法は、最近流行の方法ですが、不確実です。となると、開腹下胆嚢切除および術中マイクロ波焼灼凝固療法ということになりますが、開腹するのであればできれば周囲の肝臓組織を少し含めて癌を切除したほうが焼灼よりも確実だと思います。いずれの方法でも、経験を積んだ専門医(専門病院)が行えば、輸血は必要なく、後遺症もほとんど無いでしょう。再発するかどうかは、どの方法でも差はなく、最初の手術の時点での癌細胞の散り方と、散った細胞が増殖・成長するかどうかということによります。肝臓は人間が生きていくためには無くてはならない臓器です。肝臓を切除するということは、取れば取るほど肝臓の働きが悪くなるということです。取る量(大きさ)が少ないほど、身体への影響が少ないということです。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1998.11.25
数野先生、早々に貴重なお答えをいただきありがとうございました。とても参考になりました。父にも伝達しました(すべて告知済みですので)。明日血管造影の検査を受け、それから主治医の先生とお話することになる予定です。また、色々とご相談させていただくかと思いますが、よろしくお願い致します。

(相談)1998.11.26
数野先生、先日はとても貴重なお答えをありがとうございました。父の血管造影の検査も終了し、結果待ちおよび手術待ちの状態です。どの方法になるにしろ、手術は12月3日に行われることになりました。30日に主治医と最終的な手術方法等について話をする予定です。そこで、これだけは主治医に聞いておいたほうがよいということがありましたらお願いします。どの方法になるにしろ、手術は12月3日に行われることになりました。そして、またお尋ねしたいことが出てきましたのでお願い致します。父は先日あげました3つの方法のうち開腹下胆嚢切除およびマイクロ波焼灼凝固療法を希望しております。その方法について、数野先生は開腹するのであればできれば周囲の肝臓組織を少し含めて癌を切除したほうが焼灼よりも確実だと思います。ということでお返事をいただいのですが、
○少し切除するというのはどのくらい切除することになるのでしょうか。
○身体の負担についてはいかがでしょうか。
○手術の行われる時間はどのくらいになるでしょうか。
○もし再発した場合また切除することができるのでしょうか。
○肝臓切除を何度もくり返すことはできることなのでしょうか。
○今年6月に肺転移で右肺中葉を切除したこともお伝えしたと思うのですが、また肺に転移するということも起こりうるのでしょうか。

何度も申し訳ありませんがどうぞよろしくお願い致します。

(答え)1998.11.26
お答えします。
○少し切除するというのはどのくらい切除することになるのでしょうか。
 癌から1cmくらい離して切除(部分切除)するか、癌ができている肝臓の小さな区域を切除(亜区域切除)することになります。
○身体の負担についてはいかがでしょうか。○手術の行われる時間はどのくらいになるでしょうか。
 手術をする医師の技術(腕)によりますが、2時間から3時間くらいの軽い手術です。
○もし再発した場合また切除することができるのでしょうか。肝臓切除を何度もくり返すことはできることなのでしょうか。
 その時の状況によります。予想できません。
○今年6月に肺転移で右肺中葉を切除したこともお伝えしたと思うのですが、また、肺に転移するということも起こりうるのでしょうか。
 当然、起こりえます。癌とは、そのような病気です。だから治りにくいのです。

今までは、癌の手術をして転移した場合、それでもう諦めていましたが、最近はできれば最初の癌のときと同じように考えて、早期発見・早期治療を試みます。中にはそれで治る人もいます。

主治医の先生には、話しを聴くときに、なんでも遠慮せずにその時に聴くことです。私に聴かれたようなことは、本来、主治医に聴くべきことです(もちろん主治医にも聴かれると思いますが)。手術について、手術の後のことについて、今後のことについてなど、どのようなことが予想され、どのような治療方法があるのかということを聴いてみてはどうでしょうか。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1998.12.16
数野先生こんばんわ。先月23日、26日とご質問をさせてもらったものです。手術は結局、父の希望で胆嚢切除後、マイクロ波で焼灼する方法を選び終了しました。しかし、術後4日ほど発熱が続き、一旦は平熱に戻ったのですが、おとといまた発熱(39度ほど)し、点滴をすることになってしまいました。このようなことは父のような手術をうけたものには普通の経過なのでしょうか。感染症などをおこしていないかとても心配です。よろしくお願いします。

(答え)1998.12.16
お答えします。まず、手術が無事に終わったとのこと、良かったですね。術後の発熱は、いろいろな原因で起きますが、やはり感染症などをおこしていないかということが心配ですので、そのようなことに対しての検査や治療が行われていると思います。手術後には、時々あることだと思います。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1999.1.30
数野先生ごぶさたしております。昨年11月、12月にご相談させていただきました。その節はどうもありがとうございました。お陰さまで、父は昨年12月28日に退院し、お正月を自宅で迎えることができました。傷の痛みが少し残っているようですが(寒いと余計だそうです)食欲もいつも通りに戻り、3日前から少しずつですが仕事に復帰しました。今の検査の状況ですが、腫瘍マーカーCEA値が12月28日採血分が4.1と肺転移が見つかったときと同じくらいあり、その後1月18日採血分が2.9とまだ正常値には入っていないのですが、胸部X線、腹部(肝臓)エコーの検査では今の所転移らしきものは、映ってきていないとのことでした。

そこでまた、ご質問させていただきたいのですが、大腸癌の肝臓転移が単発であることはまれなことなのでしょうか。(父の肝臓転移は2cmの単発でした。)やはり、エコーなどには映ってこなくても転移がある可能性の方が高いのでしょうか。先生の患者さんで、肝臓転移が単発でその後再発しないで完治されたという方は過去おられましたでしょうか。とてつもない質問で申し訳ありません。今はご機嫌になった父を見ていると(実際は遠方なため電話で話をすることしかできないのですが、声を聞いているととても明るいので)、再発なんてことは考えられないのです。どうか、お忙しいことと思います。後回しでかまいませんので、お願いいたします。

(答え)1999.1.31
お答えします。大腸癌の肝臓転移が単発であることは比較的まれだと思います。エコーなどには映ってこなくても転移がある可能性の方が高いと思っていたほうがよいでしょう。わたし自身は経験が少ないので、単発の肝臓転を手術した人は一人だけですが、その後、肺転移と肝転移を来たしました。今は治る可能性を信じて幸運を祈るのみです。ではまたいつでもメイルをください。

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[大腸癌の肝転移を切除したが、今後どのような治療が?]

(相談)1998.10.24
61歳の父について、ご意見を賜りたく存じます。2年前大腸がん切除の手術を受け、その後問診と投薬の通院治療を続けていました。体重も増え見た目には健康そのものでしたが、この8月の検査で肝臓に転移癌が発見され、この10月に再び肝臓の一部と胆嚢を切り取る手術をうけました。がんはまだ直径1cmほどの白い塊で、医者によれば「肝臓ももともと強く健康で、他の臓器にも問題はない」とのことでした。これからどのような点に注意して治療をうけていけばよいのでしょうか? 万一また他に転移が発見された場合、現在のように父に体力があればよいのですが、そうでない場合「その都度切除手術」という訳にはいかないと思います。これ以上の転移を完全に防ぐ手だてがあれば一番よいのですが、そうでなくば、せめて進行を早めるような間違った治療法だけは避けたいのです(ちなみにアガリクスだけは欠かさず服用しております)。どうか率直なご意見をお聞かせ下さい。必ず治せると信じる娘より

(答え)1998.10.24
お答えします。大腸癌の手術から2年目に肝臓に転移癌が発見され、切除術を受けた結果、癌はまだ直径1cmで「肝臓ももともと強く健康で、他の臓器にも問題はない」とのことですので、治ると信じて治療を続けてください。治療は最初の手術の時の術後の治療と同じです(抗癌剤については、医師によって意見が違います)。病院での治療だけでなく、自分でできる治療も大切です。

万一また他に転移が発見された場合も、今回と同じように手術ができれば手術を受けますが、やはりすべて「その都度切除手術」という訳にはいきません。可能な範囲での治療を受けることになります。これ以上の転移を完全に防ぐ方法はありません。予想は困難ですが、再び肝臓に転移がでるか、肺に転移するかということが考えられますので、定期的な検査を必ず受けることです。今回のように、転移や再発でも早期に発見すれば、治る可能性のある治療ができる場合もあります。ではまたいつでもメイルをください。

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