[医者とのコミュニケーションのために]
インフォームド・コンセントとセカンド・オピニオンのための知識

[ささえあい医療人権センターCOML(コムル)の医者にかかる10箇条] まず最初に覚えておいてほしいこと
[危ない医療から身を守るための20のアドバイス] いい治療わるい治療の見分け方<公開座談会の記録>
[医者とのコミュニケーションのとり方] 医者の説明の聞き方と聴いておかなければいけないこと
[セカンド・オピニオン] 納得できる診断と治療(特に手術)を受けるために必要なこと
[半年に一度子宮癌検診を受けているがちょっとおかしいので再検査要と言われた]

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[ささえあい医療人権センターCOML(コムル)の医者にかかる10箇条]

COML=Consumer Organization for Medicine & Law
医療を消費者の目でとらえようと、1990年9月に活動をスタートしました。
「いのちの主人公」「からだの責任者」である私たち市民中心のグループです。
COMLでは「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者の主体的な医療への参加を呼びかけています。
患者と医療者が、対話と交流の中から互いに気づき合い、歩み寄ることのできる関係づくりを願っています。
COMLは、患者中心の開かれた医療の実現を目指します。

〒530-0047 大阪市北区西天満3-13-9 西天満パークビル4号館5F
電話(06)6314-1652  FAX(06)6314-3696 ホームページもあります。
電話相談は 月〜金曜日の9:00〜17:00  土曜日の9:00〜12:00

医者にかかる10箇条

1. 伝えたいことはメモして準備
2. 対話の始まりはあいさつから
3. よりよい関係づくりはあなたにも責任が
4. 自覚症状と病歴はあなたの伝える大切な情報
5. これからの見通しを聞きましょう
6. その後の変化も伝える努力を
7. 大事なことはメモをとって確認
8. 納得できないときは何度でも質問を
9. 医療にも不確実なことや限界がある
10. 治療方法を決めるのはあなたです

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[危ない医療から身を守るための20のアドバイス]

01) 治療したら必ずよくなるという幻想を捨てよう
02) 診断基準や治療法は病院や医師によって違うことを知っておこう
03) 医師のうでまえは、ピンからキリ
04) 情報収集には、医大図書館、インターネットなども利用しよう
05) 医療情報は玉石混交
06) 名医の評判、ランキング本はあてにならない
07) 患者会や市民団体は情報の宝庫。積極的に活用しよう
08) 医師に聞きたいことはあらかじめメモしておこう
09) 複数の治療法の説明を医師に求めよう
10) 薬の副作用、手術の後遺症をしっかり聞こう
11) 質問をうるさがる医師は見限ろう
12) 説明をうのみにしないで。医師の誘導に気をつけよう
13) セカンドオピニオンは、今日の常識
14) 検査データやレントゲン写真は患者のもの。臆することなく借りだそう
15) 患者として自分の直感を大事にしよう
16) 不要と思う検査、手術から逃れよう
17) いきなり5種類以上の薬を出す医師は、要注意
18) 挨拶しない医師、患者の顔を見ない医師、患者を見下す医師はやめよう
19) 入院後、転院するのも「患者の権利」
20) お任せ医療よ、さようなら。自分で治療法を選ぼう

「いい治療わるい治療の見分け方」<公開座談会の記録>(2000年4月30日発行)より
発行:医療消費者ネットワークMECON、医療を良くする会、イデアフォー、子宮筋腫・内膜症体験者の会たんぽぽ

問い合わせ先
医療消費者ネットワークMECON:Tel/Fax03-3332-8119
たんぽぽ:Tel045-252-6228Fax045-252-6287

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[医者とのコミュニケーションのとり方] 医者に聴くこと

基本的なこと

1)説明(特に病名や検査名や手術方法など)は必ず専門用語(標準的な医学用語)を使ってしてもらい、それを分かりやすく解説してもらう。説明は書いてもらうか、録音しておくことが大切です。初めて聴くことばかりなので、一度聴いたくらいでは理解できないことが多く、人間の記憶力は限られています。セカンド・オピニオンを求める場合にも大変役にたちます。

2)説明は診察、検査(特に危険を伴う検査)、治療(特に手術などの危険を伴う治療)、治療後、それと何か異常なこと、疑問なこと、不安なことがあった時などの段階で、すぐに納得できるまで聴くことが大切です。

3)前もって聴くことや質問の内容を準備しておくこと(予習)、説明後でも分からないことがあればもう一度聴くこと(復習)が大切です。

4)医者に聴く具体的な内容
(1)まず今の状況(診断)と今後の見通し
(2)今の状況で、何を目標とするか、それは緊急なのか、どの程度急ぐのか、急がないのか
(3)目標を達成するために医者がすすめる方法と、それを必要とする理由、予想される結果
(4)医者がすすめる方法のメリットとデメリット(危険性や副作用とその対処方法)
(5)医者がすすめる方法以外の一般的な方法
(6)医者がすすめる方法以外の方法のメリットとデメリット(危険性や副作用とその対処方法)
(7)その方法を医者がすすめる理由と医者の経験と成績(一般的な成績との比較)
(8)今の病院でできること(または得意なこと)とできないこと(不得意なこと)
(9)他に何か方法がないのか?
(10)何もしない場合のメリットとデメリット
(11)何もしない場合に予想される結果と対処の方法
(12)患者・家族と医者や看護婦とのコミュニケーションの取り方
(13)セカンド・オピニオンを希望する場合の医者の対応
(14)治療を受ける場合の費用と日数
(15)困った時の相談窓口

ガン治療を受ける時の注意

1)まず一般的な話として、どのような種類のガンで、どのステージで、どのような治療方法があって、それぞれ一般的な治療成績はどれくらいで、その病院での治療成績や執刀医の治療成績(同じ手術をどれくらいの数手掛けていて結果がどうか)はどれくらいか、手術を受けなかった場合にはどのような経過が予想されるか。

2)次に個人の問題として、本人が現在全身的にはどのような状態で、手術の危険性はどの程度で、それは手術としては高いのかどうか(手術で命を落とす可能性は普通5%以下)、どのような合併症や後遺症があり、その可能性がどれくらいあるのか、その時の対処の方法は)。

3)順調に行った場合にはどのような経過をとるのか、その後再発を防ぐためにどのような治療をするのか、最終的に治る可能性がどれくらいあるのか。

4)さらに手術をした時点で(手術中に)、手術前の予想と違っていた場合にはどうするのか、ガンを完全に取りきれない場合でもできるだけ取るのか、姑息的な手術に縮小するのかなど、他にも納得が行くまで聴かなければいけません。手術は絶対にやり直しができません。

ごく簡単に言えば手術すれば治る可能性が高いのか、しても可能性が少ないのか、ということになります。医者は手術しなければ可能性はゼロ%だが、手術すれば何%かの可能性があると言います。両方を試すことはできませんので、可能性に賭けるということになりますが、手術が成功して術後も順調に回復した場合の可能性です。手術の効果がなかったり、手術が失敗したり、合併症や後遺症を起こせば、悲惨な結果になることもあります。化学療法や放射線療法でも同じことが言えます。

何か治療(危険を伴う検査も)を受ける場合には、少なくとも医者がすすめる治療の必要性と危険性と予想される結果を確かめることと、もし医師のすすめる治療を受けなかった場合に予想される結果も聴かなければいけません。受けないと云う決断も勇気のいる選択ですが、忘れてはいけない選択肢の一つです。

医者は何でも聴けば必ず教えてくれるはずです。前もって説明をして欲しいと云う希望を伝えておいて、十分な時間を取ってもらって説明を聴いてください。納得できるまで聴かなければいけません。説明の内容は、書いてもらうか録音させてもらうことです。専門的な内容になると思いますので、一度聴いたくらいでは理解できないことも多いと思いますし、人間の記憶力は限られています。

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[セカンド・オピニオン]
納得できる診断と治療(特に手術)を受けるために必要なこと
後悔しないために!がん難民にならないために!

診断や治療の方法などについて、主治医以外の医師の意見を聞くことをセカンド・オピニオンといいます。二つ目の意見という意味です。主治医には、たとえば「がんセンターの医師に(とか○○医大か△△病院の先生に)、セカンド・オピニオンを聞きたいのですが」などと言えば分かると思います。セカンド・オピニオンの希望を伝えれば、主治医の方で適切な医師を教えてくれる場合もあると思います。主治医は了解してくれれば、紹介状を書いてくれて、必要な資料(レントゲン写真など)と共に渡してくれると思います。

医師の方から紹介する病院は、同じ出身大学の関係の病院の場合が多く、医師自身の個人的なつながりの病院と考えた方がよいでしょう。医師の世界は、学閥という意識が強く、仲間意識の強い集団です。よい場合もありますが、かばいあう体質の原因となります。「セカンド・オピニオン」といいますが、手術を受ける場合などは、まったく違うもう一人別の専門家に診てもらって、意見を聴くのが良い方法です。手術はやり直しが効きませんし、その後の経過は最初の手術でほとんど決まってしまいます。ついでに付け加えれば、多くの患者さんの手術をしている病院ほど、手術とそれに伴う色々な治療は上手です。手術は技術ですので、物を作ったりするのと同じです。確かに、小さなパン屋さんでも、上手に美味しいパンを作る店もありますので、すべてにはあてはまりませんが、手術の場合は、手術をする医師の腕は勿論のこと、看護婦さんや技師の人など、病院全体のレベルの問題です。繰り返しますが、手術はやり直しが効きません。病院を選ぶときの考え方は色々ありますが、近くの病院がよいという考え方と、遠くても優れた病院がよいという考え方がありますので、近くに優れた病院があればそれがベストです。

セカンド・オピニオンを求める時に、気を付けないといけないことがあります。まだ協力的な医者が少ないということです。今の医者の人間性が出ますので、それを見る良いチャンスなのですが、日本の医者はプライドだけ高い人が多く、特に大病院の医者にその傾向が強いと思いますので、充分注意しなければいけません。場合によっては受け入れ先を確認しておいて、転院を覚悟でないと話せないかも知れません。しかし、誰のためかということを考えることができる医者なら理解を示してくれると思います。うまく伝えられるかどうかが、家族にとって最大のハードルであり、家族のできる最大の支援だと思います。本当は病院の中に、患者さんや家族を支援してくれる部署やシステムがあれば良いのですが、日本の病院にはありません。先進国では必ずあります。日本では、弱者を守り支えるという考え方が希薄なのです。それは小さい時からの教育の問題です。すべてにおいて競争原理が優先される社会においては、強いものが勝者で、弱いものが敗者になってしまいます。「癌難民」にならないように、くれぐれも注意して話を進めてみて下さい。

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[半年に一度子宮癌検診を受けているがちょっとおかしいので再検査要と言われた]

(相談)2000.5.13
数野先生、こんにちは。先生のホームページを拝見致し、ご相談したい事がありましたのでメールさせて頂きました。実は、私の母(53歳)が先日、少量ですが出血があるということで産婦人科へ行き子宮がんの検査をし、今日結果を聞きに行ってきました。母の話では、「体癌が2だし、頚癌の結果がちょっとおかしいし、おりものも多いからもう一回検査させて欲しい。」と先生に言われ検査をしたそうです。母は3年ほど前から更年期障害で産婦人科へ通っています。(高血圧もあります)半年に一度癌やその他の検査をしていましたが、前回の検査の時は異常が無かったそうです(前回は11月頃)母は癌の検査に異常があったという事で落ち込んでいます。半年に一度検査をしているし、癌だったとしてもそんなに進んではいないのではと思っていますが(素人考えですが)、実際どうなのでしょうか?27日に結果は分かりますが不安で仕方が無いのです。お忙しいところ大変申し訳ありませんが、なにか教えて頂けると有り難いです。宜しくお願い致します。

追加:数野先生こんにちは。先程メールしたのですが、書き忘れた事がありましたので再度送信致します。母は子宮筋腫もあります。それほど大きくはありませんが4つ程あるそうです。(前は2つで4つに増えた)超音波検査?(ゼリーのような物をぬってするもの)をしたようで、先生には「良性だから心配はないよ」と言われたようです。この事も関係あるのでしょうか。

(答え)2000.5.14
お答えします。大変ご心配のことと思います。見落としていなければ、進行癌が急にできることはありえません。結果をよく聴いてみてください。その際、必ず説明の内容は書いたものでもらってください。診断内容(病名や悪性度)や今後の治療方法などを書いてもらうことです。初めて聴くような内容が多いと思いますので、正確に記憶することは不可能だと思います。必ず書いてもらうことです。ではまたいつでもメイルをください。

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