[医療費のこと]

[保険診療を受けた場合に実費で支払うものには制限があり同意書に署名して支払う]
[差額ベッド:差額室料には徴収要件があり治療上の必要があれば支払わなくてよい]
[高額療養費の制度:一定の額を越える自己負担額は手続きをすると返ってくる]

→やさしい医学と医療情報 →見出しページへ


[保険診療を受けた場合に実費で支払うものには制限があり同意書に署名して支払う]

「保険医療機関等において患者から求めることができる実費について」
保険発第186号 平成12年11月10日
厚生省保険局医療課長 厚生省保険局歯科医療管理官

保険医療機関等において保険診療を行うに当たり、治療(看護)とは直接関連のない「サービス」又は「物」について、患者側からその実費を徴収すること(いわゆる「実費徴収」)については、その適切な運用を期するため、「保険(医療)給付と重複する保険外負担の是正について」(平成4年4月8日老健第79号)、厚生大臣の定める掲示事項、特定承認保険医療機関に係る厚生大臣の定める療養及び厚生大臣の定める報告事項(平成6年3月厚生省告示第57号)、「保険医療機関及び保険医療担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について」(平成6年3月16日保険発第26号)において、その取扱いを示してきたところであるが、今般、下記のとおり、その手続等を明確化することとしたので、その徹底につき、ご配慮願いたい。

1.実費徴収に関する手続について

(1)保険医療機関等内の見やすい場所、例えば、受付窓口、待合室等に実費徴収に係るサービス等の内容及び料金について患者にとって分かりやすく掲示しておくこと。なお、掲示の方法については、「保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について」第3の1(2)エに示す掲示例によること。

(2)患者からの実費徴収が必要となる場合には、患者に対し、徴収に係るサービスの内容や料金等について明確かつ懇切に説明し、同意を確認の上徴収すること。この同意の確認は、徴収に係るサービスの内容及び料金を明示した文書に患者側の署名を受けることにより行うものであること。ただし、この同意書による確認は、実費徴収の必要が生じるごとに逐次行う必要はなく、入院に係る説明等の際に具体的な内容及び料金を明示した同意書により包括的に確認する方法で差し支えないこと。なお、このような場合でも、以後別途実費徴収する事項が生じたときは、その都度、同意書により確認すること。

(3)患者から実費徴収した場合は、他の費用と区別した内容のわかる領収証を発行すること。

(4)なお、「保険(医療)給付と重複する保険外負担の是正について」及び「保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について」に示したとおり、「お世話掛」「施設管理科」「雑費」等の曖昧な名目での実費徴収は認められないので、改めて留意されたいこと。

2.実費徴収が認められるサービス等患者から実費徴収できるサービス等の具体例としては、次に掲げるものが挙げられること。

(1)日常生活上必要なサービスに係る費用

ア おむつ代
イ 病衣貸与代(手術、検査等を行う場合の病衣貸与を除く。)
ウ 新生児・乳児介補加算に係る新生児・乳児のミルク代(新生児・乳児自身が疾病等で入院している場合を除く。)
エ テレビ代
オ 理髪代
カ クリーニング代等

(2)公的保険給付とは関係のない文書の発行に係る費用

ア 証明書代
イ 診療録の開示手数料(閲覧、写しの交付等に係る手数料)等

(3)診療報酬点数表上実費徴収が可能なものとして明記されている費用

ア 在宅医療に係る交通費
イ 薬剤の容器代(ただし、原則として保険医療機関等から患者へ貸与するものとする。)等

3.実費徴収が認められないサービス等
実費徴収が認められないサービス等としては、具体的には次に掲げるものが挙げられること。

(1)手技料等に包括されている材料やサービスに係る費用

ア 入院環境に係るもの
(例)シーツ代、冷暖房代、電気代、清拭用タオル代等
イ 材料に係るもの
(例)衛生材料代(ガーゼ代、絆創膏代等)、手術に通常使用する材料代(縫合糸代等)、ウロバッグ代等
ウ サービスに係るもの
(例)手術前の刺毛代、診療情報提供に際しX線フィルム等をコピーした場合のフィルムコピー代等

(2)診療報酬の算定上、回数制限のある検査等を規定回数以上に行った場合の費用

(3)新薬、新医療材料、先進治療等に係る費用

ア 薬事法上の承認前文は保険適用前の医薬品、医療材料(治験薬を除く。)
イ 適応外使用の医薬品
ウ 不妊治療等の保険適用となっていない治療方法(高度先進医療を除く。)
エ 予防、生活改善に係る診療等

4.その他

上記1から3までに掲げる事項のほか、実費徴収の具体的取扱いについては、「保険(医療)給付と重複する保険外負担の是正について」及び「保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について」を参考にされたい。

なお、上記に関連するものとして、入院時や松葉杖等の貸与の際に事前に患者から預託される金銭(いわゆる「預り金」)については、その取扱いが明確になっていなかったところであるが、将来的に発生することが予想される債権を適正に管理する観点から、保険医療機関が患者から「預り金」を求める場合にあっては、当該保険医療機関は、患者側への十分な情報提供、同意の確認や内容、金額、精算方法等の明示などの適正な手続を確保すること。

→やさしい医学と医療情報 →見出しページへ


[差額ベッド:差額室料には徴収要件があり治療上の必要があれば支払わなくてよい]

中央社会保険医療協議会資料(2000年10月27日開催)
「保険診療において患者に求めることができる費用の整理」より
○差額を徴収してはならない場合の基準
 (1)同意書による同意の確認を行っていない場合
   (例)室料の記載のない同意書、患者側の署名のない同意書
 (2)患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合
   (例)救急患者、術後患者等であって、病状が重篤なために安静を必要とする者、
      又は常時監視を要し、適時適切な看護及び介助を必要とする者、
      免疫力が低下し、感染症に罹患するおそれのある者、
      集中治療の実施、著しい身体的・精神的苦痛を緩和する必要のある週末期の患者
 (3)実質的に患者の選択によらない場合
   (例)主治医等が他の入院患者の院内感染を防止するために、MRSA等に感染している
      患者の選択によらず入院させたと入院させたと認められる場合

→やさしい医学と医療情報 →見出しページへ


[高額療養費の制度:一定の額を越える自己負担額は手続きをすると返ってくる]

(相談)1999.5.18
癌治療は高額なのでは?という不安から、なにかいい医療費制度はないものかとの相談も受けました。社会保険の休業手当金や高額医療費の申請及び貸付など、私に解る範囲で調べたのですが、癌治療で実施される放射線や抗ガン剤などが、高額医療費の範囲に該当するのかという事や、自己負担額がどの程度なのかということがわかりません。医学的な質問ではなくて恐縮ですが、医療費の目安や保険適応範囲を教えてもらえないでしょうか。本人が少しでも安心して治療に専念できるようできる限りのことをしたいと思っています。どうぞ宜しくお願いいたします。

(答え)1999.5.19
病院での医療は、すべて保険がききます。保険医療機関では、保険医療以外の治療はできないことになっています。高額の医療費がかかっても、自己負担は月額最高6万円余りです。ただし、この高額療養費の制度は、自分で申請しなければいけません。とりあえずは、自己負担分を全額支払う必要があります。それから、手続きをすれば、2ケ月から3ケ月後に、6万円余りの負担分を除いた全額が返ってきます。しらなかったり、手続きをしないかったりすると、損をします。言わなければ、教えてくれないことがありますので、気を付けてください。

→やさしい医学と医療情報 →見出しページへ