ドクターちゃびんの活動 講演2000〜2002年

[患者の権利とインフォームド・コンセント] JCAHOの医療に対する評価とインターネットでの医療相談の経験から
医療と倫理を考える会・広島第11回例会2 002年1月17日(広島大学医学部広仁会館)
[ガンになった仲良し三人組と中風組合] かんぽ健康講演会 2001年12月16日(福山市光公民館)
[介護者の健康(ストレスなど)について] 福山地区老人ぼけの人を支える家族の会定例会 2001年11月28日(すこやかセンター)(福山)
[ホスピスと患者中心の医療] 備後音楽療法研究会「音楽療法実践者養成基礎コース」オープンコース(レジメ)2001年8月11日(福山)
[自分で決めるための道案内ーインターネットで医療相談ー]「自分で選ぶ自分の医療をすすめる会」定例会(レジメ)(2001年6月3日)(岡山)
[米国・癒しの環境視察報告、JCAHOと病院の評価] びんご・生と死を考える会月例講演会(レジメ)2001年4月28日(福山市医師会館)
[米国・癒しの環境視察報告ー患者中心の医療・日米比較]
 びんご・生と死を考える会月例講演会(レジメ)2000年4月22日(福山市医師会館)

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「患者の権利とインフォームド・コンセント」
JCAHOの医療に対する評価とインターネットでの医療相談の経験から
医療と倫理を考える会・広島 第11回例会(2002年1月17日 於:広島大学医学部広仁会館)
びんご・生と死を考える会代表世話人 数野 博

(1)医療施設認定合同委員会JCAHO(Joint Comission on Accreditation of Healthcare Organization、以下JCと略す)について

組織と理念(JCは米国の医療文化の変革の牽引役としての大きな使命を自覚)
JC:医療施設だけでなく福祉施設やケアシステムを定期的(3年毎)に審査する独立した民間の非営利の組織、1951年の発足目的:「医療福祉の質と患者の安全」の追求
使命:評価evaluationと協議consultation、医療機関における職務の改善を支援するための医療評価とそれに関連するサービスを提供することによって、国民に提供される医療の安全性と質を継続的に改善すること
任務:認定することではなく、全米の様々な医療の専門家などとも共同して質に関する基準を開発し、その基準をつかって医療機関の質や安全面の評価をすることであって、それぞれの医療機関がその基準に適合していくために、認定(Accreditadiotn)や教育や協議などを通じて支援するという過程を重視する
認定の対象:病院、在宅ケア、外来ケア、長期ケア施設、薬局、行動診療部、検査、ネットワーク(HMOなどを含む)など米国内だけでも20000近い医療機関や組織
2000年からはJC Internationalとして国際的な医療機関の認定開始
本部スタッフ:約600人、現場調査員:約700人

認定Accreditadiotn:医療施設が構造面でも運営面でもまた結果においても、最大限達成可能な水準をみたしているということを認識、「改善」ということが大きな要素であり目的(許認可Licensureや認証Certificaton:最低限必要な基準を満たす)

医療評価の歴史:1918年の米国外科学会の病院標準化委員会の活動や医療事故の報告の制度化の提唱にまでさかのぼり、情報公開と自己決定に基づく患者中心の医療という基盤の上に成り立っている、JCの認定が始まったのは1953年
連邦政府は自主的にJCの認定を受けた病院(最大限達成可能な水準をみたしているか、それをみたすために継続的に改善をしていく病院)については、HCFA(Health Care Financing Administration)の認証をうけたものとみなして政府管掌の医療保険(Medicare、Medicade)の還付の対象とする

医療事故への本格的な取り組み
1995年医療事故が多発、医療事故のデータベースを作成開始
患者中心の医療から患者の安全中心という考え方に転換
1996年Sentinel Event Policyの確立
  何かのイベント(事故や支障)が起きた時、それはプロセスやシステムに問題があるという信号Sentinelだという考え方
  SE:患者の病気や基礎的な身体の状態などの自然経過とは関連のない形で、予期しなかった死亡もしくは重篤な身体的または精神的な障害が起きた場合やそのようなことが起きるリスクが発生した場合と定義

四つの目標
@患者ケアの改善に関する積極的なインパクトをもつこと
A事故や問題の原因を究明し危険を減らすことに焦点をあわせること
BSEの原因と予防に関する一般的な知識を普及させること
C認定のプロセスへの信頼を維持すること

Sentinel Events(警鐘的事例)の報告制度の開始とSE警報という出版物の発行
起きたSEの根本的な原因の分析(Root Cause Analysis)について指導する
失敗に学び事故を予防するという姿勢での改善への継続的な努力を要求
「WhoからWhyへ」という大きな文化の変換であり、発想の転換
自主的に報告と情報保護の法制化を提唱:情報公開の推進

イベントとしての認識と確認は誰がするのか?

1999年「To Err Is Human」というInstitute of Medicineのレポート(「人は誰でも間違える」日本評論社)
統計では毎年米国の病院では4万4千人から9万8千人がミスで亡くなっていると報告、5年間でこの数を50%減すことを提案、そのためには安全性を特に高い優先度で上げている業界(航空機業界と原子力発電の業界)に学ばなければならない、「医療ミスの大半は予防可能であるという実質的な根拠がある」(National Quality Forum)、ミスや事故の原因はケアのプロセスやシステムにあり、そのようなプロセスやシステムのなかで人が何か行うという場合には必ず固有の限界があるということを充分認識していないために色々なエラーが起きる

JCの患者の安全に関する基準
2001年1月から実施した安全の基準(半年間で基準に適合することが求められる)
組織のリーダーシップが積極的に機能することが最も重要
組織の安全プログラム:技能の改善、感染対策、ケアの環境(建物が安全であるか、ケアにかかわる人が充分トレーニングを受けているか、器機がちゃんと動いているかなど)、それに何か起きた場合の報告書などのプロセスを統合したもの
罰則的でない環境をつくるということ
与薬ミスを防ぐためのバーコード・システムの導入
close callsの事例の集計と活用(ひやり・はっと)
階級にとらわれないチーム・トレーニングの必要性
技術とプロセスの両面からの個別のトレーニング(例:インフュ−ジョン・ポンプ)
ある重大なミスが起きた時、医師は患者本人または家族に事実を報告せよ
訴訟を恐れて事実を隠すよりは、患者と医療者の間の正直な関係を打ち立てることの方が大切
年間報告の提出
根本的原因分析が容易に弁護士の手に渡らないように保護:議会に積極的に働きかけ
法律を変えなければいけない:現実には医療のありかたを大きく変える必要

4Mー4Eマトリックス分析法

(2)インターネットのホームページでの無料医療相談の経験

数野博のホームページOasis(http://www.mars.dti.ne.jp/~kyr00055)
1997年4月にホームページを開設すると同時に医療相談を開始
知っておいて欲しいこと・知っておいて欲しい人々・心と命のリンク・訴えたいこと!
自己紹介・生き方・心に残る言葉・活動・医療への考え方・建物のない総合病院・エッセー、びんご・生と死を考える会「心あたたかな医療110番」(ホームページからリンク http://www.eurus.dti.ne.jp/~kaz-n/bingo-seitoshi-TOP.html)

「ドクターちゃびんの癌と医療なんでも相談室」
患者・家族のための道案内・納得できる医療への気付きのために!
何でも受け付け、一人の医師が全人的な対応をすることが特徴
色々な癌についての相談は分類して、典型的な例や参考になると思われる例を紹介
◆[医者にかかる10箇条] まず最初に覚えておいてほしいこと(ささえあい医療人権センターCOML)
◆[危ない医療から身を守るための20のアドバイス] 医者にかかる時に注意しておいた方が良いこと
◆[現状の把握、今どんな状態か] 自分の身体の状態、病気の種類と程度などを知りましょう
◆[医者とのコミュニケーション] 医者の説明の聞き方と聴いておかなければいけないこと
●一般的な相談と基本的なこと(がん治療の総論)
○癌治療の考え方
[医師とのコミュニケーション] 医者の説明の聞き方と聴いておかなければいけないこと!
[医師と病院の選び方] 大学病院はどんなとこ?手術・治療はやり直しが効かない
[基本的な闘病法] 病院での治療で闘うのか、病院以外での方法で闘うのか、闘わないのか?
[がん治療の情報戦] 抗癌剤治療の専門家・平岩正樹さんの連載
[家族の接し方] 分かち合う喜びは二倍の喜び、分かち合う苦しみは半分の苦しみ
[告知について] 自分で決めるためには不可欠のこと、希望を失わないように告げる
[緩和ケアとホスピス] 患者・家族中心の理想的なチーム医療の姿
[ターミナル・ケア] 死は終わりではない、生の完結であり、生の変化したものです
[死への準備教育] 死について考えることは、いかに生きるかということです
[参考になる本] 闘病法、ガン、告知、ホスピスなど、どれを読むかは、あなた自身が決めることです
○癌に関する一般的なこと
[癌の原因について][癌の疑いと診断について][癌の自然退縮について][再発・転移について][手術後気になること][抗癌剤のこと][癌治療の合併症][癌治療の後遺症][乳癌のこと][肺癌のこと][胃癌のこと][大腸癌のこと][肝臓癌のこと][膵臓癌のこと][子宮癌のこと][卵巣癌のこと][遺伝子治療][新しい医療]
○癌の代替療法
[代替療法][免疫療法][佐藤療法(BRP療法)][民間療法]
●いろいろな癌についての相談(がんの各論)
首から上の癌[頭頚部の癌]
胸の癌[乳癌][肺癌][肺小細胞癌][食道癌]
腹の癌[胃癌][大腸癌][直腸癌][肝臓癌][膵臓癌][胆管癌][子宮癌][卵巣癌][腎臓・膀胱癌][前立腺癌]
その他の癌[小児癌][悪性リンパ腫][その他のがん][肉腫]
●医療におけるソフトとハードについて考えるページ:癒しの環境と患者の権利
[生命倫理][癒しの環境][患者の権利][病院と医者の評価][かかわる人たち][心無い医療]
●ちょっと気になることと知っておいて欲しい医療情報のページ:やさしい医学と医療情報
[現状の把握、今どんな状態か][しこり・腫れ][からだの部分・病気・健康・ダイエット][整形外科の病気][膠原病など難病のこと][薬のこと][ホリスティック医学][自然治癒力][自己治癒力][臓器移植][医療費のこと]

医療相談の内容と傾向

多くは家族や友人からのもの
検査や診断の段階かそれ以前、治療を受ける前の段階、治療中、治療が終了した段階、再発や転移を起こした段階、末期の段階など
動機:疑問や不安、知りたい、不満や怒り
求めるもの:情報、解決方法、癒し、セカンド・オピニオン
具体的な内容:一般的な医学知識や現在の症状や理解できない医学的な事項について
どういうことか、どこで情報を求めるか、どこにかかれば良いか
医師の言うことが本当か確かめたい、医師の言う通りにすべきか、どれを選択すべきか、他に方法は無いのか、もっといい医師や病院があれば教えて欲しい、セカンド・オピニオンを聴きたい、ベストを尽くしたい、何としても治したい、納得できない、間違っていたのではないか、訴えたい
見えてくるもの:不十分な情報と不十分なインフォームド・コンセント
  自立できない患者・家族とおまかせ医療:必要な援助がない
  患者と医師のコミニュケーションが大切

報道の規範「生命倫理」
<[提案「二・五人称の視点」] 柳田邦男「緊急発言 いのちへ1」2000年7月25日より>
私が、脳死問題、あるいは終末期医療の問題から発想した人間の命と死の人称性の問題というのは、意外に広がりを持つとても大事な視点ではないかと思います。そして、そうした「二・五人称の視点」というのは、実はこれから問われていく生命倫理の規範と裏腹の関係にあると思っています。生命倫理というのはいろいろな議論があって、どこからどこまでが生命倫理の範囲なのかについては、国際的にも学問的にも決まっているわけではないのですけれども、大方の生命倫理学者や哲学者や、あるいは医学研究者が考えているところによれば、生命倫理のまず中心に置くのは、医療の場における患者中心主義。患者の基本的人権をまず尊重するということ。患者の自己決定権、選択権を尊重するということです。これはナチス・ドイツの残虐な医学的な人体実験を教訓として、終戦直後にニュルンベルク裁判と並行して「ニュルンベルク綱領」という、生命倫理の原点となるものがうたわれて、そこに端を発しているわけですけれど、それがより現代的な生命倫理の問題として、たとえば薬の開発をするときには、必ず患者の同意を得なければ人体実験をしてはいけないとか、新しい治療法は患者の同意が必要とか、インフォームド・コンセントは不可欠であるとか、いろいろなことが言われるようになってきたのは、この二十年、三十年のことです。生命倫理の中心になるのがそういうことです。それ以外にも、遺伝子治療などの先端医療については、倫理委員会による承認が必要であるとか、安全性が確保されなければいけないとか、安全性も、今生きている人の安全だけではなくて、子孫の安全、つまり遺伝子に対して変な影響を与えないとか、環境を破壊しないとか、あるいは資源をむだ遣いして枯渇させないとか、そういったものまで含まれるわけです。そうした大きな生命倫理というものは、これまでは科学部の記者、環境部の記者、あるいは医療班の記者が単に報道の対象として伝えてきたに過ぎないわけですが、実は、そういう倫理規範というのは対象化するだけの相手ではなくて、メディア自身、ジャーナリスト自身が、報道の規範として、価値判断の座標軸として取り入れていかなければいけないのが二十一世紀ではないか。そうしなければ脳死問題にしても、あるいは様々な事件や災害・事故における安全問題にしても、その座標軸が一体どこにあるのか、価値判断の基準はどこなのかというものが定まらないまま、行き当たりばったりの報道の繰り返しで終わってしまうのではないかと思うのです。現代の非常に多様で広範になったメディアの状況の中では、何か事件があると百社ぐらい集まる、二百人ぐらいの報道陣が集まる、カメラの放列ができるというこの騒然たるすさまじい状況の中で、報道のあるべき姿の高い理念というものは、これからますます必要になると思います。そういう意味で、今こそ生命倫理の規範を、メディア自身の理念と規範の問題として認識しなければならない時代にきているのだと思います。(『新聞研究』二〇〇〇年一月号)

「医療事故防止のための安全管理体制の確立に向けて(提言)」
平成13年6月 国立大学医学部附属病院長会議常置委員会
インフォームドコンセントの必要性と重要性はすでに周知されていることであるが、インフォームドコンセントに関する問題はしばしば経験されている。インフォームドコンセントの主体は、「患者」であって「医師」でばないことを、今一度確認し、重要と思われる点をここにまとめる。
@患者の意志決定に必要な情報をきちんと提供する
患者自身が、ある医療行為を受けるかどうかを判断、決定するためには
ア) 現在の病状および診断病名
イ) その治療行為を採用する理由
ウ) 治療行為の具体的内容
エ) 治療行為に伴う危険性の程度
オ) 治療を行った場合の予後や改善の見込み、程度
カ) その治療をうけなかった場合の予後
キ) 代替的治療法がある場合には、その内容および利害得失
に関する情報提供が必要である。

これらの中で、治療行為に伴う危険性について、「飛行機事故の程度」のように直感的にはわかりやすいが、人によってリスクの受け取り方に幅のあるような表現を用いると、大きな誤解を生じる可能性もあるので、客観的な数字で表現できるのであれば、きちんと数字で示すことが必要である。また、「他にも治療方法があると知っていたら、この手術は受けなかったのに」というような、保存的治療を含めた代替的治療法の存在とその利害得失に関する説明が不十分であることもしばしば指摘されているので注意を要する。また、医師や診療科によって手術適応や予後、告知の方法などが異ならないよう一貫性を保った情報提供を行うために、患者の受け持ち医グルーブ(上席医、主治医、その他の医師から成る)と執刀医・検査医グループ(上席医師、術者、その他の医師から成る)が異なる場合には、主治医の他に術者と両グルーブの上席医がインフォームドコンセントに必要な情報提供の場に同席する、というルールづくりが必要である。また、複数の診療科で医療を行う場合には、情報提供を合同で行ったり、それに代わる連絡調整を行うなどの工夫が必要である。

Aコミュニケーション
誠意ある態度で、わかりやすい言葉を用いて、患者や家族に質問の機会を与えながら、十分な時間をかけておこなうことが基本である。医師と患者との間で、治療のゴール、期待、認識が解離していることもある。例えば、腹腔鏡下胆嚢摘出術のような低侵襲手術というと安全な手術と誤解されることも多いが、決して低侵襲が低リスクを意味するものではないということを理解できるような説明が必要である。

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かんぽ健康講演会
「ガンになった仲良し三人組と中風組合」
ちょう外科医院院長・びんご生と死を考える会代表世話人:数野 博
2001年12月16日 於:福山市光公民館

1)はじめに
  高見順詩集「死の淵」より

2)自己紹介
  平賀源内と私
  心臓外科医から癌の道案内人へ
  医療に対する理念(命をまもる、納得・安心・満足)と医療の地域完結性
  「福山あすなろ会」から「びんご・生と死を考える会」へ
  インターネットでの医療相談「ドクターちゃびんの癌と医療なんでも相談室」
  病院選び・医者選びのための消費者情報

3)ガンになった仲良し三人組と中風組合
  日本人の死亡率は100%
  日本人の死因の第一位はガン
  手遅れでも助かり、早期発見でも死ぬことがある
  退院の日がスタートライン

4)日本人の死生観
  一人称の死、二人称の死、三人称の死
  願わくは花の下にて春死なん その如月の望月のころ(西行)
  死後の世界
  自然による癒し「美しい日本の私」(川端康成)
  春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪冴えて冷しかりけり(道元禅師)
  安心ということ(スウェーデンに学ぶ)
  散る桜 残る桜も 散る桜(一茶)

5)心あたたかな医療
  西欧で発達した患者中心の医療
  インフォームドコンセントとセカンドオピニオン
  ホスピスは理想の医療へのステップ
  ホスピスと緩和ケア
  痛みをとる(肉体的痛み、精神的痛み、社会的痛み、霊的痛み)
  在宅ホスピス

6)おわりに
  宮沢賢治「アメニモマケズ」

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「介護者の健康(ストレスなど)について」
びんご・生と死を考える会代表世話人 数野 博
福山地区老人ぼけの人を支える家族の会定例会
(2001年11月28日、於:福山市すこやかセンター)

1)びんご・生と死を考える会の紹介
人生の終末期(完成期)をいかに過ごすかということは、痴呆性老人も末期癌の人も同じである。その人の人格を尊重して、その人らしい生き方ができるように支えてあげなければいけない。

2)患者・家族中心の医療・福祉について
いつでも、どこでも、ホスピスケアを!ホスピスケアは患者・家族中心のチーム医療・ケアである。

3)ストレスと発想の転換

<参考>10月定例会・第2回ホスピスボランティア養成講座第2回合同企画「終末期における心のケア」
六甲病院緩ホスピス・チャプレン 沼野尚美さん
2001年10月27日(土) 午後2時〜5時 会場:福山市医師会館

沼野さんの講演は,ユーモアたっぷりの話しで,常に笑いを誘うものでした。後半は,グループワークをしましたので,沼野さんの講演時間は1時間少しでした。そのため,もっと話しを聞きたいという希望が多く出ました。 ぜひ企画したいものです。1500名以上の方々の生と死に関わってこられてきた体験の中から,具体的な例をもとに次のようなことを話されました。
1)人との関わりについて
終末期になると,自分の心について振り返り,自分の心のありようが見えてくることが多いようです。そして,その時こそ人との関わりが大切になります。終末期の人は,自分の過去を回想しますが,その多くは人間関係に関することです。それも,家族をはじめとした肉親との関係です。その人間関係の中での苦しみや憎しみ,悲しみを,医療スタッフやチャプレンとの人間関係を通じて癒すことがとても重要なのです。つまり,人は人間関係を通じて癒されるのです。
2)終末期の方に接するときに心がけること
A:存在感
側にいるだけで落ち着く,ホットするという存在でいられるかということ。これは,話しを聞くとか,何かをするとかということ以前の問題であるが重要。相手にとって暖かい,居心地の良い存在であるためには,顔の表情が大切。また,批判しないで受け入れることが重要。
B:コミュニケーション
相手の本当にいいたいことをキャッチすることが大切。人(日本は特に)は,いわないで相手に伝えようとすることが多い。相手の行動から,その真意を捕まえることができることが必要です。
C:「死」ということについての感性
同じように自分も将来死ぬ存在であるということを前提として語り合うことができることが重要です。解決しないでも,語り合うことで癒される。だから,ボランティアをする人も「死」について日頃から考えることが求められる。
D:ユーモア
E:「愛」を相手に伝えること
分かっていてもいわないといけない。また,言ってほしい,聞きたいということを知って,積極的に言うことが重要。

「アルツハイマー病、権利紹介」2000年8月20日 朝日新聞日曜版
子どもではなく大人として扱われる。表現をまじめに受け止めてもらえる……。米国の老人施設でうたわれている「アルツハイマー病患者の権利」が、「癒しの環境研究会」(代表世話人、高柳和江・日本医科大学助教授)で紹介された。ヘリオス会病院(埼玉県川里村)の森田仁士・院長が今年一月、カリフォルニア州ヘメットにあるクリスチャン・ヘリテージ・ガーデンズを訪問した。老人中心の介護をめざす「エデン運動」に参加する約百五十施設の一つで、パンフレットに「アルツハイマー病の権利章典」と「アルツハイマー病患者からのお願い」が記載されていた。「権利」は十二条あり、ほかに▽診断名を知らされる▽毎日を有意義な活動で楽しむ▽定期的に屋外に出られる▽よく訓練された人に世話される権利ーなど。また、「お願い」は、病んでいるのは本意でないことを強く訴え、私のことを我慢して下さい▽話しかけて下さい▽尊敬をもって扱ってくださいーなど十項目を挙げている。(朝日新聞)

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エデン運動の心(癒しの環境研究会釈)

1)高齢社会で、高齢者は孤独感無力感にさいなまれ、しかも退屈であるがこれは施設に入ると余計ひどくなる。これを変えよう。
2)真の人間らしい生活とは、子供と一緒に過ごしたり、ペットを飼ったり、植物を育てたりするような生活である。このような関係を保って、高齢者にも生き甲斐のある人生を送ってもらおう。
3)愛情に満ちた付き合いこそが孤独を癒す薬である。
4)高齢者がお世話されることに卑屈にならず、堂々と優雅に芸術的なセンスでふるまってお世話をうけられるようにしましよう。他人をお世話することで自分も成長できる。高齢者同士でもお世話をし合うことができる。こうしたバランスが保てることが健全な関係なのだ。
5)思いがけない出会いや言葉をやりとりしたり、ちょっとちがう新しい環境を演出して毎日が変化に富み自発的に行動が出来るようにする。
6)精神的に豊かになるためには物事を自由に発想するべきである。
7)人間らしい生活には他人を思いやる心が一番で、医療は二の次である。
8)人間社会では、年をとる毎に知恵と経験を積み重ねている。お世話している人の意見を尊重しよう。
9)人間らしい生活をしないと、人間として成長できない。
10)孤独感、無力感及ぴ退屈という、高齢者の悩みに対して強く立ち向かっていくリーダーシップが必要である。

アルツハイマー病患者の権利
 1.すべての情報提供を受ける
 2.適切な継続的な医療ケアを受ける
 3.できるだけ生産的な仕事や遊びをする
 4.大人として扱われ、子ども扱いされない
 5.表現した感情は真剣に受けとめられること
 6.可能であれば、抗精神薬を使わない
 7.安全で構造的に安心な環境で生活する
 8.毎日、意味のある活動を楽しめる
 9.規則的に戸外に出る
10.抱きしめてもらう(ハグ)、なでてもらう、握手をしてもらう
11.文化的宗教的なことを含め、個人的な人生を知っている人と一緒にいる
12.痴呆のケアをよく理解している人からケアを受ける

アルツハイマー病患者からのお願い
 1.どうぞ、私のことを我慢してー私が器質的な病気のために自立できない、無力な犠牲者だと思い出して下さい。
 2.どうぞ、私に親切にしてー毎日毎日が長くて、混乱している。親切にしてもらうことが1日のうちで、とても特別な出来事です。
 3.どうぞ、私に話しかけてー答えられなくても、私にはあなたの声は聞こえる。時に、言うこともわかります。
 4.私の気持ちを考えてー感情って、私の中ではまだ、生きている。
 5.人間的尊厳があり、尊敬される人として扱って...私があなたの立場だったら、喜んでお世話をします。
 6.私の過去を思い出してー昔は健康で、生き生きとした人間だったって。愛し、笑い、能力も知性もあったって。
 7.私の現在を思ってー私は怖がっている人間。私は愛すべき夫〔妻、父、母、祖父、祖母、おば、おじ〕。でも、家族も家庭もなくなってしまった。
 8.私の将来を考えてーどう思われようと、いつも明日に望みをかけています。
 9.私のために祈ってー時間と永遠の間の霧の中でさまよっている人間です。あなたは私にとってかけがえのない存在。
10.私を愛してーあなたがくれる愛は私たちの生命を永久に照らしてくれる贈り物です。

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「ホスピスと患者中心の医療」
びんご・生と死を考える会代表世話人 数野 博
備後音楽療法研究会「音楽療法実践者養成基礎コース」オープン講座
(2001年8月11日、於:福山市東部市民センター)
連絡先:福山市野上町3-4-30 ちょう外科(電話0849-23-2643)
ホームページ:http://www.mars.dti.ne.jp/~kyr00055

(1)はじめに:インフォームド・コンセントと告知

(2)WHO専門委員会の見解(1989年)、WHO方式癌疼痛治療法

緩和ケアとは
治癒を目的にした治療に反応しなくなった患者に対する積極的で全人的な医療ケアであり、痛みのコントロール、痛み以外の症状のコントロール、心理的な苦痛、社会面の問題、霊的な問題(spiritual problems)の解決がもっとも重要な課題となる。

緩和ケアの最終目標は
患者とその家族にとってできる限り良好なQOLを実現させることであるので、緩和ケアは末期だけでなく、もっと早い病期の患者に対しても癌病変の治療と同時に適用すべき多くの利点を持っている。

緩和ケアは
◆生きることを尊重し、誰にも例外なく訪れることとして 死に行く過程にも敬意を払う。
◆死を早めることにも死を遅らせることにも手を貸さない。
◆痛みのコントロールと同時に、痛み以外の苦しい諸症状のコントロールを行う。
◆心理面のケアや霊的な面のケアも行う。
◆死が訪れるまで患者が積極的に生きていけるよう支援する体制をとる。
◆患者が病気に苦しんでいる間も、患者と死別した後も、家族の苦難への対処を支援する体制をとる。

緩和ケアの組織作り
◆在宅ケア:家庭をケアの第一の場所ととらえることに重点をおき、施設を緩和ケアの中心としてだけでなく、在宅ケアをバックアップする場とみている。
◆コンサルテーション・サービス:緩和ケアの訓練を受けた医療従事者は、入院患者についても、在宅患者についても患者ケアの相談役としての役割を持ち、他の医療従事者にも学ぶ機会を提供する。
◆デイ・ケア:一人住まいの患者、ひとりでは家から外に出られない患者、在宅のケアにあたる家族にとって大きな利点をもたらす。
◆入院ケア:痛みをはじめとする諸症状のコントロールや心理社会的な問題への対応に重点をおいて行われる。
◆死別にあたってのケア:訓練された医療従事者やボランティア(自発的意志により奉仕する専門家)によって、死別に際しての悲しみへの対処に特別な支援を必要とする人に対して行われることが多い。

関連する活動
◆ビリーブメント・サービス(死別後の悲嘆のサポート・サービス)、◆ケアにあたる人のケア(燃え尽き症候群の防止)、◆積極的な教育活動(医療従事者とボランティアのためのプログラム)

(3)緩和ケアでのチーム医療
医療コンサルタント、作業療法士、理学療法士、ボランティア、看護専門家、ソーシャルワーカー、宗教家、言語療法士、薬剤師、気晴らし療法士、パストラルケアワーカー、音楽療法士

ホスピスで働くスタッフの資質:誠実、感性、忍耐、謙虚、愛
共に歩む:「分かち合う喜びは二倍の喜び、分かち合う苦しみは半分の苦しみ」
ユーモアとは、「にもかかわらず、笑うこと」

(4)いつでも、どこでも、ホスピスケアを!

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「自分で決めるための道案内ーインターネットで医療相談ー」
びんご・生と死を考える会代表世話人 数野 博
「自分で選ぶ自分の医療をすすめる会」定例会(2001年6月3日、於:岡山中央病院)

(1)はじめに
患者中心の医療ということ
医療に対する理念「納得、安心、満足」

(2)ガンの話
告知、癌=死か、死はなぜ怖い?、ガンで死ぬということ、死への準備教育
一人称の死・二人称の死・三人称の死
生きがい療法

(3)医療問題
日本の医療費は高いのか?
日本の国民皆保険(いつでも、どこでも、だれでも)
医療を良くするのは賢い患者

(4)心あたたかな医療
2.5人称の視点での医療

(5)ホームページでの医療相談
自己決定のためのインフォームドコンセントとセカンドオピニオン
医者・病院選びと医療の地域完結性
患者中心の医療
医者は道案内人

(6)おわりに
自分で考え自分で決める
人は生きて来たように死んで行く

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第208回 びんご・生と死を考える会 2001年4月・月例講演会(4/28)
講師:びんご・生と死を考える会 数野 博 代表世話人
演題:米国・癒しの環境視察報告、JCAHOと病院の評価 
内容:より良い医療のためのリスクマネージメントと医療環境の日米比較
会場:福山市医師会館(4階演習室) 後援:エフエムふくやま・福山市医師会

(1)癒しの環境研究会「米国・シカゴ視察研修」視察先

2月18日(日)午前
ロナルド・マクドナルド・ハウス(Ronald McDonald House)
各地の病院で治療を受けている重度の病気の子供を持つ家族に「home-away-from-home 我が家のようにくつろげる第二の家」をモットーに宿泊施設を提供してる。1974年、第1号ハウスがフィラデルフィアに誕生し、現在19ヶ国に206のハウスが作られ、常時3000床を家族に提供できる状況にある。シカゴは世界で2番目に作られた21床のハウスで、メモリアル小児病院で治療を受けている子供を持つ家族へ宿泊施設を提供している。

2月19日(月)午前
プレスビタリアンホーム(Presbyterian Home)
イリノイ州でも由緒ある施設の一つで、60〜80代もしくはそれ以上の方を対象とした高齢者向総合コミュニティ。40エーカー(約5万坪)の敷地内に、コテージ、アパート等の住居のほか、ナーシングホームを含む医僚施設が設けられ、現在約350名の高齢者が引退後の生活を送っている。施設の中にはシカゴ地域でも著名なナーシングホームの一つである210床のマクガウ・ケア・センター(McGaw Care Center)がある。

2月19日(月)午後
ノースウェスタン・メモリアル病院(Northwestern Memorial Hospital)
1972年9月シカゴ・ウェズレイメモリアル(Chicago Wesley Memorial)とパサバント・メモリアル病院(Passavant Memorial Hospital)が合併し創立。1999年5月、入院患者病棟(92の個室の集中治療室を含む492の個室を完備した17階建ての病棟)と外来患者棟(600に及ぶノースウエスタン医療財団と個人医師達のための臨床施設やオフィスを含む22階建ての病棟)からなる200万平方フィートの病院を新設した。

2月20日(火)午前
JCAHO(The Joint Commission on Accreditation of Healthcare Organizations、医療施設認定合同委員会)
アメリカ合衆国の約20,000の保健施設とプログラムの評価認定を行なう組織で、独立体のNPOとして1951年以来ヘルスケアに関して、米国内でも信頼度の高い評価基準策定と認可を行なっている。

(2)JCAHO(医療施設認定合同委員会)とリスクマネージメント

1918年 米国外科学会の病院標準化委員会の活動
1951年 JCの発足
1953年 JCの認定開始
1995年 世間を騒がせるような医療事故続発
1996年 Sentinel Event Policy「誰が?から何故?へ」、根本的な原因の分析
1997年 ワシントンで医療施設での患者の安全対策改善のための専門家会議
1999年 IOMの報告「人は誰でも間違える」、医療事故の50%削減を提案

医療事故への取り組みの歴史は、80年余り前の米国外科学会の病院標準化委員会の仕事や医療事故の報告の制度化の提唱にまでさかのぼり、情報公開と自己決定に基づく患者中心の医療という基盤の上に成り立っている。そのような背景のもとに50年前に設立されたJCは5年前から医療事故のデータベースを作成し、その防止策を検討するためにSentinel Events(警鐘的事例)の報告制度を開始した。

JCは医療施設だけでなく福祉施設やケアシステムを定期的に審査する組織で、「医療福祉の質と患者の安全」を追求するということを目的に、医療事故に対しても「誰が?ではなくて何故?」という理念で常に基準の見直しを行い、施設や組織に対しては最大限達成可能な基準を目標にして、失敗に学び事故を予防するという姿勢での改善への継続的な努力を要求している。

JCの認定を受けることの利点。
1)患者ケアの改善がはかられる:「誰のために改善したのか」「何のために改善したのか」ということが大切である。
2)地域の信頼が高まる:JCの認定を受けていれば、最高の基準をみたして、質の改善をはかっているということが分かって信頼される。
3)スタッフ教育の支援が行われる:認定を受けるとスタッフ全員に「JCの基準とは」「それをみたしているということは何が期待されているのか」「水準を維持していくために各個人が何をしなければいけないのか」などの教育をしなければいない。

認定の種類
No.1 基準に関する重大な問題がないもの
No.2 JCの基準に不適合があったとか問題があったけれども認定されるもの
No.3 仮認定
No.4 条件付き認定
No.5 非認定

<アメリカの医療事情を理解するために参考になるもの>
映画:「恋愛小説家」ジャック・ニコルソン、ヘレン・ハント主演
本:「アメリカの医学教育・アイビーリーグ医学部日記」赤津晴子著(日本評論者)
  「アメリカの医学教育・スタンフォード大学病院レジデント日記」同上
  「市場原理に揺れるアメリカの医療」李啓充(医学書院)
  「アメリカ医療の光と影」同上
  「人は誰でも間違える・より安全な医療システムを目指して」(日本評論者)

<添付資料>
[医療事故対策 万全な予防から] 高柳和江(医療管理学)朝日新聞「論壇」2000年12月9日
[厳格な病院評価がミスを防ぐ] 中野次郎(元オクラホマ大学教授)朝日新聞「論壇」2000年7月12日

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びんご・生と死を考える会2000年4月<月例講演会>
「米国・癒しの環境視察研修報告ー患者中心の医療・日米比較」
びんご・生と死を考える会 数野 博 代表世話人
4月22日(土)午後2時一4時、於:福山市医師会館

1)医療・福祉における危機管理
 病院の危機管理態勢 [医師の適切な呼吸管理とは?] 朝日新聞2000年4月13日
 危機の認識、予測、対策、実践、評価
 市民個人としての危機管理と医療・福祉提供側の危機管理
2)いい病院・施設とは:失敗しないための病院(医者)・施設選び
 医療・福祉の地域完結性と緊急性、救命救急センターの必要性
 情報公開と市民参加、「あきらめ・おまかせ医療」からの脱却
3)患者中心の医療:患者の権利
 患者と家族が中心の医療、患者中心のEBM(Evidence Based Medicine)
 遠藤周作氏の「心あたたかな病院運動」
4)癒しの環境
 ハードとソフト、経済。光と水と緑、愛と思いやりとユーモア(パッチ・アダムス)
 癒しの環境研究会
5)米国癒しの環境視察研修
 バリアフリーからユニバーサルへ、チャイルド・ライフ・スペシャリスト、エデンの園運動
6)ホスピス
 究極の癒しの環境:患者と家族が中心のチーム医療
 いつでも、どこでもホスピス・ケアを!
 心やさしい医療(5月21日に遠藤順子さんの講演会)

エデン運動の心(癒しの環境研究会訳)

1. 高齢社会で、高齢者は孤独感、無力感にさいなまれ、しかも退屈であるがこれは施設に入ると余計ひどくなる。これを変えよう。
2. 真の人間らしい生活とは、子供と一緒に過ごしたり、ペットを飼ったり、植物を育てたりするような生活である。このような関係を保って、高齢者にも生き甲斐のある人生を送ってもらおう。
3. 愛情に満ちた付き合いこそが孤独を癒す薬である。
4. 高齢者がお世話されることに卑屈にならず、堂々と優雅に芸術的なセンスでふるまってお世話をうけられるようにしましょう。他人をお世話することで自分も成長できる。高齢者同士でもお世話をし合うことができる。こうしたバランスが保てることが健全な関係なのだ。
5. 思いがけない出会いや言葉をやりとりしたり、ちょっとちがう新しい環境を演出して毎日が変化に富み自発的に行動が出来るようにする。
6. 精神的に豊かになるためには物事を自由に発想するべきである。
7. 人間らしい生活には他人を思いやる心が一番で、医療は二の次である。
8. 人間社会では、年をとる毎に知恵と経験を積み重ねている。お世話している人の意見を尊重しよう。
9. 人間らしい生活をしないと、人間として成長できない。
10. 孤独感、無力感及び退屈という、高齢者の悩みに対して強く立ち向かっていくリーダーシップが必要である。

「患者さんが医師に期待していること」
1998年8月15日 広島県医師会速報第1660号より

医師が書いた「患者さんが医師に期待していること」という文章がありましたので、参考までにお知らせします。医師の努力目標と言えます。ということは、このようなことが実行されていないということです。

1)自分の訴えや不安を、十分に耳を傾けて聞いて欲しい。
2)訴えを中心として、十分診察(視診・触診・聴診)をして欲しい。
3)診察と検査結果から診断がつけば、病名をすぐ知らせて欲しい。また、診断がつかない場合には、今後の検査や治療方針について説明が聞きたい。
4)入院したら、頻繁にベッドサイドに来て、自分の訴えを聞き、診察をして欲しい。
5)検査結果は早く知りたい。
6)治療は苦痛が少なく、また短期間で元気に帰れる方法で行って欲しい。
7)治療経過説明は定期的に受けたい。治療方針の変更が必要な場合には、説明を聞き、納得した上で受け入れたい。
8)検査や手術は、十分な知識と一流の腕を兼ね備えた先生に行って欲しい。

要するに、患者の立場に立った、心ある・優しい、しかも優れた医療ということです。

最近の新聞の切り抜き

[治療に求められる経験と根拠] 朝日新聞日曜版 ふしぎの国の医療 2000年1月6日
[「入室前の着替え」集中治療室でも要らない?] ふしぎの国の医療 2000年3月12日
[「看護職員の数」3対1でもまだ少なすぎる] ふしぎの国の医療 2000年3月26日

「病院に過失」
福山の夫婦が国に損害賠償求め提訴
2000年4月13日 朝日新聞

国立福山病院(福山市沖野上町四丁目、広田滋院長)で、生れたばかりの長男が亡くなったのは担当の医師が適切な呼吸管理をしなかったのが原因だとして、福山市の夫婦が国を相手取って慰謝料や逸失利益など四千四百万円の損害賠償を求める訴えを12日までに、広島地裁福山支部に起こした。訴状によると、長男は1993年7月14日、福山市内の産婦人科医院で生まれたが、その直後から呼吸障害が起こったため翌日、国立福山病院小児科に転院。保育器に入れられ、酸素吸入などの治療を受けていたが、酸素の供給が一時停止した後、症状が悪化。人工呼吸の措置が取られたが、長男の呼吸状態は改善されず、16日に亡くなった。、原告側は96年、長男を出産した産婦人科医院についても、同額の損害賠償を求める訴えを同地裁福山支部に起こし、係争中。原告側弁護人は「酸素供給の停止や人工呼吸の開始が遅れるなど、国立福山病院にも過失があると判断したため、提訴に踏み切った。賠償金は産婦人科医院と連帯して支払ってほしい」と話している。これに対し、病院側は「治療は適切だった」と話している。

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