[薬や注射のこと]

[注射嫌いを治したい][利尿剤の働き][ステロイド剤]

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[注射嫌いを治したい]

(相談)2000.2.12
はじめまして清水美沙です。私の悩みは,実は私は小学6年で12歳なのですが、もう12さいだと言うのに注射が凄く怖いのです。病院に行って注射を打ってもらおうとすると泣いてしまいます。こんな私が情けないです。『注射』の言葉を聞くだけで顔が真っ青になってしまうし注射器を見るだけでも唇が青くなります。わたしはいつもおもってます。『私はもうすぐ中学生になるト言うのになんで注射を怖がって泣いてしまうんだろう。情けないな。なんか泣かなくても住む方法はないかな。注射嫌いを治したい!!!』といつも思ってます。そこで私の悩みをなんとか解決さしてください。私は注射嫌いを治したいし注射の痛さを知らん振りする方法を教えてください。月曜日までにお返事をお願いします。訳は火曜日にジフテリアと言う注射を打ちに行くからです。絶対返事を下さい!待ってます。

(答え)2000.2.13
お答えします。大人でも、誰でも、注射は痛くて怖いのです。二つのことをしたら、あなたの注射嫌いは治ります。

まず一つは、「なぜ注射をしなければいけないのか」ということを考えることです。ジフテリアという病気は、高い熱が出て、のどがはれてものすごく痛くなり、呼吸が苦しくなって犬がほえるような咳が出て、死んでしまうような怖い伝染病です。そのような痛くてつらくて苦しい病気にならないように予防するために注射をします。病気になって、苦しんで、死ぬことを考えれば、注射の痛みは、ずっとずっと小さいということです。

もう一つは、痛くない注射はないのですが、なるべく痛くないようにすることはできます。これもふたつの方法があります。一つは、大く息をすっておいてはくときに針をさす方法と、針をさすときに反対側の手で自分の身体の足か身体のどこかをぎゅっとつねっておく方法です。両方すれば、最も効果的です。患者さんに注射をするときには、私はいつも患者さんに大きく息をすってもらって、はいてもらいながら針をさします。うまくいくと、これだけでもほとんど痛くないのです。

試してみてください。きっと、にこにこ笑いながら注射をしてもらうことができるようになると思います。

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[利尿剤の働き]

利尿剤は身体にたまった余分の水分を尿にして身体のそとに出す働きをします。身体は血液を腎臓で濾過して、血液の中の老廃物を水に溶けた尿のかたちで排泄します。このとき腎臓は、身体に水分が不足していれば、少ない水分で老廃物を排泄しようとして濃度の濃い尿を作り、水分が余分にあれば薄い尿で沢山の水分を尿として排泄します。利尿剤は、強制的に薄い尿を作らせて、水分を取り出そうとしますので、血液の量(水分量)が一時的に減るため、血圧が少し下がって動悸がすることもあります。しばらくすると、身体の余分の水分が血液の中に移動して、元にもどります。このようにして次第に身体の中の余分の水分を取り除く働きをします。余分の水分が減れば、尿の量も元にもどって、「しばらく飲んでいると効かなくなってくる」ということになります。このとき、血液の中の蛋白質(栄養)が少ないと、利尿剤の効き方が弱い場合があります。なるべく食べたり、飲んだりして、栄養や水分を補うようにしましょう。のどが渇けば口から水分を取ってください。点滴で直接身体(血液)に入った水分は、血液から身体に移動して逆に余分の水分となって身体にたまります。

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[非小細胞癌、放射線療法とステロイド剤で治療中]

(相談)兵庫県1998.8.28
患者は私本人です。この春の肺および縦隔への放射線照射のあと、7月半ばころより微熱や咳がひどくなり、「放射性肺炎」と診断され、7月21日より「リンデロン錠/0.5gm」を2錠ずつ、1日2回の処方をうけました。その後、症状が改善したのにともない、8月4日から同じリンデロン錠を1錠ずつ、1日2回の処方になり、そして、8月18日にはもう飲まなくてよい、と言われ、その指示に従いました。一方、首あたりのリンパ節の腫れがひどく、8月7日より右首あたりへの放射線照射を始めています。

相談は2つあるのですが:
1. 7月21日の血液検査結果でCEA腫瘍マーカーが1??(3桁の数字で、右2つの数字を覚えてないのです。)だったのが、8月18日の血液検査でのCEAの値が3??(同じく3桁の数字で、右2つの数字を覚えていません)に上がっていました。ちょうどリンデロン錠を服用していたときと同じなので、ひょっとして、ステロイド剤というのは、体の中の免疫力を弱めるか何か、そういう働きをするものなんでしょうか。

2. またリンデロンに関する質問ですが、8月18日にやめてからまた体の症状がかんばしくなく、咳がひどくなり熱も出だしました。8月25日に主治医にそのことを伝え、またリンデロンと腫瘍マーカーの関係など、そのときは何も考えられず、私から、リンデロンを再び飲んでいいものかどうかたずねました。そうすると、1錠くらいなら、飲んだりやめたり、私の判断でしていい、という答えでした。実際には、25日に処方されたリンデロンはまだ1錠も飲んでないのですが、昨日も37.7度の熱が出、咳もひどくなり、全体の症状としては、7月よりひどくなっているように思います。姉が薬剤師なので、そのことを言いましたら、普通ステロイド剤は止める時が難しく、私のように2錠からいきなり1錠になり、そしていきなりストップという止め方は聞いたことがなく、今の症状はひょっとするとリバウンドがでてるかも知れない、と言うのです。ただ、私の主治医が癌の専門医ですし、どうしたものかと思っています。

(答え)1998.8.29
お答えします。まず、「ステロイド剤は、体の免疫力を弱める働きをするものなのか」という質問ですが、その通りです。ステロイド剤は、炎症反応を抑える作用が強く、熱とか痛みを取る作用があります。つまり身体の色々な反応を抑える働きです。原因が分からない病気の治療や普通の治療(原因に対する治療)で治まらない症状の治療に使います。対症療法といいます。多くの場合は、とりあえず対症療法で熱や痛みなどの症状を取れば、あとは自己治癒力(自然治癒力)で自分の身体が病気を治すわけです。よく、どこへ行っても治らなかった病気が注射一本で治ったとか、ある種の薬を飲んで治ったとか言う話の大部分は、ステロイド剤による奇跡です。東南アジアで売っている薬や怪しげな漢方薬の中には、ステロイド剤が入っていることが多いようです。

次に、ステロイド剤の飲み方ですが、姉上のおっしゃるように普通ステロイド剤は止める時が難しく、リバウンドが問題となります。しかし、リンデロンは一日1錠位であれば、特に問題はなく、癌治療ではよく使われるものです。

色々と困難な症状が出ると思いますが、幸い主治医が癌専門医ということですので、よく相談して、治療を受けてください。

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