危機管理意識のない危険な「リスク社会」

[JT子会社、被害把握しながら回収遅れ 中国製ギョーザ中毒] 中日新聞 2008年1月31日 夕刊
[リスク社会への加担]「医の成功と失敗」について 日医ニュース「視点」No.1052 2005年7月5日
[アスベスト:太平洋セメント秩父工場でも16人死亡] 毎日新聞 2005年7月1日 13時20分
[■必然だったJR脱線、危機意識 構造的たるみ] 柳田邦男 朝日新聞「現論」2005年5月8日
[救急医療の充実願う] 数野博 中国新聞読者投書欄「広場」2004年9月15日
[対応が遅れた日本の狂牛病対策] 人命軽視の無責任行政
[またもくり返される安全を無視した製薬会社(多国籍グローバル企業)のための薬事行政]

[リスク(risk)とぺリル(peril)] どちらも危険という意味だが、日本で言われるリスクはぺリルのこと
[危険な「リスク社会」] 内橋克人著(光文社刊)「浪費なき成長、新しい経済の起点」より
[「赤信号みんなで渡れば恐くない」島国・稲作農耕民族の特徴?] 文化の違いではなく遅れているだけ

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JT子会社、被害把握しながら回収遅れ 中国製ギョーザ中毒
中日新聞 2008年1月31日 夕刊

 中国製冷凍ギョーザの農薬混入問題で、輸入元のジェイティフーズ(東京都品川区)が、昨年12月末に千葉市で起きた健康被害を今月4日に把握しながら、兵庫県での健康被害を受けて品川区保健センターが同7日に同社に問い合わせた際、「同様の苦情はない」と回答していたことが分かった。いずれも「天洋食品」(中国河北省)製のギョーザを食べた後で中毒症状が起きていた。製品の品質を管理している親会社の日本たばこ産業(JT)は「別の商品だったため、同じ工場で製造されたことに洞察が至らなかった」と説明している。

 天洋食品製ギョーザをめぐっては、今月22日には、千葉県市川市の「コープ市川」で購入した家族5人が中毒症状を起こし1人が一時重体になったが、JT側が複数の被害が出ていることを周知したり、商品を回収したりしていれば、防げた可能性がある。

 昨年12月28日、「CO・OP手作り餃子(ぎょうざ)」を食べた千葉市の母子が中毒症状を起こし、入院するなどした。JTによると、同社品質管理部は今月4日、この健康被害を把握していた。一方、同5日には兵庫県高砂市で「中華deごちそう ひとくち餃子」を食べた家族が中毒症状を起こした。これについて7日にジェイティフーズ本社のある品川区の保健センターが同社に照会。その際、同社は千葉市のものと別商品だったため「同様の苦情はない」と回答したという。

 いずれも同じ中国の工場で製造されたギョーザ商品だったが、JTのIR広報部は「別個の事例だと認識していた。同じ工場で製造された商品であることに洞察が至らず、結果的に対応できなかった」としている。

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[リスク社会への加担]「医の成功と失敗」について
日本医師会・日医ニュース「視点」No.1052 2005年7月5日

社会のなかには、どの分野においても、ある度合いを持って「危険」が存在する。その危険度が現実に増し、あるいは危険度が増しているのではないかと人々が不安状態に陥っている社会を「リスク社会」と呼ぶ。残念だが、医療も「リスク社会」に「加担」しているとみなされている。

病んでいる人を癒し、疾病を治し予防する使命を、医療が担っていることはいうまでもないことだが、その医療には、村上陽一郎氏が『安全学』(青土社)のなかで指摘しているように、「患者の身体の『安全』を脅かす要素が、本来的かつ必然的に備わっている」。すなわち、すべての医療行為は、患者の身体への侵襲を伴っているというわけだ。それが許されるのは、「医療行為が、一般的見地からみれば患者の『安全』に対する侵害であったとしても、その行為が患者の生命の安全にとってより大きな利益になる、という前提があるからである」と続けて村上氏は述べている。

また、松本三和夫氏は『知の失敗と社会科学技術はなぜ社会にとって問題か』(岩波書店)のなかで、「科学技術が問題を解決すると同時に生産するものとして社会と螺旋的に結びつくような構造を科学・技術・社会系が備えている。結局のところ科学・技術・社会系における成功(問題解決)と失敗(問題発生)には境界がなく、連続的につながりあっている(一部省略)」と指摘している。この指摘は正に医学・医療に本来的に備わっている「成功(問題解決)」すなわち医療成果と「失敗(問題発生)」すなわち医療事故との関係を、先に述べた『安全学』と同じ文脈で、適切にいい得ている。

医師は、医療に携わるにあたってインフォームド・コンセントを適切に行うように医師の職業倫理によっても、また医療法によっても義務付けられている。当然のことながら、行おうとする医療行為がもたらす医療成果のみならずその医療行為が内蔵している危険性(度)をも適切に説明したうえで、同意を得る必要がある。この医療成果と危険度は、平均値はあるにしても、その医療施設(構造、設備、スタッフの質と量、組織の質)と医師(技術、知識、熱意、誠意、人間性)によって異なるし、医療を受ける個体(患者)によっても異なる。さらにいえば、いわゆる患者-医師関係によっても影響を受ける。特に当該医療に備わっているリスクを説明し、理解を得るのは相当な信頼関係がないと困難だ。医療を行う医師と医療を受ける患者・家族とが、リスクについての共通認.識に立つためには、危険度を意識したリスクコミュニケーションが必要である。

医療安全については、さまざまな議論がなされていが、医療者と社会とは、医療が本来的に備えている「患者が受ける侵襲と利益」「医の成功と失敗」という視点で共通認識に立つことも必要であろう。

<ドクターちゃびんの解説>よく書けた論説ですが、「インフォームド・コンセント」を医師が行う行為ととれる表現をしています。インフォームド・コンセントは、患者の権利であり患者が行わなければいけない行為です。

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アスベスト:太平洋セメント秩父工場でも16人死亡
セメント製造大手の太平洋セメント(本社・東京)は1日、アスベスト(石綿)を使ったセメント管などを製造していた
埼玉県秩父市の2工場で、16人の社員が石綿関連病で死亡し、7人の社員が治療を受けていることを明らかにした。
23人はいずれも労災認定を受けている。同社によると、39〜79年、秩父市の「秩父第一工場」(既に閉鎖)と
「同第二工場」で、青石綿と白石綿を使った水道管やセメント管、煙突を製造していた。
死亡した16人のうち6人は石綿特有のがん「中皮腫」を発症していた。
同社は「近隣住民からの被害の申し出はない」と話している。
石綿をめぐる被害では、大手機械メーカー「クボタ」の旧神崎工場(兵庫県尼崎市)で働いていた関連会社員を含む
78人が石綿関連病で死亡し、周辺住民5人(うち2人死亡)が中皮腫にかかったことが明らかになっている。【青島顕】
毎日新聞 2005年7月1日 13時20分

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[■必然だったJR脱線、危機意識 構造的たるみ]
ノンフィクション作家 柳田邦男
朝日新聞「現論」2005年5月8日

JR福知山線の脱線事故の現場中継映像を見た時、車両破壊のあまりの凄さに息をのんだ。過去四十年余リ事故の取材をしてきて、これほどまでに車体がボロ切れ同然の残骸と化した例を見たことがなかった。激烈な車体破壊の原因は、脱線後に高速でコンクリートのマンションに激突したことにある。死者百七人、重軽傷四百六十人という人的被害の大きさは、電車が軌道の外へとび出し、ビルに激突したことによって生じたものだ。最近の先進国における単一列車の脱線転覆だけでこれほどの犠牲者を出した事例は、私の知る眼リ一例しかない。

それは、一九九八年のドイツにおける新幹線脱線事故だ。時速二百キロ以上で走っていた列車の連結器がはずれ、車輪が破損した後部車両が脱線して、立体交差している道路のコンクリート製橋脚に激突大破、死者百人、重軽傷九十九人の犠牲者を出した。この事故でもコンクリー卜構造物への衝突が被害規模を極大にしたのだ。

そこに事故が大惨事になった構造的な問題を解くもう一つの鍵がある。事故の第一原因は、脱線したことにあるのは言うまでもない。運転士は現場のカーブ区間で、時速七十キロの安全速度限界を大きく上回る百キロ超のスピードを出していたことが明らかになっている。それは運転士の過失であるにしても、そういう無謀なあせりの心理を引き起こす背景には、JR西日本という会社の、処罰で脅す定刻厳守主義、その根底にある過密ダイヤの強行、効率主義、営業優先主義といった企業体質がある。また停車駅でのオーバーランを線リ返す運転士の技量を直せない(あるいはリピーターを排除できない)乗務員訓練制度やプロ意識の希薄な若い世代の質向上の失敗、日常の安全管理の欠陥という、これまた企業体質の問題もからんでいる。

脱線を引き起こした直接的な原因と背景の調査分析は第一に重要だ。同時に、なぜこれほど多数の犠牲者を出すことになったのか、第二局面の構造的な問題の分析は、企業の体質を明らかにするうえで重要だ。この第二局面の問題点を洗い出す視点を、事故調査の用語で「サバイバル・アスペクツ(生き残リ得た条件の検討)」と言う。たとえ脱線しても、被害を最小限にとどめる方法はなかったのか、その条件を探る調査だ。その視点で検証してみると、今の時点でも少なくとも次の点は明言できる。

(1)車体構造の脆弱さ。軽量化のためにアルミ合金を使った最近の車体はとくに側面においてペラペラになっている。そのことは、二〇〇〇年三月東京の地下鉄日比谷線で脱線車両の片側が対向電車によって無残に削り取られて死傷者を出して以来、問題視されてきた。昔の鋼鉄製車両であれば、今回ほどのつぶれ方はしなかった。ドイツの新幹線車両はずっと頑丈なので、時速二百キロ以上の速度だったのに、車体の壊れ方は尼崎事故ほどひどくはなかった。軽量化はスピードアップとコスト軽減のために、安全性を犠牲にして採られた方策だ。

(2)電車が脱線しても軌道外にとび出さなければ、あれほどの破壊は起こらなかった。過密都市では車両の軌道外へのとぴ出しは極めて危険だ。しかも、現場は最近の線路位置変更でカーブが急になったのだから、スピードの制御やとび出し防止のための二重レール化や防護壁設置が急務だった。ところが、そういう対策は無視されてきた。

これら二点と前述の第一原因の背景要因を列挙してみると、JR西日本の経営と現場における危機意識の構造的たるみが歴然としてくる。JR西日本については営業利益優先、対私鉄優位、ダイヤ至上に走るあまり、安全への意識も対策も低下し、「今に大事故が」と安全問題専門家の間ではかねて危倶されていた。その危倶が現実のものとなってしまったのだ。五百六十七人に上る死傷者は安全を優先すべき鉄道事業経営の失敗の犠牲と言うべきだろう。

しかし、これはJR西日本だけの問題ではない。営業優先下の危機意識の構造的たるみは、今日本の一流企業に蔓延している病理なのだ。

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[救急医療の充実願う]
医師 数野博 中国新聞読者投書欄「広場」2004年9月15日

救急医療週間の十二日に福山市東部市民センターで行われた救急医療セミナーに参加した。来年春、広島県東部では初めての開設に向けて体制整備を行っている福山市民病院救命救急センターの専門医の話を聞き、既に今年の一月から高度な救急医療を行っていて目を見張る成果を挙げていることを知った。救急医療では、受傷後一時間以内という初期の治療次第で救命できるかどうかが決まると言われる。傷病の種類と部位と重症度を瞬時に診断して適切な治療を行うために、一九七七年から国による救急医療の系統的整備が始まリ、九一年からは救急救命士制度がスタートしている。県内では七七年に広島'市民病院、七八年に国立呉病院、九六年に県立広島病院に開設された三つの救命救急センターが日夜活動していて多くの命を救っている。つまり県東部では約三十年遅れての開設ということになり、残念ながらこの間に多くの救えるはずの命が失われたことは想像に難くない。今回のセミナーを主催した福山市、福山市医師会、福山地区消防組合に、市民の命を守る最新の救急医療体制の整備と情報の周知を期待したい。

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[対応が遅れた日本の狂牛病対策]
人命軽視の無責任行政

Q1)「狂年病って?」

狂年病(正式には中海綿状脳症という)は1986年に英国で発見されました。狂年病にかかった牛の脳はスポンジ(海綿)のように小さな穴があいたようになり、歩くこともままならなくなり死亡します。

Q2)「狂年病の原因は?」

プリオンとよばれる特殊な蛋白が病原体といわれています。プリオンは冷凍にも料理の熱にもびくともしない、たちの悪い病原体です。そして、このプリオンは牛の脳、脊髄、舌、脾臓、胸腺、腸といった内臓に多く蓄積します。

Q3)「人間にうつるの?」

人間にも海綿状脳症があります。発見した人の名前をとってクロイツフェルト・ヤコブ病と呼ばれています。ヤコブ病は50才代半は以降に多く起こります。主な症状は痴呆で,病気が始まってから1年以内に死亡します。また、羊にも狂年病とよく似たスクレイピーという脳の病気が200年以上音からありました。人間はそれよりずっと前から羊の肉を食べていました。しかし、羊の肉をたべてヤコブ病になった人はいません。1970年代後半、英国で牛の餌に羊の内臓,骨を使い始めました。1986年に狂年病が発生していることを考えれば、羊のスクレイビーが牛にうつったと考えられなくもないのですが、はっきり断定はされていません。しかし、その後の英国での狂年病の大流行は、狂年病の牛の骨や内臓を牛の飼料にしたことが原因であることははっきりしています。もし、人間に簡単にうつるものならすでに多くの人が狂年病に感染しているはずです。この間、イギリスでは多くのステーキや牛乳が食べられたり飲まれているはずですから。では、うつらないなかというと、実はイギリス政府が1996年3月に狂年病が人間にうつる可能性をはじめて公式に認めているのです。狂年病が初めて発症したときから、10年が経過しています。この時点で狂年病が原因と考えられるクロイツフェルト・ヤコブ病の患者数は10人。そして、2001年8月31日の時点で同病による死亡者数は99人にのぼっています。このことから、牛肉や牛乳などからはうつることはないが、プリオンの多く蓄積している、脳、脊髄、舌、脾臓、胸腺、腸といった骨や内臓などからまれに感染することがあると考えられています。実際、英国政府は1988年7月に牛の内臓を牛の飼料にすることを禁止し、さらに1989年11月特定の牛の内臓を人間の食物の材料に使うことを禁止しています。

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[またもくり返される安全を無視した製薬会社(多国籍=グローバル企業)のための薬事行政]
厚生労働省とバイエル薬品・武田薬品が協議?の結果、世界で販売中止・回収された薬を日本だけで販売継続!

米で薬害死の訴訟相次ぐ【ニューヨークー14日共同】
中国新聞2001年8月16日

ドイツの化学大手バイエルの高脂血症治療薬「バイコール」(一般名セリバスタテン)による副作用とみられる死亡者が出ている問題で、米国の遺族らが14日までに、同社に対して損害賠償を求める訴訟を相次いで起こした。バイエルは既に日本を除く各国で自主回収を決定、13日には死亡者が全世界で52人に上ったと発表している。

平成13年8月8日、ドイツ・バイエル社が日本を除く諸外国で販売を中止・回収することを発表し、同日以降各国で中止・回収が行われている薬について、厚生労働省とバイエル薬品・武田薬品が協議?の結果、日本だけは販売継続することを決めたという情報書類を8月20日当該製薬会社の社員が届けに来た。

米国バイエル薬品の文書 http://www.fda.gov/medwatch/safety/2001/Baycol2.htm
米国FDAの見解 http://www.fda.gov/bbs/topics/ANSWERS/2001/ANS01095.html
日本の厚生労働省の企業への指導 http://www.mhlw.go.jp/topics/2001/0108/tp0816-1.html

誰のために?誰の権限で、誰が決めたのか?事故が起きた場合の責任は誰にあるのか?
薬害エイズの時と同じ手口で、薬を売りつくすまで販売停止にしないのか?
以下に掲載する私たち医療者に届けられた書類(「お願い」という宛名のない文章、厚生労働省の名前は入っていない)で、責任を医療者と患者に転嫁しようとしている。

追記:8月24日、バイエル薬品の製品を扱っている卸し会社の社員が、日本でも販売を中止したとの情報書類を届けに来た。当然のことが行われるまでに2週間以上かかったことになる。これが日本の薬事行政の実態である。役所からの天下り先の企業なので、厚生労働省も人の命より企業の利益を重視するのだということだと聴いた。

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平成13年8月

セリバスタチンナトリウム製剤(バイコール碇:バイエル薬品,セルタ錠:武田薬品)
「用法・用量」「使用上の注意」遵守のお願い

謹啓,時下ますますご清栄のこととお慶び申しあげます。平素は弊社製品につきまして,格別のご高配を賜り厚く御礼申しあげます。
さて,セリバスタチンナトリウムはドイツ・バイエル社にて合成され,日本ではバイエル薬品と武田薬品が共同開発したHMG-CoA還元酵素阻害剤で,高コレステロール血症治療薬として各国で使用されてまいりました。
しかしながら,主に米国において,セリバスタチンナトリウム製剤とゲムフィブロジル製剤(フィブラート系製剤:日本未承認)を併用した場合,あるいは高用量を投与した場合(特に0.8J/日から開始した場合)に横紋筋融解症発現の報告例数が増加していました。ドイツ・バイエル社は,添付文書の改訂やドクター・レターの配布等により注意喚起を図ってまいりましたが,重篤な横紋筋融解症の発現が防止できませんでした。
横紋筋融解症はまれな病気ですが,ときに致死的であり,血清脂質低下剤の共通した副作用として一般に知られています。このリスクは,セリバスタチンナトリウム製剤と血清脂質低下剤であるゲムフィブロジル製剤を併用した場合に高くなります。
平成13年6月30日時点で,セリバスタチンナトリウム製剤投与による横紋筋融解症が発現した後に,死亡した症例が全世界で52例報告されております。これらは自発報告例であり,本剤との因果関係が明確でない症例も含まれます。
以上の経緯から,平成13年8月8日,ドイツ・バイエル社は日本を除く諸外国でセリバスタチンナトリウム製剤の販売を中止し,回収することを発表し,同日以降各国において中止・回収が行われております。
一方,日本ではゲムフィブロジル製剤は未承認で販売されていないため,併用されるおそれがほとんどないと考えられ,また,諸外国に比べ承認用量が低用量(0.15-O.3J/日)であることから,今後とも低用量からの使用を開始し,「使用上の注意」を遵守していただければ本剤を安全にご使用いただけるものと考えております。
つきましては、本剤をご処方,調剤いただく際には,以下の点にご留意くださいますようお願い申しあげます。
@特に,フィブラート系薬剤との併用,腎機能障害のある患者への投与,高齢者への投与につきましては,「使用上の注意」に十分ご留意ください。
A本剤の投与に際しましては,通常1日1回0.15J(腎機能障害のある患者,高齢者では減量するなど注意すること)から投与を開始し,投与中は観察を十分に行い,筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及ぴ尿中ミオグロビン上昇等がみられた場合には,直ちに投与を中止するなど慎重にご使用ください。
Bゲムフィブロジル製剤は日本では未承直で販売されていませんが,海外渡航者等による個人的な使用の可能性もありますので,本剤服用中はゲムフィブロジル製剤を服用しないよう患者をご指導ください。
Cゲムフィブロジル製剤を服用中の患者には,本剤を処方しないようにお願い申しあげます。

謹白

バイエル薬品株式会社
武田薬品工業株式会社

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平成13年8月

セリバスタチンナトリウム製剤バイコール錠、セルダ錠の自主的な販売中止および回収に関するお知らせ

謹啓時下ますますご清栄のこととお慶び申しあげます。セリバスタチンナトリウム製剤「バイコール錠」(バイエル薬品)、「セルダ錠」(武田薬品)につきましては、格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申しあげます。平成

13年8月8日、ドイツ・バイエル社が日本を除く諸外国で本製剤の販売中止と市場在庫の回収を決定いたしました。このような自主的な販売中止決定の背景は、添付文書の改訂やドクター・レターの配布等、注意喚起を図ったにもかかわらず、ゲムフィブロジル製剤(フィブラート系高脂血症用剤、日本未承認)と併用されたり、不適切に高用量で治療を開始された患者さん(特に0.8mg/日から開始した場合)において、本製剤投与例で筋障害(横紋筋融解症)の副作用報告が、引き続きなされていたことにあります。

一方、日本では、ゲムフィブロジル製剤は未承認で販売されていないため、併用されるおそれは、ほとんどないと考えられること、および諸外国に比べ承認用量が低用量(0.15mg-0.3mg/日)であることから、今後とも低用量から投与を開始し、「使用上の注意」を遵守していただくよう、先生方にお願いしてまいりました。さらに、ゲムフィブロジル製剤は日本では未承認ですが、海外渡航者等による個人的な使用の可能性もありますので、本製剤服用中はゲムフィブロジル製剤を服用しないように患者さんをご指導いただくよう、また、ゲムフィブロジル製剤服用中の患者さんには本製剤を処方しないよう、お願いしてまいりました。

両社では、患者さんの安全を最優先に考えて、上記のとおり情報提供に努めてまいりましたが、世界で広く使用されているゲムフィブロジル製剤との併用を完全に避けることは困難であると判断されること、また、将来的に同製剤が日本で販売される可能性も予測されることを総合的に勘案した結果、今後のリスクを避け安全性確保について更に万全を期すため、「バイコール錠」、「セルダ錠」について自主的に販売を中止し、市場より回収させていただくことにいたしました。先生方におかれましては、事情をご賢察の上、何卒ご理解とご協力を賜りますようお願い申しあげます。

謹白

バイエル薬品株式会社
武田薬品工業株式会社

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[リスク(risk)とぺリル(peril)]
どちらも危険という意味だが、日本で言われるリスクはぺリルのこと

高速道路を自動車で走っている時に、道路に岩が落ちているかもしれないと云うのがぺリルで、もし道路に岩が落ちていたらどのように運転したらよいかと云うのがリスクです。

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[危険な「リスク社会」]
内橋克人著(光文社刊)「浪費なき成長、新しい経済の起点」より

『ところでいま、日本とヨーロッパでその意味が全く違ったつかわれ方をされているのが「リスク」という言葉です。日本では、リスク社会では「リスクにたいする責任」は当然個人が負うべきであるとか、リスクは危険でなくむしろチャンスである、などと気楽に叫ばれる。

けれども、ヨーロッパ、北欧諸国では「リスク・ソサイアティ」論は回避すべき社会的危険という意味でこそ重大な意味をもちはじめています。「リスク社会」を私は「不安社会」といっていますが、「リスク・ソサイアティ」をめぐる議論が台頭しています。リスクとは何か。たとえば市民のコンセンサス、合意が形成されていない社会は、リスク社会だ、というようなつかわれ方です。

日本では全く意味が違うことがわかるでしょう。日本とは違って、単に危険という意味のリスクでもないし、技術のリスクでもない。間違って何かが起きるリスクでもない。市民の合意がないままに、物事がどんどん決まる社会を「リスク社会」と呼ぶ。

リスクには、科学者が計算する数値化されたリスクもあります。が、そのリスクのなかに市民が抱く漠然とした、科学的ではないかもしれない「不安」をどう入れていくのか。

たとえば原発のリスクというものは科学的には数値化されるのでしょうが、しかし、そこで説明されるリスクとは異なる社会的リスクというものがあるわけです。東海村の臨界事故のときに思い出したのは、かつて私も取材に臨んだ島根県での原発ヒアリングの模様でした。いざという事態では宍道湖を泳いで逃げるというのか、と市民は疑問をぶつけた。その他たくさんの質問が噴出しましたが、科学技術庁はひとことの回答もしなかった。答える必要がないとばかりに、どんどん議事を進めていく。

たとえ、科学的には根拠に乏しい質問でも、市民が不安だと思えば、その状況を放置しておくことこそがリスクだと考えるのが「リスク・ソサイアティ」論の根本です。

ところが日本では、「あなたは不安だというが、科学的な根拠がない」とばかり、市民にたいして充分な説明をする前にドン・キホーテ扱いをする。原発にたいして警鐘を鳴らすと、ドン・キホーテ扱い。「科学の国のドン・キホーテ」というわけです。』

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[「赤信号みんなで渡れば恐くない」島国・稲作農耕民族の特徴?]
 文化の違いではなく遅れているだけ

異常な交差、医学では「死の交差」と云う言葉がある。
自分の頭で考え、自分の意見を持ち、人の意見を聴くことを忘れないようにしたい。

(中国新聞2001年5月23日)
中身は何も変っていないのにこの極端な支持率の変化は一体何なのか?
単なる人気投票と云うことか、流行を追う日本人の特徴をよく表わしている。
「赤信号みんなで渡れば恐くない」みんなが同じという危険な傾向。
理念・想像力・思考力・自己主張・独創性・批判的精神の欠如。
主体は我々国民だと云う民主主義の根幹を忘れている。

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