[子宮癌2]

[子宮体癌で手術を受けて2期と言われたが抗癌剤のことや腺癌の予後が知りたい]
[子宮頚癌0期と診断され円錐切除術を受けたが1b期の腺癌だった]

[子宮体癌術後2年で再発し化学療法を受けているが他に方法は?]

→見出しページへ


[子宮体癌で手術を受けて2期と言われたが抗癌剤のことや腺癌の予後が知りたい]

(相談)1999.11.2
はじめまして。主人の母(52歳)がつい1週間ほど前に子宮体がんの手術を受けました。半年程前から、不正出血があり、その間2度近所の婦人科で診察を受けたのですが異常なしと言われちょうど年齢的に更年期ということもあり様子を見ていましたが、どうしても気になったらしく、9月の初めに再度診察を受けにいったところ検査の結果癌が発見されました。近所の大学病院を紹介され、現在治療しています。いろいろな検査の結果、他に転移はしていないことがわかり、癌も2期だったので手術を受けました。子宮と卵巣,卵管、膣の一部、そして骨盤内のリンパ節をとりました。主治医からは取った物を検査に出してその結果で抗ガン剤を投与するかどうかを決めると言われました。もし抗ガン剤を使うことになったとしたら・・・それっていうのは転移が認められたということなのでしょうか?抗ガン剤っていうのはどのくらい効果があるものなのでしょうか。それと、抗ガン剤を使わなくて済んだとしたら、その後再発や転移の危険はないのでしょうか。いろいろ主治医の先生にも聞いたりはしているのですが、あまり先のことは相談にのってもらえず(あたりまえですよね)いろいろ調べては落ち込んで、やっとこのホームページにたどりつきました。子宮体がんの2期というのは治療成績はどのくらいのものなのですか。腺癌と言われたのですが、腺癌は予後不良だと聞いたことがあります。まだ若い母なのでかわいそうでしかたないのです。手術で全部取り切れていれば心配ないのでしょうか、またはずっと後になって再発することもあるのですか?なんだかバラバラな文章になってしまってすみません。お返事おまちしています。よろしくお願いします。

(答え)1999.11.2
お答えします。子宮体癌(腺癌)の治療は、ステージ(病期=病気の進行度)と癌細胞の悪性の度合いによって決まります。もしリンパ節転移がなくて癌細胞の悪性度が低い場合には、手術だけですむと思います。転移があれば、ホルモン療法や放射線療法や化学療法(抗癌剤治療)などを行います。そのようにして治療した結果で、どのくらい治るかどうかという数字が出ます。5年生存率と言います。子宮体癌の5年生存率は、1期も2期も95%、3期で65%、4期で35%ということになっています。どこにも100%という数字はありません。

早期でも再発する人がいますし、末期と言われても治る人がいます。癌も結局は自分で治す病気です。病院での治療は、癌を治りやすくするための治療で、それだけでは治りません。「手術で治した」というのは間違いで、目に見えない癌細胞が残っていても、自分の身体の治す力(自然治癒力や免疫力)で治しているのです。一応、再発や転移がなくて、手術から5年たてば、治ったということになります。もし再発や転移が起きるとすれば、術後1年から2年くらいで起きることが多いようです。元気で病院から退院する日が、癌治療のスタートラインと思ってください。あとは自分で治す努力をしなければいけません。ではまたいつでもメイルをください。

→見出しページへ


[子宮頚癌0期と診断され円錐切除術を受けたが1b期の腺癌だった]

(相談)1999.5.14
数野先生へ、はじめまして。神奈川県在住、35歳です。今年の1月に子宮頚癌0期と診断されました。専門の病院を紹介してもらったのですが、私が5年前に脳外の手術を受けていたことから、脳外科のある病院に行くように言われ、大学病院を紹介されました。そこで勧められたのが放射線による治療で、年内に結婚の予定のある私としては卵巣に影響のあるということからその治療法には納得がいかず、知人の紹介で別の大学病院に行きました。そこでは、最初の病院での標本も見た上で「高度異形成上皮(前癌状態)」と診断され、4/8に円錐切除術を受けました。ところがとった組織の検査結果を聞きに行ったところ、初期の腺癌であるといわれてしまいました。何期かたずねると、1b期とのことでした。子宮とリンパを取ることになるそうです。卵巣は少しでも残すとのこと。6/15に手術の予定です。4/30に腹部のCTをとりました。5/19には腎盂撮影を受けます。「たちの悪い癌」といわれたのですが、腺癌は治る癌と思ってよいでしょうか。転移の可能性は高いのです。いろいろな検査はそれを調べるためのものですか?また、子宮全摘は避けられないことでしょうか。子宮を取った後、排尿・排便に障害が出ることがあると聞きましたが、本当ですか?それはずっと続くのでしょうか。最初に聞いたときはもう一生子供は産めないということがたまらなくショックで、涙が止まらなかったのですが、その後インターネットでいろいろ見ているうちに、もしかして命にかかわるのではないかと心配になってきてしまいました。どうかよろしくお願いいたします。

(答え)1999.5.15
お答えします。癌は、早期に治療を受けるほど、治りやすいわけですから、治ると信じて治療を受けることです。担当医に良く話しを聴いて、まず「治す」ことを考えることです。専門的な病院で、経験を積んだ医師の治療を受ければ、心配は無いと思います。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.5.17
返信、ありがとうございます。気持ちで負けてはだめですね。必ず治ることを信じて手術を受けたいと思います。

(相談)1999.5.27
こんにちわ。以前メールを送ったものです。先週の土曜日に病院に行った際、主治医に時間をとってもらって手術のことを聞いてきました。術後の後遺症のことも。手術で取る範囲は、子宮と骨盤内のリンパ節。卵巣も1つは取るそうです。というか、1つは残したいということでしたから、もしかしたら両方とも取ってしまうかもしれないです。1b期なので、膣もある程度切り取ることになるそうです。あと、周辺の靭帯も取るとのこと。膀胱障害や膣を切ってしまうことによる夫婦生活への影響といった後遺症については、「無いとは言えない」という表現でした。いろいろ不安はあるのですが、先生のおっしゃるとおり「治る」と信じること。そして、良く食べ良く寝て、しっかり体力をつけることに専念して、あとはお医者様にお任せしようと、そういう風に気持ちを切り替えようと思っています。後遺症のことも、そのときに考えようと。術後の状況によっては放射線を使うこともあるということでした。これは、リンパ節への転移があった場合ということでしょうか?卵巣のことについては今週もう一度聞いてみようと思っていますが、どちらを残すか、両方とも取るかといったことは、手術前に決められるものですか?手術中に決まるのでしょうか。気持ちの持ち方で病気の治り方も変わってくると友人に言われ、できるだけくよくよしないように、と心がけてはいるのですが…なかなか難しいです。もう、あんまり調べたり、質問したりしないほうがいいのでしょうか。今の自分の気持ちそのままのわけのわからないメールになってしまいごめんなさい。でも、人と話したり、こうやってメールしたりすると少し気がまぎれるので。時間があるときにどうぞお返事下さいね。

(答え)1999.5.28
お答えします。現在、一般的な癌の治療方法はどの病院でもほぼ一定しています。担当医の説明の内容は、ごく一般的な考え方です。放射線を使うこともあるのは、リンパ節への転移があった場合ということだと思います。卵巣のことについては、癌が偏平上皮癌で卵巣に転移がなければ、残すことができますが、最終的には手術中に決まります。

「あんまり調べたり、質問したりしないほうがいいのでしょうか。」
自分が、自分の主治医のつもりで知識を持つことは、自分の命を守るために必要なことです。すべて「おまかせ医療」ではいけません。もちろん、手術は医師がするわけですから自分の思うようにはなりませんし、高度に専門的なことは信頼してお任せするしかありません。説明を聴いて、納得して、信頼して、お任せするということになります。やはり人生における大きな危機ですから色々と悩まなければいけませんが、それによって人間的に大きく成長されることと思います。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.5.28
数野先生へ、返信ありがとうございます。病気を治すことがまず第一ですよね。でも、術後の障害もできるだけ小さくしてほしいのです。それがどの程度可能なのか……。明日また先生とよく話してきます。私は脳出血の後遺症で、今も左足の麻痺がのこっています。術後には病院のベッドで毎日のように泣いていたけれど、今、こうして何とか社会復帰をして、やっぱり生きていて良かったと思うんです。だから、今度もきっと時間をかけて、乗り越えていけるだろうとは思います。でも、やっぱり不安なんですよ。どの程度のものか、ぜんぜん想像できないから。早く気持ちを切り替えようとは思っているのですが……まだ少し時間がかかりそうです。来週、またご報告のメールを送ります。よろしくお願いします。

(返信)1999.5.29
メイルありがとうございました。あなたの場合は早期癌と言えますので、ちゃんと治療を受ければ大丈夫です。担当医に良く話を聴いて、治ると信じて治療を受けることです。癌の治療は退院の日がスタートラインですので、まずできるだけ良い状態でスタートラインに付けるようにすることです。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.5.29
数野先生へ 返信、ありがとうございます。土曜日に病院に行ってきました。「理屈っぽい人だ」とか、「あなたみたいにいろいろ聞く人はいない」とかいわれましたが(そうなのかなー)、一応質問には答えてもらいました。卵巣は、2つ残しておくほうが再発の確率が高くなる為1つは取るとのこと。靭帯や膣の一部を切除するのも再発予防ということのようです。素人の私はそう言われるとついつい、余計なところまで取るのはやめてほしいなーって思ってしまうのですが、「必要無いところはとらないから」ということなので、あとは先生にお任せします。来週の初めに入院の予定です。できるだけ心穏やかに手術の日を迎えられるよう、数野先生のおっしゃるように必ず治るんだということを信じて、2週間をすごします。一度はあきらめてしまっていた足のほうのリハビリもまた始めようと思っています。手術が終わって元気に復帰したらまたメールを送ります。

→見出しページへ


[子宮体癌術後2年で再発し化学療法を受けているが他に方法は?]

(相談)1999.5.11
数野 博 様、はじめまして。私の母の病気が再発し、ネットで調べていたところ、先生のホームページにたどりつきました。大変ご多忙と存じますが、ご返答願えればと思います。私の母(69歳)は、2年前の12月頃、子宮体がんと告知され、2月に広汎性子宮全摘出術を受けた後、3クールの化学療法を受けました。闘病中、季節柄風邪などをひいて入院期間が延びましたが、5月には退院し、その後の経過も良く元気に過ごしていました。今年2月にも2年目の検査があり結果も良かったとのことでしたが、4月に足の付根が痛み始め、整骨院等へ通ったのち、4月末に再度病院で検査したところ、リンパに位置すると思われる辺りの骨盤左右(計2箇所)と、脾臓に影がみつかり、再度入院してしまいました。現在既にシスプラチン・アドレアマイシン・エトポジット(?)の組合せで治療が始まっており、今後、3クール、更に放射線療法(状況を見て)が予定されています。ちなみに、骨盤にある2つの腫瘍の切除は不可能(危険)ということです。医師の判断では、5分5分ということで、「諦めたらおしまいですから、がんばりましょう」と言われ、状況はあまりよくありませんが、家族としては、とにかく痛みを和らげ、できれば年老いた母に抗がん剤の投与などで体力減退させず、民間療法などもっと体および精神に負担のない方法で何とかならないものかと思考錯誤しています。母自身は、再発したことへの気落ちと化学療法をすることの不安でやりきれない様子です。これから受ける治療が延命治療に過ぎず、もし今後、病院から出られないような事態であれば、もっと、別の方法に望みをかけたいのですが...とにかく、足の付根が痛いらしく(今は鎮痛剤で押さえられているようですが)、家では外に出るのも億劫だったようです。この痛みが腫瘍を小さくしないがぎり取れないのであれば、やはり予定どおり抗がん剤の投与を続けなくてはいけないのでしょうか。化学療法により、体が衰弱していくのではと思い、とても気がかりです。お忙しい中、申し訳ありませんが、ご意見戴けますよう、どうぞよろしくお願いいたします。母にもっと好きな旅行をさせてあげたいと思う娘より

(答え)1999.5.12
お答えします。「リンパに位置すると思われる辺りの骨盤左右(計2箇所)と、脾臓に影」「現在既にシスプラチン・アドレアマイシン・エトポジット(?)の組合せで治療」「今後、3クール、更に放射線療法(状況を見て)が予定」「骨盤にある2つの腫瘍の切除は不可能(危険)」「医師の判断では、5分5分」、大変ご心配のことと思います。

残念ながら、著しい進行癌や再発・転移した癌を治すことは、世界中どこへ行っても困難です。これからの治療は、進行を遅らせることと、痛みなどの症状を取ること(対症療法)が目的となります。病院での治療は、手術以外には化学療法(抗癌剤治療)と放射線療法しかありません。とりあえず今の治療を受けてみて、効果がなければ、痛みを取るだけの治療を受けることになります。痛みさえ取れれば、普通の生活ができます。これからは、残された時間をどのように使うかということを考えなければいけません。いずれは、誰でも皆、遭遇しなければいけない人生最大の危機です。生と死について考える機会を与えられたわけですから、本人の意志を尊重してあげて、最期までみんなで支えてあげてください。治療について、こうしなければいけないというようなことはありません。今、生きているということは、病気の人も健康な人も同じです。明日のことは、誰にもわかりません。先のことは、誰にとっても「五分五分」です。

民間療法は、心の支えになるのであれば、本人の意志で、何か一つか二つだけに決めて、続けることです。はっきりとした効果があるものや、医師がおすすめできるようなものはわかりません。法外に高価なものや、何でも治るというようなものは、避けたほうが良いでしょう。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.5.12
数野 博 様、早速のお返事、お忙しい中本当にありがとうございました。私自身の中で、母は治る!と信じたい気持ちが離れない反面、事態は緊迫していることを、再び認識することができました。病院の先生に相談できないような率直なことも、数野先生にはちゃんと答えていただけるため、これからの対応をしっかり考えていくことができます。先生のおっしゃるように、やはりとりあえずは、3クール受けてみようと思います。あとは母の心のケアが最も大切になってくると思います。治療の効果に少しでも望みをかけ、母が治療の辛さから気持ちに負けないよう、家族でできるかぎり支えていきたいと思います。誰もが思うように、先生のように患者や家族の支えになってくれる人はなかなかいないと思います。医師は患者の赤い糸を最後まで離さないでいてくれる事を患者や家族は願いますが、心の問題までは、なかなか繋がっていないのが現状の様です。こういった手段で数野先生のような方に相談することができ、本当に幸せに思います。また経過を見て、ご相談することになると思います。その時は、どうかよろしくお願いします。どうも、ありがとうございました。

→見出しページへ