コース別人事制度 |
■コース別人事制度とは ■規定例
コース別人事制度とは、能力・意欲・職業観の差異に応じて、社員を処遇する制度をいう。
具体的には、担当する職務の内容、転勤の可否等に応じて複数のコースを設定し、社員にいずれかのコースを選択させて、昇進・昇格・能力開発・配置等の処遇を行うものである。
●この制度のメリットとしては、
@能力と意欲に応じた処遇を行うことにより、社員のモラールアップを図れる。
A人材の活用と育成を効率的に行うことが可能となる。
B職業観と生活設計の多様化に柔軟に対応することができる−等が挙げられる。
●制度の設計手順
@職掌、担当業務(業務の質的差異、担当業務の区分)
Aコースの名称(総合職・基幹職=基幹的、中枢的、非定型的業務を担当する職掌。一般職、事務職=補助的、定型的業務を担当する職掌。)
B人事異動・転勤(転勤と人材育成、転勤の有無とコース区分、異動)
C職能資格等級(能力の伸長と処遇、資格等級の数)
D昇進(役職者の選任、資格等級との関係)
E賃金(年齢給、職能給、調整手当)
F人事考課(人事考課の役割、考課要素のウエイト)
G労働時間(原則、フレックスタイム制)
H教育訓練(新入社員教育、その他の教育研修)
I福利厚生(原則、寮・社宅、制服)
J定年制と再雇用(定年制、再雇用制、選択定年制)
K募集・採用の対象者(男女雇用機会均等法は、第7条(募集および採用)で「事業主は労働者の募集および採用について、女子に対して男子と均等な機会を与えるように努めなければならない」と規定している。)
Lコース転換制度(コース転換と人材活用、コース転換制度の内容、コース転換の申請)
第1条(目的)
この規定は、社員のコース及び異動・昇格・昇進等に関する基準を定めることで、適材を適所に配置し、人材の育成を図り、事業の円滑、そして合理的な運営に死することを目的とする。
第2条(コース)
正社員のコースを「総合職」と「一般職」とに区別する。
第3条(担当職務)
1.総合職は、主として個別的な判断を要する基幹的・中枢的・管理的業務または高度の専門的知織を必要とする業務を担当する。
2.一般職は、主として上司の細部的または包括的な指示監督の下に、補助的・定期的な業務を担当する。
第4条(募集・採用)
総合職は、4年制大学卒業予定者または卒業者の中から募集・採用し、一般職は高等学校卒業予定者または卒業者の中から募集・採用するものとする。
第5条(人事異動)
1.会社は、業務の必要に基づき、人事異動を命令する。
2.一般職に対しては、住居の変更を伴う事業所への異動は、原則として命令しないものとする。
第6条(総合職の職能資格等級)
職務遂行能力に応じ、総合職に資格等級を設ける。資格等級は、総合職1級(最下位)、総合2級、総合3級、総合4級、主任、主事、副参事、参事、副理事、及び理事(最上位)とする。
第7条(一般職の職能資格等級)
職務遂行能力に応じ、一般職に資格等級を設ける。一般1級(最下位)、一般2級、一般3級、主務及び主査(最上位)とする。
第8条(昇格)
総合職、一般職とも、職能資格等級の昇格は、下位等級への在籍年数、出勤率及び人事考課の結果を基準として公正に行うものとする。
第9条(昇進)
役職者の登用は、次の区分に基づいて行う。
1.係長は、総合4級または主任に格付けされている社員の中から登用する。
2.課長補佐は、主任または主事に格付けされている社員の中から登用する。
3.課長は、主事、副参事または参事に格付けされている社員の中から登用する。
4.次長は、参事または副理事に格付けされている社員の中から登用する。
5.部長は、副理事または理事に格付けされている社員の中から登用する。
第10条(賃金)
1.賃金体系は、総合職及び一般職ともに、基本給と諸手当とする。
2.年齢給は、別表1(略)のとおりとする。
3.総合職の職能給は、別表2(略)のとおりとする。
4.一般職の職能給は、別表3(略)のとおりとする。
第11条(人事考課)
1.社員一人ひとりの勤務態度、能力、成績を昇進・昇格、昇給、賞与、配置及び教育訓練に反映させ、勤労意欲の向上、能力開発の促進及び企業活力の向上を図るため、定期的に人事考課を行うものとする。
2.総合職の人事考課の考課要素と着眼点は、別表4(略)のとおりとする。
3.一般職の人事考課の考課要素と着眼点は、別表5(略)のとおりとする。
第12条(労働時間)
1日及び1週の労働時間、休日及び休暇は各コース共通とする。
第13条(フレックスタイム制)
1.企画、調査、宣伝、広報及び商品開発の業務に携わる総合職の社員に対して、フレックスタイム制を適用する。
2.フレックスタイム制の内容については、別に定める。
第14条(新入社員教育)
新入社員教育は、総合職と一般職に分けて実施するものとする。
第15条(総合職の教育研修)
総合職に対しては、次に掲げる教育を行う。
1.新入社員職教育
2.中堅総合職教育
3.新任係長教育
4.新任課長教育
5.課長教育
第16条(一般職の教育)
一般職に対しては、次に掲げる教育を行う。
1.新入社員職教育
2.中堅一般職教育
第17条(福利厚生)
1.福利厚生は、総合職、一般職とも共通の基準で取り扱うことを原則とする。
2.独身寮及び社宅は、総合職に限って利用を認める。
3.制服は、一般職に限って着用するものとする。
第18条(定年)
1.定年は各コースとも60歳とする。
2.会社は必要に応じて定年退職した総合職の社員を再雇用することがある。再雇用者の労働条件は別に定める。
第19条(定年前の自己都合退職の取扱い)
勤続20年以上の者が定年到達前に自己都合で退職するときは、総合職、一般職ともに、退職金の算定において会社都合支給率を適用する者とする。
第20条(コースの転換)
1.人材の有効活用を図るとともに、一般職の能力開発に資するため、一般職から総合職への転換を認めるものとする。
2.コース転換の申請は、一般職の者が主務に昇格した時点で受け付けるものとする。
3.コース転換の条件は、次のとおりとする。
@ 転換試験(筆記試験、面接試験)に合格すること
A 転勤命令に応じられること
B 当社に長く勤続する意思があること
4.総合職への転換を認めた者は、総合職2級に格付けする。