小豆島国際ホテルの朝は早い。朝5時半に起床して、ホテルの庭を散策することが可能だからである。ここぞとばかりに朝練を企画した部活もあるらしいが・・・。結果は案の定というか、まともな人数が揃っていなかった。私は、同室のメンバーを起こさないようにして、4時45分に一人起床し、コソコソ制服に着替えて(私のスタンスである、「写真撮影は制服!」を忠実に守って・・・なんだかなあ)、10分弱フライングをして、1階ロビーに下りてみる。教員が2.3名いるだけで、これが修学旅行か?と思うくらい落ち着いたいいムードである。早起きは3文の得?
という静かなところで、隣のコーヒールームから新聞を引っ張り出してきて、それを読み終えてから、特に誰かいるわけでもない浜辺に出てみる。引き潮で、約400mほど向こうの無人島まで、歩いていけそうである。別に行ってもいいらしいが、私には(一応)スクープカメラマンの宿命はあるので、そちらを優先し、島への探検ツアーには参加せず、こちら側で居残り。行ったはいいけど、帰りは潮が満ちてきて、足下が濡れたり、カメラに水かけたくなかったし・・・(弁明)。
とにもかくにもバカやっていると、ちょうどいい具合に時間は過ぎて、6時半に。添乗員氏、教員各氏、そして生徒もゾロゾロと起床してきた模様。人が増えてきたので私は早々に退散し、自分の部屋に戻り、手荷物の整理。明朝ドタバタするのは、絶対イヤであるため、同室メンバーを起こすかの如く大きな音を立てて、荷物をバッグに収納。大きな音に同居人も目を覚まし、晴れて気分爽快に朝食を迎えることが出来た(のは、私だけ?)
今日の小豆島内観光バスツアーは、朝食後ほぼすぐの、8時20分出発。そんなわけで、朝食後はみんな急いで部屋に戻り、制服・制帽をキチンとして、すぐさまホテル玄関先に停車中のバスに乗車。とにかくせわしない。とりあえず定刻通りに出発することができた。島内観光施設はとにかく狭いがために、2グループに分けて観光。別グループの行程は、文末の「スケジュール帳」をご覧頂くことにして、当グループ(文系偶数・理系奇数組)は、まず最初に『二十四の瞳映画村』へ。バスガイドさんが、諸般の事情とやらで、若い方からオバサマに変わり、寒いギャグを連発する変わり者な方。果ては民謡(?)『オリーブの歌』を、通算3回も熱唱してくださった。
およそ40分で、最初の立ち寄り地に到着。ふと横を見ると、岡山のバス会社に乗車した「県立一宮高校」のご一行様が、私服でお立ち寄りの模様。村内では、まず一番奥の、教室前で記念撮影をしてから、約30分の自由行動に。とはいっても村内もそれほど大きいわけではないので、もっぱら先述の高校の知り合いと話し込む生徒が多数。あと、『なつかしの「ニッキ水」』なるものに挑戦し、不美味さに悶絶する人も現れたりして、各々適当に時間つぶし。私は、「鯉のエサ」に挑戦したのだが、冷凍もののエサが解凍できておらず、やるのを断念。
次の訪問地は、「オリーブ園」へ。小豆島といえば、醤油にオリーブが有名ですからね。普通有名なのは「オリーブ公園」なのだが、有料なのが玉に瑕だったらしく、隣接している「園」(無料)に。ここではお土産になる「ポプリ」を製作するとのことだが、私にはこのテの才能がないし、如何せん持って帰っても、親に邪魔物扱いされて廃棄されるのが関の山なので、ゴミを作らないように少なく詰めて、早々に完成させ、バスの車内で休憩。私の退席から、次第に作り終えた、というか飽きた男子生徒が次第に外へ出てきた。知人と、バスの「方向幕」ならぬ「旅行代理店幕」をクルクル回して貰ったりして、遊んでいる内に出発時間。次は昼食地。
実は昼食地、うちのグループは、「小豆島国際ホテル(お宿)」の目と鼻の先である。朝から一番遠いところまで行って、だんだん宿に戻ってくる、非常に無駄の多いコースである。ちなみに店は、『ドライブイン+売店÷2』のようなお店で、食も進まない。他大勢も同様だったらしく、カラになった幕の内弁当(うどん付き)は見ることはなかった。
そんな店でも利点がある。目の前が砂浜で、景色が良いのである。そこで食事もそこそこに記念撮影大会になってしまった。
さて、昼食後は、土庄港脇の「二十四の瞳銅像」で記念撮影。わずか3分の遅れのせいで、「買い物OK」と、しおりに書かれていたのにも関わらず、ウチの担任の独断で「買い物禁止」になる。もっとも、ジジババの団体が大多数なのに、何も買い物をする気にはならないけど。
撮影の後は、再び朝向かった道を戻って、寒霞渓へ向かう。どういうわけか、紅雲亭からロープウェイに乗車するようになっている。ここのロープウェイがくせ者で、古い上に、定員40名。折からのキリにもたたられて、ハコがゆらゆら揺れて怖いこと!蒸し暑くなるからということで開け放たれた前窓からは、ロープに塗ってある油がしたたり落ちるし、最悪この上なかった。
かくして寒霞渓に到着し、わずかな休憩時間(とはいえロープウェイ乗車が一番早かったため、時間は他のクラスより長かったのだが)の後、猿で有名、私と担任と再び衝突することになる「銚子渓」へ。
山道をうねうねすること十数分、お猿の里、銚子渓に到着。ここでの見学が、本日最後の観光地となる。見学時間は30分。入り口から入って、奥へ行くと猿山があり、うきゃきゃ、と猿たちが寄ってくる。どうも、エサをくれる客だと思っているようだ(エサやりは御法度)。それでも何かくれぃ、とたかってくるのが彼らの可愛いところ。ガイドさんの持つ、バスの号車の書かれた旗にかみつくヤツもいたりして、結構楽しそうであった。が、そんなことばかりしているから、早くも集合時間10分前、順路通りに歩いたらバス駐車場までおよそ5分・・・ということで、1人『5分前集合』の大原則を守るために麓へ向かう。途中を走ったお陰で、『希望の泉』だとかいう、何か演技の良さそうなところも見られて、さて5分前。バスへ戻ろうとすると、出口ゲートの前に、うちの担任が。
担「お前(おめぇ、とお読みください)、仲間はどうしたぁ?!」
私「でも、集合時間ぎりぎりですよ。(←よくよく考えると、質問に対する答えになってない)」
担「集合時間より団体行動だろうがぁ!お前(読み:「おめぇ」)にはどこかでペナルティを課すからなぁ!!」
・・・いつもと言ってることが全然違うので、若干腹に据えかねて睨んでやる。この男だけは、私の幼小中高生活13年(当時)のなかで、どうしても理解できない人であった。
まぁ、とにもかくにも出発は予定より7分遅れ。帰りはガイドさんも特に話すことはないらしいので、その後の大問題を引き起こす元凶となる宴会芸(=「スタンツ」)の練習。とはいえ車内では踊れないので、音楽をエンドレスでかけて、頭の中でイメージトレーニング。私は担任に踊り子の役を解任させられたので職務なし。気楽に写真撮影が出来るのでウキウキしていたものである。
ホテルに到着してすぐに入浴時間が割り当てられ、その後、そそくさと夕食。夕食時間も、昨日より気持ち短めの50分で設定。全てはこの後の宴会の為。
ごちそうさま、の号令と共にバタバタと急ぎ帰室する生徒達。みんなして宴会用の小道具や衣装を持参せねばならないから、大忙しなのである。例によって職務罷免の私は、宴会クラス分はノータッチを決め込んでいたので、一切を無視して自分のシュミに走る。余所のクラスを手伝い、スタンツ委員の仕事を手伝い、やりたい放題。かくしてスタンツ大会の幕は切って落とされたのであります。
各クラスの内容も洗練されていて、なおかつ時間配分もぴったりとした良い物であった。が、私の頼まれた、「長い幕間の場つなぎ役に、舞台につったって、何かしゃべってろ」というのが長過ぎたらしく、わずか1回で却下。逆に言えば時間稼ぎの面では効果覿面だったということではなかろうか、と自負しているけど。
踊ったり、ショートコントにしたり(でも、教員や学校を風刺したものではない【←キャンプの教訓】)する先発隊を見つつ、自分のクラスの番。非出場だが、自分の指定席に座っているのは気が引けるので、放送室の真下に身を潜める(審査委員長の教頭のヨコ。ここなら担任も手を出せまいて)。舞台に第1グループのメンバーが出てきて、さぁ音楽・・・コレが掛からない!どうも上で揉めているらしいので、あわてて放送室へ。再生しても全然音が出ないのだという。さぁ困った!後を支えさせると、全学年中から総ブーイングを食らうし(去年は時間が押したせいで、「教員スタンツ」をカットされてしまったのだ。それだけにこの回の期待は大きく、今回も観られないとなると、暴動の元にもなりかねない・・・オーバーかな?)・・・。仕方ない!オレが悪者になってやる!と、場内マイクで呼びかけ。
「テープの音が飛んでて、音が出ないんで、本当に申し訳ないんだけど、自分等で鼻歌唄って、踊ってください」
舞台の方から「はぁぁぁ?!」という顔をこちらに向けてくる。もうそんなことでオタオタ言ってる時ではない!放送室から手拍子を送り出し、場内にその念を送って、手拍子の輪を広げ、何とか踊り出す気になった・・・その時!ようやく音楽がかかり、無事踊り出す事に成功!その後の第2・第3グループの音楽はスムーズにかけることが出来て(カセット取り替えの手間は掛かりましたが)、何とか無事終了したが、本来その仕事をしている女の子が責任感じてしまって泣き出してしまった。「事前に全然仕切らなかったボクの責任だから・・・」と、半ば意味不明の慰めをする。・・・よく考えると、キャンプのスタンツの時も、私のクラスは失敗して、女の子が泣いたんだっけ。誤ったら「謝らないでよ!」って、逆に怒られたけど。なんでかなぁ。
かくして、トラブルがあったものの、その後のプログラムは順調に流れ、5分遅れたものの何とか「教員芸」を見ることが出来て、一同ご満悦。内容は確か、
「たまご殿下」(たまごにそっくりな顔した教員がいるのだ)が毒たまごを食べさせられ、それを通りすがりの三蔵法師ご一行様が読経して(お経を読むのが、坊さん教員)、お姫様の一撃で殿下が目を覚ます・・・という、「俺等がそんなの演ったら怒るだろあんたら!!」というくらいB級な脚本だが、みんなが楽しめたのでよしとする。
この宴会でも、頑張ると教頭から賞状が出るのだが、当然の事ながらうちのクラスは対象外であった。
ちなみに、テープの音のでなかった原因は、テープの頭に録音していなかったため、バス車内で掛けた後、巻き戻した際に音楽から遠い所まで巻き戻してしまった為であると発覚。じゃあ悪いのは吹き込んできた第1グループじゃないのか!と思いながらも、一応スタンツ終了後は、クラスのみんなにお詫び巡業
。第1グループの一部の人を除き、好意的に迎えてくれてホッとする。件の女の子は、彼女のお友達にお願いし、今度は関係各位の先生方にお詫び。放送機器担当の先生に、学年主任に、後ろのクラスの先生方。とりあえず皆さんと仲良くしておいてよかった。
かくして、お詫び巡業の後は、教頭先生たってのリクエスト、『教え子とのツーショット』を撮影し、売店で、小豆島土産をそれなりに買い込み、早々に眠りについたのであった。