筒井の感想
この冊子を読み、涙が止まらなかった・・・。
戦禍からこの冊子を命からがら持ち出し、実際60年間保管をしている、小杉さんと何度も打ちあわせをしました、ホームページに掲載を始めると、数社の新聞社から取材の申し込みを受けました。
その中で一番早く声をかけてくれたA社さんの方から、保管をされていた方と実際にあいたいと言う依頼を受けました。
 多くの人に伝えることは、筆者の遺志でもあると考え、持ち主の小杉さんにその話をしました。
小杉さんの返事は、
「今のマスコミに紹介することには賛成しない」
でした。私はびっくり・・。

 私は尊敬する方に対してではありますが、反論をさせていただきました。
 1・若い新聞記者は、この時期、上司からは記事の干渉をされ、一般の人からは過去の記事の問題点を
   いっしょくたのもとに、記者のせいにされ、いわれの無い取材拒否を受けている、小杉さんも同じ事を
   するのですか?
 2・広い範囲の多くの方々に読んでもらうことは、お兄さんの遺志(意思)ではないのですか?
 3・10年前に紹介されたときに、いわれないささいな偏見を持っ
   てこの冊子を見られた方は少なからずいるのではないのですか?
 4・戦後60年を前に伝えようとしている記者に協力できないのですか?大きい意味で公平中立を保とうと
   努力しているのは、新聞社だとおもうのです。
 5・10年後の 「戦後70年はもうない」 と私は思います、戦争を知らない人の最長老が70歳ですよ
   だれが戦争を語るんですか?戦後60年、この冊子を伝える最後の機会だとい思います。

小杉さんは一言答えました。
  「今の日本のマスコミに紹介するのは兄の遺志(意思)でもないと思っている」
 
 そう、いろいろ話をしている最中にも、小杉さんは、大事な写真、手紙、メモ、などを次々に出してくれてた。
 私にはとうてい想像できない深い想いがこの76歳の男性の中にはあるに違いない。
 反論する失礼を深く深くお詫びながら、何とかこの話を10代20代30代の方々に読んで頂く方法を考えている私で す。只読むだけでなく、出来ればそこに解説できる人が近くにいる環境が望ましい。

 この冊子の48ページに「純子ちゃん」という文がある。
主人公「仁」 が、自分の妹の替わりに、純子ちゃんと言う人形を母に送る話です。
 此れだけ見ると、出征前の男が何をやっているのだ!と言われかねません、筆者も自分でそう書いていますが、私はこの場面も泣けました。
 筆者は6人兄弟で全員男です、長男は病死、次男(関東大震災で死亡)は以前に亡くなり筆者は四男で冊子では「仁」三男は冊子では亮男、三男は実際も病死してしまったのであるが、もし戦争が終らなければ五男六男も次々に戦争に行かなければならなかったろう、この冊子を60年保管していた五男も戦争に行っていたはずだ。
 筆者はだから、「妹、女の子」 にこだわったのだと思う。母親の為に女の子をどうしても母親の元に残しておいてやりたかったのだと思う。
そういう思いが、この「純子ちゃん」には現れているような気がして胸が痛んだ。
ちなみにこの純子ちゃんの人形は、この冊子と共にカバンの中に入っていたが、今はありません。
 戦争が終わり、弟二人が現実の世界に残ったので、その役割りは、一段落したのかもしれません、もしくは筆者の母と一緒に昭和39年に旅立ったのかも知れません。

 電波塔について、
 子供のときに見た電波塔の数が、数年後非常に増えていたと言う部分がある、ここで戦禍の激しさを想像できた。
 景色について
 お気づきの方も多いと思いますが。
 I駅は市川駅 R駅は両国駅 H駅は平井駅 N駅は中山駅 そしてお寺は、法華経寺 電波塔は今は行田団地、E川は江戸川、そして中山競馬場も登場しています。
 今私が住んでいるところからは目と鼻の先、地面は同じでもその上で生活している人の思いと環境は全く違います、中山競馬場を見るその思いが少し変わってきた。
 「心の花」に
 「第一心が正しければ病気などは寄り付かない。頭が痛むのも、腹の痛むのも総て心が汚れているからだ。」
というところがある、いろいろな考えはあるだろうが、宗教によっては、人一人を助けるためでなく、多くの人を助ける為の教えもある、その時にかかる自分の病気は、多くの人を助けるためにかかるものであると聞く、あんなに良い人がなぜ?病気なんかに?と言うことがあるが、筆者も遅かれ早かれその事に気がつくことがあっただろう。
詳しくは別の機会に話しましょう。
 筆者の親の人生観には、「善い者に障りつくのはどういうもの。ほこりの者に障り付かんと言う。・・一人の為やない。世上救けたいために弘めた道。その道うっかり思て居てはならん。この道諭しの中から出けた道、ほこりの中から付けた道やない」
と聞きます。
 これからもこの冊子を多くの人に紹介していきたいです。
 この冊子を管理されている小杉さんと相談しながら進めていきたいと思います。
 
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