KP6 LPF 

UP dated 2017.07.13

●LPF 3.5MHz-28MHz

 KP6トランシーバー1W機 および 10W機にも使用できる 7MHz-28MHz用LPFを製作した。 通過許容電力35W

基板サイズ 75mmx 100mm。

LPF回路は、左写真基板の左より、28MHz用、21MHz、14MHz、10MHz、7MHz用の5回路 。

 Relayは、秋月で販売されている
12V 1C接点容量2A; 946H-1C-12D」、
または、
  接点容量1A; 「Y14H-1C-12DS」 が使える。
左は、両relayを混在して使っている(手持ちの関係で)


●Peak電力モニター

基板サイズ 22mmx 24mm。
LPFと一緒に作ったPeak電力モニターです。

通常の電力計では、SSBで運用すると、指針は2〜3割しか振れません。ついついマイクVRを上げ過ぎ、スプラッタをまき散らしてしまいます。それを防ぐためのピーク指示電力計です。

Peak電力モニターの回路図・動作原理を以下に示します。



 ピン@(LM358 Pin3)には、RF電力の検波電圧を入力する。 例えば、その電圧波形のピーク値が2Vであったとする。

 ピンBには、ピンDの出力電圧が加えらているので、OPアンプのイマジナリーショート機能により、ピン@と同一電圧となるように、OPアンプは動作し、@、C、D、Bは、2Vとなる。

入力波形電圧値が下がった場合でも、ピンCには、時定数 1.36secの抵抗コンデンサが接続されているので、ある時間幅で2Vを保持する。右側LM358-bは、利得1の電圧フォロワーで、ピンCの電圧は、そのままピンDに現れるので、モニター出力は、2Vのままとなる。(即ち、ピーク値ホールド となる)

入力波形が急峻に下がった場合に、問題となるのが、ダイオードD1のリカバリー特性である。一般的にダイオードは、順方向電圧でON状態のとき、逆方向電圧がかかるとOFFとなるが、そのときに、すぐに電子の流れがとまらずに、時間遅れを生じる。 これがリカバリー遅れで 1N4148の場合、データでは、4nsecとなっている。短い時間ではあるが、ピンCの抵抗コンデンサで保持されている電圧が、ショートされてしまう。
これを緩和するのが、D2ダイオードで、ピンAの電圧が急峻に下がるときに、ピンBの電圧も一緒に引きずり込み、ピン@とピンBの電位差があまり生じないようにして、急峻な変化を緩和している。

●回路図

LPF回路図は、下図のとおり。

 

● LPFのコンデンサについて

LPFのコンデンサとして、理想的にはディップマイカを使うと、耐圧も250V以上あり、良質なコンデンサなので、性能のよいLPFができあがる。 しかしながら、単価が200円ほどかかってしまう。
本機では、セラミックコンデンサを採用した。 このとき注意しなければならないのが、左図(出典:トラ技2005年4月)のとおり、セラミックには、Class1(低誘電率系:誘電体:酸化チタン系など) と Class2(高誘電率系:誘電体:チタン酸バリウム系) があることで、Class1は、それなりにコンデンサのRF性能があるが、Class2は、小型・高耐圧・高容量という特長を有しているが、RFに使うと損失が大きく使い物にならない。
理想的なコンデンサは、電流と電圧の位相が正確に90°ずれ、コンデンサ内部でのエネルギー損失はないが、Class2は、位相のずれ{誘電正接(tanδ)という}が90°から外れて、コンデンサでエネルギーを損失してしまう。

左のセラミックコンデンサが昔の真空管時代からあったClass1で、右側がClass2である。普通に市場に流れている50V耐圧のセラミックで0.01uF以下のものは、このClass1に属する。
右側のClass2は、耐圧が2kVとか、3kVとか、1kVと表記がある。
高耐圧なので、1kWの通過電力まで耐えうる、と思い込み、高圧コンデンサを購入して、7MHzLPFを作り、実際に10Wを通過させたところ、出力が5Wしか出てこない。 5分ほど経つと、コンデンサは手で触れないほど発熱してきた。最初は、その原因がまったくわからなかったが、インターネットwebを検索調査した結果が、上記の結論となった。



● LPFの通過損失性能

入力に10Wを入れ、LPF通過後の出力を測った。
LPF前後のRelay および前後の接続ケーブル(1.5D2Vx200mm x2本)の損失も含む。

通過損失は、0.2 -0.5dB であった。

2次高調波の遮断特性は、LPF全バンドともに 40dB以上。 RF Push-Pull Ampの特長として、2次高調波は抑制されるので、LPF組込リグの2次高調波は、50dB以上抑制される。



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