(OPTION-9) KP6 リニアアンプ10W 

UP dated 2017.07.13

●リニアアンプ(SSB/CW)

 1Wを10Wに増幅するために、RD16HHF1x2 プッシュプルアンプを製作した。


RD16HHF1は、リードを左図のように折り曲げて、PCB基板下に取り付ける、そしてヒートシンクに伝熱グリースを塗布し、M3ビス止めする。

卵型ラグは、PCB基板裏側に半田付けし、フランジの接地と 保持強度を上げる。

RD16HHF1x2 Push-Pull 1段リニアアンプ。
1W ⇒10/16W アンプ。
基板サイズ 67mmx 100mm。

回路は、下図回路図の 左下の[KP6用 Power Amp1段(10/16W)] 。

 入力トランスT5はFB-801にΦ0.4UEW x4tバイファイラ巻きの非平衡-平衡伝送トランス。
 50Ω:50Ω

 出力トランスT3はEMI用コアΦ6/14x 14mmL 2個に 真鍮パイプと80℃耐熱ビニール線で製作した 0.5tx2 :2tのコンベンショナルトランス。
 3.1Ωx2:50Ω

その出力回路には、fc=36MHzの LPFを組み込んである。




RD00HVS1x2 PP +RD16HHF1x2 PP 2段リニアアンプ。 10mW ⇒10W アンプ。
回路は、回路図の 上側の2段Amp。

左の写真の基板はプロトタイプで、サイズ も基板パターンも上写真と同一。


●回路図

RD16HHF1x2 Push-Pullの リニアアンプ回路図は、下図のとおり。

 上図の RD00HVS1x2 PP +RD16HHF1x2 PP 2段リニアアンプは、入力10mW ⇒出力10/16W アンプ。

初段のRD00HVS1のアイドル電流は、各FET50mA x2本=100mAとし、最終段のRD16HHF1のアイドル電流は、各FET250mA x2本=500mAとした。 それぞれのバイアス電圧VRで調整する。
アイドル電流を増やすとゲインが大きくなり、またIMD3特性も良好になる傾向があるが、消費・放熱量も増えるので、適当なところで妥協した結果が、以上の 100mA、500mAである。

 左下の RD16HHF1x2 PP 1段リニアアンプは、入力1W ⇒出力10/16W アンプ。

KP6トランシーバーは、RF Converter基板内に、RD00HVS1x2 PPアンプ(出力1W)が組み込まれているので、このRD16HHF1x2 PP 1段で 10/16Wに増幅する。 回路図では省略しているが、RD16HHF1の出力側回路、NFBは、2段構成アンプと同様に配線する。

 右下の RD16HHF1x2 PP アンプは、 出力側にコンベンショナルではなく、伝送トランス使ったリニアでFETのドレイン負荷インピーダンスが高く、12.5Ωなので、その分ゲインが高くなり、1段アンプであっても +20dB程度得られるので、100mW入力で出力10Wを超えるはずである。 実機テストデータは、後日Upする。
理論上、B+13.5Vであると10Wを超えることはできず、またIMD3特性も余りよくないが、低消費電流・コンパクトである。B+24Vまで上げると 30W程度出力するはずである。
RD16HHF1は、絶対最大ドレイン電圧が、50Vなので B+は、30V程度までかけられる。消費電力が増える分、十分に大きなヒートシンクとしなければならないが。

 

● 「RD00HVS1+ RD16HHF1 2段構成」のAmpの性能

入力(≒10mW)vs. 出力(10W)の特性、IMD3の特性について評価した。

 入力源としては、下図に示すようにIC750Aのトランスバーター用端子から-15dBmの信号を取り出し、LMH6702 Amp+uPC1677C Ampで-5dBm〜+14dBm Peak to Peakの信号を 試作2段アンプに入れた。入力源2信号のIMD3は、概ね -45dBcであった。

 入力を一定10mWとして 1.8MHz帯〜28MHz帯の出力を測定した結果は、周波数帯によりバラツキがあるが、10.5〜14Wであった。
 7MHz帯で入力を-10dBm〜+14dBmに振ったときの出力は、下図左下のグラフのとおりで、PG=33dBで概ね直線性は確保されているが、10Wを超えるとPG=29dBに下がる。 dBで3dB以上の差があるので、W数で見ると、高出力域で、本来30Wのところがその半分の15W程度で飽和するような特性となる。

 RD16HHF1x2 の出力+34dBmx2信号(peak to peak;10W)での IMD3の実測では、-43dBc確保できていて、入力源2信号のIMD3-45dBc とほぼ同じで、ほとんど悪化していない。
これは、B+13.5V xアイドル電流500mAのデータで 電圧を30V程度まで上げると IMD3特性は悪化しないで 出力は30W程度まで増えるものと思われるが、電源がないので実測していない。

● 「 RD16HHF1 1段構成」のAmpの性能

KP6トランシーバー用の 1段アンプ 入力1W/出力10W の出力特性、IMD3特性について評価した。

 入力源としては、下図に示すように、IC750Aのリグ出力端子の5-20Wの2信号出力を取り出し、抵抗式ATTにより減衰させた0.5W-1Wの信号を 試作1段アンプに入れた。入力源2信号のIMD3は、最善で -33dBcであった。

 入力を1.0Wとして 7MHz帯〜28MHz帯の出力を測定した結果は、周波数帯によりバラツキがあるが、9〜11Wを示した。
 ここで Bias回路の抵抗値を、標準33Ω(ピンク線)と、100Ω(緑線)の2通りで同様な入出力特性を計測した。Bias抵抗33Ωをかましたときの1W入力と、Bias抵抗100Ωのときの入力0.5Wが ほぼ同じ出力を示している。
 RD16HHF1をPush-Pull接続したときの二つのゲート間のインピーダンスは約50Ωと思われ、そこにBias抵抗 33+33=66Ωが並列接続されるので、入力の半分は、Bias抵抗に消費されることの結果と思われる。 Bias抵抗33Ωをかますメリットは、周波数帯によってPGのばらつきが小さくなることかと思う。

 一方、Bias抵抗100Ωとすると 0.5W入力で出力10Wが確保できる。 前述の RD00HVS1+ RD16HHF1 の2段構成Ampの場合、前段のRD00HVS1は出力700mWを超えるあたりから、IMD3が悪化し始めるので、 RD16のBias抵抗100Ωとし、RD00は、500mW以下で軽く使うのが、総合的には良いのかもしれない。

 RD16HHF1x2 の出力+34dBmx2信号(peak to peak;10W)での IMD3の実測では、-33dBc確保できていて、入力源2信号のIMD3とほぼ同じで、悪化していない。 IMD3は上述の2段Ampでは、-43dBc確保できており、これ以上の実力があるはずだが、信号源の親Rig IC750aが純度の高い信号を出してくれないので、確認できていない。

RD16HHF1には、220Ω+0.1uF のNFBをかけているが、これを外すと、IMD3は、予想以上に低下し、下図のとおり、-18dBcとなり、ボロボロになってしまった。

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