H8/3048Fとデジタル液晶LM32C041のオシロ・XYスコープ



UP dated 2003.11.29 Rev1// 2005.3.21Rev2

●H8/3048Fとデジタル液晶LM32C041のオシロ・XYスコープ

日立の16ビットマイコンH8/3048Fと秋月で入手できるシャープのデジタルRGB液晶モニタLM32C041を使ったオッシロ/XYスコープです。

仕様

・モード  
・ オシロ;1チャンネル および2チャンネル
・ XYスコープ
・オシロ時間軸 最速0.5msec/div x10div=5msec/300dot
・液晶分解能 横320dot x 縦240dot
・ケース  タカチYM250(170Wx250Hx50D)


・左が外観です。
・10kHzサインウェーブ信号を計測中です。
(今 高画素デジカメがお出かけ中のため おもちゃデジカメ画像で撮ったものなのであしからず)



           内部配置                          パネル面目盛




●ブロックダイアグラム DIAGRAM BLOCK




●波形計測結果


・左が1kHzサイン波を0.5msec/divで表示。

・X軸は、0.5msec/div。 1divは30サンプル=30dots で構成されるので、1dot当たりの16.6μsecの計測時間となります。
・H8/3048FのA/Dコンバータの変換時間は8.4μsec以上必要なので、0.5msec/div以上に高速化することはできません。
・1kHzは、1周期が1msecですから、1周期の間に60点サンプリングされています。(1000μsec/16.6=60)
・この程度の数がサンプリングされていると、表示波形は原信号を忠実に再現しています。




・次は、同じく1kHz波を0.5msec/divで表示している状態です。

・この1kHz波は、自作SGの出力回路のPINダイオードアッテネータを絞り込んでいる波形です。
・ダイオードにより波形がクリッピングされていることが判ります。

・信号Y軸は、1V/divですので、この信号は、1.2Vp-pと読み取れます。




・これは、X軸5倍拡張機能を使って、10kHz波を0.1msec/divで表示している状態です。

・「X軸5倍拡張機能」とは、n番目のサンプルとn+1番目のサンプルの間に4点を「n,n+,n++,n+++,n++++,n+1」のように演算内挿して、X軸を5倍に拡張するものです。
・10kHz波の1周期は、100μsecですので、6点サンプリング/周期 です。

・尖頭波形は乱れていますが、一応波形観測には耐えます。




・これは、X軸5倍拡張機能を使って、20kHz波を0.1msec/divで表示している状態です。


・20kHz波の1周期は、50μsecですので、3点サンプリング/周期 です。

・波形は乱れていますので、周波数観測程度の使用になります。




・これは、X軸5倍拡張機能を使って、28kHz波を0.1msec/divで表示している状態です。


・28kHz波の1周期は、36μsecですので、2.2点サンプリング/周期 です。

・こうなると、ビート波形を計測しているようで、波形計測には使えません。
・波形を計測するためには、4点サンプリング/周期 以上としたいところです。
・本機の性能は、16.6μsec/サンプル ですので 最高計測周波数は15kHzということになります。




・これは、Ch.1に3kHzサイン波をいれ、2チャンネルモードとした状態です。


・Ch.2は 無信号ですので、横に緑の水平線が現れています。

・本機の性能をあげるために、入力部に15Mspsの高速A/Dコンバータを追加する予定です。
そうすると3.5MHzの信号の観測ができるはずです。このWeb(オシロスコープ)は、まだ製作進行中です。


XYスコープについては読者の方がスペアナ用に製作してくれました。

約150Mhz -10dbmの信号波形だそうです。
X軸スパンは、0〜900MHzでしょうか。
2次、3次高調波が観察できます。

XYスコープのアルゴリズムからの制限は、
 ・X軸入力が Xin>4.67V 、Xin<0.33V または、2秒経過時にLCD表示し、最初に戻ります。
 ・X軸(AN1)は、0〜5Vで フルスケール0〜300dotとなります。
 ・Y軸(AN0)は、0〜4Vで フルスケール0〜240dotとなります。
 ・入力側のOPアンプ LM6361、LF412を省力して X、Y軸電圧をAN端子に直接接続可能です。
 ・なおAN端子の最大定格は、0V-0.3V 〜 5V+0.3V。
 ・データサンプリング時間は、20μsec/sample。300データサンプリング最小時間=6msec。
 ・データの欠落防止のためX軸の電圧勾配は、5V/20msec以下としてください。
 ・また、X軸の走査は、2秒間以内にフルスウィングするようにしてください。
 ・X軸の電圧上昇時のデータは、赤で表示され、下降時のデータは緑で表示されます。
 ・オシロ用のポートP4-0,P4-2,P4-4,P4-5,P7-2,PB-7はオープンで XYは動作します。


●回路図Circuit

◇回路図の表示

特長のある回路について、補足します。


・これは、0Vを中心に+/-の振幅をもつ入力信号を、+側にシフトする回路です。

・OPアンプは、入力+端子と −端子の電圧が同じになるように働きます。(イマジナリーショートと言います)
・Q2 LF412CNの Pin3電圧が0V(GND電位)のとき Pin7に
-2Vが 与えられると、−端子のPin2の電圧が0Vになるように、出力Pin1は、+2Vになります。
・Pin7に-3Vが 与えられると、出力Pin1は、+3Vになります。
・Pin7の電圧分のシフトが行われます。

・OPアンプLF412CNのゲインは2倍で GBW(Gain-Bandwidth 積)は4MHzなので、2MHzを超えると波形はだれるので、もう少し高速OPアンプとしたほうが良い。




・これは、-5Vを発生させるインバータ回路です。

・負荷電流50mA以上 余裕をもって出力します。
・R1.2kΩの 両端電圧が1.2Vになるように制御しますので、3.8kΩを8.8kΩにすると出力電圧は、−10Vになります。




・これは、+30Vを発生させるインバータ回路です。

・シャープの液晶LM32C041の液晶駆動用に必要な +30Vを供給します。、




・これは、オシロ表示波形を静止させる内部トリガー回路です。

・波形の立上りでH8/3048Fの サンプリング1個目のA/Dコンバータを起動させます。
・NE555は、汎用のよく知られたICですが、なかなか奥深いものをもっていると感じます。
・Pin2に"L"レベルのトリガをいれるとFFは、セットされ、出力Pin3は、Hになります。
・Pin6の印加電圧が スレショールド(しきいち)電圧を超えると、FFはリセットされ、出力Pin3は、Lになります。
・H8/3048Fは、出力Pin3(=H8のADTRG端子に接続)がLになるのを待ち構えていて、Lと同時にADコンバータのスタートフラグ(ADST)を1にします。

・LCD LM32C041は、秋月の店頭では余り売れないのか、LCD16x2を陳列している棚付近の下側奥に隠れて30個ほど積み重ねられている。
・LCD LM32C041は、2本の冷陰極バックライトが入っています。点灯用の高圧インバータとして、秋月で400円で販売しいているFIP24-12N-U6 --これが、製品型番なのかどうかはわからないが--を使いました。インバータには、一個の33pF3kVの高圧コンデンサが付属していますが、バックライト2本用にコンデンサは2つ必要になる。秋月では単品で売っていないので、その足でその先の鈴商によって30pF-40pFを1個購入しておきます。
・またこのLM32C041の制御線接続には、特殊な小型コネクタが使われていて、簡単には手に入らない。今回は、プリント基板にPEWΦ0.26を直接ハンダ付けして、秋月ヘッダピン20Pへ変換した。LM32C041の基板には、直接ハンダ付けするランドが準備されている。

●プログラムソース

H8/3048Fのプログラムのダウンロードは、こちら
マウス右クリックで「対象をファイルに保存」を選んで、ダウンロード。
 秋月の”フラッシュライター F-ZTAT”で「XYscope.mot」を焼き付けます。

 ◇ダウンロード XYscope4.mar & XYscope4.mot 自己解凍.EXE
このプログラムは、
P4-1=GRND & P4-0=OPEN で上り(赤)、下り(緑)両表示、
P4-1=GRND & P4-0=GRND で上り(赤)のみ表示、
します。



 ◇ダウンロード XYsc4gren.mar & XYsc4gren.mot 自己解凍.EXE
このプログラムは、
P4-1=GRND & P4-0=OPEN で上り(赤)、下り(緑)両表示、
P4-1=GRND & P4-0=GRND で下り(緑)のみ表示、
します。

プログラム のアルゴリズムの概要は次のとおりです。
・RAM領域に、X1(8bit)x640個のデータエリアを確保しておきます。
・ADコンバータAN0を起動し、1Ch-1個目のデータをX1(1)に格納します。
・ADコンバータAN1を起動し、2Ch-1個目のデータをX1(2)に格納します。
・16ビット内部カウンターITU 指定された時間をカウントするまで待ち、アウトプットコンペアレジスタ割りこみでADコンバータAN0を起動し1Ch-2個目のデータをX1(3)に格納します。
・以下同様320回繰り返し、X1(640)までデータ格納します。

・次にLCDの最上位240本目の水平線を左から右に走査していきますが、1dot毎にそのドットに該当するデータがあれば、色を赤(R=1,B=0,G=0)または、緑(R=0,B=0,G=1)にしていきます。
・以下同様に239、238、237、3、2、1と走査していきます。この間約0.5秒。
・H8/3048Fの能力では、1フレームの走査時間は約0.5秒の演算時間がかかりますが、このLCDは、デジタル方式ですので、次のデータを入れない限り、1時間でも2時間でも表示状態を保持しますのでこの速度で問題ありません。

●ユニバーサル基板 裏面配線&表部品配置データソース

基板パターン XY.pcb は、PCBEソフト(CQ誌99年6月号、2000年6月号、2002年4月号付録CD-ROM)を使っています。
CD-ROMをお持ちでない方の◇PCBEソフトダウンロードサイト

自己解凍後、PCBEソフトをインストールするフォルダ C:\pcbe を作成し、exeファイルを解凍します。
PCBEソフトの「ファイル」−「版下印刷」で裏面プリントパターンを印刷できます。
レイヤーを1以外選んで、「版下印刷」すると、表面部品図を印刷できます。

 ◇基板パターン XY.pcbのダウンロード自己解凍.EXE(80kB)

●ケース /タカチYM-250(170Wx250Hx50D)の 前面パネルのデータソース

 ◇前面パネルパターン XYpanel.pcb のダウンロード自己解凍.EXE(30kB)




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