(K6)PIC16F819 SWR Monitor計 

UP dated 2011.7.21

●PIC16F819 PIC16F819 SWR Monitor計=プログラム呼称mVswr

表示部の回路、基板は(キット1)マイコンチップPIC16F819電圧計と同じで PIC16F819のプログラムを mVswr.asm とすることにより、SWR Monitor計 および 進行波電力計とすることができます。 DIP-SWの切り替えにより、SWR計(1.0〜99.9)、進行波電力計(0.1〜99.9W)、AUTOでは、SWR/進行波電力計を約1秒:8秒の比率で 交互に表示します。

進行波電圧Vf と 反射波電圧Vrは、それぞれOPアンプを使った ピークホールド回路でバッファ増幅していますので SSBのような変動する電波で運用中も SWRモニターが可能です。 

DIP-SWの切り替えは、回路図の表を参照ください。


・写真は、10WのTX SSB電力を 50Ωダミーロードで消費している状態でのSWR=1.02です。
・下左側写真は、出力 1Wを 通過させているときの SWR指示値=1.08です。電圧が低くても、誤差は大きくなりますが、SWR=(Vf+Vr)/(VF-Vr)の計算は、できますので、QRPでも使用できます。また5Vレギュレータの低ドロップ型(μPC29M05)を使えば、6V電池で動作します。消費電流は、OPアンプ部も含めて、25〜40mA程度です。

・PIC16F819プログラム済みのものをご入用の方は、以下ページをご覧ください。 ◇PICの頒布基板付


・下中央は、ケース内部の進行波、反射波 検出部、OPアンプ、表示部の クローズアップです。ケースはタカチYM100(W100×H30×D70mm)
・下右側は、SWR表示モードで、入力電力=0、または、入力ポート、ANTポートを逆に接続してVr >Vf となってしまったときの表示Errです。

●回路 Max.100Wタイプ

進行波、反射波電圧の検出部は、出典トロ活の -20dB CM型VSWR計です。コアはアミドンのFT-50-77です。

・原理は、コアに巻いた10tと中心を貫通する3D2Vの 1tは、巻き線比で10:1ですから、インピーダンス比は 100:1となり、10t側に50+50=100Ωを接続しているので、3D2Vの 1tは、1Ωとなり、終端負荷50Ωに流れ込む100Wの電力のうちの1Ω分(2W)が、10t側にコアで伝達されます。100Ωで2Wを消費、言い換えると半分の50Ωでは、1Wを消費することになりますので 100W:1W=-20dBカップラとなります。抵抗50Ωの両端には、M結合で電力の1/100、すなわち、電圧では1/10となります。
・一方、C結合は、10pFと90pFの比率で 給電線の電圧の 1/10が得られますので 上述のM結合の 1/10の電圧と比較し、Vfでは両者の合算、Vrでは引き算をして 進行波電圧 と反射波電圧を検出しています。  

どちらが、VfでどちらがVrかは、コアに巻き込んだリンクコイルの方向により決まりますが、実際に測定するのが手っ取り早いのでそうします。トリマーは、まず最初に左から右に実際に電力を10 W程度通過させて Vr、Vf点の電圧を測り、低い側がVr側ですので そちら側のトリマを調整し、ヌル点(最小値;10-20mV)に調整します。その後、左右の入出力を逆にして 同様に、反対側のトリマーを調整します。

・表示部は、PIC電圧計と基本的に回路は同じですが、SWR計とするために、RA2は、基板パターンをカットし、LEDを取り付けます.進行波PWR表示時に LED ON. SWR表示時は、LED OFFです。 Vref電圧は3.3Vです。 反射波電圧の入力は、RA1となりますので、オリジナル電圧計でのLEDは外し、10kΩを取り付けます。

・CM計の通過電力=100Wの時の 進行波電圧Vfが、抵抗分割され、PIC-RA0の入力電圧 V0=Vref+=3.3Vになるように、OPアンプの入力側の分圧抵抗値で調整します。OPアンプの入力分割抵抗 140kΩ:50kΩを調整すれば、正確になるかとは思いますが、通過電力は目安程度にお使いください。

・ピークホールドOP回路により、SSB運用中でも SWR値は、ほぼ一定値を表示します(少しばらつきます)が、ピークホールド回路の 0.1μF+1MΩは、時定数は、もう少し大きくしたほうが、良いかもしれません。

●進行波Vf, 反射波Vr検出センサー部

進行波RF電圧(Vf) および 反射波RF電圧(Vr)を検出するセンサー部分は、最初ユニバーサル基板に作りましたが、誘導性、容量性の不要な結合に悩まされ、SWR=1.0となるべき整合のときに、Vr=0mVとならず、500mV程度が検出され続けていましたので、両面ガラス基板上に作り直しました。

下の写真は、そのセンサー部の拡大写真です。1.6mm厚両面ガラスエポキシ基板上55mmx40mmに、カッターでランドを作り、配線しています。基板の表と裏のGRDは適当にスルーホールに 線を通し、はんだ付けにより 同電位にします。
・RFの通過するパターンは、幅2.7mmの50Ω整合ストリップラインとし、同軸の外皮にあたる戻り電流は、平行したラインパターンを確保し、シールドの効果の意味も期待し、0.3mm厚x5mm幅銅板をGNDライン基板銅箔面にはんだ付け補強しています。 


・フェライトコアには、片側の外皮をGNDから浮かした長さ10mmの同軸3D2Vを貫通させています。同軸の外皮編線をファラディシールドとしてフェライトコアに巻いた10tコイルの容量的結合を防止しています。

・検出ダイオードは、100W機では、逆耐圧30Vの1SS108や、1SS97-2を使います。 10W機では、逆耐圧10Vの1SS97以上を使います。

・同軸芯線への接続コンデンサ10pFの耐圧は、100W機では、100V以上。10W機では50V以上とします。
・51Ωも 100Wの場合は、1W抵抗とします。
・2本の51ΩのGRD側には、1kΩ+0.1μFの バイアス供給点を設けています。本機では供給していませんが、0.2Vのバイアスを与えると ダイオードの順方向電圧降下を補正することができ、PWR表示がより正確になります。

●ここで センサー部の部品のダイオード耐圧について考察

下のグラフは、検出ダイオードに1SS99を使用した場合(不用意に使用した)の 通過電力(W)vs進行波電圧(Vf)を示します。左側は最大100Wまでの実測値。右側は同じグラフですが、0-20Wを拡大したものです。ピンクが実測値です。

グラフより明らかですが、0-10Wは、計算値とまあまあの相関を示していますが、10W以上では、飽和して Vfが頭打ちとなり、100Wでは10Wのときの電圧をも下回る結果となってしまいました。
この原因追求に、2週間も悩みました。結論は、@検出ダイオード1SS99の逆耐圧(Vr;5V)不足とARF電圧分割用コンデンサ10pFの耐圧不足です。

@1SS99は、カタログ値では、逆耐圧がVr=5Vしかありません。テスタで実測したら、Vr=7.5Vでした。SWR測定時に実際にかかる逆尖頭電圧は、冷静に考えるとSWR=1.0整合時で、9V@10W、28V@100Wもかかります。10Wで既に Vr=5Vをはるかに超え、1SS99は、完全にブレークダウン(ツェナー現象)を起こしています。
A10pFは、手持ちの汎用小型の50V耐圧セラミックを使いました。100Wの時に、10pFにかかる電圧は、計算では114Vです。このとき10PFコンデンサは、セラミック誘電体は、内部に電荷を保持しきれなくなり、抵抗のように流れ出す状態となっていたのでしょう。このまま数十秒使っているたとすると 発熱してパチッとはじけることは想像に容易です。

と 原因は究明できましたが、手元に部品がなく、10Wまでは、測れますので、そのままにしてあります。

●回路 Max.10Wタイプ;簡略型

・PICの RB1ポートを2〜3kΩで接地すると 小数点の位置が左に移動し、9.99(W)のように表示されます。 
・OPアンプを省略し、簡略化すると下図の回路を構成できます(実際に試作確認はしていませんが)。電圧の分圧抵抗比率を 10k/16.8kとして、10W時のVf=4.16Vを RA0ポートで2.5Vにしています。
・PICのVrfe+を2.5Vにしていますので、RA0の入力電圧=2.5Vのとき、AD変換値は1023となり、内部演算で 3桁LED表示=9.99となります。
100W機に比べ、抵抗分割比が小さくなり、より小さい電力、100mW通過程度まで SWR値を表示しますので QRPP機器に使えます。
・なお、この回路は OPアンプのピークホールド回路はつけていませんので、SWR測定時には、一定の連続キャリアー送信が必要になります。

● プログラムソース

プログラムソースは、マウス右クリックで「対象をファイルに保存」を選んで、ダウンロード。
 ◇ダウンロード mVswr.hex


ソフトのアルゴリズムは、
進行波電圧Vf (V0 =Vref+ =3.3V), 反射波電圧Vr (V1 =Vref+ =3.3V)のとき、各ポートの AD 10bit変換値 ADRES0(RA0)、ADRES1(RA1)は、最大の1023ですが、

SWR=100 x (Vf+Vr)/(Vf-Vr) =100 x (ADRES0+ADRES1)/(ADRES0-ADRES1)
で結果を3桁LEDに表示しています。

進行波PWR(W)= ADRES0 x ADRES0 x0.0955 /100 で結果を3桁LEDに表示しています。

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