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とあるところに提出した研究計画によると僕の研究分野は「実物市場における仲介業者の市場形成・維持機能に関する研究」らしいです。これでもわかりにくいので、もう少し具体的にしましょう。
「実物市場」とは金融市場ではない市場、要するに通常みんながものを売り買いする市場です。食べ物とか、テレビとか、そういうものを思い浮かべればいいでしょう。そのような実物市場での研究を行っています。
「仲介業者」とはいろいろ考えられますが、ここでは生産者と消費者の間に立って、商品や情報(品質・価格)を円滑に流す役割を持った人のことを指します。ただ、通常人が1人でこういう仕事をするのは大変ですから、ほとんどの場合は企業です。例えば、ジャスコやダイエーと言った大手小売業、伊藤忠や丸紅と言った日本的な総合商社、その辺にどこにでもある不動産仲介業者南下が「仲介業者」ですね。インターネットなんかでは楽天やYahooなんかも「仲介業者」に当てはまります。ただ、ネット上では商品の仲介と言うよりも情報の仲介という立場がより鮮明ではありますが。
それでは、「市場形成・維持機能」とは何でしょうか?上記の「仲介業者」は商品や情報を円滑に流すことを仕事とし、その上で利益を得ています。彼等は正しい情報、適正な価格、品質の商品を流通させることで利益を得るのです(当然、粗悪な商品を売り抜けるという悪徳業者(鱈印とか)も存在する可能性はありますが、それはひとまず措きます。)。彼等がいないと市場はどうなるでしょうか。一般消費者には商品の知識がない場合がほとんどです。そこには生産者(ないし売り手)が品質や価格に関して嘘をつく余地が出てきます。
例えば中古車市場を考えましょう。ガリバーみたいな中古車を一手に扱う業者がいない場合は、基本的に中古車の保有者(売り手)と、買い手の直接取引になります。このような場合、中古車の売り手は買い手よりも多くの情報を持っています(どこが調子悪いか、どれくらい走ったか・・・)。そうなると、売り手が買い手をだまして高い値段でその車を売り払うことが可能になります。そのような取引がほんの少しだけある状態なら、まだ取引は成立しますが、売り手の多くがそういう「えげつない」ことをやり出すと、買い手はもう中古車を買おうとはしません。それは、売り手の主張する品質を信じられないからです。買い手も、馬鹿を見るようなことをしたいとは思いませんから。
このようなときに仲介業者がいるとどうなるでしょうか?彼はおそらく買い手よりも、車に関する情報を多く持っています。買い手は中古車を毎日毎日購入するわけではありませんが、仲介業者は中古車の取り扱いを生業としていますから、目利きが出来ます。質の悪い中古車を中古車の売り手から買わないとか、安い値段でしか買わないと行動をとることが出来ます。仲介業者がうまく品質の監視を行うと、取引において騙しあいはなくなる(乃至はほとんど行われなくなる)ことになります。この時、仲介業者は「市場を維持している」ことになります。
市場形成については江戸時代の近江商人がよい例でしょう。近江商人は多くの場合創業当初は行商で財を成していきました。その後事業が大きくなってくると全国規模で市場を開拓し、創造しようと試みました。彼らは支店を全国各地に配置し、支店の間で「産物廻し(詳しくは末永國紀『近江商人』中公新書,2000,p36-42を参照してください。)」と呼ばれる商法を用いて利益を上げてました。「産物廻し」を用いて全国各地の需要に応じた商品を融通しあったのです。例えば東北最上地方産の紅花は染色原料用に加工され、需要の高かった上方に送られました。商品が余っている地域(=安く買い上げることが出来る地域)から需要の高い地域(=高く売ることが出来る地域)に商品を回して、両地域を「仲介」することで市場を形成したのだと言えます。
このような研究を私はやっています。と言うか、これから博士課程を通じてやっていきます。
まとめ
要するに僕の研究は「仲介業者っていうのがおって、そいつが市場をうまく作ったり、市場に変な商品が出回ったりするのを防いだりすることで利益を上げてるんちゃうんか?」と言う直観に基づいて、それをなんとか理論化(ないし、現存の理論の精緻化)していこうやないか、と言うものです。
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