食品衛生監視能力の減退について(2000年8月民主党のヒアリング資料)藤原邦達

横浜市で開かれた全国の食品生監視員有志による勉強会での藤原先生の報告から、藤原先生は雪印問題国会の参考人証言をした方です。

l         国の検疫に当たる監視員が300人で良いか

l         専任監視員が不在の自治体が14もある

l         食品衛生監視員一人当たりの担当人口は全国平均で1.75万人、関東は多く、関西は平均に近い。担当人口最高の茨城と最低の鹿児島では4.3倍の開きがある

l         法定監視回数は年々減少しており、平成10年度では全国平均14.52%になっている。1968年のカネミ油症事件では監視率が20%で問題になったが、改善されずに10%を割る自治体が相当数ある。

l         各自治体で法定監視率の格差が非常に大きく、最高の宮城県と最低の三重県(平成10年の資料で)の比率は5.5倍となっている。平成7年と10年を比べて監視率が落ちている自治体が83%、(*10年から11年では86%)となっている。群馬、栃木が急激に低下しており、宮城は増加の傾向にある。

l         10年度最低の三重県では平成7年の6.35%から3.9%まで急落している。ここでは監視・指導制度はもはや完全に無視されている。これを厚生省が放置しているのは問題だ。

l         処分・告発件数の年次推移平成に入って大幅に減少している。昭和52年と平成9年との比較では約9分の1となっている。許可の取り消し、営業の禁止、停止、改善命令、廃棄処分などで同様の傾向。(但し、平成8年はO157で処分件数が増加している)

l         地域保健法が出来た平成6年以降食中毒事件が急増している。保健所の統廃合により保健所の人員が整理され、食品衛生監視員の専従者が減少した結果と思わざるを得ない。要するに食品衛生監視能力の減退の最終的なつけが消費者、国民の食中毒被害件数の増加となって現れてきている。

l         結論、食品の安全確保に関わる危険な状況を放置して置くことは許されない。21世紀の食生活の安全を確保する上で、食品衛生監視能力の減退を防止するための施策が必要である。

Ø        たとえば都道府県の自治体の衛生当局に食品衛生審議会を設置して、食品衛生監視機能の第三者的な監査を行わせて、その結果を公表するなどの方策を講じる。この審議会は市民、消費者代表も参加して透明性を高める。HACCPの監査などもこの審議会で実施することが望ましい。
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